ハードバージとは、1974年生まれの日本の元競走馬、元種牡馬である。
競走成績よりもその悲惨な最期の方が有名になってしまった馬である。
通算成績11戦3勝
※馬齢表記は当時のものに合わせて旧表記で記載しています。
概要
父はプリンスリーギフト系の有力種牡馬として重賞勝ち馬を何頭も輩出したファバージ、母は戦後の日本を代表する名牝スターロツチの娘という、当時としては超良血馬である。
3歳時は6戦して未勝利とダメなおぼっちゃまという感じの成績だったが、明けて4歳になると初勝利、クロッカス賞(5着)を挟んで出走した毎日杯では重賞初挑戦にして初勝利と、その血に恥じない実力を発揮し始める。
続く皐月賞では8番人気だったものの、「天才」福永洋一を背に快勝。クラシック一冠目を手にした。
その勝ちっぷりから二冠目の期待がかかる日本ダービーでは1番人気に推されるが、皐月賞で2着に破ったラッキールーラとの叩き合いの末、アタマ差で敗北。
直後に脚部不安を発症し、その血を残すために種牡馬入りした。
と、これだけ書けば惜しまれながら早期の引退を余儀なくされたおぼっちゃまっぽく見えるのだが、この年のクラシック世代には、あまり高く、そして理不尽な壁が立ちふさがっていた。
悲運のクラシック世代
ハードバージが未勝利を脱出出来ずにもがき苦しんでいる頃、競馬ファンの間でそのレースぶりが騒がれている馬がいた。
そう、 ハードバージと同じ1974年生まれの「スーパーカー」マルゼンスキーである。
持ち込み馬であるがゆえにクラシックレースに出られないという不運に見舞われたマルゼンスキーだが、その不運はマルゼンスキー自身だけでなく、同世代の馬たちにも降りかかった。
なにしろ、例えクラシックの有力候補が出てきても、「どうせマルゼンスキーにはかなわないんだろ?」「マルゼンスキーが出ていたら勝ち馬の何馬身前を走ってただろうか」と、常に「クラシックレースに出走したマルゼンスキー」という幻影と比較され、時には不当に貶められてきたのだから。例のレースでマルゼンスキーに完敗しやがったプレストウコウが原因の一端な気はする。
このため、この年のクラシックレースの勝ち馬はマルゼンスキーに直接対決で負けたプレストウコウばかりでなく、マルゼンスキーと直接対決をしていないハードバージ、ラッキールーラも含めて、空き巣狙いのクラシック勝ち馬、三強じゃなくて三余り物みたいな扱いを受けてしまった。いやまあ、ダービーの勝ちタイムがオークスより0.6秒遅かったのも悪いかもだけど。タヤスツヨシがこちらを見ている。
この不当な評価は引退後も続き、内国産種牡馬不遇の時代が重なったことも手伝って、ハードバージは種牡馬としてもマルゼンスキーに遠く及ばない成績(それどころか一応は代表産駒と呼べる馬を輩出したラッキールーラやプレストウコウにすら負けた)で、1986年を最後に種牡馬を廃用になってしまう。
ハードバージの短いながらも悲惨な日々は、この直後から始まった。
悲惨な皐月賞馬の最期
種牡馬を引退したハードバージは乗用馬になるために去勢手術を受けたのだが、実際に乗用馬としての調教を始めてみると乗用馬としての適正がないことが判明。
わずか3ヶ月で乗用馬を引退することになる。
続けてハードバージが買ったのは福井県の観光業者だった。ショーでの見世物用や馬車を牽引する際の馬車馬として買われていったのだ。
そして「中世騎士の騎馬合戦」をテーマにしたホースショーへ参加したのだが、それは鎧も含めて90kg以上という重量を背負って行うという過酷なショーで、3週間ぶっ続けで参加したハードバージは急激に衰えて飼葉食いが悪くなった挙句、1987年7月、日射病に倒れてそのまま死亡してしまう。享年14歳。
この末路は新聞に取り上げられ批判が殺到。名馬の余世を考えるきっかけとなり、後に助成金制度や養老施設が作られる契機となった。
ちなみにダービースタリオンⅢの「オオシマナギサorタケノマジック(共にゲーム内の初期繁殖牝馬)相手の種付け限定で強力な無料種牡馬」ことマチカネイワシミズはハードバージの9歳下の全弟であり、重賞勝ちのないイワシミズが種牡馬入りしたきっかけは皮肉なことにその血統が評価されてのことである。
血統表
*ファバージ Faberge 1961 鹿毛 |
Princely Gift 1951 鹿毛 |
Nasrullah | Nearco |
Mumtaz Begum | |||
Blue Gem | Blue Peter | ||
Sparkle | |||
Spring Offensive 1943 鹿毛 |
Legend of France | Dark Legend | |
Francille | |||
Batika | Blenheim | ||
Brise Bise | |||
ロツチ 1969 栗毛 FNo.11-c |
*ダイハード 1957 栃栗毛 |
Never Say Die | Nasrullah |
Singing Grass | |||
Mixed Blessing | Brumeux | ||
Pot-pourri | |||
スターロツチ 1957 鹿毛 |
*ハロウエー | Fairway | |
Rosy Legend | |||
コロナ | 月友 | ||
秀節 | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Nasrullah 3×4(18.75%)、Pharos=Fairway 5×5×4(12.50%)、Dark Legend 4×5(9.38%)、Blenheim 5×4(9.38%)、Blandford 5×5(6.25%)
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関連項目
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