『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』(Star Wars: The Bad Batch)とは、『スター・ウォーズ』サーガのアニメ作品である。
「カノン」作品群に属する。Disney+より配信。
概要
カノン時系列に導入されたアニメ『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』シーズン7の続編。クローン大戦が終結し銀河帝国が成立した直後の時代を舞台として、同シーズンに登場した不良分隊(バッド・バッチ)こと“クローン・フォース99”の生き抜くための戦い、そして銀河共和国の戦争のために生みだされたクローン兵たちが銀河帝国で“戦後”を生きる姿を描く。
企画・制作は『クローン・ウォーズ』監督、アニメ『スター・ウォーズ 反乱者たち』監督・製作総指揮、ドラマ『マンダロリアン』製作総指揮などを務めたデイブ・フィローニが担当。2021年5月4日よりシーズン1全16話(5月7日以降毎週金曜日)が、2023年1月4日よりシーズン2全16話(毎週水曜日)が、それぞれDisney+より配信されており、2024年2月21日より完結編となるシーズン3全15話(毎週水曜日)が配信される。
各言語版においてクローン役は全て同一人物が担当しており、日本語吹替版では映画『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』以来引き続き金田明夫が担当する(ジャンゴ・フェットのクローンすべてを金田明夫が演じているわけではないが)。特に今作はメインキャラクターがほぼクローン兵ということもあり、全編の会話シーンの半分くらいは金田明夫が金田明夫と喋っているんではなかろうか。
ストーリー
クローン兵士の分隊“クローン・フォース99”は、遺伝子変異をもつ特殊なクローン兵士からなる特別な部隊。それぞれハンター、レッカー、テク、クロスヘアー、エコーと名乗る5人の分隊員は、それぞれ他にない特別な個性を持ち、けれど全員揃ってはみ出し者の問題児という、一騎当千の不良分隊である。
長く続いたクローン大戦は突然のジェダイ抹殺命令“オーダー66”で終わり、銀河共和国は銀河帝国へと変わった。惑星カミーノの兵舎に戻った分隊は、帝国から新たに与えられた民間人の虐殺という任務を拒否して営倉に送られる。彼らは同じクローンの少女オメガの助けで脱走に成功するが、命令に従う良き兵士たろうとしたクロスヘアーだけは仲間と訣別して帝国軍に残る。
オメガを新たに仲間に加え、帝国を捨てあてどない旅に出るクローン・フォース99。彼らは勃興する帝国の支配に反発する人々に出会いながらも、自分たちの生きる道を探していく。だが“裏切り者”の分隊仲間を追うクロスヘアーと帝国軍の手は、しだいに分隊へと迫るのだった。
クローン・フォース99
遺伝子変異によって各種の感覚を強化された4人のクローンと、後から加わったサイボーグ化されたクローン・トルーパー1人[1]、あわせて5人のクローン兵からなるコマンドー部隊。それぞれの能力に応じた独自のカスタマイズが施された濃灰色のアーマーを着用し、任務では改造オミクロン級攻撃シャトル<マローダー>を専用機兼住み処としている。
わずかに5人1分隊の小勢ながら、いかなる任務、いかなる困難にも対処できる能力をそなえた優れた特殊部隊であり、クローン大戦中に参加したすべての任務で成功をおさめている。反面、任務遂行のため必要ならば命令無視や強行突破も辞さない“不良”の分隊であるが、周囲からの評価はきわめて高い。明らかにアナキン・スカイウォーカーと相性が良いタイプの連中(過去には実際に共闘している)。
生まれ持った遺伝子変異やサイボーグ化の結果、クローン兵が脳に仕込まれている抑制チップの影響が薄れており、普通のクローン兵であれば疑問もなく実行するような命令でも強制力が及ばないことがある。
- ハンター Hunter - 演:ディー・ブラッドリー・ベイカー、日本語吹替:金田明夫
- 人間・男性。分隊の指揮官。髪を伸ばした頭に巻いた赤いバンダナ、顔の入れ墨が特徴。
極めて鋭敏な感覚を生まれ持つ。責任感が強く、家族とみなす分隊の行く末を案じている。オメガの父親役となり、慣れない子供相手に四苦八苦しながらも銀河を生き抜くための知識を与える。
- レッカー Wrecker - 演:ディー・ブラッドリー・ベイカー、日本語吹替:金田明夫
- 人間・男性。分隊のパワー担当。他のクローンより明確に大きく筋肉質の身体と白い左眼が特徴。
破壊や爆発が大好きで分隊の先頭を切る、筋金入りの武闘派。単純で子供っぽいところはあるものの、心優しく頼りがいのある力持ちで、子どもには慕われる。高所恐怖症ぎみ。
- テク Tech - 演:ディー・ブラッドリー・ベイカー、日本語吹替:金田明夫
- 人間・男性。分隊の知能担当。色白で眼鏡状のゴーグルをつけている。
知能が強化されたクローンで、計算や解析はお手の物。分隊のため情報収集や作戦立案、メカニック役まで活躍する。ただしうぬぼれ屋で饒舌、いまいち情緒に欠け空気が読めないところが欠点。
- クロスヘアー Crosshair - 演:ディー・ブラッドリー・ベイカー、日本語吹替:金田明夫
- 人間・男性。分隊の狙撃担当。細い顔にしかめ面を浮かべている。
視力が強化された超凄腕のスナイパー。命じられた任務の遂行を至上命題とする生真面目でストイックな性格で、帝国への忠誠を選んで分隊と訣別。忠誠心を買われ、脱走した分隊を追う任につく。
- エコー Echo - 演:ディー・ブラッドリー・ベイカー、日本語吹替:金田明夫
- 分隊のハッキング担当。こけた頬に青白い肌と頭のサイバネティック、左腕の接続ソケットが特徴。
通常のクローン出身だが分離主義者に囚われてサイボーグ化され、後からクローン・フォース99に加わった。分隊では良識的で、帝国によるクローンへの抑圧に強く反発する。
- オメガ Omega - 演:ミシェル・アン、日本語吹替:川勝未来
- カミーノで生まれ育った特殊なクローンの少女。得物は偶然手に入れたエネルギー・ボウ。
分隊の脱走の際、彼らを助けてカミーノから逃げ出し、分隊の一員となる。素直で勤勉、活動的で機転も利き誰からも好かれるが、実験室育ちゆえ世間知らずで、仲間の役に立とうと無理をしがち。
その他のキャラクター
分隊の友人たち
- レックス Rex - 演:ディー・ブラッドリー・ベイカー、日本語吹替:金田明夫
- クローン軍のキャプテン。エコーの戦友で、彼の救出時にはクローン・フォース99と組んだ間柄。
オーダー66の際に共和国軍を脱走して以来、銀河の各地で帝国に抵抗する人々や脱走の道を選ぶクローンを支援している。銀河の各所に伝手を持つ信望厚いリーダー。
- シド Cid - 演:リー・パールマン、日本語吹替:波乃りん
- トランドーシャン・女性。オード・マンテルで酒場を経営する情報屋。
分隊の収入源兼情報源であり、彼らを賞金稼ぎ扱いしてブローカーとして仕事を振ってくる。金にがめつい風見鶏で、必要な情報抜きで仕事に送り出すなど信用ならないところがある。
- フィー・ジェノア Phee Genoa - 演:ワンダ・サイクス、日本語吹替:田村聖子
- 人間・女性。宇宙海賊で自称“古代の驚異を解放する者”。シーズン2から登場。
シドの旧知。銀河各所の貴重な遺物を収集するトレジャーハンターで、様々な武勇談を持つ。クローン・フォース99の面々にあだ名を付けて便利使いするが、オメガには目をかける。
- AZI-3 AZ - 演:ベン・ディスキン、日本語吹替:越後屋コースケ
- 医療ドロイド。浮遊能力を持つ小柄なドロイドで、楽天的な性格。
カミーノのクローン施設で働いており、施術や検査の補佐からオメガのお付きめいた役割までこなす。「AZI-3」は略称で、「3」から始まるナンバーが全21桁も続く長ったらしい名前の持ち主。
- ボロ Bolo - 演:リアム・オブライエン、日本語吹替:藤沼建人
ケッチ Ketch - 演:サム・リーゲル、日本語吹替:越後屋コースケ
- アイソリアン・男性とウィークウェイ・男性の二人組。シドの店の常連客。
二人組でデジャリックやサバックに興じており、シドの店のシーンにはだいたいいつもいる出落ちめいた存在。弱みでも握られているのか、シドのピンチにまでつきあわされている。
帝国軍・カミーノ
- ターキン Tarkin - 演:スティーブン・スタントン、日本語吹替:小形満
- 人間・男性。帝国軍の提督。クローン嫌いで有名。
帝国の成立後、クローン兵の財政負担への懸念を名目にカミーノを圧迫し、徴兵軍に置き換えようとする。しかしクローン・フォース99のような有用なクローン兵には注目し、その活用を試みる。
- ランパート Rampart - 演:ノシル・ダラル、日本語吹替:山本善寿
- 人間・男性。帝国軍の中将。ターキンの部下。
徴兵制導入の急先鋒で、口が上手く卑劣な軍人。熟練のクローン兵に新たな徴兵軍を訓練させる計画を推進してクロスヘアーに試行を委ねるいっぽう、カミーノに圧力をかけていく。
- ナラ・セ Nala Se - 演:グウェンドリン・ヨー、日本語吹替:五十嵐麗
- カミーノ人・女性。カミーノのクローン科学者。
優秀な頭脳の持ち主で、クローン・フォース99やオメガの生みの親ともいうべき存在。オメガを自身の助手として使っていた。淡々として感情を見せないが、陰ながらオメガの逃亡を手助けする。
- ラマ・スー Lama Su - 演:ボブ・バーゲン、日本語吹替:金尾哲夫
- カミーノ人・男性。カミーノの首相。
クローン兵士の優位性から帝国軍の動きを楽観視するが、事態が深刻化するなかでカミーノの生き残りを模索。クローン・フォース99が持つ貴重な遺伝子を求めて強引な手段に出る。
- ロイス・ヘムロック Royce Hemlock - 演:ジミ・シンプソン、日本語吹替:遠藤大智
- 人間・男性。帝国の科学者、博士。シーズン2から登場。
帝国の秘密研究所で、主任科学者としてある研究に従事している。物腰は穏やかだが、冷酷で野心的、倫理観の欠如した研究者。ある目的でオメガに目をつけ、その身柄を付け狙う。
スタッフ
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関連項目
脚注
- *その経緯については『クローン・ウォーズ』シーズン7にて描写されている。