アーマード・コア ネクサス(ARMORED CORE NEXUS)とは、フロム・ソフトウェアから発売されたPS2用ロボットアクションゲームである。
アーマード・コアシリーズの8作目であり、それぞれ転機を齎した区分である初代、2系、3系と続く4番目のシリーズ一新が図られた今作は、初のナンバリングではないタイトルを持つ。略称はNX(NeXus)、ACNXなど。
本編であるエヴォリューションと、過去作のミッションをリメイクしたアペンド・ディスクのレヴォリューションの二枚組み。
パーツ・グラフィックこそ3シリーズの流用だが、それ以外の部分において多数の変更と新要素が追加されている。
本作の難易度は同シリーズと比べてやや低い。理由としては、報酬と契約金(ミッション失敗時にも得られる金額)の増額や、ミッションの成否に関わらずストーリーが進行する事、いわゆるゲームオーバーが存在しない事、初心者救済用と思われる武器の存在、機体のスピード低下による扱いやすさの向上などがある。但し、アセンブリの難しさやロックオンサイトの縮小、レーダーの劣化、弾数の減少、ECMの存在など初心者向けとは言い難い面も多く、一概に「簡単」とは言い切れない難易度に仕上がっている。
ランカーのトップに君臨するレイヴン。強くあろうという一心でレイヴン稼業をしている。乗機のデュアルフェイスは全身が骨ばったクレスト製で統一され、パーツに黒一色という渋い機体であるが、一撃に乏しいライフル、命中させづらいグレネード二門、当てにくいブレードというシステムに嫌われた武装を満載している。特に二門のグレネードは重量過多の原因であり、両肩同キャノンという構築は「ジノる」という嘲笑の言葉を生んだ。
あらゆる企業からの依頼を高い遂行率でこなすエースレイヴン。肉体派揃いのレイヴンの中では珍しく知略にも長けており、自由人というレイヴンとしての有り様に高潔である人物。……のはずなのだが、あまりの弱さから「弱王」などと呼ばれ、これを皮切りに強烈なネタレイヴン化した。詳細は「ジャック・O」を参照のこと。
アーマード・コアを駆る傭兵(レイヴン)を統括する派遣組織。傭兵という個人業をバックアップするため、専属オペレーターの派遣、パーツ・弾薬の販売等を一括して行う。ただし、レイヴン戦力の平等配分という名目のもと、癒着を防ぐため企業専属を禁止している。
頂点に君臨しつつ尚も勢力拡大を目論む巨大企業。製品は先端主義を貫き、特にEN系武器への防御力が高い。また、付加機能コアの種類が多彩である。反面、装備負荷も相応に高く、バランスを取るのが難しいパーツが多い。
シェア2位で、ミラージュに嫌悪感を示しつつも、その隙を狙い力を蓄えている企業。製品は無骨な外観と同じく質実剛健という言葉が相応しい。汎用性が高く、操作性重視のものが多い。しかし、実弾防御に尖りやすいという欠点を抱えやすい、特化型が組みにくいという欠点もある。
「技術のキサラギ」。巨大生物兵器AMIDAを生みだした変態企業。ミラージュ・クレスト両企業との正面衝突は避け、水面下で勢力拡大を狙う。パーツの性能はミラージュ以上に尖っており、扱いづらいと見るか、特化型として魅力を見出すかが分かれる。
サークシティに本拠地を置く新興企業。特にその周辺の新資源とそれの開発力により、他企業から目を付けられることとなる。
企業群管理機構。企業の過剰な競争を抑止する目的の組織だが、発言力が小さい。
本作は「意欲作」「調整不足」「クソゲー」等の批評が目立ち、(シリーズにおいて)全体的に評価が低い部類に入る。 客観的にはニコニコ動画における投稿数の他に対戦大会の開催数とその規模・模様、そしてPSPへの移植に本作の続編であるACLRが先にリメイクされる等があり、これだけでも本作の取り扱いの難しさを窺い知る事ができる。
新要素の導入は、固定化したシリーズへ一石投じ、新たな方向性を見出そうと模索した結果であると推測できるが、 醍醐味であるはずのアセンブリの自由度やプレイ時の爽快感の実質的な低下、アリーナなどのおなじみのシステムの劣化は「新生」を謳う本作に期待していた多くのファンを失望させ、 且つ、アセンブリ調整のシビアさ(熟練者・マニア向けのハイリスクな高い熱中度バランス)と、FPSの宿命である高難度の操作方法により新規プレイヤーへのハードルも依然として高いまま解消されなかったという二つの難点が事実上の評価に繋がっている。
本作の特徴であり議論の種にされる筆頭要素で、ブースターが驚異的な熱量を自機に与える事、そしてラジエータが緊急冷却時にコンデンサのエネルギーを消費するよう改められた事によって発生する様々な事態の総称。
熱パラメータのバランスが悪く、アセンブリに熟練していないと、機動力の要であるブースターを使うだけで熱暴走が発生し、ラジエータの緊急冷却によってあっという間にエネルギー残量が尽きるという事態に繋がってしまう。被弾による熱量も健在で、対戦では熱暴走がチャージングに直結し、動けない所を蜂の巣にされるというパターンに陥りやすい。本作が「熱管理シミュレーター」「熱暴走させたら勝ち」等と呼ばれる所以である。
本作では熱以外にも重要パラメータが多く、それぞれ一定のレベルを満たさない場合の弱体化が激しい。最低限を維持するアセンブリ調整はかなりシビアな難易度に仕上がっている。
脚部パーツの積載量の余裕が移動速度に大きく関与するよう仕様が変更された影響で、積載に余裕のある重量機が同量を積載した軽量機よりも速くなるという矛盾が発生している。また、従来のシリーズに比べてコンデンサのブースタ持続時間や基本移動速度などが軒並み低下し、オーバード・ブーストも熱仕様によって非常に扱いにくくなる等、全体的にスピード感は失われている。
FCSのロックオンサイトの範囲が大幅に縮小された事に加え、これまでのシリーズで初期装備だったライフルが「WIDE&SHALLOW」(本作では日本語化に伴い「広角」へ名称を変更)から一段階下の「標準」となった事により、初期状態でのサイト範囲が著しく狭くなっている。この為、敵の捕捉が難しくなり、操作の難易度が上昇している。
他に、全体的に武器装弾数が減少しており(3との比較では初期ライフルが200→120、パルスライフルが150→50と激減)、これはEOや格納機能、左腕銃を生かす為の処置であると推測できるが、この調整によって単一火器での攻略が非常に困難になり、格納や投棄、予備携行等を含めプレイヤーが行う火器管制の煩雑さが増している。
ストーリー及びシナリオの時間軸は、ミッションの成否と関係なく進行する。本作では従来のシリーズと異なり、契約金(前払い報酬)の設定されたミッションが多く、また報酬金額そのものも全体的に高額に設定されている為、ミッション失敗でも赤字になる事が少ない。
しかし、成功報酬がパーツであったりするミッション等、プレイヤーとしてはやり直さずにはいられないミッションが存在したり、契約金だけを目当てにした方法(開始直後即座に任務放棄する等)を採った方が弾薬費や修理費がかからず、結果的に快適にプレイできてしまう等、様々な問題も浮き彫りとなっている。
シナリオでは、
等の理由から中途半端という印象が強い。
ストーリーが存在せず、各々のシナリオの補足と共にその内の一部のミッションを遊べるといった趣を持ち、これらはAC2AAの縮小・オムニバスと捉えても良い。ただしシナリオ数はさほど多くなく、ムービーが目立つ。
特に、初めて遊ぶプレイヤーにとってシナリオの説明不足は辛い所である。
クリア後はこれまでと同様、自由にミッションを選択できる特殊なモードが追加される。入手していない隠しパーツのあるミッションが分かる等、親切な設計に見直されているが、隠しパーツの存在するものも含め全てのミッションを選択できる訳ではなく、また任務の成否に関わらず失敗扱いとなってしまうバグがある。
今作ではアリーナの形式が変わり、プレイヤーが対戦相手を選ぶのではなく、レイヴンズアークが元締めとして興行を仕切る形式となっており、事実上ミッションとほぼ変わらないものとなった。世界観から浮いていた問題が解消されたが、逆にこれまでのシリーズのような資金稼ぎや操作に慣れる練習等が出来なくなった。
従来のアリーナはクリア後に追加されるものの、一周目クリア後という事もありプレイヤーが最初から上位ランクに位置している他、対戦ステージを選ぶ事ができない、トップランカー・ジノーヴィーなどミッション中で戦うレイヴンを前の周で倒すと(ランキングから消えてしまい)対戦できなくなってしまう等の致命的な欠点を抱えている。
従来のシリーズに比べ、ビジュアルは進化したものの、逆に表示FPSが減少したために表示の滑らかさが失われている。また、パーツの購入時・売却時に型番リストが表示されなくなり、入荷されたパーツや売りたいパーツを探すのが困難になる等、インターフェース面においては全体的にユーザービリティを無視した改悪が目立つ。
威力の低下、消費エネルギーの増大、ブレードホーミングの激減、果ては浮遊型や高機動型、そして異常な長射程を誇る敵の増加などにより、主力武器としての活躍おろか弾切れの保険としても頼りない存在となった。対戦でも接近戦における刹那的なロマンを求めるプレイヤーの不興を買っている。
実弾武器の大半に設定されている新要素。連続で発射できる弾数が限定されており、マガジン装填を待たなければ次の弾丸が発射出来ないというもの。しかし、折角のリロードを生かしておらず演出等が皆無である事、実在武器では有り得ないマガジン(10発で再装填が必要なガトリング、残弾や弾倉を無視した自動給弾等)が存在する事、設定された時間撃たないだけで視覚的・聴覚的な伝達がないまま自動的に再装填が完了している事など、あまりにも特定の武器の弱体化・均一化を目的とした仕様である事が透けて見える為、ロマンが足りないとされる。
終了しタイトル画面まで戻らなければ完全なセーブが出来ない仕様となっている。安易な「やり直し」を行えなくする目的のシステムと推測され、これに伴い、今作ではいわゆる強制的にタイトル画面へ戻されるゲームオーバーが廃止された。しかし、仮のセーブデータを使用しても大きなペナルティが課せられる訳ではなく、また、ストーリーが任務成否に関係なく進行する仕様もあり、不便さが目立つ。後のシリーズでは撤廃されている。
企業構図は基本的には3シリーズがそのまま反映されており、パーツや各種効果音などの大半もそのままの流用であったため、新デザインを期待したプレイヤーからは不評だった。
一度でも使用したパーツは中古となり、売却時に減額される(ガレージでのテストは除外、但しチューンを施した場合は強制的に中古となる)。その為、実戦で使い勝手が悪かったので値段据え置きで交換といった事ができなくなった。
プレイヤーが強化人間になる事は不可能になったが、本作の上位ランカーは歴代の例に漏れず全員が強化人間となっている。空中でのキャノン使用や旋回速度上昇の他、本作では厳しい熱に関連する機体性能が大幅に強化される(発熱の低下、ジェネレータ出力の上昇、使用エネルギーの低下)という事もあり、プレイヤーがなれない・CPUだけがその恩恵に肖れる事、仕様を覆す構成のためアセンブリを参考にする事ができない等、不満を募らせたプレイヤーが多かった。
本作は、過去シリーズからの進化の名に違わず、進化を続けるオープニング、ミッション開始前に挟まれるデモなど演出面において大幅に強化されているという長所を持つ。 一新されたメニュー画面は世界地図を背景としたGUI方式となり、レイヴンズアークから配信される情報によって世界情勢を読み取るストーリー等、手法としては斬新で面白い試みがなされている。
本作がゲーム性において難があるのは事実だが、失敗は次回以降に修正されており、集約点としてACLRの存在を考えれば新要素に踏み出した一歩目としての功績は大きい。また、アクションゲームのカテゴリで見た場合、総合的な完成度は決して低くはない。 対戦ツールとしても、シビアな熱を取り巻く環境を如何に制御できるか等の遊び方が可能である。
アーマード・コア ネクサスに関するニコニコミュニティを紹介してください。
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最終更新:2024/05/10(金) 14:00
最終更新:2024/05/10(金) 14:00
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