YF-19とは、マクロスプラスに登場する架空の試作可変戦闘機(バルキリー)である。
後に、正式採用され統合軍主力戦闘機VF-19となり、ペットネームとして聖剣「エクスカリバー」の名が与えられる。
本稿では正式採用後のVF-19についても合わせて記述する。
概要
新星インダストリーにより開発された、統合軍の次期主力戦闘機を決める「プロジェクト・スーパーノヴァ」に参加した試作機。
設計者はヤン・ノイマン、テストパイロットはイサム・ダイソン。
ピンポイントバリアなどの新技術を多数搭載している他、本機の外見の大きな特徴でもあるカナード翼と前進翼(可変翼のため後進翼にすることも可能)を持ち、推力偏向ノズルなどと合わさって非常に高い運動性能を有している。
その反面、量産化を見越し新技術の採用を最小限に抑え運用上の安定性を重視したため、脳波コントロールなどの新技術を惜しげもなく投入したYF-21に対抗するべく、非常にピーキーなセッティングがなされた。
結果として操縦面の難易度は最悪で、腕自慢のテストパイロットであっても扱いに苦労するようなじゃじゃ馬となり、何人ものパイロットをあの世、もしくは病院送りにしてしまい、結果的に軍の問題児ではあるものの天才的な操縦センスを持ち合わせるイサム・ダイソンをテストパイロットとして迎える事になる。
ちなみに本機ではセーフティ機構としてパイロットが操縦桿を握っていないと機体のシステムが一切機能しないグリップ・セーフティー機構を採用している。作中でのイサムの「竜鳥飛び」はこの機能を応用したものらしい。
その後、新統合軍へ「VF-19 エクスカリバー」として正式採用が決定。
ちなみに勝因としては、新技術の採用を最小限に抑え運用コストや手間を省き安定性を重視した点が大きかったと言われている。しかしそれでも常人には乗る事も出来ないピーキーな操縦特性は正式採用後も改良が繰り返されることになり、一般兵士向けに配備される際には安定性を重視して運動性能を一部落とすことで改善された。
作中では主にマクロス7艦隊のエメラルドフォース隊員達の搭乗機として活躍。
またマクロスフロンティアの時代でもS.M.Sが使用しており、フロンティア船団のマクロス・クォーターにも何機か配備されている他、劇場版でS.M.Sに所属しているイサム・ダイソンもVF-19を愛機として使用している。
その後、一般兵の主力機としてはコスト面や操縦難度、ゴースト普及、格好良すぎるなどの事情から結局広く配備されず、VF-171にすぐ譲ることとなったが、さらに後継機であるYF-24系の機体(VF-25、VF-27など)がまだ実戦配備に至っていない為、一定の範囲内ながら新統合軍でも未だに現役である。
バリエーション
YF-19 1号機
記念すべき第1号機であったが、先述の通り「超」が付くほどのピーキーな操縦特性にテストパイロットが付いていけず、2度目の飛行試験で墜落・大破。搭乗していたテストパイロットは帰らぬ人となっている。
YF-19 2号機
「マクロスプラス」の劇中でイサム・ダイソンが乗っている機体がこれ。こちらも本編開始前に中破、テストパイロットが病院送りになっている。機体カラーは惑星エデンのニューエドワーズ基地の機体色がベースでありエデンの地表に対しての保護色も兼ねている。
正式採用後はマクシミリアン・ジーナスの監修によりロイ・フォッカースペシャルの塗装が施され、各船団においてイサムの手によりデモンストレーション飛行が行われたそうであるが、その後どうなったかは不明。
但し詳細は後述するが、AIシステム「ARIEL」のみは劇場版マクロスフロンティアでのイサムの愛機に移植されている事が語られている。
YF-19 3号機
「マクロスプラス」本編開始前2号機と共にテスト中大破。構造強度試験を主眼に制作、当初新型AI「ARIEL」搭載をアピールするカラーリングだったが、本編終了後のスーパーノヴァ計画再開に伴う修復後視認性が高い白にオレンジのラインを引いたテストカラーに変更されている。
VF-19A
試作機であるYF-19の基本設計をほぼそのまま受け継ぎ量産化した機体。YF-19と違い完全な単座になった。
しかしYF-19の高性能と同時に扱いにくさも受け継いでしまっている為、並のパイロットでは飛ばすことすら難しい(ただし、それでも操縦補助などの改良で少しは扱いやすくなっている)。
その為VF-Xなどの特務部隊の腕(と経歴)が確かな一部のエースパイロットのみが搭乗を許可される。
VF-19C/D
一般兵士向けに配備することを考え、操縦性を向上させた機体。D型は複座式。
A型の様なピーキーな特性は緩和されたが、その分限界性能も引き下げられており、腕に自信のあるパイロットからは不評である。
VF-19E
『電撃ホビーマガジン』誌上の小説『マクロス・ザ・ライド』に登場するVF-19EFの元になったとされる機体。A~D型迄の不具合の洗い出しを行い設計変更させたモデル。下記のEF型のベース機になった。主翼は原型機同様前進翼。配備は試験部隊や新星インダストリー関係者の個人所有等を除くと、地球周辺に限定されている。
VF-19F
C/D型をベースに再設計された本格的な量産型モデル。VF-19系の一般機に相当する。
宇宙空間での戦闘を意識したため、YF-19からの外見的特徴でもあったカナード翼は廃止し主翼に三角翼を採用。他にも尾翼・補助翼形状の変更など、主に安定性を上昇させる方向で様々な改良が加えられている。
作中ではマクロス7船団のエメラルドフォース隊の主力戦闘機として活躍する。
VF-19S
F型をベースにした指揮官仕様モデル。バトロイド時の頭部がS型仕様の機銃が増量された物になっている。
マクロス7本編ではエメラルドフォース隊の隊長機として登場した。
なお、F型・S型にはブレイザーバルキリーという通称が付けられている。
VF-19改(ファイアーバルキリー)
「マクロス7」の主人公、熱気バサラの搭乗する機体。名前の通り真っ赤なカラーリングが特徴的。
口の付いた頭部、ギター型の操縦桿などミュージシャン仕様となっている。
ちなみにこのVF-19改は、原型機YF-19や初期のA型と同形の前進翼に加え両機に近い超ピーキーな操縦特性を持ち合わせている。
なので、それを軽々と扱ってみせるバサラはかなり天才的な操縦センスの持ち主であると言える。
VF-19P
「マクロス ダイナマイト7」に登場する、惑星ゾラのパトロール隊に評価用として配備されていた機体。
固定武装が強化されている機体らしくF型に近いスタイルだが、ゾラにおける障害物が多いミッションをこなすため全面バイザー型の頭部や前進翼となっている主翼など違いも多い。
本編では熱気バサラが操縦することになるが、その際は通常型の操縦桿をギター越しに操作するという驚異的な操縦技術を見せている。
VF-19EF(カリバーン)
輸出仕様でE型がベース。新統合軍上層部にとって高性能すぎるが故に万が一叛乱に使われてはとの懸念から各種機能にリミッターを掛けて生産、マクロスF登場時は製造元である新星インダストリーフロンティア工廠とLAIの共同開発という形でフロンティア船団のS.M.S.に導入されている。
外観はE・F・P型で廃止されたカナード翼が復活、コクピットにはISCやEX-ギアに対応し、スペックこそ上記のC型よりは向上してはいるものの深宇宙移民船団配備のS型・地球配備のE型には及んでおらず腕利きのパイロットから不評。
VF-19 ACTIVE(ノートゥング)
電撃ホビーマガジン企画『マクロス・ザ・ライド』に登場。E型をベースに翼部分にYF-21で使われたOTM自由可変素材を使用し、制御AIをアップデートさせた試験機でS.M.S.に運用委託している。繊細なコントロールが要求され、BDIを使用していないVF-19系統としては相当操縦難度が高い。
VF-19 EF/ADVANCE(エクスカリバー・アドバンス)
「マクロスF」劇場版にて、S.M.Sに所属しているイサム・ダイソンが駆っている機体。通称「イサム・スペシャル」
上記EF型をベースにマクロスFの時代の技術を駆使して改良が加えられたほか、VF-25用の物を流用したスーパーパックを装備して性能差を補っている。
カラーリングはマクロスプラスで活躍したYF-19そのものであるが、イサムの要望により自らの過去の愛機であったYF-19・2号機のAIを移植。操縦特性までも超ピーキーなYF-19そのものになっている。またEX-ギアも廃されている。
劇場版では僅かな登場であったが、小説版ではその華々しい活躍が記されており、ゴーストV-9やバジュラを「瞬殺」、サイボーグ兵専用のVF-27すら1対1で撃破する大活躍との事。
関連動画
関連項目
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