SL大樹ならびにDL大樹とは、東武鉄道が運行する観光列車の名称である。
概要
2017年8月10日より運行開始した観光列車。東武鬼怒川線・東武日光線にて定期運行されている。日本の大手私鉄16社の中で唯一蒸気機関車で運行を行っているのがこのSL大樹である。
車両
- C11形蒸気機関車 207号機
- 1941年製。北海道の静内機関区・長万部機関区に配備され、日高本線や瀬棚線[1]等で活躍し続けた。北海道での過酷な状況、特に霧の濃い線区での運行に適応すべくヘッドライトが通常1灯であるところ2灯を装備。その見た目から通称「カニ目」と呼ばれていた。
1974年の瀬棚線無煙化と同時に廃車となり、同年より旧静内郡静内町[2]内にて静態保存されていた。
2000年にJR北海道の苗穂工場に搬入され動態保存へ向けた修復工事を開始。同年に函館本線のSLニセコ号の牽引機として2014年まで活躍し続けた。
2016年に再度苗穂工場に搬入され東武鉄道で運用する為の改造工事を実施し、翌年に新たに発足した東武鉄道下今市機関区へ配備された。 - C11形蒸気機関車 325号機
- 1946年製。神奈川県の茅ケ崎機関区に配備され、南武線や相模線等で活躍し続けた。その後、浜川崎機関区を経て山形県の米沢機関区に転属し、左沢線や米坂線等の山形県内の支線区で活躍した。
1972年の左沢線無煙化に伴い廃車となり、1973年より旧北蒲原郡水原町[3]内にて静態保存されていた。
1996年に真岡鐵道が引き取り、翌年にJR東日本の大宮工場[4]に搬入され動態保存へ向けた修復工事を開始。1998年に修復工事が完了し真岡鐵道にてSLもおか号の予備・重連運転用車両として身を置いていた。
維持費の問題等から2018年に真岡市議会の決議により売却が決定。翌年に競売にかけられ、東武鉄道が1億2000万円ほどで落札。これにより真岡鐵道から引退。
2020年に東武鉄道に正式に転属。同年12月26日より運用に就いた。 - C11形蒸気機関車 123号機
- 1947年製。滋賀県のローカル私鉄であった江若鉄道[5]が発注・運用していた。江若鉄道時代の車番はC111、すなわちC11形1号機という意味ではあるが、東京都青梅市の青梅鉄道公園にて1963年より静態保存されているC11形1号機とは全くの別物である。その後1957年に北海道釧路市~阿寒郡阿寒町現釧路市阿寒町を結ぶ雄別炭礦鉄道[6]に譲渡。1970年に釧路開発埠頭に再譲渡され釧路港近辺の貨物線にて活躍し、1975年に廃車され北海道江別市内にて静態保存されていた。
2018年に東武鉄道に譲渡され、2020年に東武鉄道創業123周年を迎えることや東武鉄道3両目の蒸気機関車であることから車番を123号機に変更し、2022年7月18日より運用に就いた。1937年に製造され1963年に廃車された123号機とは全くの別物である。 - ヨ8000形車掌車 ヨ8634・ヨ8709
- 8634号はJR貨物より、8709号はJR西日本より譲渡された。2017年に東武鉄道に入線。営業路線を走行する際には蒸気機関車のすぐ後ろに必ず連結しなければならないように設計されている。DL大樹の際には連結されない。車両内には東武鉄道で用いられているTSP型ATS(自動列車停止装置)やバッテリー等を搭載し、専用のジャンパ栓(電気ケーブル)を蒸気機関車と接続しATSや無線機等の電装品が動作するように設計されている。
- DE10形ディーゼル機関車 1099号機・1109号機
- 1099号機・1109号機どちらも1971年製。導入当初はSL大樹の上り勾配区間用の補機として連結されていたが、現在では試運転の結果補機不要で運行出来る事が判明した為補機としての運用は原則無くなった。
1099号機は主に福知山線近辺の路線で運用された。その後JR東日本に転属し入換や工事車両の牽引機として2014年の廃車まで運用された。2017年に東武鉄道に譲渡され入線。塗装は旧国道時代から変更無し。
1109号は岩手県の一ノ関機関区に配備され、東北地方の路線で運用された。その後JR東日本に継承され、青森車両センター・盛岡車両センターを転々とし東北地方での駅での入換・貨車牽引機として2019年の廃車まで運用された。2020年に東武鉄道に譲渡され入線。塗装はかつて運行されていた寝台特急カシオペア・北斗星用のDD51形ディーゼル機関車が纏っていた青地に金色の帯・星マークが付いたものに変更された。 - 14系客車
- 0番台がJR四国より、500番台がJR北海道より譲渡された。東武鉄道への入線はスハフ14 1および5、オハ14 1、オハフ15 1が2017年。オハ14 505は2019年。スハフ14 501は2020年。
オハ14 505はかつて青森駅~札幌駅間を結んでいた夜行急行はまなすのドリームカーとして用いられており、キハ183系のグリーン車で用いられていた座席を転用し普通車指定席として運用していた。 - 12系客車
- 1969年製。元JR四国のオロ12 5および10で、夜行快速ムーンライト松山・ムーンライト高知用のグリーン車として2009年まで用いられていた。
2016年にJR四国より譲渡され東武鉄道に入線。当初は部品取り車両として留置されていたが、2021年に車両の一部分をオープンデッキ化(開放式展望車として)改造が行われ、オハテ12 1および2に車番変更し運用に就いた。
運行ルート・停車駅
- SL大樹・DL大樹
- 運行区間:下今市駅~鬼怒川温泉駅間
途中停車駅:東武ワールドスクウェア駅
下今市駅・鬼怒川温泉駅には転車台が設けられており、SL大樹では終着駅到着時に方向転換を行う。
下今市駅構内にはかつて山口県の長門市駅で、鬼怒川温泉駅構内には広島県の三次駅で用いられていた転車台を移設した。
2017年9月30日にはDL大樹の運行を開始。当初は諸般の事情で蒸気機関車での運行が困難な際のディーゼル機関車による代走列車として運行されていたが、2018年より代走ではなく最初からディーゼル機関車で運行を告知しての運行が行われるようになり、2020年6月6日より定期列車に昇格した。
団体専用列車としては、2019年に日光線南栗橋駅まで、2022年には野岩鉄道会津鬼怒川線を経て会津鉄道会津線会津田島駅への乗り入れを実施した経験がある。 - SL大樹ふたら
- 運行区間:東武日光駅~下今市駅(→鬼怒川温泉駅)
途中停車駅:下今市駅(・東武ワールドスクウェア駅)
カッコ内は片方向のみ運行。
2020年10月3日に貸切列車として運行されたのが始まり。その後、2021年10月16日より定期列車に昇格し一般利用が可能になった。愛称のふたらとは、日光市内に存在する「日光二荒山神社」から取っている。
東武日光駅構内に転車台が設けられていない事や下今市駅の配線の関係でスイッチバック運行を行う事から、片方は蒸気機関車、もう片方はディーゼル機関車によるプッシュプル運行を行う。
運賃
大樹の特別料金は以下のとおり。
| 大人 | 子供 | |
| SL大樹 | 760円 | 380円 |
| DL大樹 | 520円 | 260円 |
| SL大樹ふたら | 1080円 | 540円 |
関連動画
関連リンク
関連項目
脚注
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