現地主人公とは、主に小説投稿サイトで用いられる概念である。現地人もの、現地人主人公とも。
概要
昨今、web小説界隈のファンタジー作品を中心に「異世界転生(異世界転移)」の概念が人気を博しているなかで、それとの差別化などを目的として成立した(再発明された)概念である。
基本的に、転生や転移と関わりのない、作品の舞台となる世界で生まれ育った主人公のことを指して用いられるが、同一世界で転生した主人公などにも用いられることがある。
但し、「異世界の現地人」という文脈であるため、舞台が異世界ではない現代ものや、未来過去が舞台のSF・戦記ものには基本的に用いられることはない。
作劇上で転生・転移よりも有利な点としては、常識や地理などその世界に特有なものへの理解が深く、疑いを持ちにくくなる点が挙げられる。
「追放もの」と相性が良い傾向にあり、「今まで自分の価値に気付かず(気付かれず)凡人として不遇な扱いを受けていたが、所属していた団体や国から捨てられたことで同時に束縛も失われ、その真価を発揮し成功を収める」というシチュエーションにおいて、特に主人公自身が特異性・有効性に気付かない理由付けがしやすい。「みにくいアヒルの子」が自分自身を白鳥の雛だと認識できていたら台無しだ、と言えば伝わるだろうか(それはそれでネタとして成立する、という話は別として)
不利な点としては、異世界人(現代日本人)ならではの発想というネタが封じられる点が挙げられる。異世界特有の要素を現代日本との対比で説明したり、レベル制等のゲーム的な要素にツッコミを入れたりといった読者の共感しやすい行動が採れないし、主人公と他の人達が同じ土俵に立っているため「何故主人公だけが活躍できたのか」という点に説得力を持たせるのが難しくなる。
また、所謂「ナーロッパ」等のweb小説界隈あるいはJRPG・ライトノベル界隈で近年成立したテンプレ要素を排し、指輪物語のような古典的ファンタジー作品を書く上でも用いられる。一方で、そういったテンプレを踏襲しつつ転移・転生者を排除した作品を古典的ファンタジーと区別するためにこの呼称を用いることもある。
「小説家になろう」でランキングの構成の再編や、各投稿サイトでの検索システムの改良などが行われた結果、異世界転生(異世界転移)だけを除外あるいは絞り込んで作品を探すことが容易になり、最近では検索タグや粗筋などにわざわざ明記されるケースは減少した。そのため、用法としては関連スレッドなどで異世界ジャンルを細別して語る時の使用が主となっている。
該当する作品例
- 生き残り錬金術師は街で静かに暮らしたい
- うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。
- 真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました
- たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語
- ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
- ティアムーン帝国物語〜断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー〜
- 望まぬ不死の冒険者
- 辺境の老騎士
- 冒険者になりたいと都に出て行った娘がSランクになってた
※ニコニコ大百科に記事があるものを記載。また、あくまでも条件的に該当する作品であるため、必ずしも現地主人公ものとして言及されているとは限らない点に注意。
関連動画
関連静画
関連項目
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