フォーティナイナーとは (フォーティナイナーとは) [単語記事]

フォーティナイナー(Forty Niner)とは、1985年生まれのアメリカの競走馬。栗毛の牡馬。

ミスタープロスペクター産駒で、日本、北米を中心に一系統を築いた偉大な種牡馬。
名前の由来はゴールドラッシュに伴い1849年にカリフォルニアに入植した人達「49ers」を指す。
多分日本に来たミスプロ産駒で一番成功している。

概要

本馬が産まれた頃にはミスタープロスペクターはFappianoやMiswaki、Conquistador Cieloなどを輩出して種牡馬としての名声を得ており、従兄に夭逝した4歳上の米二冠馬Swale、従甥に3歳上の英2000ギニー馬で種牡馬としても活躍したShadeedがいるなど血統背景は優秀である。

1987年 7月にデビューしここを勝利すると、GⅡ6着を挟んで怒濤の4連勝。その中で当時の2歳牡馬の大競走ベルモントフューチュリティSと、2歳戦で最も歴史が古いシャンペンSを勝利しており、文句なくエクリプス賞最優秀2歳牡馬に選出。

実は米国の1988年世代も結構なタレント揃いであり、日本でも名前を見かける名馬が多数いる。
3歳は2月からスタートしてGⅢ2着、GⅡ1着と三冠競走への準備を進めたが、3月のフロリダダービー(GⅠ)にてクビ差敗戦。この時の勝ち馬はかの*ブライアンズタイムである。

距離が伸びるベルモントステークスを諦め、アメリカ夏の3歳路線の名物ハスケル招待ハンデと「真夏のダービー」トラヴァーズステークスを連勝し、秋戦線に挑む。ちなみにこの2戦で両方ともハナ差2着だった馬は同父のSeeking the Gold である。

古馬との混合競走も始まり、BCクラシックの前哨戦ウッドワードステークスに参戦、しかしクビ差で前年の二冠馬Alyshebaの2着に敗れる。リステッドのマイル戦を勝利してBCクラシックに挑んだものの、不良馬場の中AlyshebaにもSeeking the Goldにも負け4着。

最優秀3歳牡馬はベルモントステークスも勝ったRisen Starに持って行かれ、引退。
対決は無かったが、同期にGⅠ競走7勝を挙げた全米のアイドル*グッバイヘイローや、GⅠ勝ちこそ無いが名種牡馬として名を馳せたDynaformerがいる。

通算19戦11勝(3歳時は13戦6勝)でGⅠ4勝、賞金は約270万ドルと結構稼いでいる。

引退後の1989年にクレイボーンファームで種牡馬入り。
種牡馬入り後は好調な滑り出しを見せ新種牡馬リーディングに輝くが、その後伸び悩む。
初年度産駒からGⅠ 馬が出たが、1995年にクレイボーンファームは本馬を日本へ輸出。

日本軽種馬協会の種馬場にて繋養されることとなったフォーティナイナーだが、ここで事案発生。
米国に残したEditor's NoteがベルモントSを優勝、Coronado's Questがハスケル招待HとトラヴァーズSを親子制覇、他にもGⅠ 馬重賞馬が多数出現。1996年北米種牡馬ランキング3位(集計方法や文献によってフォーティナイナーがリーディングサイアーとするものもある)。
こういうことよくあるよね、*ダンシングブレーヴとか*エンパイアメーカーとか……。

日本ではダート戦に適性を持ち、マイネルセレクト、ユートピア、アドマイヤホープが交流GⅠを勝利し、更に高い勝ち上がり率を誇るいかにもなミスプロ系として活躍していた。
母父としては皐月賞馬エポカドーロを出し、他にもテイエムジンソク等重賞馬を10頭以上出している。

更に面白い事に残された産駒は繁殖馬としても活躍。
これに喜んだ日本競馬界。何をするかって？　フォーティナイナーの息子達をごっそり持ってきました。
その先陣を切った*エンドスウィープは芝の中距離にも適性を見出し、日本では僅か3世代しか産駒を残せなかったが米国時代の産駒からサウスヴィグラスを、輸入後の産駒からスイープトウショウ、ラインクラフト、アドマイヤムーンを輩出。種牡馬として*スウェプトオーヴァーボードと*プリサイスエンドが輸入された。

他にも*トワイニングがノンコノユメを、*コロナドズクエストがセレスハントを出した。

*エンドスウィープと*コロナドズクエストは早世してしまったが、一応*エンドスウィープからサウスヴィグラス、アドマイヤムーンが種牡馬入りしており、*スウェプトオーヴァーボード産駒のレッドファルクスも種牡馬入りが決定しある程度サイアーラインは続いていくだろう。曾孫世代になると血統の先祖返りなのか、ファインニードルなどの芝の短距離を得意とする馬が多く出てきている。

その後のフォーティナイナー系だが、米国に残された種牡馬として輸入されなかったDistorted Humor が種牡馬として成功し、二冠馬 Funny CideやBCクラシック優勝馬 Dr osselmeyer、孫世代では二冠馬*アイルハヴアナザーを輩出し気を吐いている。

日本輸出後に買い戻しオファーがあり、中には「Kingmamboとの交換トレード」という話もあったらしいが、そのまま日本で種牡馬生活を送った。
そして2007年に受精率の低下を理由に種牡馬生活を引退。その後日本軽種馬協会の静内種馬場にて功労馬として余生を過ごした。
同期の馬や子供達次々と鬼籍に入る中健在であったものの、2020年 5月18日に老衰で死亡。35歳の大往生であった。

彼とその子孫は日本を金鉱に見立て、大系統を築いた。
現代日本競馬を語る上でフォーティナイナーは欠かせない。
……のだけども、やっぱり*アフリートと一緒にアメリカに帰った方が良かったんじゃないかなあ……。