ロバート・E・ハワードとは (ロバートアーウィンハワードとは) [単語記事]

ロバート・E・ハワード（Robert Ervin Howard、1906年1月22日 - 1936年 6月11日)とは、アメリカの小説家である。
H.P.ラヴクラフト、クラーク・アシュトン・スミスと並び、『ウィアード・テイルズ』黄金時代を築いた、近代アメリカ幻想文学に大いなる影響を与えた人物である。

概要

1906年、テキサスに生を受ける。幼い頃はモヤシっ子で、繊細な気質のおとなしい子供だった。しかしボクシングに魅了されて10代後半でボディビルを開始、筋骨逞しいマッチョに大変身する。

幼い頃から冒険小説を愛しており、自ら執筆するようになる。23歳の時に『ウィアード・テイルズ』に発表した『Spear and Fa ng』を皮切りに作家デビュー。
そして1932年に発表したのがヒロイック・ファンタジーの傑作と歌われる「英雄コナン」の第一作「不死鳥の剣」である。以後「英雄コナン」シリーズは大ヒットとなり、ヒロイック・ファンタジーの隆盛へと繋がった。
同誌で活動していたH.P.ラヴクラフトとも友誼を結び、数多くの書簡を交わす。そのラヴクラフトからは「二丁拳銃のボブ」という綽名をつけられていた。この縁もあり、彼自身もクトゥルフ神話ものを手掛けている。
その作風は幅広く、ファンタジーや幻想怪奇小説の他にも、ハードボイルド、西部劇、歴史小説、ボクシング小説、果ては創作実話^[1]や「スパイシー」系と呼ばれたお色気もの^[2]まで手掛ける多作ぶりだった。

しかし1936年、最愛の母が結核で危篤に陥る。肉体こそ屈強になっても、その心は繊細なままであったハワードは激しく動揺し、昏睡状態の母から離れると、ガレージに留めていた車中で拳銃自殺を遂げた。その翌日、母も息を引き取った。
享年30歳、あまりにも若すぎる死であった。
ラヴクラフトは親友の自殺に衝撃を受け、翌年の1937年 3月、栄養失調（および腸癌）により、後を追うかのように亡くなった。

作品

英雄コナン
終わりなき戦乱が続き、怪物や妖術が薄暗い影を落とす太古のハイボリアが舞台。
豪放磊落で誇り高い戦士・コナンを主人公とした、剣と魔法のファンタジー。
コナンは北方の未開の地・キンメリアの蛮族出身で、族長の息子として生を受けた。しかし幼い頃に謎の軍団によって一族を滅ぼされ、奴隷を経て剣闘士となる。
戦いの中で技と知恵を身に着けた彼は逃亡に成功、仇を探し求めるうちに様々な冒険に身を投じてゆく。剣を手に怪物や妖術師に立ち向かい、美しくも強い女達と愛を交わし、巨万の富と名声を得、遂には大国アキロニアの帝王にまで登りつめた。
後に映画化。主人公コナンをアーノルド・シュワルツェネッガーが演じ、彼の出世作となった。
黒の碑
クトゥルフ神話もの。ハンガリーの山岳地帯にある村、シュトレゴイカバールが舞台。
「魔女の村」の異名を持つその村の近くには、未知の黒い石でできた石碑があった。かつてこの地には邪教を崇める民が暮らしており、生贄を石碑に捧げては恐るべき怪物を召喚していたのだ……
作中に登場する怪物については、ゴル＝ゴロスであると示唆されている。後にゴル＝ゴロスはクトゥルフ神話の神性（旧支配者）に数えられ、TRPGにもデータが掲載されている。
大地の妖蛆
クトゥルフ神話もの。舞台は３世紀のブリテン島で、ピクト人の蛮王、ブラン・マク・モーンが主人公。
ローマの圧政に反逆した彼が、大地に眠る邪神の力を借りて執政官に復讐を果たすまでの物語。ヒロイックファンタジー要素もあり、他にもブランを主人公にした短編が発表されている。
初期の版ではクトゥルフの名が出ているが、後に改訂されて「無名の神々」に変わっている。一方でダゴンについて言及がある為、クトゥルフ神話ものとして数えられる。またラヴクラフトも本作が気に入ったようで、「闇に囁くもの」の作中でブランの名を挙げている。
鳩は地獄から来る
怪奇小説。1920年代のアメリカ南部が舞台。
南部を車で旅行していた主人公と友人が、ある廃屋で一夜を過ごす事となる。酷い悪夢から目覚めた主人公は、友人がふらふらと二階に上がっていくのを見るが、体が動かず声も出ない。やがて悲鳴が闇をつんざき……
スティーブン・キングが「20世紀屈指の怪奇小説の一つ」と絶賛した傑作。