ファイアーエムブレム 封印の剣は、2002年3月29日にゲームボーイアドバンスで発売されたファイアーエムブレムシリーズ第6作。3作続いたGBAシリーズとしては第1作に当たる。
「エレブ大陸」と言う新たな世界観を舞台にして、FEとしては基本的な構成に立ち返りながらも、新たな要素も取り入れた作品。
SFC最終作である『トラキア776』から長い期間を経ての発売であり、主人公ロイが大乱闘スマッシュブラザーズシリーズにゲスト出演するなどのPRもあって、多くの新規ユーザー獲得に成功した作品である。
また、コミック作品「ファイアーエムブレム 覇者の剣」とメディアミックスを展開しており、同作品のキャラが使用した武器がいくつか手に入る。
かつてエレブ大陸には人と竜が暮らしていた。両者は互いの領域を侵すことなく平和に共存していた。しかし、人の突然の侵攻によってその均衡は破られる。後に「人竜戦役」と呼ばれる戦いである。互いの生存を懸けた争いはエレブ全土を荒廃させた。長く続いた戦いの末、人は「神将器」を駆る「八神将」の力で竜を滅ぼし、遂に大陸の覇権を手に入れた。
それからおよそ千年の後、エレブ大陸は華やかで洗練された文化を持つ西の「エトルリア王国」、派手さはないが堅実な文化と強力な軍隊を持つ東の「ベルン王国」、この二大勢力に挟まれるように存在する小勢力達。これらの微妙なバランスによって世界の安定が保たれていた。
ところが、その安定が突然崩れた。東の大国「ベルン王国」が国王「ゼフィール」の命の元、各地へと侵攻を開始。サカ、イリアは瞬く間に平定された。これに対し、大陸南方の小勢力の一つ「フェレ家」の嫡男ロイは、病気の父に代わりフェレ軍を率いて立ち向かう。その途上、ベルン国王ゼフィールの異母妹、王女ギネヴィアと出会い、やがて彼の辿る運命が大陸全土を巻き込むものとなっていく……。 (Wikipediaより抜粋)
本作はファイアーエムブレムシリーズとしては比較的複雑なシステムを廃し、基本を抑えたシンプルな設計になっている為、FE入門用として比較的適している。他の作品と比較した場合の独特の調整や、本作から導入されたシステム等も存在する為、ここでは代表的なものを記述する。
それまで剣・槍・斧にのみ3すくみは適用され、魔法は別途の属性相性が設定されていたが、こちらも理・闇・光の3属性に統合、整理され、理<闇<光<理…の3すくみが設定された。
以前のシリーズにあった支援効果や恋愛システム等をブラッシュアップした、支援会話システムが導入された。
特定のユニット同士を隣接させておくとお互いの好感度が進展し、会話イベントを発生させる事が出来る。
支援会話を発生させたユニット同士は、お互いが付近にいる場合、攻撃力や防御力、必殺率などにボーナスを得る事が出来る。
支援会話が出来る回数は、1ユニットにつき5回まで。そのうち、同じキャラクターとは最大3回まで支援会話を発生させる事が出来、回数に応じて支援レベルが上昇する(C<B<A の順で効果が上がっていく)。
繰り返し支援会話を発生させる事で、支援ボーナスが重複する他、会話イベント内容が進行していき、お互いの仲がより親密になったり、支援会話無しでは判らない裏設定が語られる事もある。
お気に入りのユニットを強化する事が出来る他、出番の少ない脇役キャラにも個性を与える事が出来、後の作品でも定番と言える要素になった。なお、特定のキャラクターが支援Aになった際に見られるペアエンドは、本作では主人公ロイのみにささやかに設定されている程度であり、充実したのは後続の『烈火の剣』以降である。
GBA3作(封印、烈火、聖魔)及び『蒼炎の軌跡』では戦闘時に命中の表示と実際の命中率が異なっている。
わかりやすくいえば、命中の表示がが50%以上の場合は表記よりもよく当たる。
逆に命中の表示が49%以下の場合は表記よりも当たりづらくなる。
このため、回避が十分に高いユニットは、見た目の回避率以上に攻撃を回避する事が可能であり、回避の高いキャラクターを、回避ボーナスが得られる地形に配置することで回避壁という役割を果たすことができる。
また、支援効果を得る事でさらに磐石の回避能力(敵の命中率0%付近)を手に入れる事も比較的容易である。
敵のステータスや武器の設定が、全体的に命中が低めに設定されているのも、この状況に拍車をかけている。
そのため、速さなど回避に関するステータスが伸びやすい、ペガサスナイトや剣士や傭兵などのユニットが他の作品に比べて使い勝手が良い。
その反面、守備に定評のあるアーマーナイト系はあまり強みを発揮出来ないが、今作のみアーマーナイトによるトライアングルアタックが用意されているため、一応の配慮はなされているようだ。
逆に、シリーズ伝統であるペガサスナイト系統によるトライアングルアタックは、特定ルートを選択しないと3姉妹が揃わず、使用できない。これは『烈火の剣』でも共通している。
2週目以降、難易度の上昇したハードモードを選択する事が出来るようになる。
ハードでは敵のステータスが大幅に上昇する為、回避に頼った無双はしづらくなってくる。……とは言え、自軍アーマーナイトの成長率もノーマルそのままなので、アーマーより回避系のほうが使いやすい状態には拍車がかかるのだが。
今作のハードモードは同シリーズの『トラキア776』とは難しさの性質が違うものの、かなり高い難易度であるとされ、手ごわい設計とされている。
本作は、特定のマップだけやけに難易度が高い、と言う事が多く、比較的戦力、育成期間の少ない序盤ながら高難易度設定のハード7章はその高難易度っぷりが語り継がれている。
こういったマップは大概、「友軍の救助」「NPCの説得」等、クリアするだけなら必要ない要素をコンプリートする必要が(エムブレマーとしては)あり、難易度が上がっているケースが多い。
また、敵軍から自軍に寝返る寝返りユニットは、ハードのみ、敵軍用のハード用ステータスブーストが適用されたまま仲間になる為、寝返りキャラがかなり強力になっている。通称ハードブースト。
なお、本作でハードブーストが発生するのは、戦闘マップに初期配置されていない寝返りユニットのみである為、寝返りキャラであってもハードブーストが発生しないキャラクターもいる。
やけに武器の命中率が低めに設定されているのが有名である。
元々命中率が高い剣、理魔法はあまりこの影響を受けづらいが、槍、斧、闇魔法辺りは武器系統の傾向として命中率が低めであり、上位武器になるほどこの低命中傾向が露呈する為、槍、斧使いは不遇傾向にある。
ちなみにこれは前作『トラキア776』の武器性能を参考にしているためなんだとか。
さらに、槍・斧・闇辺りは武器も重めである為、攻撃速度に影響を及ぼし易く、攻撃速度が下がるって事は攻撃速度から算出される回避が下がる事になり…とさらなる悪循環も招いている。場合によっては、「3すくみ?何それ食えんの?」とばかりに、相手の武器に関わらず軽い剣を持ち出した方が強い、何てこともままある。特に回避系キャラは体格低めなので、この傾向が強い。
ちなみに今作の3すくみの命中補正はたった10%。
上述の理由から、軽く、命中率も高い鉄の武器は比較的後半まで長く使える反面、鋼の武器のような重たく命中の低い武器は大変使いずらい傾向にある。
これに追い討ちをかけるように、本作ではソードマスター、バーサーカーのクラス特性として「必殺率+30%」と言う驚異的な補正がかかり、ステータスの育成や支援効果如何によっては、必殺率100%突破が現実のものになってくる。必殺で3倍ダメージなんだから多少武器の威力が低かろうが大して気にならないのだ。
そして本作のソードマスターとバーサーカーは、その殆どが前述のハードブースト適用対象だったりする為、その強さはハードモードでも依然変わりなし、つーかハードモードの方がはっちゃけたステータスになる。
また、上記の実効命中率の仕様もあり、後半は適当に支援A同士のユニットを突っ込ませるだけでほとんど解決するような感じになる。
こうした様々な要因が、本作の回避ゲー、ソードマスターゲーとしての印象を形作っていると言えるだろう。
この辺のバランスは、後続の『烈火の剣』でだいぶ修正を食らっており、特筆して剣士系統は本作ではっちゃけすぎた影響で後のシリーズでは少々控えめ、もしくは冷遇レベルのバランスが取られる事が多くなってきている。
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最終更新:2025/12/14(日) 08:00
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