| 銀河英雄伝説の戦闘 | |
|---|---|
| バーミリオン星域会戦 ライガール、トリプラ両星系間の戦い |
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| 基本情報 | |
| 作戦 : ”神々の黄昏”作戦 | |
| 時期 : 宇宙暦799年/帝国暦490年 3月1日21時~3月2日13時 |
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| 地点 : 自由惑星同盟領 ライガール、トリプラ両星系の中間地点 |
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| 結果 : 自由惑星同盟軍の勝利 | |
| 詳細情報 | |
| 交戦勢力 | |
| 自由惑星同盟軍 | ゴールデンバウム朝銀河帝国軍 |
| 総指揮官 | |
| イゼルローン要塞駐留艦隊司令官 ヤン・ウェンリー元帥 |
カール・ロベルト・シュタインメッツ大将 ヘルムート・レンネンカンプ大将 |
| 戦力 | |
| イゼルローン要塞駐留艦隊 (ヤン艦隊) |
シュタインメッツ艦隊 レンネンカンプ艦隊 |
| 損害 | |
| 僅少 | シュタインメッツ艦隊の8割 レンネンカンプ艦隊の多数 |
| “神々の黄昏”作戦 - バーミリオン星域会戦 | |
|---|---|
| 第九次イゼルローン要塞攻防戦 - フェザーン侵攻 - ランテマリオ星域会戦 - 帝国軍輸送船団の壊滅 - バーミリオン星域会戦 (ライガール、トリプラ両星系間の戦い - タッシリ星域付近における戦闘 - バーミリオン星域会戦 - バーラト星系攻略) |
| 前の戦闘 | 次の戦闘 |
|---|---|
| 帝国軍輸送船団の壊滅 | タッシリ星域付近における戦闘 |
ライガール、トリプラ両星系間の戦いとは、「銀河英雄伝説」の戦闘の一つである。
概要
宇宙暦799年/帝国暦490年3月初頭、“神々の黄昏”作戦中に発生した、帝国軍シュタインメッツ艦隊と同盟軍ヤン艦隊の間の戦闘、および直後の帝国軍レンネンカンプ艦隊とヤン艦隊との間の戦闘。結果、ヤン艦隊が全面的な勝利を収めた。
広義の「バーミリオン星域会戦」の緒戦に当たり、帝国軍最高司令官ローエングラム元帥をしてヤン・ウェンリー元帥との決戦に踏み切らせる端緒となった。
なお、この戦闘を示す明確な名称が存在しないため、当記事では便宜上「ライガール、トリプラ両星系間の戦い」と称している。
経緯
ランテマリオ星域会戦ののち、惑星ハイネセンを出撃したイゼルローン要塞駐留艦隊(ヤン艦隊)は、同盟領内の84箇所に上る補給基地を転々としつつゲリラ的な活動を続け、帝国軍ゾンバルト少将の護衛する輸送船団を殲滅するなど帝国軍の補給線を分断し、その行動を大いに妨げていた。
当時、帝国軍主力はガンダルヴァ恒星系の惑星ウルヴァシーに駐留していたが、ゾンバルト少将の輸送艦隊の壊滅はその補給計画を大きく狂わせた。これを受けたラインハルト・フォン・ローエングラム元帥は、同盟軍最後の組織的兵力を徹底的に排除することを決断する。ヤン艦隊を捕捉次第、全艦隊を集結させ撃滅することを眼目に置き、まずその捜索のためにカール・ロベルト・シュタインメッツ大将とその艦隊を進発させた。
戦闘
戦域は同盟領ライガール星系、トリプラ星系の中間であり、ブラック・ホールが存在するため、航路からは大きく離れている地点である。ブラック・ホールはシュワルツシルト半径約9km、質量6*1026トン、危険宙域の半径は最大3200光秒、9.6億キロに達した。
この戦いは、ヤン・ウェンリー元帥率いる一個艦隊とシュタインメッツ艦隊、レンネンカンプ艦隊それぞれとの別々の戦闘2つから構成される。ヤン艦隊のトップ・エース、オリビエ・ポプラン中佐をして“艦隊戦のダブルヘッダー”と評さしめた、時間差各個撃破戦法の精華であった。
ヤン艦隊とシュタインメッツ艦隊との交戦
宇宙暦799年、帝国暦490年3月1日、シュタインメッツ艦隊は予想より早くヤン艦隊を発見する。ヤン艦隊はブラック・ホールを背面に展開しており、ブラック・ホールの危険宙域のわずかに外、10億kmの距離で凸形陣を取りつつあった。これを見たシュタインメッツ大将は、参謀長ナイセバッハ中将の意見を受けてヤン艦隊が後背のブラック・ホールを敵の迂回を妨害する安全宙域として活用していると判断。ヤン艦隊に対応するに凹形陣をもってし、同日21時、ヤン艦隊の斉射によって戦端が開かれる。
緒戦の戦況は帝国軍側のやや優勢で推移し、ヤン艦隊は徐々に後退していった。シュタインメッツ大将は凹形陣の両翼を徐々に広げ、ヤン艦隊の凸形陣に対して半包囲を形成する。しかし翌2日5時30分、ヤン艦隊は一斉に猛攻に転じ、シュタインメッツ艦隊の中央部を突破して両翼に展開、逆にシュタインメッツ艦隊を半包囲した。
理想的なまでの中央突破・背面展開戦法によってつい先程と立場を逆転させたヤン艦隊は、集中砲火によってシュタインメッツ艦隊を圧迫し、ブラック・ホールへと追い込んだ。同じ頃、シュタインメッツ大将の通報を受けて駆けつけたヘルムート・レンネンカンプ大将の艦隊がヤン艦隊の後背三時間の距離に出現。報告を受けたヤン元帥はシュタインメッツ艦隊への砲撃を更に強化するよう命じ、わずか二時間でシュタインメッツ艦隊を壊滅させた。
この戦闘の結果、シュタインメッツ艦隊は半数までをブラック・ホールへの転落で、三割をヤン艦隊の砲火によって喪った。司令官以下、ブラック・ホールのシュワルツシルト半径ぎりぎりに突進することで双曲線軌道にのり加速、危険域を脱出した二割の戦力のみが生還し、戦闘力を喪失した。
ヤン艦隊とレンネンカンプ艦隊との交戦
二時間でシュタインメッツ艦隊を撃滅したヤン元帥は本来、残る一時間の余裕時間で撤退することを予定していたが、増援の指揮官がレンネンカンプ大将であることを確認すると方針を転換する。
指示を受けたヤン艦隊は射程距離の外からレンネンカンプ艦隊に斉射すると、整然と逃走を開始した。これを見たレンネンカンプ大将は、数ヶ月前の第九次イゼルローン要塞攻防戦でヤン元帥の陥穽に嵌った経験から、この行動をヤン元帥による罠と断定し追撃を中止、後退を下令した。
しかし、それと同時にヤン艦隊は反転攻勢に出る。この結果、レンネンカンプ艦隊は自らの後退姿勢と敵の攻勢の相乗効果によってさらなる後退を余儀なくされ、混乱に陥った。ヤン艦隊は帝国軍の混乱に乗じて改めて逃走に移り、レンネンカンプ大将がようやく艦隊を再掌握した同日13時には完全に戦闘宙域を離脱していた。
この戦闘の結果、レンネンカンプ艦隊は第九次イゼルローン要塞攻防戦に続きさらなる打撃を受けることとなった。
戦闘後
報告を受けたローエングラム元帥は二個艦隊の敗北に激怒し、両将を叱責した。さらにレンネンカンプ大将をコルネリアス・ルッツ大将に替えイゼルローン要塞司令官に更迭しようとしたが、これは秘書官ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ伯爵令嬢より、シュタインメッツ大将との処分の不均衡と今後のイゼルローン要塞司令官職の扱いへの悪影響などを理由に反対が出たため、表に出る前に沙汰止みとなった。
その後、逆に同盟領の補給基地襲撃を試みたアウグスト・ザムエル・ワーレン大将がタッシリ星域付近でヤン艦隊に敗北し、ローエングラム元帥は敵将ヤン元帥との決戦への決意を固めることとなる。
登場
原作では『風雲篇』第六章「連戦」、石黒監督版OVAではタッシリ星域付近における戦闘とともに第50話「連戦」に収録。
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