ヘルベルト・フォン・カスペンとは、機動戦士ガンダムMS IGLOOの登場人物。声は沢木郁也。
概要
初出はOVA「機動戦士ガンダムMS IGLOO -黙示録0079-」。ジオン公国軍の指揮官・MSパイロットで階級は大佐。ジオン軍が劣勢の中にあったア・バオア・クー防衛戦直前に、物語の舞台である第603技術試験隊へやって来た男。そして同部隊をカスペン戦闘大隊に編入したと宣言した。
一年戦争(ジオン独立戦争)を宇宙市民にとっての「聖戦」と位置づけるタカ派の軍人で、上から目線の横柄な言動が目立ち、プライドが高く戦闘に高揚し他人を省みない人物像は今までの経緯からチームとして出来上がっていた第603技術試験隊内では浮いた存在だった。特にモニク・キャディラック特務大尉からはひどく嫌われていた。艦の指揮をするプロホノウ中佐相当官、特務機関からの目付け役であるモニク・キャディラック特務大尉、そしてア・バオア・クー防衛司令部から出張し、大隊長のカスペン大佐。一つの艦に三つの指揮系統という歪な状況を作り出した。
カスペン戦闘大隊と言っても実際にはカスペン大佐とグレーに塗装された専用の高機動型ゲルググ一機の部隊であり、指揮下に入った第603技術試験隊および本国から実働試験と称して実戦配備された駆逐モビルポッド「オッゴ」部隊が戦力のすべてだった。また、大佐本人は歴戦のパイロットであるが、負傷(片腕が義手)で後方に回されていた為、司令部から戦力として数えられていたかも怪しい。だが胸にはジオン十字勲章が輝いており、確実に戦果を上げてきた勇士である事が窺える。
元々はソロモンの守備隊に所属していたが、チェンバロ作戦で連邦軍が使用したソーラシステムにより部下全員を失う。その後、ア・バオア・クーまで辛くも後退し、カスペン戦闘大隊を再編成。第603技術試験隊を吸収するに至った。このため宇宙攻撃軍所属なのでは、という声がある。
ドラム缶をくっつけたような不細工な機体と、ろくに訓練も施されていない学徒兵のオッゴ部隊を前に、カスペン大佐は当初不快感を滲ませたが、学徒兵たちは自ら志願しただけに士気が高く、その祖国と家族を守りたいとする強い想いを見た大佐は部下として受け入れる決意をしたようである。
断定的で簡潔な物言いから誤解されやすいが、(少し意地っ張りで不器用なものの)生真面目で私心の無い実直な人柄である。そう、単に口下手なだけなのだ。また、部下への愛情は並々ならぬものがあり、作戦行動では裁量の許す限り部下を守ろうと努力するのだが、悲しいかな普段のイメージから周囲の理解が得られないのだった。
この点について、カスペン大佐の内心を分かりやすく描写。原作OVAを補完したものが、林譲治氏の手がけた小説版である。一見すればひどく冷淡な態度も、その実際は無駄な犠牲を避けるべく懊悩し、判断を迫られた一人の人間として描かれている。スペースノイドの大義に篤い反面、自分が責任を持った部下将兵の犠牲をどのように抑え、そして指揮官として周りに悟られ、不安を与えることも避けようとした結果が、大佐の尊大に見える振る舞いにつながってしまった。
後々の0083やCCAを考えれば、ジオンの中で数少ない健全な意識を持った職業軍人とも言える。
ア・バオア・クー攻防戦ではヨーツンヘイムに座乗。病床に伏したモニク・キャディラックの席に座っていた。カスペン戦闘大隊には新たにビグ・ラングが配備されたが、「私は初手から、技術試験隊に回されるモビルアーマーなど全くアテにしておらん」と切り捨てている。が、そのビグ・ラングに窮地を救われた時は思わず驚きの声を上げている。
ア・バオア・クー陥落後、停戦命令を無視して戦闘を再開した連邦軍に対し戦力を展開していたカスペン戦闘大隊は撤退する味方を守るため戦うことになる。その際、カスペン大佐は艦橋から離れられない要員だった事から、銃でプロホノウ艦長を脅して強引に出撃できるようにする。
「艦長、議論の時間は無いようだ。私のゲルググの発進準備をしてもらおう!」
今までの尊大な態度により、部下を見捨てて逃げ出そうとしているとヨーツンヘイムの面々に疑われる。しかし彼の真意は分かってもらえたようで、快復したモニクともども格納庫へ向かっている。
そしてオッゴ部隊の"援軍"として自ら出撃。正確な射撃でボール2機を撃墜する戦果を挙げた。多勢に無勢の中で戦線の維持に努め、最後は部下であるオッゴを守るため文字通り盾となって砲火を浴び戦死した。
「待たせたな! ヒヨッコ共!」
関連動画
関連コミュニティ
カスペン戦闘大隊の指揮下にありません。
関連項目
- 機動戦士ガンダム
- 機動戦士ガンダムMS IGLOO -黙示録0079-
- カスペン戦闘大隊
- オッゴ
- ガンダムシリーズの登場人物一覧
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