フレスコ画修復シリーズとは、ニコニコ静画でのタグの一つである。
フレスコとはイタリア語で『新鮮な』の意味から。英語では西洋の壁画などに使われる単語で、イタリア語ではアフレスコ(affresco)と言う。
概要
スペインで「世界最悪の絵画修復」と揶揄された、キリストの修復画がベースのパロディ作品に付けられるタグである。
概要
スペインで「世界最悪の絵画修復」と揶揄されるキリストの修復画を元にしたパロディ作品に付けられるタグである。
事の発端
スペイン北東部のアラゴン州サラゴサ県ボルハ市(Borja)郊外のサントゥリオ・デ・ミセリコルディア村(Santurio de Misericordía)にある教会の、聖母マリアの祭壇脇の壁面に、「ボルハの『この人を見よ』」と呼ばれる小さなフレスコ画があった。『この人を見よ』(羅: Ecce Homo, エッケ・ホモー)とは刑場へ曳き立てられていく直前のイエス・キリストを描いたもので、嘲弄を浴びせる群衆を一喝したピラトの言葉と共に教会芸術の定番モティーフとなっている。
1930年代に最晩年のサラゴサの伝統画家エリアス・ガルシア・マルティネス(Elías García Martínez)は「(聖母マリアの)慈悲の聖所」という名を持つこの村を休暇で訪れ、聖母への献身を込めて僅か2時間でこの肖像画を書き上げたという。しかし80余年もの歳月の流れの中で小さな肖像画はすっかり痛み、表面がひび割れてボロボロになってしまっていた。
このような場合、普通ならプロの修復士の手で劣化前の状態に見事に修復されるはずである。はずである。(大切なry)
画家の子孫たちが修復費用の寄付を申し出るなど水面下で事が進んでいく中、そんな事などつゆ知らないセシリア・ヒメネス・スエコ(Cecilia Giménez Zueco)という一人の信心深い80過ぎのおばあちゃんが「こんなボロボロのキリスト様じゃかわいそう」と義憤にかられ、なんと自分で修復を始めてしまったのである。その結果サルみたいなえらく個性的な絵姿のキリスト様(→ リンク)が誕生してしまった。
スエコおばあちゃんは自称画家で、これまでも幾つかの修道院等の古い宗教画の小さなレタッチ等を行ってきたのだそうだが、資格を持ったプロの修復士ではない。今回の修復は教会の司祭の許可の元で行なっていたと語っており、作業はまだ途中であるとのこと。しかしマルティネスの孫は「作品を滅茶苦茶にされた」と落胆している。村役場では、どのようにすれば作品を元の状態に戻せるか調査中であるという。
このニュースは修復後の絵面の可笑しさとともに世界中に発信され、『この猿を見よ』(西: Ecce Mono, エクセ・モーノ)と題されるなど笑いものになると同時に賛否両論を生んだ。例えば「これはこれで味がある」「気持ちがこもっていればこれも立派なキリストだ」「彼女なりの絵心を加えたんだ」「これこそが彼女の心の中にある、ありのままのキリストの姿だ」など素人からプロの現代画家に至るまで肯定的に捉える声もあり、絵画修復の在り方に一石を投じることになった。尤も、ここまでやってしまったものを果たして「修復」と呼んでいいものかどうかはさて置くとして。
パロディの流行
ここまでは只の「残念な事件」だったのだが、ネット上でこの修復画のコラ画像を作ることが世界的に流行してしまう。
そのおかげかこの修復画はカルト的な人気が出て「直さないで!」と署名が集まっているほか、この絵を観るために教会を訪れて寄付をしていく人が増加し、教会の外ではTシャツが売られたり、飲食店ではチョコレートで修復版を描いたクレープまで売られる等、地元の経済に貢献しているらしい。
さらに例のスエコおばあちゃんは少しもメゲておらず、弁護士を立て版権料としてそれらの分け前を要求してるとか。なんでも息子さんの筋ジストロフィー治療のためだそうで、その姿はイエス・キリストの受難を嘆き悲しむ聖母マリアのピエタ像と重なり、きっと神様も慈悲を与えてくれる、かも知れない。・・・・・・イイハナシカナー?
謎の風説
最初に書いておくが、当初に報道された内容は大半が間違いである。現在は正しい内容が伝えられているものの、認知度は非常に低いのが実情だ。
として唐突にこの記事が全面改訂されたが、プロの画家である、修復途中であったなどというのはどこにもソースが見当たらない眉唾物の内容である。現在は既に差し戻し済みであるが、一応の記録として残しておく。
事の発端
発端は2012年8月23日のニュースである。スペイン北東部のアラゴン州サラゴサ県ボルハ市(Borja)郊外のサントゥリオ・デ・ミセリコルディア村(Santurio de Misericordía)にある教会の聖母マリアの祭壇脇の壁面に、「ボルハの『この人を見よ』」と呼ばれる小さなフレスコ画があった。『この人を見よ』(羅: Ecce Homo, エッケ・ホモー)とは刑場へ曳き立てられていく直前のイエス・キリストを描いたもので、嘲弄を浴びせる群衆を一喝したピラトの言葉と共に教会芸術の定番モティーフとなっている。
1930年代、最晩年のサラゴサの伝統画家エリアス・ガルシア・マルティネス(Elías García Martínez)は「(聖母マリアの)慈悲の聖所」という名を持つこの村を休暇で訪れ、聖母への献身を込めて僅か2時間でこの肖像画を書き上げたという。しかし80余年もの歳月の流れの中で小さな肖像画はすっかり痛み、表面がひび割れてボロボロになってしまっていた。
このような場合、プロの修復士の手で劣化前の状態に見事に修復されるのが通例であり、画家の子孫たちが修復費用の寄付を申し出るなど水面下で事が進んでいく中、セシリア・ヒメネス(Cecilia Giménez)という一人の信心深い82歳のおばあちゃんが「こんなボロボロのキリスト様じゃかわいそう」と義憤にかられ、市や教会などに許可を得て修復を始めたのである。実はおばあちゃんはプロの画家であり、何度も個展を開くほどの腕前であるほか、これまでも幾つかの修道院等の古い宗教画の小さなレタッチ等を行ってきたため、色々と適任ではあった(資格を持ったプロの修復士ではない)。
勘違いによるニュースの流布
おばあちゃんは早速作業を開始するが、下地処理を施していない壁に直接描かれていた絵は劣化が著しく、下塗り塗料を塗布した所で初日の作業を終えた。だがその翌日、「サルみたいなえらく個性的な絵姿のキリスト様(→ リンク)」が展示されていることに驚いた教会の参拝客が通報し、一躍大きな話題を呼んでしまう。
前述のように作業はまだ途中どころか序盤も序盤であり、ここから手直しに入っていく段階だったのだが、通報を受けて作業自体が中断。マルティネスの孫に至っては「作品を滅茶苦茶にされた」と落胆し、村役場も「どのようにすれば作品を元の状態に戻せるか調査する」とコメントするなど大慌て。その上「市側も教会にも許可を取らず修復した」「著作権料を求めて係争を始めた」というフェイクニュースまで流れ、おばあちゃんは世界から悪者扱いされてしまった。特にニコニコでもこの傾向は顕著で、当記事の掲示板ログにもスエコおばあちゃんを侮蔑するレスが並んでいるのが分かるだろう。
なお、このニュースは修復中の絵面の面白さとともに世界中に発信され、原題とかけ『この猿を見よ(西: Ecce Mono, エクセ・モーノ)』と題されるなど笑いものになると同時に賛否両論を生んだ。例えば「これはこれで味がある」「気持ちがこもっていればこれも立派なキリストだ」「彼女なりの絵心を加えたんだ」「これこそが彼女の心の中にある、ありのままのキリストの姿だ」など素人からプロの現代画家に至るまで肯定的に捉える声もあり、(まだ修復中なのに)絵画修復の在り方にまで一石を投じることになった。
その後
しつこく言うように「修復途中」だったこの絵だが、ニュースが発信されたことで思わぬ人気を呼び、教会を訪れる観光客が急増。入場料やTシャツなどのグッズ収入などでボルハ市がウハウハに。修復画自体もカルト的な人気がが発生し、「修復作業を進めないで」という署名まで集まったため、2018年現在も(ある意味)そのままの姿で保存されている。
なお、修復後のフレスコ画に関わる著作権料(グッズ収入など)の49%はおばあちゃんが受け取ることになった(51%は教会の運営団体が所有)。得た収益は「慈善目的で使用した」とのこと。
関連動画
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ニコニコニュース
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関連項目
外部リンク
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