蒼龍型航空母艦（ワールドウィッチーズ）

蒼龍型航空母艦とは、扶桑皇国海軍の保有する航空母艦の形式である。

この記事では、『ストライクウィッチーズ』をはじめとする「ワールドウィッチーズ」世界における蒼龍型航空母艦（改蒼龍型/翔鶴型を含む）について記述する。

 概要

西暦1945年（昭羽20年）当時の扶桑皇国海軍が保有する三種類の大型航空母艦のうちのひとつ。巡洋戦艦から改装された赤城型航空母艦4隻につづく25,000tクラスの大型航空母艦で、同型艦4隻が建造された。このうち後半2隻については、各部に設計変更が加えられたために改蒼龍型、もしくは三番艦の名前をとって翔鶴型とも称される。

当時の扶桑海軍は、空母計画にあたってネウロイの脅威を受ける欧州への派遣任務への投入を前提としており、当初企図された中型空母の建造計画を取り止め、赤城型の運用実績をもとに大型高速空母と船団護衛用のウィッチ母艦を担う小型空母の並行整備が行われた。このうち、前者の大型高速空母として建造されたのが蒼龍型航空母艦である。

この種の大型高速空母について、海軍の初期設計はウィッチのみを航空兵力として運用するかわり巡洋艦相当の砲力をもたせるものだった。しかし最終的には、偵察・哨戒・ウィッチの護衛など少数のウィッチを補う航空兵力を運用する必要上、赤城型をもとに主砲など不要部を廃した航空母艦として蒼龍型が設計・建造される結果となっている。

当艦型の建造は＜蒼龍＞、＜飛龍＞、＜翔鶴＞、＜瑞鶴＞の4隻で終了し、予定されていた五番艦以降は宮藤式ストライカーユニットの登場とヒスパニア戦役（1936年）の戦訓にもとづいてより大型化・洗練させた大鳳型航空母艦の整備に移行した。

 性能・要目

先行する赤城型では艦橋を甲板上左舷中央においたが、この配置のために着艦時に気流の乱れが生じることがことウィッチから問題視されたことを受け右舷前方への配置となった。これについては、空母＜鳳翔＞での試験結果が反映されている。

改蒼龍型/翔鶴型

＜翔鶴＞、＜瑞鶴＞では、前述のように飛行甲板の延長をはじめとする各部の改良がなされたため、この二隻をとくに改蒼龍型、あるいは翔鶴型航空母艦とも称する。

この翔鶴型における要目は、基準排水量25,675t（公試排水量29,800t）、全長257.5m、水線幅26.0m、喫水8.87m。延長された飛行甲板は長さ247.5m、幅29mに達する。機関出力は160,000shpと、赤城型（133,000shp）を圧倒、紀伊型戦艦（161,000shp）とほぼ同等を誇り、最大速力34.0ktを発揮、航続距離は18ktで9,700海里に及んだ。

兵装面では、赤城型のような主砲こそ持たないものの、対空兵装の点では40口径12.7mm連装高角砲8基、60口径25mm3連装機銃12基と赤城型のそれを上回る。航空戦力としては常用72機、あるいはウィッチ4名+戦闘機および攻撃機24機ずつ48機を運用可能。ウィッチ非搭載時の常用搭載能力は赤城型（75機）にほぼ並ぶいっぽう、ウィッチの運用能力は赤城型（8名）より半減しているが、その代わりウィッチ搭載時の通常航空機運用能力では赤城型（艦戦16機、艦攻8機）を大幅に上回るかたちとなった。

ウィッチの運用能力減については、赤城型で運用可能だった8名はそもそも充足すること自体が困難だったことが指摘されており、赤城型同等の運用能力は過剰とみなされた可能性が考えられる。

 各艦の状況

＜蒼龍＞

1938年（昭羽13年）、第二次ネウロイ大戦の勃発を受け欧州に派遣される扶桑海軍遣欧艦隊に所属。当時の艦長は宇和原弘三大佐。ウィッチとして欧遣される若本徹子が乗り組んでいる。

その後、1945年時点でも＜飛龍＞とともに遣欧艦隊の一員として欧州に派遣されている。空母ウィッチ隊である第508統合戦闘航空団＜マイティウィッチーズ＞の結成時には、扶桑海軍からの派遣空母として蒼龍型から一隻を派遣することとなったが、当艦は欧州で＜飛龍＞と共に行動していたために選択肢からは外されている。

＜飛龍＞

＜飛龍＞建造にあたっては、ウィッチ装備の発達に対応して少々の設計変更が行われた。

＜蒼龍＞の項目で記述したように、1945年時点では＜蒼龍＞とともに遣欧艦隊を編成して欧州にあり、同様に508JFW結成時の派遣空母の選択肢からも外されている。

＜翔鶴＞

＜翔鶴＞には、開戦以来長く小村定恵少尉が乗艦していた。ただし、後述する1944年（昭羽19年）9月から翌年2月にかけての戦役では姿がなく、この時期には転属していたものとみられる。

1944年9月、当次の遣欧艦隊（重巡洋艦＜愛宕＞旗艦、航空母艦＜翔鶴＞、夕雲型駆逐艦4隻で構成。指揮官は伊東省三中将）を編成し、北欧・オラーシャ方面に向け佐世保を出港する。この時の搭載機は零式艦上戦闘機で、同艦には欧州へ派遣される雁淵孝美中尉と妹の雁淵ひかり軍曹が同乗した。

遣欧艦隊は北極海航路をとり三週間の航海ののち、バレンツ海沖において想定外のネウロイ編隊の襲撃を受ける。持久戦闘によって航空隊は消耗し雁淵中尉も負傷、当艦も右舷後部に被弾したものの、ウィッチ両名の奮戦と第502統合戦闘航空団＜ブレイブウィッチーズ＞の到着により、無事オラーシャ領ノヴォホルモゴルイに入港、物資を降ろし派遣任務を果たした。

その後、重傷の雁淵中尉を乗せて一時扶桑へ帰還したものの、オラーシャ北方のネウロイの巣”グリゴーリ”破壊を目的とするフレイアー作戦の実施に伴い、“グリゴーリ空母部隊”としてその一翼を担うべく、大沢義三郎中将の指揮下で翌1945年2月までにオラーシャ領ムルマンへ向け進発（派遣艦隊は翔鶴型2隻、高雄型重巡洋艦、夕雲型駆逐艦、秋月型駆逐艦で構成）。治療を受け復帰した雁淵中尉が502JFW参加のため同乗した。フレイアー作戦では、白海に進出した＜翔鶴＞からも発進した航空ウィッチ部隊がグリゴーリ東方からの陽動を担当している。

その後は＜瑞鶴＞とともに行動していたが、損傷修理のため扶桑に戻り入渠。この時期の所属は第五航空戦隊。同じ頃＜マイティウィッチーズ＞結成が決まると、ちょうど扶桑本国にあった当艦が扶桑海軍から同部隊への派遣艦に選ばれ、以後＜マイティウィッチーズ＞の移動基地の一隻となる。この時、戦闘隊長新藤美枝少佐、雁淵孝美大尉、松田昌子少尉が508JFW隊員として乗組となる一方、それまで＜翔鶴＞乗組だった小村少尉は同じく508JFWに所属するリベリオン空母＜エンタープライズ＞へと移った。

1945年夏頃、ヴェネツィア上空の超巨大ネウロイの巣を破壊するオペレーション・マルス実施に伴い派遣された扶桑艦隊（戦艦＜大和＞、軽空母＜千歳＞、＜千代田＞、高雄型重巡洋艦、秋月型駆逐艦などで構成）の行路中途を＜瑞鶴＞、＜エンタープライズ＞とともに護衛。ただし、他任務のためロマーニャ近海に到達する以前に離脱している。また、同時期には本格始動した508JFWが大西洋側からベルギカ、ネーデルラントの奪還作戦に参加しており、＜翔鶴＞もそちらに関与していた可能性がある。

同年秋に発生したカールスラント国境でのネウロイの大規模攻勢と501JFW＜ストライクウィッチーズ＞再々結成ののちには、ブリタニアのポーツマス付近に寄港している。雁淵孝美はこの時点でも当艦に乗り組んでおり、ちょうどポーツマスで入渠中だった戦艦＜大和＞の坂本美緒少佐らのもとを訪問した。

＜瑞鶴＞

1945年頃には＜翔鶴＞と2隻で行動。おそらく第五航空戦隊を編成していたと見られる。その後＜翔鶴＞が損傷修理のため離れるが、同年夏頃には＜翔鶴＞、＜エンタープライズ＞とともにオペレーション・マルスのため欧州派遣される扶桑艦隊の護衛にあたった。

また、1944年9月の＜翔鶴＞ほか遣欧艦隊の佐世保出港時に行き会った航空母艦、および1945年初頭のフレイアー作戦におけるグリゴーリ空母部隊に＜翔鶴＞とともに参加した航空母艦は、ともに＜翔鶴＞と艦影が一致しており、＜瑞鶴＞である可能性が高い。

 作品への登場

アニメ『ストライクウィッチーズ2』の頃より、＜マイティウィッチーズ＞の設定上で扶桑海軍の保有する三種類の大型空母のひとつとして蒼龍型の名前が登場し、その一隻として＜翔鶴＞が＜マイティウィッチーズ＞に参加していること、および参加の経緯が述べられている。コミック『ストライクウィッチーズ零1939 皇国の魔女』では、1938年、若本徹子が乗り組む＜蒼龍＞と艦長が登場した。

また、『ストライクウィッチーズ2』放映時には、オペレーション・マルスのため派遣された扶桑艦隊の行路途中で＜翔鶴＞と＜瑞鶴＞が護衛にあたっていたことも鈴木貴昭氏によって明らかにされている。

アニメ『ブレイブウィッチーズ』での登場

アニメへの登場は『ブレイブウィッチーズ』より。飛行甲板など外観のほか、格納庫甲板、雁淵姉妹の居室、医務室など艦内も登場している。登場するのはもっぱら＜翔鶴＞であるが、場面によっては艦名が明示されていないために断定できないケースもある。艦型の詳細な説明は同『全記録』第一集に収録されているが、要目は翔鶴型（改蒼龍型）のものしか明示されていない。

映像での初登場は1話。雁淵孝美らの護衛を受け、遠洋訓練より帰投する翔鶴型航空母艦が登場（設定上では千歳型航空母艦＜千代田＞となっているが、艦影は翔鶴型航空母艦のもの）する。その後、雁淵ひかりと三隅美也両名の欧州派遣へ向けた試験時にも登場し、第三航空戦隊司令長官大沢義三郎中将と新藤美枝少佐が甲板上から眺める中、横付けした秋月型駆逐艦との間を二人がすり抜けている。

2話では＜翔鶴＞がひかりと孝美を乗せて佐世保より欧州へと出港。この時、同型の空母と離合している。バレンツ海沖での戦闘で被弾後、重傷の孝美を乗せてノヴォホルモゴルイに着岸しており、医務室の登場はこの時。その後は10話アバンタイトルで欧州へ向かうグリゴーリ空母部隊を構成する2隻が並んで登場し、＜翔鶴＞の飛行甲板先端での孝美と大沢中将の会話がある。ムルマンに停泊しているシーンでも2隻が並んでいるが、一方の甲板上には扶桑海軍機ではなくブリタニアの戦闘機シーファイアLF.Mk.IIIとカールスラントの戦闘機Bf109Tが並んでおり、フレイアー作戦が各国協同で実施されたことを示している。

内陸地で実施された最終決戦（フレイアー作戦）時には、空母部隊に艦載機発進の要請が出されるシーンがあったのみで直接の登場はなかった（搭載機と思われる零戦、シーファイア、Bf109Tには戦闘シーンあり）が、ラストシーンでは孝美を乗せて再び出港すべくノヴォホルモゴルイ港に横付けした＜翔鶴＞の姿があった。

 関連動画

 関連商品

※蒼龍型の名が挙がる＜マイティウィッチーズ＞の解説は『SW2』第6巻の『全記録弐 第六集』に収録。

※『BW』では1話、2話、10話、12話に登場する。艦型の解説は第1巻特典の『全記録第一集』収録。

 関連項目

• ストライクウィッチーズ
• ワールドウィッチーズ
• ブレイブウィッチーズ
• ストライクウィッチーズの関連項目一覧
• 扶桑皇国
• 天城（航空母艦）
• 大和型戦艦（ワールドウィッチーズ）
• 高雄型重巡洋艦（ワールドウィッチーズ）
• 第508統合戦闘航空団＜マイティウィッチーズ＞
  • エンタープライズ（リベリオン合衆国）
  • ヴィクトリアス（ブリタニア連邦）