ウィジャボード(Ouija Board、香:占卜)とは、2001年生まれのイギリスの競走馬・繁殖牝馬である。
世界中を駆け回り牡馬をも薙ぎ倒した21世紀初頭を代表する名牝。
父Cape Cross、母Selection Board、母父Welsh Pageant。父はマイルGⅠ1勝ながら後に3頭の欧州年度代表馬を輩出した名種牡馬。ウィジャボードは初年度産駒である。母は2戦未勝利ながら兄にGⅠ馬がいる。母父はマイル戦線で活躍した名馬で、さかのぼると英国史上最強マイラーと名高いTudor Minstrelがいる割といい血統である。血統だけ見ると完っ全にマイラーだけど、父Cape Crossはその後もSea The StarsとかGolden Hornとかミドルディスタンスホースをたくさん出している。不思議。
生産者は第19代ダービー伯爵エドワード・スタンリー。彼の牧場は小さく、繋養できる繁殖牝馬は限られていた。そのため、スタンリーは生産した牡馬は全て売却し、牝馬のみを厳選して所有するというスタイルを取っていた。そんな方針もあってスタンリーの現役所有馬は常に1~2頭で、ウィジャボードのデビュー時はこの馬しか現役馬がいなかったらしい。
牝馬の育成と海外遠征に定評があるエドワード・ダンロップ師(スノーフェアリーの調教師として有名)に預けられたウィジャボード。デビュー戦は3着、2戦目を4馬身差で勝ち、3戦目も3着。2歳時を3戦1勝で折り返す。
翌年初戦のリステッド競走を6馬身差で圧勝。当初予定していた前哨戦を飛ばして直行で英オークスに駒を進めると、7頭立ての少頭数なのに混戦模様という変な状況の中、直線で1頭別次元の速さでぶっ飛ばし7馬身差の圧勝。愛オークスも直線で差し切って勝利。凱旋門賞に直行し、絶望的な位置取りから猛然と馬群を割り、その後日本に来る*バゴの3着に突っ込む。その後アメリカのBCフィリー&メアターフに挑み、今度は好位から力強く抜け出し快勝。この年3つ目のGⅠ勝利を挙げる。
この年5戦4勝3着1回の活躍で文句なしのカルティエ賞最優秀3歳牝馬を受賞。さらにこの年は他の馬が全体的に情けない成績だったこともあり、史上初めて牡牝混合GⅠ勝利なしでカルティエ賞年度代表馬になる。また、エクリプス賞最優秀芝牝馬も受賞した。
翌年はプリンスオブウェールズSから始動したが体調不良に加えて落鉄する不運もあり7着惨敗。さらに疲労骨折+裂蹄という不運のコンボを食らい休養。上半期を1戦で終えてしまう。秋は初戦のGⅢで勝利した後連覇を狙ってBCフィリー&メアターフに出走するが逃げたIntercontinentalを捕まえきれず2着に敗れてしまう。
最大目標を落としたウィジャボード。しかしこの年3戦目でまだ馬が疲れていなかったので、GⅠ上積みを狙いジャパンカップに遠征する。日本勢が手薄だったこともあり5番人気に支持されたが、*アルカセットとハーツクライのレコード決着についていけず5着。これでは終われんとばかりに2週間後の香港ヴァーズに転戦し、今度はすげえ勢いで馬群を切り裂き快勝。日本勢シックスセンスを2馬身半置き去りにする。
翌年はさらにすごい勢いで世界中を転戦。ドバイシーマクラシックではレース直前の花火にビビって入れ込んでしまいハーツクライにいいように逃げ切られ4着。香港のQEⅡ世Cは出遅れが仇となり3着。地元に戻ってのGⅠコロネーションCはドイツの名馬Shirocco相手に歯が立たず2着。惜しい競馬はするけど3連敗。しかし着実に着順を上げる。そして前年惨敗したプリンスオブウェールズSではドバイWCを楽勝したElectrocutionistらを完璧に差し切りGⅠ5勝目。やっとこさ欧州の強豪相手に勝利を収める。香港ヴァーズにも一応名ステイヤーWesternerとかはいたけど。
続くエクリプスSはテン乗りだったクリストフ・スミヨンが直線で進路を失うミスがあり5着。このレースで負傷したためキングジョージを回避し、久々の牝馬限定戦となるGⅠナッソーSに出走。実は同期で同じ国際派というAlexander Goldrunと初めて対決し、白熱の叩き合いの末ギリギリで勝利する。
愛チャンピオンSはAlexander Goldrunに加えて愛ダービー馬Dylan Thomasもライバルに加わる。直線で一度は勝ったかに見えたが、今度はDylan Thomasに差し返されてクビ差2着に敗れる。
3年連続出走となるBCフィリー&メアターフは途中馬群に包まれるアクシデントはあったが、直線は一昨年の再現のように馬場の真ん中を力強く突き抜けて快勝。GⅠ7勝目を挙げる。その後2年連続でジャパンカップに挑み、ディープインパクトには敵わなかったが上がり3F33秒9の切れ味を見せて3着に善戦。このレース後に骨折し、引退した。ちなみにジャパンカップで外国馬が複勝圏に入ったのは2020年現在この馬が最後である。
なお、この年GⅠ3勝が評価され、カルティエ賞年度代表馬と最優秀古馬をW受賞、米国のエクリプス賞最優秀芝牝馬も受賞した。1991年に創設されたカルティエ賞の年度代表馬を2度受賞したのはウィジャボードが初で、その後も2011・12年と連続受賞したFrankelしかいない大記録である。まあ、この時期は割に小粒な馬が多かったり、牡馬が情けなかったりしたのもその一因ではあるのだが。
この馬に関しては、GⅠ7勝とか年度代表馬2回とか以上に、生涯で7ヶ国、16の競馬場を駆け巡ったというその戦歴の方が驚きであろう。実は騎手もコロコロ変わり、生涯で8人の騎手のエスコートを受けた。生涯で重い馬場とはほぼ無縁だったが、場所も騎手も展開も関係なく勝利を積み重ねたウィジャボードは超名牝と言って差し支えなかろう。その功績を讃え、最初にブリーダーズカップを勝ったローンスターパーク競馬場では現在ウィジャボードハンデキャップ(GIII)が開催されている。
引退後は生まれ故郷のスタンリーハウススタッドで繁殖入り。4頭目の産駒であるAustralia(父Galileo)が英愛ダービーを勝ち、初年度産駒のVoodoo Princeも移籍した豪州で重賞を勝つなど母としても活躍し、2022年11月29日に21歳で死亡した。
Cape Cross 1994 黒鹿毛 |
Green Desert 1983 鹿毛 |
Danzig | Northern Dancer |
Pas de Nom | |||
Foreign Courier | Sir Ivor | ||
Courtly Dee | |||
Park Appeal 1982 黒鹿毛 |
Ahonoora | Lorenzaccio | |
Helen Nichols | |||
Balidaress | Balidar | ||
Innocence | |||
Selection Board 1982 鹿毛 FNo.12-b |
Welsh Pageant 1966 鹿毛 |
Tudor Melody | Tudor Minstrel |
Matelda | |||
Picture Light | Court Martial | ||
Queen of Light | |||
Ouija 1971 黒鹿毛 |
Silly Season | Tom Fool | |
Double Deal | |||
Samanda | Alycidon | ||
Gradisca |
掲示板
3 ななしのよっしん
2021/10/02(土) 18:41:53 ID: xkHfOT4hHm
ダービーを創設したの人の子孫が世界一の競走馬を所有してるって時点でポイント高い
オーストラリアも良血に恥じない素晴らしい実績を上げておりまさに名牝の中の名牝
文中にある通りこの馬以降、海外馬がジャパンカップで3着以内に来たことはない
もう15年前なんですけど
4 ななしのよっしん
2022/11/30(水) 12:23:29 ID: 2GZ6iK6Ib+
改めて見るととんでもない戦績だな
安らかに…
5 ななしのよっしん
2022/11/30(水) 22:14:39 ID: D1sILCezdS
29日永眠
あっちでディープインパクトと仲良くな…
急上昇ワード改
最終更新:2024/12/22(日) 01:00
最終更新:2024/12/22(日) 00:00
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