「復讐」とは自分の運命への決着をつけるためにあるッ!とは、復讐の在り方について語る台詞である。
いいか…この概要はグロリアのぶんだ……
漫画「ジョジョの奇妙な冒険」Part6『ストーンオーシャン』に登場する、エルメェス・コステロの台詞。
主人公・空条徐倫と友人関係となった女囚・エルメェスは、コンビニへの武装強盗で有罪になりグリーン・ドルフィン・ストリート刑務所に送られたのだが、それはこの刑務所に収監されている男囚・スポーツ・マックスに「復讐」を果たすためにだった。
エルメェスの姉、グロリア・コステロは偶然マックスが殺人を犯す現場を目撃してしまい、エルメェスの姿をマックスに見られたため、エルメェスを庇うために警察に通報せざるを得なかった。結果、見せしめのためマックスの手下にグロリアは殺されドブ川に捨てられ、エルメェスは家族や実家も何もかも失ってしまう。
一方、逮捕されたマックスには何十件もの犯罪容疑があったにもかかわらず、殺人事件の証人だったグロリアが死んだことで微罪でしか起訴できず重くても経った5年の刑でその刑期も残り1年。外に出ればボディガードが張り付くため「復讐」を果たすには刑務所が最適なのだった。
身につけたスタンド能力「キッス」の能力を生かし、刑務所内のパイプにマックスを閉じ込めて下水で溺れさせようとするが、マックスは作中の黒幕・ホワイトスネイク(エンリコ・プッチ神父)によって死骸から血を本能的に求めるほど凶暴化した透明のゾンビを生むスタンド能力「リンプ・ビズキット」を与えられ、その能力で溺れ死んだマックス自身も「透明のゾンビ」と化していた。
ホワイトスネイクが絡む以上、その目的や正体に近づけるかもしれない。自身の私闘に巻き込むつもりはなかった徐倫とも協力体制を取ってマックスを追うが、誘き出された霊廟に閉じ込められ、透明なゾンビ達に囲まれた絶体絶命の危機に陥ってしまう。この状況を脱出するために徐倫は仲間のF・Fを呼び寄せ、一度「復讐」は後回しにするよう提案するが…
エルメェスは、透明のゾンビ達がいるであろう方向に向かって歩き出す。この状況に置いて、「復讐」とは自分にとってもマックスにとっても重要な言葉だ。エルメェスによって自分が溺れ死んだ事への「復讐」の気持ちでいっぱいのはず。つまりエルメェスに直接とどめを刺しに来るのはマックス自身であり、そこが反撃のチャンスであるという事。そしてエルメェスは続けて言う。
「復讐」なんかをして失った姉が戻るわけではないと知ったフウな事を言う者もいるだろう
許すことが大切なんだと言う者もいるだが
自分の肉親をドブに捨てられて
その事を無理矢理忘れて生活するなんて人生はまっぴらごめんだし…
あたしはその覚悟をして来た!!「復讐」とは自分の運命への決着をつけるためにあるッ!
家族や実家を失ったエルメェスだが未来は残されているかもしれない。しかし、新しい道を選ぶ事は、自分の為に危険を承知で助けてくれたグロリアの生き様をドブの中に捨て去った侮辱からも、それをやった張本人はのうのうと生きていく事からも目を背けることに他ならない。そんな人生を歩むくらいなら前科者や殺人者になる事も厭わず、自分の生命をも擲つ「相討ち」になってもいいという「覚悟」を表した啖呵である。
そこだァーーーーースポーツ・マックスッーー(戦闘の詳細はここをクリック)
5~7体の透明のゾンビに囲まれたエルメェスは、その腕や肩などを噛みつかれ抉り取られていく。意識が遠のいていく限界ギリギリのところでついにエルメェスの頭が齧り取られるが、すでにキッスの「シール」を頭部に貼って2つにしており、その1つを喰われたところで即死にはならない。すかさず攻撃してきた方向にいるであろうマックスにスタンドで拳のラッシュを噛ます。
が、その攻撃は空振りに終わる。先程パイプに閉じ込めた時に物を2つにする「シール」は見せていたので、頭を2つにして防御する事を予測して、マックス自身も死骸である事を利用して、首から上を切り離して手に持ち、胴体のある方向への攻撃を回避していた。そして頭部を胴体に戻し、「シール」をはがして今度こそエルメェスにとどめを刺そうと迫る。
しかし、エルメェスが本当に待っていたのはこの瞬間だった。「シール」をはがして2つの物をひとつに戻せば、噛み付いて飲み込んだ頭の一部も元に戻ろうと体内から飛び出して、その瞬間マックスの位置が完璧にわかる。狙うのは血を吹き出した傷口の上方、顔面の正中線上にエルメェスは蹴りをクリーンヒットさせる。
いいか…この蹴りはグロリアのぶんだ……
顔面のどこかの骨がへし折れたようだが
それはグロリアがおまえの顔をへし折ったと思え…そしてこれもグロリアのぶんだッ!
キッスの左フックを再び顔面に食らわせる。たまらずマックスは透明のゾンビを差し向けその背後に隠れようとする。だがそれはもうできない。エルメェスは今のパンチの時にマックスの頭に「シール」を貼って2つにしていた。
これをはがせばおまえも元に戻る
そして次のもグロリアのぶんだその次の次も
その次の次の次のも……
その次の次の次の次のも…
次の!次も!
グロリアのぶんだあああーーーーーッ
これも!これも!これも!
これも!これも!これも!これも!
これも!これも!
引き寄せられるマックスの頭に「グロリアのぶん」の拳のラッシュをたたき込み、2つになっていた頭部がひとつになり破壊された事でマックスの記憶とスタンドの「DISC」ははじき出され「リンプ・ビズキット」は解除、透明のゾンビになっていたマックスは完全に消滅する。
「復讐」を果たしたエルメェスは、その緊張が解れたせいか徐倫と目があった瞬間涙を流して語る。
なんか……
急に涙が出て来て……そんな時間…泣いてる余裕なんてないかもしれない
全身に受けた傷の為、エルメェスは気を失ってしまう。自分の運命に決着をつけたエルメェスの表情は優しくも哀しい表情をしていた。
エルメェスは情に厚い人間として描かれており、徐倫やサンダー・マックイイーンなど初対面の人間に対しても叱咤激励するなど思いやったり、逆に自分の危機には誰にも頼らず自分自身で切り抜けようとする。他者への「愛」が深い故に自分が「復讐」しなければならないと全てを背負う強い意志。「復讐は何も生まない」という意見の反論と共に、エルメェス・コステロの代名詞として読者に認知されている名台詞である。
対義語として聖書に登場する「復讐するは我にあり」という言葉がある。この「我」とは「神」の事であり、「復讐は我(神)がする事だから、あなたは穏やかに過ごしなさい」という意味である。本作「ストーンオーシャン」は聖書に由来する設定などが多く見られ、また本作の悪役が神の意志を代行していると思っているプッチ神父である事から、当記事の台詞はこのエピソードに相対する為に浮かび上がったのかもしれない。
その他の知識
- 第3部「スターダストクルセイダース」の登場人物、ジャン=ピエール・ポルナレフも「復讐」を果たせるなら自分が死んでもいいと思っていたキャラクターだったが、自分の実力に対する過信と敵の能力がわからないのに無策で単独行動を起こし、結果仲間のモハメド・アヴドゥルに窮地を救われるがアヴドゥルを死なせてしまう[1]。本記事と同様「復讐」に関連したエピソードだが、エルメェスは冷静に自分と敵の能力を分析して作戦を練るという点で対照的になっている。
- PS3用ゲーム「ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル」では(続編のオールスターバトルR含む)、エルメェス・コステロのHHA及びGHAとして上述の戦闘エピソードを元にした必殺技が登場している。HHA「お前の狙いは完璧にわかったッ!」は自分の頭にシールを貼って、攻撃を食らったらカウンターの攻撃を食らわせる当身技。技の成功失敗にかかわらずシールがはがれてダメージを受けるリスクがある。GHA「これも!これも!これも!これも!」は相手の頭にシールを張り付け、蹴りや拳のラッシュを「これも!これも!これも!これも!」とブチ込み、シールを剥がしてフィニッシュする技。相手がスポーツ・マックスではないので「グロリアのぶん」ではなく「まとめて返すぜぇぇぇーーーーーッ」である。実質的続編である「ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン」のDHAも「これも!これも!これも!これも!」であるが、自分の腕にシールを貼って4本の腕でラッシュをたたき込むという演出に変更されている。
- 2022年に放送されるTVアニメ「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」第23話のアニオリシーンでは、前のエピソードで死亡(消滅)したフー・ファイターズの事を知ったエルメェスが手向けとして医療監房の窓から水を地面に流し、仇を討つ事を誓っている。本編中ではプッチ神父とは直接的な敵対関係ではなかったため、この改変によりF・Fの復讐の為打倒プッチのため徐倫に同行するという動機付けをしている。
関連動画にいいねが押されたようだが、それはグロリアがいいねを押したと思え……
そしてこれも関連静画だッ!
次の!次も!グロリアの関連項目だあああーーーーーッ
これも!これも!これも!これも!これも!これも!これも!これも!
これも!これも!
脚注
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- なし
- 7
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