解雇 単語


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カイコ

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解雇dismissal)とは労働に関する言葉である。

解任、契約解除、免職など様々な類似語があることも本記事で解説する。

概要

定義

使用者が雇用契約(労働契約)を一方的に解除して労働者を失業者に転落させることを解雇という。

解雇に当てはまらない例

使用者労働者が合意して雇用契約を解除する場合は解雇と表現されず、退職とか自退職と表現される。

雇用契約に定年の条文があり、労働者が定年を迎えて雇用契約が終わったとする。その場合は解雇と表現されず、退職とか定年退職と表現される。

使用者労働者が期限を定めて雇用契約を結び、その契約期間が満了したとする。そのあとに労働者希望したのにもかかわらず使用者が再契約の意思を見せず再契約しなかったとする。その場合は解雇と表現されない。

会社が取締役会計参与や監役といった役員を放逐することは解雇と表現されず、解任と表現される。役員は、会社法330条に基づき株式会社と委任契約を交わして役員報酬を受け取る存在であり、株式会社と雇用契約を交わして賃金を受け取る労働者ではない。このため解雇という表現を用いない。

芸能プロダクションがそこに所属する芸能人を放逐することや、プロスポーツ団体がそこに所属するプロスポーツ選手を放逐することは、解雇と表現されず、契約解除と表現される。このことは本記事の『個人事業主に対する契約解除』の項解説する。

解雇の4形態

解雇は次の4形態に分けられる。クリックすると本記事の解説に飛ぶことができる。

1.と2.はほとんど同じなので、1.と2.を同一視して「解雇は懲解雇と普通解雇と整理解雇の3種類に分けられる」と述べられることも多い。

1.と2.と3.は労働者の問題点を見出して使用者が行うものである。4.は労働者の問題点を見出さず使用者の都合だけで使用者が行うものである。

解雇規制が厳しいなら、1.と2.と3.は解雇規制のなかの解雇権濫用法理で制限され、4.は解雇規制のなかの解雇権濫用法理と整理解雇法理の2つで制限される。

1.と2.は労働者の問題点が根深いものであり「労働者の責めに帰すべき重大な理由による解雇」に該当しやすく、失業保険(雇用保険)において自己都合扱いになりやすく、失業保険の基本手当の給付日数が短くなりやすい。

3.や4.は労働者の問題点が較的に軽微であり「労働者の責めに帰すべき重大な理由による解雇」に該当しにくく、失業保険(雇用保険)において会社都合扱いになりやすく、失業保険の基本手当の給付日数が長くなりやすい。

以上をまとめると次のようになる。

1.懲解雇 2.諭旨解雇 3.普通解雇 4.整理解雇
労働者の問題点を見出すかどうか 労働者の問題点を見出す 労働者の問題点を見出す 労働者の問題点を見出す 労働者の問題点を見出さず、使用者の都合だけで行う
解雇規制で制限するときの法理 解雇権濫用法理 解雇権濫用法理 解雇権濫用法理 解雇権濫用法理と整理解雇法理
失業保険の扱い 自己都合扱いになりやすい 自己都合扱いになりやすい 会社都合扱いになりやすい 会社都合扱いになりやすい
失業保険の給付日数 短くなりやすい 短くなりやすい 長くなりやすい 長くなりやすい

類似語

クビとか馘首(かくしゅ)という表現は解雇の類似語である。江戸時代以前において武士が敵を殺するとき、敵の首を切ってそれを持ち帰って戦績の拠品にした。そのため相手の収入を断って相手を経済的に殺する解雇という行為をクビとか馘首と呼ぶようになった。

リストラという表現を解雇の類似語と扱うことがある。リストラrestructuringカタカナ語で再構築という意味であり、労働者を解雇したり工場などの固定資産を売ったりして会社の資産状況を好転させることをいう。

免職という表現は公務員に対する解雇をす。民間企業における懲解雇に当たる行為を官庁などで懲免職という。

解雇規制

日本のように解雇規制が厳しいでは使用者の解雇権が制限されている。

アメリカ合衆国解雇規制が緩いであり、使用者の解雇権が制限されず、使用者の機嫌一つですぐに解雇される例がある。

懲戒解雇

定義

労働者が就業規則に違反して会社の秩序を大きく乱して会社に重大な損失を与えたことを問題視して労働者を懲する意図で解雇することを懲解雇という。

労働者への不利益が大きい

解雇になった失業者が就職活動をするとき履歴書へそのことを記載せず就職にまで至ったとする。その場合、転職先の企業はその労働者を懲解雇する可性があり、裁判所もそれを有効と見なす可性がある(名古屋高裁判決昭和51年12月23日 弁天交通事件)。このため懲解雇は労働者の経歴と名誉に傷を付けて再就職を困難にさせる極めて重い処分である。

解雇は労働者の問題点が根深いものであり「労働者の責めに帰すべき重大な理由による解雇」に該当しやすく、失業保険(雇用保険)において自己都合扱いになりやすく、失業保険の基本手当の給付日数が短くなりやすい。

解雇になると退職金が全く支給されなかったり減額されたりすることが多い。

解雇になると予告期間を設けることなく即時に解雇することが多い。そして、労働基準監督署長の認定を受けたときに解雇予告手当を支給されないことが多い(労働基準法第20条1項但書及び3項に基づく解雇予告除外認定制度)。

懲戒解雇の例

解雇になる例を列挙すると次のようになる。

  1. 業務命の拒否(転勤の拒否、残業の拒否)
  2. 断欠勤・出社拒否
  3. 経歴詐称
  4. セクハラパワハラ・社内不倫・社内暴力
  5. 業務の中における業務上横領や窃盗など刑法に触れる犯罪
  6. 生活における刑法に触れる犯罪

このうち6.は「会社の社会的評価に及ぼす悪が相当重大であると客観的に評価される場合のみ」とした判例がある(最高裁判決昭和49年3月15日 日本鋼管事件)。

1.から5.のいずれも、会社の秩序を乱して会社に損失を与えた程度が相当に重大なものでない限り、裁判所が懲解雇を有効と認めない。

2.において、会社がハラスメントを放置して労働者を精神的に不安定な状態に追い込んだなどの理由が見られる場合は裁判所が懲解雇を有効と認めない。

1.と2.と3.は労働者が雇用契約に定められた労務の提供を怠ったことを問題視するものである。自己の経歴を正直に申告することは一種の労務提供と見なすことができる。

4.と5.と6.は労働者刑法などの規を破ったことを問題視するものである。

制限

解雇や諭旨解雇は懲処分の1つである。このため懲解雇や諭旨解雇を行う場合は、事前に就業規則にその手順などを明記しなければならない。

ちなみに、懲解雇や諭旨解雇に限らず全ての懲処分は事前に就業規則に明記しておかねばならない(最高裁判決平成15年10月10日 フジ産事件)。

解雇規制が厳しいにおいて、懲解雇や諭旨解雇は解雇権濫用法理で制限される。具体的な拠をえず疑惑だけで懲解雇・諭旨解雇することや、労働者が会社に与えた損失が懲解雇・諭旨解雇に相当するほど重大ではないことが社会の一般的な常識から明らかなのに諭旨解雇することは、効とされる。また、労働者弁明の機会の付与をせず懲解雇や諭旨解雇をしたら、「社会通念上相当であると認められない」と見なされて効になる可性がある(東京地裁判決平成24年11月30日 日本通信事件)。

諭旨解雇

定義

労働者が就業規則に違反して会社の秩序を大きく乱して会社に重大な損失を与えたことを問題視し、労働者を懲する意図のもとに「退職願を出さなければ懲解雇する」と通告して労働者に退職願を出させ、労働者使用者が合意して雇用契約を解除することを諭旨解雇という。

形式上は自主退職だが実質的な解雇

諭旨解雇は、「労働者が退職願を提出したあとに労働者使用者が合意して雇用契約を解除する」という体裁を取っているので、形式の上では解雇に該当せず労働者の自退職に該当する。このため諭旨退職と表現することがある。

しかし諭旨解雇は、使用者労働者に退職願の提出を強制しているので、実質的に解雇である。

労働者への不利益が大きい

諭旨解雇になった失業者が就職活動をするとき履歴書へそのことを記載せず就職にまで至ったとする。その場合、転職先の企業はその労働者を懲解雇する可性があり、裁判所もそれを有効と見なす可性がある(名古屋高裁判決昭和51年12月23日 弁天交通事件)。このため諭旨解雇は労働者の経歴と名誉に傷を付けて再就職を困難にさせる極めて重い処分である。

諭旨解雇は労働者の問題点が根深いものであり「労働者の責めに帰すべき重大な理由による解雇」に該当しやすく、失業保険(雇用保険)において自己都合扱いになりやすく、失業保険の基本手当の給付日数が短くなりやすい。

労働者への不利益が一部軽減される

諭旨解雇なら退職金が全額支給されることが多い。

諭旨解雇になると予告期間を設けることなく即時に解雇することが多いが、そうなったら労働基準法第20条に基づき30日分の解雇予告手当を支給される。

このため諭旨解雇は懲解雇にべて労働者への不利益が少ない。諭旨解雇は使用者による労働者への温情措置と言える。

制限

諭旨解雇に対する制限は懲解雇に対する制限と同じである。

普通解雇

定義

賃金という費用を削減して会社の利益を確保する的で労働者の問題点を見出しつつ労働者を解雇することを普通解雇という。

普通解雇の例

普通解雇になる例を列挙すると次のようになる。

  1. 労働者病気や怪などをして力を落として成果を生まなくなる
  2. 労働者が業務命拒否する行為のなかで会社の秩序を大きく乱して会社に重大な損失を与えるほどではないもの
  3. 労働者の勤務態度の不良や協調性の欠如
  4. 労働者が遅刻や欠勤を繰り返す

解雇や諭旨解雇は労働者が就業規則に違反して会社の秩序を大きく乱して会社に重大な損失を与えることを問題視するものであり、労働者が周囲に大きな迷惑を掛けることを禁ずるものであった。しかし、普通解雇はそういうレベルではなく、ただ単に労働者力が不足していることを問題視するものばかりである。

制限

解雇規制が厳しいにおいて、普通解雇は解雇権濫用法理で制限される。

普通解雇をするとき、会社は労働者力の低さを具体的な拠で示さねばならない。それを怠った場合は「客観的に合理的な理由がない」と裁判所に判断されて普通解雇が効になる可性が高い。

普通解雇をするとき、会社は何らかの注意や導や懲処分を十分に行って労働者を矯正する努力をせねばならない。それを怠った場合は「社会通念上相当ではない」と裁判所に判断されて普通解雇が効になる可性が高い。

裁判所は、解雇権濫用法理に基づき、会社に対して解雇を回避する手段を尽くすことをめる。解雇がに避けられない場合になって初めて裁判所は会社に対して最後の手段として解雇を認める。これが日本の判例に見られる一般的な傾向である。

整理解雇

定義

賃金という費用を削減して会社の利益を確保する的で労働者の問題点を見出さず労働者を解雇することを整理解雇という。

対象となる労働者

整理解雇で解雇されるのは、就業規則に反しておらず成果も十分に出している労働者であり、問題点を持たない労働者である。

制限

解雇規制が厳しいにおいて、整理解雇は解雇権濫用法理と整理解雇法理の2つで厳重に制限される。

個人事業主に対する契約解除

芸能人は個人事業主

芸能プロダクションにおいては、そこに所属する芸能人個人事業主とみなし、「専属マネジメント契約」という一種の委任契約を結ぶケースが大半となっている。

芸能人に支払われる報酬は、駆け出しの頃などを除けば通常全歩合給(フルコミッション)を基本としている。また仕事をする時間も一定ではない。このような環境で、芸能プロダクションが所属芸能人を雇用する形態を取ると、労働基準法をはじめ様々な法律に抵触する恐れが極めて高くなってしまう。

また、仮にタレントを雇用した場合、全く仕事タレントに対しても最低賃金または基本給の6割以上の固定給を支払うなどの制約が生じるため、売れっ子タレントの報酬に回せる報酬がその分少なくなってしまったり、休暇や労働時間の管理なども必要となってくる。芸能人の立場から見ても、給料制だといくら売れても手元に入るギャラが頭打ちになってしまうというデメリットが生ずる。

芸能人への契約解除

芸能プロダクションがそこに所属する芸能人を放逐するとき、解雇と表現するのは正しくなく、契約解除と表現するのが正しい。

なぜなら芸能人芸能プロダクションと雇用契約を結ぶ労働者ではないことが大半であるからである。

しかし、芸能プロダクションに専属する芸能人などに対して、不祥事などで事務所とのマネジメント契約を解除するに至った際にマスコミなどが「解雇」という言葉を誤って使用することが多い。

芸能プロダクションは所属芸能人に対して強い拘束性や排他性を有する契約を結んでいて、所属タレント事務所が用意してきた仕事を遂行する義務を負わされている。ゆえに芸能プロダクション芸能人契約はある面においては「雇用契約」としての側面も有する契約内容であることは確かである。そのため上記の誤用をすることが多い。

力士を除くプロスポーツ選手は個人事業主

プロスポーツ団体に所属するプロスポーツ選手も、選手ひとりひとり個人事業主と扱われ、労働者と扱われない。

ゆえにプロスポーツ団体がそこに所属する者を放逐するときに解雇と表現するのは正しくなく、契約解除と表現するのが正しい。選手なら退団、監督コーチなら解任と表現してもよい。

ただし、相撲界だけは例外である。力士日本相撲協会に雇用される労働者である。よって、力士不祥事を起こして引退した場合に解雇と表現するのは正しい。

その他の個人事業主

直営店ではないコンビニオーナーがそのフランチャイズチェーンから放逐されるとき、そのオーナー個人事業主なので、解雇と表現するのは正しくなく、フランチャイズ契約解除と表現するのが正しい。

保険外交員、電気ガスNHKなどの集金人、ヤクルトレディなどの販売人、工事現場などで働く一人方、これらはいずれも労働者ではなく個人事業主である。こうした人たちが所属先からの契約を打ち切られる場合も解雇ではなく契約解除というのが正しい。

フィクションにおける解雇

フィクションにおける解雇の描写は極端なものが多い。

解雇された本人のえるべく、子供族が主人公となって活躍するパターンもある。

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