楠賞とは (クスノキショウとは) [単語記事]

楠賞とは、毎年11月に兵庫県競馬組合が園田競馬場ダート 1400mで開催する3歳限定の地方競馬の重賞競走である。格付けは兵庫競馬重賞I。1着賞金は2000万円。

概要

かつて長らくアングロアラブ専門の競馬場として運営されていた園田競馬で「アングロアラブの日本ダービー」として知られていた「楠賞全日本アラブ優駿」を前身とする。アングロアラブが日本で多く生産されていた時の兵庫競馬は「アラブのメッカ」と言われ、南関東と並ぶレベルの高さを誇っていた。1973年に地方全国交流競走となってからはアラブ系3歳の頂上決戦として全国から出走馬を集め、古馬最強決定戦の全日本アラブ大賞典と共に日本ののアラブ系競走の頂点に立っていた。

その後全国的なアングロアラブの生産数減少によりアラブ専門であった兵庫競馬にもサラブレッドが導入され、2004年からは兵庫競馬でデビューしたサラブレッドの競走馬限定の競走に転換、競走名も「楠賞」となった。2018年からは3歳限定の地方全国交流の短距離重賞として行われるようになり、現在に至っている。何度か廃止の危機を迎えながらも回数を数え、現在では兵庫競馬屈指の歴史の長さを持つ競走になった。

全国から有力馬が集まる都合上、出走馬にはそれぞれの地区で大きな実績を上げた馬が多い。勝利馬の中には地元兵庫のアサヒマロツトを始めホクトライデン、ローゼンホーマ、オタルホーマー、ケイエスヨシゼン、ロードバクシン、リンゾウチャネルと7頭の地方競馬の三冠馬がいる。

また同じく全国から騎手が集まった結果、勝利ジョッキーにも地元兵庫の田中道夫や田中学、福山競馬の那俄性哲也、南関東の佐々木竹見や桑島孝春、地方所属時の岩田康誠、小牧太、高知競馬の赤岡修次、北海道の五十嵐冬樹など、錚々たる面々が名を連ねている。

このレースの勝ち馬からはイグナイターがGI(GI級)競走を勝利している。

アラ系競走時代

1961年に開催された大阪府岸和田市にあった春木競馬場との交流競走を発展させる形で1962年にダートの1800m戦「園田銀盃」として創設された。以降毎年のように競走名が変わりつつ開催が続けられ、第3回からは2130mに距離延長。1967年の第6回から兵庫県の木であるクスノキに由来する「楠賞」で定着する。1973年からは前年から地方全国交流となった全日本アラブ大賞典に続く形で楠賞も地方全国交流になり、再び距離も延長され2300m戦へ、競走名も「楠賞全日本アラブ優駿」となった。以降は南関東はもとより日本全国から出走馬を集め、85年からは中央馬も出走できるようになり名実ともに「アングロアラブの日本ダービー」と言える園田競馬屈指の大競走に発展した。1992年には1着賞金が過去最高の3400万円になり、これはネットが普及して地方競馬の売り上げが回復した現代でもなお及ばない賞金額である。99年には園田競馬場の改修により遂に2400mでの開催になった。

しかし中央競馬が1995年にアラブ系競走を全廃、南関東競馬もそれに続く形になった事で日本のアングロアラブ生産数は激減。アラブのメッカと言えどもその影響からは逃れられず、2003年を最後にサラブレッド系の競走に転換され、全国交流競走から撤退、距離も1700m戦に様変わりすることになった。

サラ系競走転換から現在

2004年からは出走資格が「兵庫競馬でデビューした3歳以上のサラブレッド」に変更。当時兵庫競馬に所属していたサラブレッドは中央を始めとする他の地区から移籍して来ていた競走馬ばかりだった為、交流時代は兵庫競馬屈指の大競走だった頃から一転、兵庫競馬で最も出走馬の層が薄い重賞になってしまった。2008年は当時園田競馬場でJBC開催された兼ね合いかデビュー制限なしの3歳馬限定戦として開催。2009年からは距離が1870メートルに延長されている。

その後2012年の開催を最後に開催されなくなり実質的に休止状態になっていたが、2018年に3歳限定1400mの地方全国交流競走として復活。翌年以降も賞金の増額が行われ、貴重な3歳限定の短距離戦として開催され続けている。

2024年からは同じ距離のさきたま杯が3歳以上のJpnI競走に格上げされるため、これまで以上の注目を集めることが予想される。

歴代優勝馬

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馬齢表記は現行表記に統一。
競走名は第1回が「園田銀盃」、第2回が「銀盃賞」、第3回が「春の銀盃賞」、第4回が「春の銀賞」、第5回が「園田アラブ優駿」、第6回から11回、第43回以降が「楠賞」、第12回から第41回が「楠賞全日本アラブ優駿」、第42回が「楠賞兵庫アラブ優駿」。

回数	開催日	競馬場	距離	優勝馬	性齢	所属	勝利騎手	勝ち時計
第57回	2023年 11月1日	園田	ダ1400m	ボヌールバローズ	牝3	大井	吉原寛人	1:28.5
第56回	2022年 11月2日	園田	ダ1400m	エコロクラージュ	牡3	園田	吉村智洋	1:29.6
第55回	2021年 11月2日	園田	ダ1400m	イグナイター	牡3	園田	田中学	1:28.2
第54回	2020年 11月4日	園田	ダ1400m	サロルン	牡3	船橋	赤岡修次	R1:27.8
第53回	2019年 11月14日	園田	ダ1400m	リンゾウチャネル	牡3	北海道	五十嵐冬樹	1:28.6
第52回	2018年 11月14日	園田	ダ1400m	ソイカウボーイ	牡3	北海道	川原正一	1:28.6
2018年(第52回)より地方全国交流競走に復帰
第51回	2012年 11月23日	園田	ダ1870m	ハイパーフォルテ	牡5	西脇	田中学	2:03.3
第50回	2011年 11月16日	園田	ダ1870m	ホクセツサンデー	牡3	園田	田中学	2:02.2
第49回	2010年 11月11日	園田	ダ1870m	バンバンバンク	牡5	園田	木村健	2:01.3
第48回	2009年 11月4日	園田	ダ1870m	チャンストウライ	牡6	西脇	下原理	2:03.1
第47回	2008年11月3日	園田	ダ1700m	バンバンバンク	牡3	園田	木村健	1:51.0
第46回	2007年 11月1日	園田	ダ1700m	ジョイーレ	牡4	園田	川原正一	1:53.5
第45回	2006年 11月1日	園田	ダ1700m	ロードバクシン	牡7	園田	有馬澄男	1:51.0
第44回	2005年 11月3日	園田	ダ1700m	アクティブワンダー	牝5	西脇	松浦政宏	1:53.6
第43回	2004年 11月3日	園田	ダ1700m	ロードバクシン	牡5	園田	岩田康誠	1:50.7
2004年(第43回)より全国交流競走から撤退
第42回	2003年 6月19日	園田	ダ2400m	サンクリント	牡3	西脇	田中学	2:41.6
第41回	2002年 6月5日	園田	ダ2400m	チョウヨームサシ	牡3	金沢	蔵重浩一郎	2:42.4
第40回	2001年 6月6日	園田	ダ2400m	ガバナマイウェー	牡3	園田	木村健	R2:38.9
第39回	2000年 5月17日	園田	ダ2400m	コウザンハヤヒデ	牡3	荒尾	西村栄喜	2:42.4
第38回	1999年 5月26日	園田	ダ2400m	ホマレスターライツ	牡3	宇都宮	鈴木正	2:41.9
第37回	1998年 5月27日	園田	ダ2300m	タッカースカレー	牡3	園田	小牧太	2:38.0
第36回	1997年 5月28日	園田	ダ2300m	ヤングメドウ	牡3	園田	岩田康誠	2:37.3
第35回	1996年 5月29日	園田	ダ2300m	ケイエスヨシゼン	牡3	園田	岩田康誠	2:37.2
第34回	1995年 6月7日	園田	ダ2300m	キタサンオーカン	牡3	園田	小牧太	2:39.6
第33回	1994年 5月18日	園田	ダ2300m	コノミテイオー	牡3	園田	小牧太	2:40.6
第32回	1993年 5月19日	園田	ダ2300m	ダイメイゴッツ	牡3	荒尾	牧野孝光	2:35.6
第31回	1992年 5月20日	園田	ダ2300m	イナズマガッサン	牝3	名古屋	兒島真二	2:39.6
第30回	1991年 5月22日	園田	ダ2300m	ハギノメジャー	牡3	園田	田中道夫	2:39.0
第29回	1990年 5月16日	園田	ダ2300m	ムサシボウホマレ	牡3	福山	石井幸男	2:40.4
第28回	1989年 5月17日	園田	ダ2300m	アサリユウセンプー	牡3	福山	那俄性哲也	2:36.5
第27回	1988年 5月18日	園田	ダ2300m	オタルホーマー	牡3	大井	佐々木竹見	2:37.3
第26回	1987年 5月27日	園田	ダ2300m	ダンデイダイドウ	牡3	園田	尾原強	2:36.8
第25回	1986年 5月14日	園田	ダ2300m	ローゼンホーマ	牡3	福山	那俄性哲也	2:35.8
第24回	1985年 5月17日	園田	ダ2300m	イソナンブ	牡3	川崎	森下博	2:34.8
1985年(第24回)より中央・地方全国交流競走に指定
第23回	1984年 6月13日	園田	ダ2300m	ニユーサラトガ	牡3	園田	寺嶋正勝	2:40.9
第22回	1983年 6月9日	園田	ダ2300m	ハギノニユーグリン	牡3	園田	田中道夫	2:38.2
第21回	1982年 6月8日	園田	ダ2300m	ダイヤロツク	牡3	園田	石川昇	2:40.4
第20回	1981年 5月12日	園田	ダ2300m	コマツタイム	牡3	園田	石川昇	2:39.6
第19回	1980年 5月27日	園田	ダ2300m	トライバルセンプー	牡3	川崎	佐々木竹見	2:38.3
第18回	1979年 5月17日	園田	ダ2300m	ヤングラツキー	牡3	兵庫	寺嶋正勝	2:40.0
第17回	1978年 5月30日	園田	ダ2300m	トキノナノリ	牝3	兵庫	勝野誠一郎	2:38.5
第16回	1977年 5月27日	園田	ダ2300m	ヒダカセイユウ	牡3	福山	番園一男	2:38.2
第15回	1976年 5月25日	園田	ダ2300m	メイクマイウエー	牡3	浦和	本間光雄	2:37.2
第14回	1975年 5月20日	園田	ダ2300m	ホクトライデン	牡3	船橋	桑島孝春	2:35.5
第13回	1974年 6月25日	園田	ダ2300m	グリンフアスト	牡3	川崎	佐々木竹見	R2:34.5
第12回	1973年 5月16日	園田	ダ2300m	ワールドタカシ	牡3	兵庫	花村通春	2:34.5
1973年(第12回)より地方全国交流競走に指定
第11回	1972年 5月24日	園田	ダ2320m	フジマンデン	牡3	兵庫	石川昇	2:37:0
第10回	1971年 5月12日	園田	ダ2130m	ゼネラルオー	牡3	兵庫	石川昇	2:24.9
第9回	1970年 5月17日	姫路	ダ2000m	アサヒマロツト	牡3	兵庫	市来秀行	2:14.8
第8回	1969年 5月7日	園田	ダ2130m	ミスグラマン	牝3	兵庫	北口国年	2:23.0
第7回	1968年 5月15日	園田	ダ2130m	スグロヒカリ	牡3	兵庫	北口国年	2:30.5
第6回	1967年 5月3日	園田	ダ2130m	キヨノオー	牡3	兵庫	稲田礎	2:25.2
第5回	1966年 5月5日	園田	ダ2130m	ハヤブサヒカリ	牡3	兵庫	照井正雄	2:25.7
第4回	1965年 5月10日	園田	ダ2130m	タガミホマレ	牡3	兵庫	藤原幸蔵	2:31.0
第3回	1964年 5月13日	園田	ダ2130m	リユーカス	牡3	兵庫	山崎一二三	2:27.2
第2回	1963年 5月1日	園田	ダ1800m	カチミタカラ	牡3	兵庫	福地達晃	2:02.2
第1回	1962年 5月3日	園田	ダ1800m	ミツカゼ	牡3	春木	紺原保	2:04.0
第0回	1961年 5月3日	園田	ダ1800m	フクマサ	牡3	春木	岩崎良蔵	2:02.2