アカイトリノムスメ (Akaitorino Musume) とは、日本の競走馬である。
主な勝ち鞍
2021年:秋華賞(GⅠ) 、クイーンカップ(GⅢ)
2018年4月16日生まれの牝馬。
父ディープインパクト、母アパパネ。三冠馬と三冠牝馬の配合という日本競馬界で考え得る最高の良血馬。母父キングカメハメハをはじめとして、血統表に歴代スーパーホースがずらりと並ぶが、多少競馬を知っていれば父と母の名前だけで十分であろう。
オーナーは当然、父母を所有する金子真人。彼はハワイに由来する名前をつけることで有名だが、シラユキヒメを祖とする白毛一族に「ハヤヤッコ」「シロニイ」「ブチコ」などの名前をつけだしてから本格的に珍名道に開眼したらしい。アパパネの2番仔にそのまんま「ジナンボー」と名付けるなど、そのセンスを白毛以外の馬にも広げつつある。
そんな中、4番仔にして初の牝馬には、「赤い鳥」…すなわちアパパネ(アカハワイミツスイ)の娘、というそのまんまな名前をつけたのである。
なお、アパパネは繁殖初年度から6年連続でディープをつけられており(3年目は不受胎)、前述のジナンボー含む彼女の上の3頭の牡馬も全て勝ち上がっている。彼女の次の仔は流産してしまい、2019年はディープが早期に種付けを打ち切ったため代わりにディープの兄のブラックタイドを種付け、そしてその年の夏にディープが死亡したため、この三冠配合ではアカイトリノムスメが最後の仔となった。
「アカイトリノ」というものの、父も母も鹿毛であり、本馬の毛色は登録上黒鹿毛…一般的な色の表現では「明るい焦げ茶色」である。ただし、結果的に秋華賞馬となったことと、三冠を分け合ったソダシ(白毛)・ユーバーレーベン(青鹿毛)との対比で「赤」は依然として彼女のイメージカラーとして定着している。
母アパパネや、同期のサトノレイナスと同じ美浦の国枝栄厩舎の所属。ただし国枝厩舎のトレードマークである白いシャドーロールはつけていない。これは金子オーナーの意向とのこと。
2020年8月の新馬戦(新潟・芝・1600m)でデビュー(鞍上は戸崎圭太)。1番人気を背負うが出負けして、実況に「アパパネノムスメ」と言い間違えられた程度でそのまま見せ所なく7着に沈む。
気を取り直して10月の未勝利戦(東京)では直線での末脚を発揮し差し切り勝ち。続く1勝クラスの赤松賞では横山武史に乗り替わり、また出負けしたものの直線で後方から馬群をぶち抜いて2連勝を飾る。
新馬戦を落としたあと、10月の府中の未勝利戦と11月の赤松賞を連勝という流れは母アパパネと同じ。しかも未勝利戦と赤松賞の勝ちタイムまで母と全く同じ。当然アパパネと同じく次走は阪神JF……かと思われたが、ここは間隔が詰まるからと回避して2歳シーズンを終える。
2021年はG3クイーンカップで始動。鞍上は戸崎圭太に戻り、直線で早めに抜け出すと、追撃するアールドヴィーヴルやククナを押しきって3連勝。アパパネ産駒初の重賞勝利馬となった。
次走は桜花賞へ。同オーナーの「白毛の女王」ソダシと初対決となる。戸崎騎手がドバイからの帰国後の隔離期間のため騎乗できず、鞍上は再び横山武史となった。
桜花賞前には、これまた珍名馬として名を馳せたプリンニシテヤルノと併せ馬を行ったことで一部の注目を集める。
本番の桜花賞では、ソダシをマークし、末脚勝負に持ち込むが届かず。大外から豪脚でまくったサトノレイナスにも差し切られ4着。
続くオークスでは、サトノレイナスが日本ダービーに向かったこともあり、レイナスの主戦のクリストフ・ルメールが騎乗。桜花賞と同様にソダシをマークするが、ユーバーレーベンが父譲りのまくりで大欅の手前から進出を開始。アカイトリノムスメも残り200mで脚色が鈍ったソダシをかわして抜け出したものの、1馬身届かず惜しい2着。ちなみにルメールはこれでソダシ出走レースで4戦連続2着となった。
このユーバーレーベン、秋の京都どころか夏の阪神その他に衝撃を残した「白いの」ことゴールドシップを父に持ち、彼譲りの「第3コーナーからゴリゴリ進撃」で勝利を収めたことで話題になった。
アカイトリノムスメの末脚も父譲りなのだが、今年のファンは、どういうわけだかディープの脚質を知らないのにゴルシの脚質は知っている人ばかり。かくしてユーバーレーベンは、元ネタを差し置いて「シロイアレノムスメ」というあだ名がつけられ、ニコニコ大百科に先に記事が作られることになった。
アカイトリノムスメは負けてなお強しの評ではあったが、このレースは「ゴールドシップ産駒初のG1馬誕生」「ソダシ8着に敗れる」「ハギノピリナ3着でワイドに万馬券、三連複十万馬券」とニュースが目白押しで、2番人気2着と順当な成績だった彼女は影に隠れてしまった。
超良血でクラシック前に3連勝、しかし本番のクラシックでは善戦すれどライバルに届かず、という成績からどこかのミドリメンコノオウみたいな立場になったアカイトリノムスメは、秋に向けて臥薪嘗胆の日々を送る。
次走は残る1冠、秋華賞。鞍上は戸崎圭太に戻った。
同厩のサトノレイナスが故障で離脱したものの、二冠を分け合うソダシ・ユーバーレーベンに加え、桜花賞3着で秋華賞トライアルの紫苑Sを勝ち復調したファインルージュ、ローズSを制した夏の上がり馬アンドヴァラナウトなど新たなライバルが台頭。鞍上の戸崎がこれまで牝馬三冠の勝利なし、関西でのG1勝利自体2013年のレッドリヴェールでの阪神JFしかないということもあってか、本番での人気は故障明けのユーバーレーベンこそ上回ったが、ファインルージュとアンドヴァラナウトの後塵を拝して4番人気に留まった。
レースでは過去2戦と異なりソダシのマークを止め、中団前方の外目という好位置で待機。直線に入って差を詰めていくと残り300mから電撃の末脚がついに真価を発揮。沈んでいくソダシを横に見ながら加速、逃げたエイシンヒテンを一気にちぎると、内から伸びてきたアンドヴァラナウト、さらに外から追ってきたファインルージュを振り切って、絵に描いたような差しきり勝ちを決めて見せた。
これにてその良血を証明する待望のG1制覇。「最後の一冠羽ばたいたアカイトリノムスメ!」(byカンテレ・吉原功兼アナ)は母アパパネに続き、史上初の親子2代秋華賞制覇となった。また、アパパネ産駒初のG1勝利でもある。ちなみにその陰でルメールは、「20年阪神JF・21年桜花賞・オークス・秋華賞」と同世代牝馬G1で全2着という別の偉業?を達成していた。
彼女の勝利により、2021年牝馬三冠は「白いの」「黒いの」「赤いの」が分け合うカラフルな決着となったため、ネット上ではこの3頭はまとめて「白黒赤」「USA」などと呼ばれるようになった。
次走は11月のエリザベス女王杯を視野に調整が進んでいる。母アパパネが唯一未勝利の牝馬限定GⅠであるこのレースは阪神2200m。条件・距離的にオークスと秋華賞を折衷したような中距離レースだが、秋華賞馬として自信を持って古馬との本格対決に足を踏み入れる。出走を予定しているメンバーは大阪杯を勝ったレイパパレやオールカマーで彼女を破ったウインマリリン、ウインキートスら。
同世代戦から年上への挑戦へ、また別の大舞台で赤い鳥は経験豊富な古馬達相手にどこまでパフォーマンスを見せられるか。
2021年は、諸事情で競馬界が盛り上がった年である。そんな中、彼女を含む21年世代の牝馬は実力面でも、話題性でも、ネタとしてもやたらと濃いメンバーが集結している。大百科に記事があるだけでも、
と、とにかくよりどりみどりの面子。
何かとその名前や血統、他の牝馬との比較をされていた時期があったものの、アカイトリノムスメはついに母と同じ秋の女王に君臨し、父のように秋の京都ならぬ阪神にディープなインパクトを残した。
もはや父や母の名前に埋もれる事も、同世代の他の馬にも負ける事もなく、自分のインパクトでその先に挑むことができるだろう。
| ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason | Turn-to |
| Nothirdchance | ||||
| Cosmah | Cosmic Bomb | |||
| Almahmoud | ||||
| Wishing Well | Understanding | Promised Land | ||
| Pretty Ways | ||||
| Mountain Flower | Montparnasse | |||
| Edelweiss | ||||
| *ウインドインハーヘア 1991 鹿毛 |
Alzao | Lyphard | Northern Dancer | |
| Goofed | ||||
| Lady Rebecca | Sir Ivor | |||
| Pocahontas | ||||
| Burghclere | Busted | Crepello | ||
| Sans le Sou | ||||
| Highclere | Queen's Hussar | |||
| Highlight | ||||
| アパパネ 2007 鹿毛 FNo.9-f |
キングカメハメハ 2001 鹿毛 |
Kingmambo | Mr. Prospector | Raise a Native |
| Gold Digger | ||||
| Miesque | Nureyev | |||
| Pasadoble | ||||
| *マンファス | *ラストタイクーン | *トライマイベスト | ||
| Mill Princess | ||||
| Pilot Bird | Blakeney | |||
| Tha Dancer | ||||
| *ソルティビッド 2000 栗毛 |
Salt Lake | Deputy Minister | Vice Regent | |
| Mint Copy | ||||
| Take Lady Anne | Queen City Lad | |||
| Lovita H. | ||||
| Piper Piper | Spectacular Bid | Bold Bidder | ||
| Spectacular | ||||
| Alvarada | Hard Work | |||
| Easterborn |
以上 JBISより引用
5代内アウトブリード
コレハアカイトリイノムスメ
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最終更新:2025/12/24(水) 12:00
最終更新:2025/12/24(水) 11:00
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