ヤマトキヨウダイとは、1960年生まれの日本の競走馬である。鹿毛の牡馬。
良血を期待されながら勝ち切れない戦いを続け、5歳秋から覚醒し日本最強馬へ成り上がった「牝馬の稲葉」こと稲葉幸夫調教師初めての八大競走を優勝した牡馬でもある。
主な勝ち鞍
1964年:天皇賞(秋)(八大競走)、有馬記念(八大競走)、日本経済賞、目黒記念(秋)
※当記事では活躍した当時に合わせて旧馬齢表記(現在の表記+1歳)を使用しています。
父ヒンドスタンは現役時代アイリッシュダービーを勝利。日本で種牡馬入りしてからは61年からリーディングサイアーとして活躍する外国産種牡馬。一つ年下のシンザンの父としても有名である。
母ヤマトチカラは中央競馬で39戦9勝。重賞には縁が無かったもののタフに走り、ハンデ戦や条件戦で好走した。
母父クモハタはヒンドスタン前に内国産馬初のリーディングサイアーとして活躍した第8回の日本ダービー優勝馬である。
1960年5月9日に後にウォーターナビレラを生産する浦河の伏木田牧場で生まれた。その後母ヤマトチカラを所有した門井鍋四郎氏の縁者門井みち氏に購入され「ヤマトキヨウダイ」と名付けられ、祖母ヤマトナデシコ、母ヤマトチカラを手掛けた東京競馬場の稲葉幸夫厩舎に入厩した。ちなみに当時は拗音記号(小さいャュョ)が馬名に使えないというルールがあり、馬名の読み方自体は「ヤマトキョウダイ」となる。
1962年10月に梶与四松騎手を鞍上に東京競馬場の新馬戦でデビューして2着。11月の3戦目で勝ち上がった。しかしヤマトキヨウダイは次走の3歳特別戦で2着に入った後は思うような走りが出来ず、4戦して7、10、9、11着と凡走を繰り返した。ヤマトキヨウダイは父、母父共にクラシックホースを複数送り出したリーディングサイアーの産駒であることから陣営はヤマトキヨウダイも同じく好成績を上げられると考えていたのだが、ようやく2勝目を挙げたのは4月末の40万下条件戦。この頃はもうすでに三冠路線は圧倒的な強さを見せるメイズイとグレートヨルカの「MG対決」の話題で持ちきりとなっており、結局陣営は春のクラシックを諦めてヤマトキヨウダイに休養を取らせることにした。
しばらくの休養を取ったヤマトキヨウダイは前年からリーディングジョッキーとして活躍する加賀武見騎手を鞍上には8月の福島開催で復帰すると、2着カンリユウに大差を付けてレコード勝ち。遂に良血馬が本格化を迎えたかと梶与騎手と共に9月の京王杯オータムハンデで重賞に初挑戦したが、着差こそつかなかったものの5着に敗れた。陣営は肩を落としつつ150万のハンデ戦へ向かうとソロナオンワード、クリライト、パナソニツクなどを完封して再びレコード勝ち。ようやくオープン馬へ上がってきた。
前走の結果でヤマトキヨウダイの陣営は条件戦のレベルはもう突破したと判断し、本格的に重賞へ挑戦し始めたが、初戦のオールカマーでは2番人気に支持されたものの11頭立て9着。次走のオープン戦でもヒカルポーラの5着。再び加賀騎手が乗ったカブトヤマ記念では以前に破ったはずのソロナオンワード、クモハタ記念では同期の二冠馬メイズイの前に敗れた。年末のオープン戦こそ勝利して1年を終えることは出来たものの、当時のヤマトキヨウダイは期待されていたクラシック三冠の全てに参戦できず、度々重賞に顔を出しては掲示板ギリギリを反復横跳びするような戦績であり、お世辞にも強大と言えるような馬ではなかった。
5歳時の1964年は年始の金杯(東)から始動。1歳年上の牝馬トーストの5着と前年と同じ滑り出しであったものの、次走武蔵野ステークス(芝2100m)ではハナ差で勝利。2月の中山記念では再びトーストに敗れたが3着に踏ん張り、重賞では初めて複勝入りした。
その後天皇賞(春)を見送って6月まで休養を取ったヤマトキヨウダイは、眠っていた素質が遂に目覚め始めた。復帰したオープン戦を稲葉厩舎所属の若手嶋田功騎手を鞍上に勝利すると、再び梶与騎手に戻った日本経済賞では4番人気を跳ね返し遂に勝利。重賞初制覇となった。8月に出走したCBC賞でも1.8倍の1番人気を背負い2馬身差で完勝。1年遅れの夏の上り馬のような出世を果たし秋競馬へと向かっていった。
ヤマトキヨウダイは前年5着に敗れた京王杯オータムハンデキャップで復帰。夏の3連勝により1番人気に支持されたものの8.5kg差の軽ハンデであったハヤトオ―を半馬身捉えられず2着に敗れ、次走の毎日王冠でもまたもやトーストに敗れ4着と勝つことは出来なかったが休養を挟んだ天皇賞(秋)の前哨戦目黒記念(秋)では9キロのハンデ差があった同期のアサホコをアタマ差抑えて重賞2勝目を挙げた。
次走はデビュー以来初めての八大競走挑戦となる天皇賞(秋)。ここには二冠馬メイズイを始め、コウライオー、パスポート、コウタロー、ハヤトオ―などクラシック三冠から活躍する同期達が多く出走していた。1番人気は天皇賞(春)2着の後オープン戦を3連勝してきたメイズイ。ヤマトキヨウダイは2番人気だった。
レースは1枠1番となったヤマトキヨウダイが上手くスタートし一時先頭に立ったが、これまで何度も戦ってきたライバルトーストが先頭を奪い逃げに入り、中団からメイズイも進出してヤマトキヨウダイは5~6番手に下げた。2週目に入った所で同期の菊花賞3着牝馬パスポートとハーバーヒカリが落馬。先頭のトーストは同じ牝馬のヒンドソネラから執拗に競り掛けられたが全く動じず、最終直線でも先頭に立って逃げ続けていた。内に進路を取ったヤマトキヨウダイは400を切ったあたりで一気にスパートをかけ後続を置き去りにしたが、先頭のトーストはどこに力を残していたのか内から差そうとするヤマトキヨウダイに競り合ってきた。2頭の一騎打ちはゴール板の直前まで続いたが、ヤマトキヨウダイがトーストを1馬身4分の1差で競り落とし優勝。3:21.7の勝ちタイムは前年記録したリユウフオーレルのレコードを更に1秒更新するレコードタイムで、2頭は3着コウタローに8馬身の大差を付けていた。
これまでの勝ち切れない戦績から一転、古馬の頂点に立ったヤマトキヨウダイは残るタイトルを獲得するべく年末の有馬記念へ歩を進めた。この年1964年はシンザンがクラシック三冠を達成し、有馬記念で対戦が実現すると思われたが、シンザンは菊花賞後は早々に休養に入ってしまい対戦は先送りされた。1番人気は天皇賞(春)を勝利した後宝塚記念を含む5連勝中の関西馬ヒカルポーラ。2番人気は前年リユウフオーレルに敗れ2着だった人気投票1位のメイズイで、ヤマトキヨウダイは天皇賞(秋)の勝利があったもののキャリアの厚さが2頭に及ばなかったか3番人気であった。しかしレースでは上位人気2頭を寄せ付けず、またもやトーストと先頭争いを繰り広げた末に1馬身4分の3の着差を付けて優勝した。天皇賞、有馬記念の勝利は例年であれば年度代表馬を受賞しても全くおかしくない成績だったものの、流石に三冠を達成したシンザンには及ばず、それでも最優秀5歳以上牡馬を受賞している。
6歳の1965年も現役を続行。天皇賞を勝利し勝ち抜けとなったので、有馬記念連覇が目標になった。始動戦のアメリカジョッキークラブカップでは金杯(東)を勝利して全盛期を迎えた同期アサホコの5着。オープン3着を叩いて連覇を目指した日本経済賞は4着と、掲示板を確保しつつも増えた斤量に苦しめられ、中々勝ち切れないレースが続いた。目黒記念(秋)では三冠馬シンザンとの対戦となったが、1馬身差程の着差であったもののハンデ差は5.5kgもついていて、ファン達はこのレースでヤマトキヨウダイが衰えていることを察することになった。オープン2着を叩きに使って出走した有馬記念では引退宣言をしていたシンザンが勝って有終の美を飾るのかばかり注目され、ヤマトキヨウダイは8頭立て5番人気と対抗馬としても考えられていなかった。レースでも人気通りシンザンの5着。しかし6着ヒカルポーラに4馬身差を付け、衰えたとはいえまだまだ一線級の力を持っていることは見せ、このレースを最後に引退した。通算成績38戦12勝。うち重賞4勝。
引退後は種牡馬となったものの、当時は戦ったシンザンですら苦戦したほどの外国産種牡馬全盛の時代であり、リーディングサイアーヒンドスタンの産駒とは言え、後継種牡馬として期待されていたということもなく、牝馬も集まらなかった。産駒に活躍馬も現れず、1971年に種牡馬のまま死去。12歳没。
| *ヒンドスタン Hindostan 1946 黒鹿毛 |
Bois Roussel 1935 黒鹿毛 |
Vatout | Prince Chimay |
| Vashti | |||
| Plucky Liege | Spearmint | ||
| Concertina | |||
| Sonibai 1939 鹿毛 |
Solario | Gainsborough | |
| Sun Worship | |||
| Udaipur | Blandford | ||
| Uganda | |||
| ヤマトチカラ 1953 鹿毛 FNo.3-e |
クモハタ 1936 栗毛 |
*トウルヌソル | Gainsborough |
| Soliste | |||
| *星旗 | Gnome | ||
| Tuscan Maiden | |||
| ヤマトナデシコ 1943 鹿毛 |
*プリメロ | Blandford | |
| Athasi | |||
| オーグメント | ガロン | ||
| 第弐アストニシメント |
クロス:Gainsborough 4×4(12.50%)、Blandford 4×4(12.50%)
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最終更新:2025/12/06(土) 15:00
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