ファイレクシアの抹殺者とは、マジック:ザ・ギャザリング(以下MTG)のカードである。
Phyrexian Negator/ファイレクシアの抹殺者 (2)(黒)
クリーチャー ― ホラー(Horror)
トランプル
ファイレクシアの抹殺者にダメージが与えられるたび、その点数と同じ数のパーマネントを生贄に捧げる。
5/5彼らは終わらせるために存在しているんだ。
悪名高いMoMaや、メグリムジャー等のぶっ壊れたコンボデッキを構築可能にしてしまった、ウルザブロックの最後を締め括るウルザズデスティニーに収録された、強力な黒のクリーチャー。
ほとんど使われなくなった今でも人気のあるカードである。
英語名Phyrexian Negatorから『ネゲター』、見た目
が某アニメの初号機に似てるとの事で『初号機』 『エヴァ』とも呼ばれている。
このカードについてあまりよく知らない人は、そう思うだろう。
MTGはクリーチャーや呪文を唱えるのに際し、マナという対価を支払わなければならない。
基本的にはマナを得る為には、自分のターンに1枚しか場に置くことが出来ない土地を用いる必要がある。
マナには色があり、基本土地である
《Plains/平地》 《Island/島》 《Swamp/沼》 《Mountain/山》 《Forest/森》
といった土地をタップする(縦に置いてあるカード横に傾ける)事で生み出される。
どれだけ強力で強い力を持つクリーチャーや呪文でも、それに伴う対価=高いマナコストが設定されている。
ここで、あの方を例に出したいと思う。
Scaled Wurm / 甲鱗のワーム (7)(緑)
クリーチャー — ワーム(Wurm)
7/6氷河期のあいだに繁栄を極めたこのワームは、キイェルドーのありとあらゆる人々にとって恐怖の的だった。その巨体と狂暴な性格が呼び起こした悪夢は数知れない ——— 甲鱗のワームはまさに、氷河期の災厄の象徴だった。
——— 「キイェルドー:氷の文明」
まず注目して頂きたいのが、(7)(緑)という風に(数字)(色)と表記された部分。
数字の部分は色を問わない必要マナを表し、色の部分は指定された必要色マナを表している。
このお方と、ファイレクシアの抹殺者とやらを比べてみると
Phyrexian Negator/ファイレクシアの抹殺者 (2)(黒)
と、色を問わないマナに5の差が付いている。
先ほど説明した通り、基本的に土地カードは1ターンに一度しか場に出せない為、ファイレクシアの抹殺者は氷河期の災厄の象徴よりも5ターン早く場に出す事が出来る。
これは決して甲鱗のワームが弱いというわけではなく、少しばかりスロースターターなだけである事を留意しておきたい。
次に着目すべき点は、7/6と表記されているパワー/タフネスの部分。
パワーはそのまま攻撃力を表し、タフネスはそのクリーチャーが1ターンの間にどこまでのダメージに耐えられるかという事を示している。
ここで再度、二者を比べてみたい。
Phyrexian Negator/ファイレクシアの抹殺者
5/5
パワー2、タフネス1の差が存在する。
災厄の象徴は出足が遅い分、強大な力と耐久力を有しているのがお分かり頂けただろうか。
抹殺者の攻撃も受け止める事が出来るのは勿論の事、ましてや0/1のどこぞの鳥など容易く丸呑みしてしまうだろう。
無限のワーム?何それ美味しいの?
引き合いに出してしまった相手が悪すぎるのは承知の上だが、ちょっと寝ぼすけな災厄の象徴より少し早い段階でファイレクシアの抹殺者を場に出す事が出来る。というのは理解して頂けただろうか。
その上、標準以上のスペックを持っているという事も分かって頂けたなら幸いである。
もう一つ、説明しておきたいのがトランプルという能力の存在。
これはクリーチャー同士がかち合った際に、この能力を持つクリーチャーは防御側のプレイヤーにパワーからタフネスを引いた分ダメージを与える事が出来るというもの。
悲しきかな甲鱗のワームはこの能力を持っておらず、ファイレクシアの抹殺者にこの力が与えられている。
残念な事にこの差は大きい。
氷河期の災厄の象徴とうたわれるお方も恐らく根は優しいのだろう。矮小なクリーチャーが主人を守る為に身を投じるとそれだけ喰らってお許しになるのだ。
しかし、この世の全ての悪という蔑称を持った暗黒次元であるファイレクシアから現れた抹殺者に慈悲などあるわけもなく、身を呈して守りにきたクリーチャーごと標的を貫くという残虐で悪いヤツである。
それに比べて甲鱗様は(ry
前述の通り、マナを生み出すには土地が必要である。
だがそれ以外にもマナを生み出す方法は他にも存在し、それらをマナ加速と呼ぶ。
土地は破壊されない限り、場に残り続けるので恒久的にマナを生み出す事が出来る。
だが、このマナ加速と呼ばれるものは例えば即席であったり、魔法機械であるアーティファクトを場に出す事で土地と同じ役目を果たさせると様々ある。
脆弱な鳥に好きな色のマナを生み出せたり、黒い蓮を生贄に捧げて好きな色のマナを3つナドナド
こういったマナ加速を利用すると、更に早い段階で抹殺者を場に出すというプレイングが可能になる。
Dark Ritual / 暗黒の儀式 (黒)
インスタント
あなたのマナ・プールに(黒)(黒)(黒)を加える。ファイレクシアは虚空から生まれた。機械の父、偉大なるヨーグモスはその完成された形を予見なされた。かくして”偉大なる進化”が始まった。
インスタントとは基本的にいつでも唱えられるが、効果が現れた後に墓地へ行く呪文の総称である。
この暗黒の儀式を上記の例で言うと、マナ加速の種類は即席型に当たる。
マナが生み出されると架空の置き場であるマナプールに置かれるが、各ステップやフェイズの終了時に空になってしまう為、持ち越す事はルール上では不可能となっている。
1度限りではあるが、必要マナが1マナのカードから3マナのカードにジャンプ出来るのは非常に強力。
実際このカードも、英語名を略した『ダクリ』等の愛称で黒使いからは非常に親しまれたカードである。
ここで思い出して欲しいのが、ファイレクシアの抹殺者を出すのに必要なマナコスト
(2)(黒)
丁度3マナである
という風に、1ターン目に場に出す事が可能になる。
1ターン目に5/5のクリーチャーが出て来る事は脅威以外の何物でもなく、相手が動きのゆるやかなデッキを使っているのならば、そのままゲーム開始時の初期ライフ20点を4回の攻撃で奪い去れる。
因みに甲鱗のワームなら攻撃が3回通れば勝てます。
しかしそんな美味い話があるわけがなく…
そもそも3マナで5/5というスペックはとんでもなく破格であり、それに加えてトランプルも持っているので本来、必要なマナコストは主観ではあるが大体6~7マナ辺りが妥当だと思われる。
低コストでかつ、高いスペックを持つクリーチャーが犇めく緑でも5マナ位は必要であったりする。
希少度がレアであるが故のコストパフォーマンスというのを考慮しても4マナ位は必要。
更に言うなら色拘束という概念があり、低コストでハイスペックだとしても必要なマナコストに色マナが多量に指定されていたりする場合がほとんど→『(緑)(緑)(緑)』だとか『(白)(白)(白)(白)』みたいな感じ。
それに比べて(2)(黒)で場に出せる抹殺者は、色拘束の面においても破格であると言える。
一応甲鱗のワームも色マナは(緑)だけで済む。
ここで紹介したいのが『スーサイドブラック』というデッキ。
Suicide(自殺)という言葉が含まれる、ちょっと怖いデッキだが本当に自殺するわけではないのでご安心を。
このデッキは『自らのライフや又はボードアドバンテージなど犠牲にする事で、強力なクリーチャーを展開する黒いデッキ』というもの。
要約すると低コストで出せる代わりに自分のライフを減らすことになったり、土地やクリーチャー等を犠牲にするようなクリーチャーを用いた速攻デッキである。
まさに黒と言えるであろうデッキ。
この抹殺者もそういったスーサイドブラックの思想に良く適したスペックとデメリットを持っている。
ファイレクシアの抹殺者にダメージが与えられるたび、その点数と同じ数のパーマネントを生贄に捧げる。
この一文。
パーマネントとは、場に出ている土地やトークンを含めたクリーチャー、アーティファクト等の総称である。
要するに何らかの呪文やクリーチャーとの戦闘、カードの効果によって受けたダメージと同じ点数分、自分の場のカードを墓地に置かなければいけない。
特にクリーチャーやプレイヤーに直接ダメージを与えるのを得意とする赤にとっては的以外何物でもない。
元々、自発的にライフを支払って強力なクリーチャーを展開するという動きのこのデッキ自体、赤いデッキとは非常に相性が悪い。
このスーサイドブラックを代表するデッキの一つに「ヘイトレッド」というデッキが存在する。
Hatred / 憎悪 (3)(黒)(黒)
インスタント
憎悪を唱えるための追加コストとして、X点のライフを支払う。
クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+X/+0の修整を受ける。お前の肉から皮膚を、骨から肉を引きはがしてやる。骨についてる肉片も全部こそげ落としてやる。それでもまだ十分じゃないんだ。
Xは自分のライフの許す限り、好きな数字を指定してよいというもの。
これを先ほど紹介した暗黒の儀式などのマナ加速を利用して使えば、最速2ターンで相手を打ち負かす事が出来る。
勿論その時に支払われるライフは18点や19点などかなりギリギリである場合が多い。
しかし、赤いデッキの場合はクリーチャーの攻撃に対応して
Shock / ショック (赤)
インスタント
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。ショックはそれに2点のダメージを与える。
とたった一つの呪文を唱えるだけでアラ不思議、勝ててしまうわけだ。
Hate Red(赤嫌い)というジョークまで生まれてしまうほど相性が悪い。
ファイレクシアの抹殺者の場合。
先ほどの流れで1ターン目に抹殺者を出せたとして、相手のターン
この一言で対象になってしまった抹殺者の能力が誘発し、パーマネントを2つ生贄に捧げなければいけなくなる。
その場合、恐らく今のあなたの場には《Swamp/沼》と《Phyrexian Negator/ファイレクシアの抹殺者》しか置かれていないはずである。
それらを生贄に捧げる事で、あなたの場は気持ちいいくらいに綺麗になったよ!
…多分、次のあなたのセリフは「投了します」だろう。
もしこのファイレクシアの抹殺者を動画で見かける事があれば、よく分からなくてもとりあえず赤文字で「ショック」とコメントしておきましょう。
ファイレクシアの抹殺者などの強力カードを輩出したウルザズデスティニーから約12年。
2011/05/13
そいつは現れた。
Phyrexian Obliterator / ファイレクシアの抹消者 (黒)(黒)(黒)(黒)
クリーチャー — ホラー(Horror)
トランプル
いずれかの発生源がファイレクシアの抹消者にダメージを与えるたび、その発生源のコントローラーはその点数に等しい数のパーマネントを生け贄に捧げる。
5/5――― 囁く者、シェオルドレッド
マナコストだけ見ると異様に色拘束がきつくなり1マナ増えているだけだが、問題はその能力である。
いずれかの発生源がファイレクシアの抹消者にダメージを与えるたび、その発生源のコントローラーはその点数に等しい数のパーマネントを生け贄に捧げる。
ネゲター帰って来たーと思ってカード見てみたら全くの別人になってました。
思わず二度見してしまう程の強力なメリット能力を携えている。あまりにも完成しすぎである。
この能力を簡単に説明すると、こいつにダメージを与えたプレイヤー自身が、与えたダメージの数だけ自分の場のカードを墓地に置かなければいけないというもの。
こちらがスーサイドするのではなく、相手がスーサイドするようになりました^^
クリーチャーの除去をダメージに頼る赤いデッキならば、出された時点で投了クラスである。
《Shock/ショック》なんて撃ってしまえば、逆に自分の場をお掃除しかねない。
だが、当時の環境にはダメージを伴わない上に、デッキの色を問わないクリーチャー除去が溢れていた。
Dismember / 四肢切断 (1)(黒/Φ)(黒/Φ)
インスタント((黒/Φ)は(黒)でも2点のライフでも支払うことができる。)
クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで-5/-5の修整を受ける。
-5/-5という強烈なマイナス補正でクリーチャーを除去するこのカード、黒マナをライフ2点で代用できてしまうため、なんと色マナを全く必要としない。4ライフの支払いはそれなりに痛いが、相手の主力クリーチャーを倒せるなら御の字である。その為、デッキの色を問わずに投入されていった。
かくして意気揚々と出陣したファイレクシアの切り札は、次々と達磨にされてしまう羽目になってしまった。
因みに甲鱗のワームはタフネス6なので四肢切断に耐えます。そもそも四肢あるのか?
色拘束の面でまず黒に特化したデッキでないと出すのは難しく、さらに上述の暗黒の儀式のような手軽で黒いマナ加速がないのも痛い所である。ただし、当時の環境の黒クリーチャーは感染という少し特殊な形でダメージを与える能力を持っているクリーチャーに溢れており、それらと共闘させ難いという面でわりと落ち着いた評価となった。
え?じゃあもっと軽くて使いやすいクリーチャーが良いって?
んじゃ《Tarmogoyf/タルモゴイフ》でも使っとけよ、こいつならライフもカードも犠牲にしなくていいぞ。
リアルマネーが犠牲になるがな!
掲示板
58 ななしのよっしん
2023/12/03(日) 20:01:31 ID: 90F3djVn7I
59 ななしのよっしん
2024/04/18(木) 01:30:08 ID: E3HlQ86B3h
文章から漂う明らかにMTGほとんどやったことないってわかるゲーマーとしての素人臭さ
「面白い文」を書こうと頑張ってるけど滑りまくってる物書きとしての素人臭さ
そして2024年に見ると記事書かれた頃でさえ若干時代遅れなノリがきっついエンタメとしての素人臭さ
状態保存のいい移籍みたいな記事だな、大事にしなければ
60 ななしのよっしん
2024/09/18(水) 13:19:14 ID: PdvW3q2lX1
「物書きとしての素人臭さ」とかあげつらってるくせに自分の書いた文の見直しもできていない滑稽さよ
「移籍」ってなんですか?ww
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/06(土) 04:00
最終更新:2025/12/06(土) 04:00
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