サイレントマジョリティとは「物言わぬ多数派」の意味であり、積極的に発言はしないが多数派である者を指す。
本当は少数派の人間が多数派を名乗りたくて使う場合もある。
反対の意味の言葉としてノイジーマイノリティ(ラウドマイノリティ)という言葉がある。こちらの意味は「声が大きい少数派」で本来少数派だが声が大きいので多数派に見えるということである。
概要
元はアメリカのニクソン大統領が演説で用いた政治的な用語であるが、
ネット上ではとある毎日新聞の記事のほうが有名である。(後述)
ニクソンの「サイレントマジョリティ」
1969年11月3日のテレビ演説において「グレイト・サイレント・マジョリティ・オブ・アメリカン(沈黙を守っている大多数のアメリカ国民の皆さん)」という言葉で登場した。(以下、前後関係がわかるように日本語訳を記す)
沈黙を守っている大多数のアメリカ国民の皆さんへ、あなた方の支持を求めたい。名誉ある撤退を勝ち取る方法で戦争を終結させると私は公約した。国民の支持が得られれば早く公約を履行できる。国内が分裂していれば敵は交渉に応じようとしない。
当時のアメリカはベトナム戦争を継続し、かつ反戦運動のうねりを受けているさなかである。ニクソンは「反戦運動に否定的であったり、あるいは政府を支持してはいるが、あえて声に出さない多数派」へ支持を訴えた。名誉ある撤退を得る(単なる撤退でなく、和平協定のテーブルに北ベトナムを付かせる為に爆撃等の攻勢をかける)というニクソンの方針は、一定の支持を得ることができた。
ニクソン支持派は肉体労働者などの層が多かった。彼らは反戦運動を行った若者・学生らと違って徴兵猶予特権がない者が多く、それゆえ反戦運動や徴兵逃れに批判的であった。(ただし彼らがみなサイレントであったわけではない。ニクソンを支持する労働者によるデモ行進なども実際に行われている。)
ふー、びっくりした
事は2006年10月31日に毎日新聞サイト 「MSN毎日インタラクティブ」 に掲載された作家の石田衣良のコラム、「石田衣良の白黒つけます!!」 において掲載された 「中国、韓国と仲良くした方がいい? しなくてもいい?」のアンケート結果にて起きた。
二者択一のアンケートで「日本は中国や韓国と仲良くすべきか、そうでないか」 を募ったところ、「しなくてもいい」 という意見が全体の過半数を大きく超え、その結果をうけての記事の一部がこれである。
ふー、びっくりした。
うーん、今回は簡単だとぼくは思っていた。
だって、中国と韓国はおとなりの国だものね。これからもずっとつきあっていかなければなら
ないのだ。この質問のこたえなんて考えるまでもない。けれど、最近の東アジア情勢を、みん
ながどんなふうに感じているのか、それが探りたくてこのテーマにしたのだ。
するとあらら、不思議。寄せられたのは厳しい反韓国・反中国のメールばかりだった。なぜな
のかしらん? というわけで、今回は多数を占める「しなくていい」派からいってみよう。
「近隣国と友好関係をつくるのは『望ましい』ことであって、『なすべき』ことではない」(住所不明・匿名さん)。
「都合のよいときだけ、新時代にむけて新しい関係をといいながら、なにか起きると過去の清
算だ、教科書問題だという国となぜつきあわなければならないのか?」(大阪市都島区・嫌人さん)。
「隣国とは仲良くしたほうがいいに決まっているが、日本側から頭をさげてまで仲良くする必要はない」(海外在住・匿名さん)。
「友情ごっこのような関係ならいらない。中国・韓国とは必要があれば協力し、なければ距離をおくくらいでちょうどいい」(北海道旭川市・優子さん)。
ふー、びっくりした。でも、反対派の意見はほぼ一点に集中している。
中国や韓国は反日だから、仲良くする必要はないというもの。それ、ほんとなのかなあ。
今回のこたえは数字のうえでは「しなくていい」派が圧倒的だったけれど、
応募しなかった多数のサイレントマジョリティを考慮にいれて決定させてもらいます。
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中国・韓国とは仲良くしたほうがいい。
このように、アンケート結果をひっくり返した無理矢理な結論と、「ふー、びっくりした」「サイレントマジョリティ」等の言い回しがウケて、一時期「祭り」となった。2chのガイドライン板に「サイレントマジョリティを考慮に入れるガイドライン」が作られ、記事の改編ネタも多く作られた。また、「サイレント魔女リティ」など擬人化された萌えキャラまで登場する始末だった。さらにはそのサイレント魔女リティが地上波のアニメに出演するまでになった。
これにより、ネット上でサイレントマジョリティの語を使うときは、このネタが意識されている場合も多い。
関連項目
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