カイ・ハフェルツ(Kai Lukas Havertz、1999年6月11日 - )とは、ドイツのサッカーである。
イングランド・プレミアリーグのアーセナルFC出身。サッカードイツ代表。
「ハヴァーツ」と表記されることも多い。
ドイツのアーヘン出身。バイヤー・レヴァークーゼンの下部組織で育ち、189cm82kgという大柄な体格の持ち主でミヒャエル・バラックの力強さとメスト・エジルのエレガントさを併せ持ったアタッカーである。トップ下が本来のポジションであるが、攻撃的なポジションならどこでも対応できる器用な選手で、17歳の若さでプロデビューして以降「ドイツの至宝」として注目されてきた。
レヴァークーゼンでは21歳までの4シーズン在籍し、様々な最年少記録を打ち立てる。2020年にチェルシーFCへ8400万ポンドもの移籍金で移籍すると、2021-22シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ決勝で決勝ゴールを決め、チェルシーを2度目の欧州王者に導いている。また、FIFAクラブワールドカップ決勝でもチームをクラブ世界一に導く決勝ゴールを決めている。2023年6月には同じロンドンを本拠地とするアーセナルFCに移籍。
ドイツ代表には2018年8月に19歳の若さでデビューしており、2022 FIFAワールドカップのコスタリカ戦では2ゴールを決めている。
1999年6月10日、ドイツ西部のノルトライン=ヴェストファーレン州のアーヘンで生まれる。父親は警察官、母親は弁護士という厳格な職業に就き、比較的裕福な家庭で生まれ育つ。祖父が元サッカー選手であり、父親も若い頃にサッカーに携わっていたこともあり、温かな家族の間をフットボールが身近に繋ぐという家庭環境にあった。
4歳のとき、祖父が会長を務める地元のアマチュアクラブであるアレマニア・マリアドルフに入団し、本格的にサッカーを始める。練習を重ね、すでに同年代の子どもを圧倒する才能を見せるようになり、9歳となった2009年に地元でもっとも大きなクラブであるアレマニア・アーヘンと契約する。ここでも優れたパフォーマンスを披露し、ドイツ中のスカウト陣から注目を浴びるようになる。
11歳となった2010年の夏、バイヤー・レヴァークーゼンの下部組織に移籍。U-13チームからスタートすると持ち前のテクニックを披露するも、14歳の頃から急激に身長が伸びてしまったことで成長に順応できず、これまでのようなプレーができなくなってしまう。さらなるステップアップへ大きな壁にブチあたることになるが、時間の経過と共に自分の身体に適応できるようになり、ポテンシャルを発揮。2015-16シーズンには10番を背負って25試合で18ゴールを挙げ、チームのU-17ブンデスリーガ制覇に貢献。
ユースでの活躍が認められ、2016-17シーズンにはトップチームのメンバーに名を連ねる。そして、2016年10月15日のブンデスリーガ第7節ヴェルダー・ブレーメン戦に途中出場し、トップチームでのデビューを果たす。17歳と126日でのデビューはブンデスリーガ史上8番目の若さだった。ロジャー・シュミット監督から才能を高く評価され、コンスタントに出場機会を得ると、2017年2月17日にはカリム・ベララビのブンデスリーガ通算5万ゴール目をアシスト。2月21日のUEFAチャンピオンズリーグ ラウンド16のアトレティコ・マドリード戦では出場停止のハカン・チャルハノールに代わってスタメンに抜擢される。4月8日のVfLヴォルフスブルク戦ではブンデスリーガ初ゴールを決め、ブンデスリーガ史上最年少得点となる。シーズン最終節のヘルタ・ベルリン戦では2ゴールを決めており、最終的に24試合4ゴール6アシストと17歳のプロ1年目とは思えない成績を残す。
2017-18シーズンになると、すでにチームでレギュラーに定着。リーグ戦とカップ戦で2列目で攻撃を牽引する存在となり、2018年4月25日には18歳307日でブンデスリーガ史上最年少の50試合出場を達成。2年目のシーズンは公式戦35試合3ゴール9アシストという成績を残す。
2018-19シーズンは序盤チームは苦戦を強いられたものの、自身は印象的なパフォーマンスを披露し、2018年9月20日のUEFAヨーロッパリーグ ルドゴレツ戦で2ゴールを決める。シーズン半ばまでにクラブで全試合に先発出場し、6得点を挙げていた。2018年12月にポゼッションを重視するピーター・ボスが監督に就任すると、その才能がさらに開花。19歳にして驚くべき完成度を誇り、出色のパフォーマンスを披露し、得点力が開花したことによってより手に脅威を与えるアタッカーに成長。特にボスの戦術ではユリアン・ブラントと共にキーマンとなっていた。2019年4月13日のVfBシュトゥットガルト戦ではレヴァークーゼンでの100試合出場を達成し、自らの決勝ゴールで記念試合を勝利している。リーグ最終節となったヘルタ・ベルリン戦でシーズン17ゴール目を決め、10代の選手としてのリーグ最多得点数を更新。公式戦通算20ゴール12アシストという輝かしい成績を残し、「バイヤー・エクスプレス」と称されたチームの主役として選手としての価値を大幅に上昇させたシーズンとなった。
20歳となった2019-20シーズンは開幕戦のパーダーボルン戦でシーズン初ゴールを決める。プレミアリーグのビッグクラブからのオファーが舞い込んだが、残留を決断する。2019年12月15日の1.FCケルン戦では20歳6ヶ月4日で史上最年少での100試合出場を達成。ケヴィン・フォラントが負傷で離脱したシーズン後半戦はCFとして起用されるようになると、2020年5月24日、第27節のボルシアMG戦では4試合連続ゴールを決めて勝利に貢献。続く5月29日、第29節のSCフライブルクでも得点をきめ、ブンデスリーガにおいて史上初となる当時21歳以下で通算35得点を決めた選手となった。UEFAヨーロッパリーグでもラウンド32のFCポルト戦とラウンド16のインテル・ミラノ戦でゴールを決めており、公式戦18ゴール9アシストをマーク。
2020年9月4日、イングランド・プレミアリーグの名門チェルシーFCに移籍することが発表される。移籍金は6200万ポンド、契約期間は5年。チェルシーが獲得に要した総額はクラブレコードとなる1億ポンド以上とも報じられている。9月23日のEFLカップ3回戦バーンズリー戦で移籍後初ゴールを含む、キャリア初のハットトリックを達成。10月17日のプレミアリーグ第5節サウサンプトン戦でプレミアリーグ初ゴールをマーク。しかし、フランク・ランパード監督が適正なポジションを見出せずにいたことでレヴァークーゼン時代のような輝きを放てず、さらに11月4日にCOVID-19の検査で陽性反応を示したことでコンディションも崩してしまう。2021年1月に成績不振でランパード監督が解任となり、後任にトーマス・トゥヘルが就任するとシステムが整理され、偽の9番やシャドーで起用され、持ち前のオフ・ザ・ボールの動きや味方との連携が機能するようになり、失っていたレギュラーの座を取り戻す。そして5月29日のCL決勝マンチェスター・シティ戦ではメイソン・マウントのスルーパスからCL初ゴールをマーク。このゴールはチェルシーに二度目のビッグイヤーをもたらす値千金の決勝ゴールとなり、苦難の多かった移籍1年目を有終の美で飾る。
イングランドでの2年目となった2021-22シーズンは、プレミアリーグ第3節アンフィールドでのリヴァプールFC戦でシーズン初ゴールを決める。2022年2月にはFIFAクラブワールドカップ2021に出場。決勝のパルメイラス戦では延長戦までもつれ込んだ激戦の中、終了間際の117分にゴールをこじ開け、またも値千金の決勝ゴールでチェルシーに初優勝をもたらす。シーズン後半は不調のロメル・ルカクに代わって1トップの位置に定着し、公式戦13ゴール6アシストという成績となる。
2022-23シーズンはクラブのオーナーが変わった影響によるチームの混乱に巻き込まれ、本来の力がなかなか発揮できず。10月25日のCLレッドスター戦ではチームを決勝ラウンド出場に導くゴールを決めたが、相次ぐ監督交代でチームの戦術は定まらず低迷。自身も公式戦7ゴール1アシストと不本意なシーズンとなった。
2023年6月28日、同じロンドンを本拠地とするアーセナルFCへの移籍が決定。移籍金は6500万ポンドと報じられている。このライバルクラブへの移籍は疑問視する声も出たが、ミケル・アルテタ監督は退団したグラニト・ジャカの後釜として左インサイドハーフとして起用。9月30日の第7節ボーンマス戦でPKを決め、シーズン初ゴールを決める。しかし、この起用法にはフィットせず、グーナーを満足させるようなパフォーマンスを披露できずに批判を受け、スタメンから外れる試合も増えていた。2024年に入ると、適任者が見いだせずにいた1トップで起用されるようになると、マルティンン・ウーデゴールやブカヨ・サカ、デクラン・ライスと連携し、チームの快進撃に貢献する。2月24日の第26節ニューカッスル・ユナイテッド戦、3月4日の第27節シェフィールド・ユナイテッド戦と2試合連続で1ゴール1アシストを記録。3月9日の第28節ブレントフォード戦ではリーグ戦4試合連続ゴールを決める。4月23日、第29節古巣のチェルシー戦では2ゴールを決め、5-0の大勝に貢献。事実上の優勝決定戦となった最終節エヴァートン戦でも試合終了間際に逆転ゴールを決める。結局アーセナルは勝ち点2の差で優勝を逃したが、公式戦14ゴール7アシストという成績を残し、シーズン前半戦はワースト補強と揶揄されたのを覆す結果となった。
2014年11月11月、U-16代表デビューを果たし、以降世代別のドイツ代表で主力として活躍。2016年5月にはアゼルバイジャンで開催されたUEFA U-17欧州選手権2016に出場するU-17ドイツ代表に選出。グループリーグ第3戦のオーストリア戦でゴールを決め、チームの司令塔として全5試合に出場し攻撃を牽引。準決勝で敗れタイトル獲得は果たせなかったが、大会の優秀選手に名を連ねている。
2017年8月31日にはU-19ドイツ代表に選出される。UEFA U-19欧州選手権2018予選ではキャプテンを任され、2017年10月4日のアゼルバイジャン戦で4ゴールを決めるなど、予選通算6ゴールをマーク。しかし、チームはプレーオフラウンドで敗れ、本大会出場を逃している。
2018年8月29日、ヨアヒム・レーヴ監督から初めてフル代表に招集され、9月9日のペルーとの親善試合で後半43分から途中出場し、19歳でドイツ代表デビューを果たす。ロシアワールドカップでのグループリーグ敗退から世代交代を迫られるドイツ代表の中でも若手の筆頭格として期待が集まると、2019年10月9日のアルゼンチンとの親善試合で代表初ゴールを決める。
2021年6月に開催されたEURO2020のメンバーにも選出され、トーマス・ミュラーとのコンビで2シャドーの一角としてレギュラーとなっていた。第2戦のポルトガル戦で国際大会の初ゴールとなる決勝ゴールを決めると、続くハンガリー戦でも2試合連続のゴールを決め、苦戦が予想されたドイツの決勝トーナメント進出の立役者となる。ラウンド16のイングランド戦に敗れ、チームは敗退となったが、4試合全てにスタメンで出場している。
2022年11月にカタールで開催された2022 FIFAワールドカップでワールドカップ初出場を果たす。1トップでスタメンとなった初戦の日本戦では再三の決定機を決めきれず、交代した後にチームはまさかの逆転負けを喫する。続くスペイン戦は出場せず、第3戦のコスタリカ戦では途中出場から2ゴールを決め、ドイツに大会初勝利をもたらす。しかし、同時キックオフの試合で日本がスペイン相手に勝利したためドイツは2大会連続でグループリーグ敗退となる。
2024年6月、自国開催となったEURO2024では、初戦のスコットランド戦で1ゴール1アシストの活躍を見せ、勝利に貢献。その後も準々決勝までの全試合で1トップを務め、ゴールはPKのみの2ゴールのみだったものの、数字に残らない貢献度の高さを見せている。
シーズン | 国 | クラブ | リーグ | 試合 | 得点 |
---|---|---|---|---|---|
2016-17 | レヴァークーゼン | ブンデスリーガ | 24 | 4 | |
2017-18 | レヴァークーゼン | ブンデスリーガ | 30 | 3 | |
2018-19 | レヴァークーゼン | ブンデスリーガ | 34 | 17 | |
2019-20 | レヴァークーゼン | ブンデスリーガ | 30 | 12 | |
2020-21 | チェルシー | プレミアリーグ | 27 | 4 | |
2021-22 | チェルシー | プレミアリーグ | 29 | 8 | |
2022-23 | チェルシー | プレミアリーグ | 35 | 7 | |
2023-24 | アーセナル | プレミアリーグ | 37 | 13 | |
2024-25 | アーセナル | プレミアリーグ |
本職はトップ下もしくはシャドーだが、センターフォワード、偽の9番、左右のウイング、インサイドハーフと攻撃的なポジションであればどこでもこなせるマルチなタイプのアタッカー。どちらの足でもボールを扱うことができ、ヘディングシュートも得意な、テクニックに恵まれた攻撃的ミッドフィールダーと評されている。相手DFの裏に抜け出すオフザボールの動きや、下がってボールを受けゲームメイクをすることを得意としていている。
左右両足から精度の高いキックを繰り出すことができ、繊細なボールタッチから創造性溢れるプレーを選択することから若手時代からメスト・エジルの再来と言われていた。相手に囲まれても上手くキールしながら、前に進んでいくことができ、ボールタッチが細かく、左利き特有の独特のリズムで相手にボールを取らせない。
また、恵まれた体格を駆使したパワープレーも得意で、ヘディングでの競り合いにも強く、ロングボールの的としてアバウトなボールでもマイボールにすることができる。クロスに飛び込むタイミング、ポジショニングにも長けている。FWとして起用された際は前線に張るよりも下がりながら頻繁にボールに触るタイプで、スペースに動き出してパスを引き出し、周りを活かしながら決定機に絡んでいく。動きなおして裏抜けを狙う意識も高い。
インテリジェンスも高く、状況に合わせてシンプルなプレーを心がけるなど柔軟さを持っている。
攻撃の選手としては守備での貢献度も高く、フィジカルを活かして前から圧をかけるだけではなく、相手の持ち運びに対してしっかりと付いていくこともできる。
大柄な体格の割にスピードもあるが、アジリティがそこまで高くないため一対一でドリブルして抜き去ることを苦手としている。また、1人で局面を打開するタイプではないため、押し込まれる試合展開や選手一人一人の距離が遠いチームでは力を発揮できない。
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最終更新:2024/12/31(火) 01:00
最終更新:2024/12/31(火) 01:00
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