第140回中山大障害 単語


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ダイヒャクヨンジッカイナカヤマダイショウガイ

3.9千文字の記事

――3番手以降は大きく後ろ! 第四コーナーに向かいます!
さぁ先頭はアップトゥデイト! その後ろから、オジュウチョウサン

さぁ!! 前・王者か! 現・王者か!
帽子2頭の追いべにかわる直線!!

ラジオNIKKEI 山本直アナウンサー

140農林水産省賞典 中山大障害(5回 中山 7日 障害3歳以上 オープン)とは、日本中央競馬会JRA)が催する中央競馬障害重賞競走である。格付けはJ・GI芝4100m

2017年12月23日開催。14:45発走 。

競走概要

中山大障害中山グランドジャンプの記事も参照のこと※

1934年東京優駿に匹敵する名物競走として創設された伝統の障害競走である。1999年障害競走グレード制導入まではの年2回開催であったが、この年以降は開催を「中山グランドジャンプ」として新設し、開催のみとなった。

中山グランプリ(現、有馬記念)が創設されるまで中山競馬場における最大の古競走であり、中央競馬における重賞競走としても秋天皇賞、目黒記念東京優駿に次ぐ歴史を誇る。現在も「暮れの中山の名物レース」として創設以来、日本障害競走における最高峰として位置づけられている。

  1. 出走資格:3歳以上 除未出走および未勝利
  2. 負担重量:定量(3歳61kg、4歳以上63kg、2kg減)
  3. 出走可頭数:16頭

出走馬

性齢 斤量 厩舎 体重(増減) 騎手 単勝倍率 人気
1 1 ウインヤード 6 63 桧山 468(-6) 大江 219.4 15
2 2 ビコーピリラ 7 63 田所秀孝 478(-14) 田村 208.0 12
2 3 スズカプレス 5 63 田満 462(-2) 北沢伸也 42.9 7
3 4 シンキングダンサー 4 63 武市康男 472(-2) 金子 17.1 3
3 5 テイエムオペラドン 8 63 浜田多実雄 502(-2) 中村将之 146 11
4 6 アップトゥデイト 7 63 佐々木晶三 530(+6) 満明 6.8 2
4 7 オジュウチョウサン 6 63 和田一郎 506(-2) 石神深一 1.1 1
5 8 サンレイデューク 9 63 高橋義忠 458(+2) 難波剛健 34.8 6
5 9 ミヤジタイ 7 63 岩元市三 502(+4) 小坂忠士 58.9 9
6 10 ユウキビバワンダー セ4 63 藤沢則雄 496(-6) 佐久間寛志 96.2 10
6 11 サムライフォンテン 4 63 石毛 474(+2) 高野 208.5 13
7 12 クラシックマーク 6 61 444(-6) 五十嵐 216 14
7 13 イネルフィエスタ 7 63 中村 510(-6) 植野 26.9 4
8 14 クランモンタナ 8 63 音無秀孝 490(+6) 熊沢重文 56.8 8
8 15 ルペールノエル 7 63 藤原 520(-4) 高田 30.3 5

地でもまず見ない単勝支持率68.31、単勝1.1倍という圧倒的一番人気オジュウチョウサンの1強体制。これに続いて、阪神ジャンプステークス勝利復活を見せたアップトゥデイトが6.8倍の2番人気となっている。3番人気シンキングダンサーは17.1倍であり、人気の面からはオジュウチョウサンがどう勝つか、あるいは精々アップトゥデイトがそれにどこまで食らいつくかであった。

アップトゥデイトは前年の中山大障害以降、オジュウチョウサンとの対決においては常にその後を拝し続けていた。ここに至って営は戦術の転換を決意し、レース前には逃げ宣言を出すに至る。ファンの間では実際の競走でどうなるのかが注された。

全に余談だが、この日、障害としてはしく(というか恐らく初めて)オジュウチョウサン競走馬グッズが発売開始されたようだ。

展開

馬場は良の発表。

最初のコーナーまでスズカプレストが内ラチ沿いに先頭を走るが、そのコーナーから直線でアップトゥデイトが外に持ち出すと先頭を取ると、最初の障害を飛越するころには全にレース導権を奪ってしまう。ここから、アップトゥデイトジョッキーの渾身の大逃げが始まる。

1号障害2号障害3号障害と飛越するごとに後続との距離を離すアップトゥデイト。向こう正面に入って、観客席から2番手との差が見えると場内のどよめきは大きくなっていく。襷コースでは20馬身近いリードを取って先頭を駆けていく。テロップで先頭を示すい駒がアップトゥデイトに追い付かないほどになっていた。
ただでさえ大逃げ戦法はスタミナを消耗する。そして当然ながら、スピードを出しながらの障害飛越は通常の飛越にべて危険度が大幅に上昇する。ともすれば玉砕上等のテレビと揶揄されそうな戦法だが、覚悟を決めた人は堂々たる勢いで先頭を爆走する。

オジュウチョウサンと石神ジョッキーも、これに応えてスズカプレストを交わすと群の前へと進出し、いつでも追い出しにかかれる体制を作った。アップトゥデイト大逃げに対し、オジュウチョウサン事実逃げのような体制でレースは進む。

2週に入っても、アップトゥデイトは10馬身以上の差を開けたままだったが、3号障害から1号坂路に入る頃にオジュウチョウサンが猛追を開始。じわりじわりと後続を突き放して、全に2頭のマッチレースを展開。オジュウと較しなくても綺麗と言われた飛越の高さが落ちたアップトゥデイトオジュウチョウサンが捕らえに掛かるも、アップトゥデイトは前王者の意地とばかりにる。最後の障害を飛越し、ダートを横切って最終コーナーを回り、直線に入っても、まだ3馬身以上の差。

しかし、それでも、障害としては隔絶した力で差を詰めていくオジュウチョウサン中山の急坂を上がり、50mを切ってついにアップトゥデイトに並びかけると半馬身の差をつけてゴールの前を駆け抜けた。4000mの逃亡劇はここに幕を下ろした。

2着にアップトゥデイト、3着は離れてルペールノエルが入線した。完走

レース結果

着順 タイム 着差 均1F
1 4 7 オジュウチョウサン 4:36.1 レコード 13.5
2 4 6 アップトゥデイト 4:36.2 1/2 13.5
3 8 15 ルペールノエル 4:39.4 13.6
4 3 4 シンキングダンサー 4:39.5 クビ 13.6
5 5 8 サンレイデューク 4:39.7 1.1/4 13.6
6 3 5 テイエムオペラドン 4:39.7 ハナ 13.6
7 7 13 イネルフィエスタ 4:39.8 1/2 13.6
8 8 14 クランモンタナ 4:41.1 8 13.7
9 2 3 スズカプレス 4:41.2 3/4 13.7
10 5 9 ミヤジタイ 4:41.4 3/4 13.7
11 6 10 ユウキビバワンダー 4:42.5 7 13.8
12 1 1 ウインヤード 4:44.6 13.9
13 2 2 ビコーピリラ 4:44.9 2 13.9
14 6 11 サムライフォンテン 4:45.0 1/2 13.9
15 7 12 クラシックマーク 4:48.5 14.1

払い戻し

単勝 7 110 1番人気
複勝 7 100円 1番人気
6 110 2番人気
15 200円 3番人気
枠連 4 - 4 190円 1番人気
ワイド 6 - 7 120円 1番人気
7 - 15 370円 3番人気
6 - 15 570円 8番人気
馬連 6 - 7 180 1番人気
馬単 7 - 6 200円 1番人気
3連複 6 - 7 - 15 680円 2番人気
3連単 7 - 6 - 15 930円 1番人気

総括

タイム斤量59kgのシンボリモントルー記録を26年ぶりに1以上更新する4:36:1。全完走。この中山大障害の売り上げは、前年15億1124万1000円に対しの45%増しの22億379万9500円記録。後年のJRA競馬名勝負列伝でも、多々ある地競走を抜いて2位に選ばれており[1]中山大障害そして障害競走史上、屈の一戦と呼ぶに相応しい名勝負であった。

オジュウチョウサンはこれで、グランドマーチス以来となる障害4勝を達成。グレード制以後のJ・GI4連覇は史上初。グレード制以前でも、フジノオーバローネターフしか成し遂げていない大記録を達成。障害重賞8勝はコウエイトライ以来。重賞8連勝もテイエムオペラオー以来である。

逃げアップトゥデイトも後続に大差をつけており、決して弱くなかった。というか、オジュウチョウサンが居なかったと仮定するとグランドマーチス以来となる大障害コースの4勝の栄誉はアップトゥデイトが得ていたであろう。戦後上が語った「時代が違ったら」という言葉は納得しかない。

さらに言えば、3着以下の競走馬たちとて全く弱くはない。馬場や展開にもよるが、4:40前後のタイムは例年では勝ち負けのタイムである。例えば、グレード制導入以降この回までで、3着ルペールノエル4:39:4を上回る勝ちタイムは僅か3回(第127回、第138回、当競走)である。

オジュウチョウサンはこれで年内4戦4勝。JRA賞では、「該当なし」1票を除き、前年同様最優秀障害に選出。更に、同年の年度代表馬に3票を投じられた[2]障害年度代表馬投票がなされたのは1975年グランドマーチス以来2度。また、ヒーロー列伝障害競走としては史上初めてオジュウチョウサンが選出。ここに至って、オジュウチョウサンの活躍と人気障害競走のそれをえ始めていたのである。

関連動画

関連リンク

関連項目

脚注

  1. *【ランキング発表】『競馬名勝負列伝』 栄えある1位に輝くのは!? | JRA公式exit
  2. *同年はキタサンブラック古馬王道GI6戦中全戦1番人気4勝3着1回の戦績を挙げており、年度代表馬はほぼ確実と見られていた。
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