『マスケットガールズ!~転生参謀と戦列乙女たち~』とは漂月によるライトノベル作品である。
概要
小説家になろうにおいて2021年から2023年4月28日まで本編を連載し、時系列が進んだ続編外伝の連載を準備中である。
主婦と生活社のWeb文芸・新文芸レーベル『PASHブックス』より2022年3月に書籍化された。イラストは、sakiyamamaが担当。2023年12月現在既刊3巻。加筆修正が行われ2巻では登場人物が増えている。
主婦と生活社のコミック配信サイト『コミックPASH!』において2022年12月2日から漫画版が連載開始した。平均して月2回ほど更新されている。初期話数と最新話のみ無料。作画は飛鳥あるとが担当している。単行本はPASH!コミックスレーベルから発売され2023年現在既刊2巻。
漫画版では、単行本おまけ描き下ろし漫画として巻末に主人公のユイナー以外の視点の番外編漫画『マスケットガールズ+』が収録されている。
漫画版はニコニコ漫画においても2023年3月から連載開始している。
あらすじ
現代社会で生きていた記憶がありながら魔法のないマスケット銃が活躍するさなかの近世風の異世界に転生したユイナーは、家庭環境の悪さからホームレスを経て士官学校をに入学し貴族学生と揉まれつつ歩兵少尉としてシャワイデル帝国第5師団に任官される。小隊指揮官として第5師団の任地と接する隣国アガン王国の軍と対峙し、勝利を重ねていた。
ある時、アガン王国の軍を破り勝利した際に上司から第6特務旅団に参謀として任ずることを命令され転出するが、第6特務旅団は女性だけの軍であるということを配属先で知る。
第6特務旅団長の大貴族であるメディレン家出身のアルツァー・メディレン大佐も女性であったが、この旅団の性質の説明を受け後方志望だったユイナーは喜んで拝命する。大佐から旅団所属の女性兵を女性戦列歩兵として鍛える教官としての役割も求められ任務に励むことになる。
登場人物
- ユイナー・クロムベルツ
- 主人公。現代人としての知識を持っていたが、転生した際の家庭は貧しく実質的にホームレスとして過ごしていたが紆余曲折あり、士官学校に入学し卒業後歩兵少尉に任官される。姓のクロムベルツは聖名であり教会に付けて貰ったものである。
- 平民なため過酷な戦場に投入されるが、犠牲を出しながらも突撃するなどして目的を達成することから『死神』の異名を持つ。実は転生した後に将来死ぬ可能性があると予感が発生するためそれを活用して生き残っている。第5師団に配属されていたが、上司と第5師団の駐屯地を管轄するリトレイユ家の思惑により第6特務師団へ参謀少尉として異動することになる。
- アルツァー・メディレン
- 第6特務団長の女性で22歳。階級は大佐。帝国の五指の薬指と言われる大貴族メディレン家出身の貴族将校。聖名はナイツァー。父が小柄な女性を好きだったことから母が小柄で大佐も小柄である。逃げ場のない女性救済のために手を尽くし、女性だけの軍隊の第6特務旅団を立ち上げる。前当主である父親の晩年の子として生まれ、現当主とは年上の甥(44歳)の関係となっているが仲は良く資金援助を快く引き受けることもある。
- ハンナ・ハイデン
- 第6特務旅団の下士長の女性下士官。アルツァー大佐に付いていることも多い。恵まれた体で身長はユイナーとほぼ同じ高さで力持ちかつ足も早い。救済されなければ水車小屋で仕事をすることになっていたらしい。計算が得意でボードゲームもユイナーに勝つほどの才能を持つ。
- ロズ・シュタイアー
- ユイナーの士官学校時代の友人で砲兵科所属だった男。第3師団に配属され砲兵将校として任官される。見初められてミドトール家の当主の弟の娘と結ばれた。しかしブルージュ公国戦で足に怪我を負い、紆余曲折を経て第6特務師団に配属される、。生まれは商家。
- クーベルヘン少佐
- ユイナーの士官学校時代の剣術教官。アルツァー大佐のメディレン家の派閥所属の下級貴族でもある。士官学校時代のユイナーが両手剣を使ったことに気付き目を留める。アルツァー大佐からユイナーの様子を求められたため、士官学校時代の話を話していた。
- ミドナ下士長
- 第6特務旅団第1中隊第2小隊の小隊長。元はメディレン家の元侍女でアルツァー大佐の専属だった。アルツァー大佐にたまにお嬢様と呼ぶことがある。
- ローゼル下士長
- 同第3小隊小隊長。元はメディレン家の元衛士だった。
- サテュラ
- 第6特務旅団第1中隊所属。出身は西の草原砂漠地帯のキオニス連邦王国。出身部族はハスラーン氏族。他の部族との争いで国を追われ帝国へ辿り着いたが大佐に救われる。キオニス連邦戦では襲ってきた敵部族の同定も行っている。
- ラーニャ
- 第6特務旅団第1中隊所属。出身は東のフィニス王国で、旅芸人一座の楽士だったが盗賊により死にかけていたが、大佐に救われたという。優しい顔立ちなため旅芸人時代はナンパをされやすく、ナンパ以上に酷いことをされたこともあるらしい。
- ダンブル大尉
- ブルージュ公国の国境沿いにある要塞の支城であるゼッフェル砦の守備隊長。第3師団所属。平民出身。当初は援軍と理解しつつも女性だらけの第6特務旅団を信用できず城にも入れない予定だったが、訓練の様子を見て考えを替え入城を許可した。ユイナーの進言が的を得ており進言を採用する。
- リトレイユ公ミンシアナ
- 第5師団を擁するリトレイユ家の当主の二十歳ぐらいの女性。ユイナーが異動する際にユイナーと馬車内で対面する。アルツァー大佐に対してなれなれしく接するが政治的取引にはアルツァー大佐は嫌々ながら受け入れているが個人的友誼はや応対は拒否されている。リトレイユ家が管轄する第5師団の責任者でもあるが軍人というより政治家であるという。家族には前当主の父親と弟に幼年のセリンがいるが、当主の地位を脅かされないようにセリン本人や周辺などに工作を画策している。
- リコシェ
- ミンシアナの影武者。容姿や声もそっくりだが本人と区別するためにシトラス系の香水を使っている。半ば無理矢理に影武者に仕立てられたが故郷や家族が粛清されないために従っていた。ミンシアナに代わり国内政治に関わることもあるが、本来の性格が穏やかなためミンシアナよりは苛烈さが足りないらしい。影武者は何人も消えていること、陰謀に携わるなど様々な恐怖に耐えきれなくなり保護を求めてアルツァーに頼ることになる
- メディレン公
- 帝国第4席で帝国の薬指と言われるメディレン領の当主。アルツァーは年下の叔母である。
用語
- シュワイデル帝国
- ユイナーたちが住まう国。宗派は安息派。帝室を含めた5王家と呼ばれる5大貴族が存在する国。昔は大きかったが削られ続けているらしい。5王家の所在地に師団が置かれている。構成は序列1位の親指の帝室シュワイデル家が近衛師団、序列2位で人差し指のジヒトベルグ家は第2師団が配置され、中指で序列3位のミルドール家は第3師団が配置、薬指で序列4位のメディレン家は第4師団が配置(但しほぼ海軍)、小指で序列5位のリトレイユ家は第5師団が配置されているが各家に数十もの門閥貴族を抱えているらしい。
- ブルージュ公国
- 第3師団とミルドール領に隣接している国家。ミルドール領に攻め入ってくる。砲術には疎く使いこなせないらしい。実は昔は帝国の(五指)構成領であったが離反し、転生派に改宗した。
- ゼッフェル砦
- ブルージュ公国との国境沿いにある要塞の支城。城館ではあるが元は居城であったらしく堅城というわけでもない。弓矢時代を想定された城でドクトリンが古く銃眼となる矢狭間が大きく作られている。城壁内は、防御塔のみ手厚い防御構造となっているとのこと。
関連静画
書籍版・Web版対照
なお、書籍版では加筆改稿されており当てはまらない場合もある。
書籍版店舗特典SS
関連リンク
関連項目