サイバトロン(英:Autobots(TRANSFORMERS)、Maximals(BEASTWARS))とは、「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」および、それに続く一連のトランスフォーマーシリーズに登場する組織である。
善と悪という非常に単純な構造で展開されるトランスフォーマーシリーズの「善玉」に当たり、悪玉であるデストロンの破壊行為をくい止めるために自主的に組織されたいわゆる「民兵隊」である。そのため、変形するモチーフは民間車両が多く、正式な「軍人」(サイバトロンでは「戦士」と役職名が付く)も少ない。その代わり、デストロンに比べると技術者ホイルジャック、科学者パーセプター、看護員ラチェット、建築家グラップルなど、民間人の部隊ならではの才能を持った技術者が非常に多いのが特徴。
歴代総司令官はマトリクスによって選出されるが、マトリクスに選ばれた総司令官の内、コンボイは民間出身であるが故に軍事作戦の立案で失敗することが多く、ロディマスコンボイは司令官であるという責任に押しつぶされそうになるなど、全能の存在としては描かれていない。むしろ、それを皆が補うことでサイバトロン全体の結束が生まれている。また、 コンボイ、ロディマスコンボイ共に、自分を犠牲にしてでも仲間を救うと言う行動が、リーダーとしての信頼感を得ることに繋がり、サイバトロンを一つにまとめる大きな要素となっている。その後の歴代総司令官については選出方法が変わり、フォートレスマキシマスはロディマスコンボイの指名により、ジンライは仲間であるプリテンダーやゴッドマスターの推薦により、ダイアトラスはビクトリーセイバーからの指名により総司令官として選ばれている。またビクトリーセイバー(正確には合体前のスターセイバー)については、総司令官として選ばれた際のエピソードが不明であるが、劇中の活躍を見る限り、相当の実績を見込まれて総司令官に選ばれたのは間違いないようだ。
「ヘッドマスターズ」期には従来のセイバートロン星出身のトランスフォーマーに代わり、マスター星出身の小型トランスフォーマーたちが台頭するようになる。彼らは「ヘッドマスター」と言い、小さい体を補うために「トランステクター」と言う胴体に当たる部分と合体(トランスフォーム・ヘッドオン)し、セイバートロン星出身のトランスフォーマーと互角以上の力を身につけた戦士であった。
また、この時代の総司令官であるフォートレスは、ヘッドマスター・セレブロスがトランステクターにヘッドオンした姿であり、さらにこの状態で戦艦「マキシマス」にヘッドオンすることで、全長3000mの超巨大トランスフォーマー「フォートレスマキシマス」になる。しかし、力の消耗が激しいことと、あまりにも巨大な体故に周囲の環境に注意を払わなければいけない事などを理由に、あまりフォートレスマキシマスへの変形は見られなかった。
その後の「マスターフォース」期においては、ヘッドマスター達が去ったあとの地球において、地球人とトランステクターが融合した新たなサイバトロン戦士「ゴッドマスター」が登場する。彼らはトランステクターから選ばれ、「マスターフォース」と呼ばれる強化服をまとい、その後魂の結晶体であるアイアコーンに変形、トランステクターに合体する新時代の戦士であった。そして「天超魂」「地超魂」「人超魂」のパワーを使いこなすことで、これまでのトランスフォーマー以上の力を発揮することが可能になった。
このようなゴッドマスターと、人間に変身する能力を身につけたプリテンダー、ゴッドマスターと似たような形で強化服をまとい、トランステクターの頭部にヘッドオンできるヘッドマスターJr.等がサイバトロンの主軸となったため、歴代のサイバトロンの中で人間の占める割合がダントツに多いのがこの時期のサイバトロン・デストロンの特徴であった。
総司令官のジンライはもともと日本からの移民にすぎなかったが、偶然トランステクターを手に入れたことでゴッドマスターとなり、総司令官に任命されてしまう。トラック運転手という自由な身から一転して組織の司令官になってしまったジンライは己の運命を呪うが、元々リーダーの素質があったらしく、話が進むにつれ、歴代総司令官の中でも屈指の指揮能力を発揮することになった。
「V(ビクトリー)」「Z(ゾーン)」の時期には再び超ロボット生命体がサイバトロンの主軸となり、宇宙の勇者であったスターセイバーが合体戦士達を率い、同じく合体兵士が主軸となったデストロンとのエネルギー戦争に繰り出している。この闘いの中で第二方面軍の司令官を務めていたゴッドジンライが命を落とし(このゴッドジンライは、前作の最後でトランステクターに魂が宿った姿であり、元の青年であったジンライが命を落としたわけではない)、新戦士兼スターセイバーの強化パーツである「ビクトリーレオ」に転生を果たし、スターセイバーと合体「ビクトリーセイバー」となり、最終的にはデストロンの地球破壊計画を阻止した。
その後、新たな敵バイオレンジャイガーが出現し、ビクトリーセイバーはその戦いの中で溶岩に飲み込まれるものの、「ゾーンモード」への変形機構をもつパワードマスター・ダイアトラスとソニックボンバーに助けられ、ダイアトラス達2体は、バイオレンジャイガーが放った九大魔将軍のうち4体を瞬く間に破壊する。その後はダイアトラスが総司令官に任命され、バイオレンジャイガーとの決着をつけることになった。
その後コンボイとメガトロンが復活し、一度は和平を結ぶ物の、ある事件をきっかけにメガトロンが再び戦争を再開、G(ジェネレーション)2戦争を繰り広げる。このころになるとトランスフォーマー市場が衰退に向かい始め、企画が尻切れトンボのような形で終わることも多く、明確な決着はビーストウォーズの時代まで待たなければならなかった。
宇宙空間でのデストロンとの戦闘中に惑星「エネルゴア(=地球)」に墜落したサイバトロン達が、ロボットモードに適さない現地の気候に合わせるために現地の動物をスキャンし、動物(ビースト)への変身能力を付けたサイバトロンである。日本語では車両(ビークル)に変形するサイバトロンも動物(ビースト)に変身するサイバトロンも「サイバトロン」と呼ばれるが、英語では車両に変形するAutobotsに対して、「Maximals」と呼ばれる。
トランスフォーマー時代のサイバトロン(Autobots)が主に民間車両に変形するのに対し、ビーストウォーズ時代のサイバトロン(Maximals)は主にほ乳類、それも動物園で見られる程度の親しみやすい動物に変身する傾向にある。これは、トランスフォーマー時代のデストロン(英:Decepticons) が戦闘機や軍事車両、ビーストウォーズ時代のデストロン(英:Predacons)凶暴な恐竜や鮫に変形・変身するのとちょうど対をなしている。とくに「ネオ」のサイバトロンはコンセプトが「動物園vsジュラシックパーク」だったこともあり、コンボイ以外のメンバーが、キリン・ペンギン・ウサギ・タヌキ等のかなりファンシーな動物に変身し、賛否両論を呼んだ。
初代ビーストウォーズとその続編であるメタルスにおいては、サイバトロンは400万年前の地球(このときAutobotsがテレトラン1内部で眠りについていた)において、初代コンボイの抹殺を阻止するためにデストロンと戦闘し、そして未来に帰っていった。しかしコンボイ抹殺に失敗した(ビースト)メガトロンは未来のセイバートロン星の占拠に成功し、サイバトロンはゲリラ戦を余儀なくされる。
和製ビーストウォーズである「Ⅱ(セカンド)」は、現在から数万年後、地球人がすべて移住していなくなったあとの地球「惑星ガイア」を舞台にしており、「ネオ」においては、ワンマンズアーミーであったビックコンボイと、動物園を連想させるような動物に変身する士官候補生たちが、ユニクロンの復活を阻止するために宇宙に散らばったアンゴルモアカプセルを集める物語が展開された。 また、ネオの時代において最終的にデストロンとの和解に成功、これ以降の歴史については語られていない。
この時代のサイバトロンの特徴として、コンボイが個人名ではなく、役職名に変わっていることが上げられる。「Ⅱ」「ネオ」の時代にはサイバトロンは非常に高度に組織化されており、一部隊の部隊長として「コンボイ」の名前が付けられた。そのため、ビーストウォーズの時代には複数の「コンボイ」が同時に存在している。
「カーロボット」に登場するサイバトロン次元パトロール隊は、かつてはG1世代(初代~G2(玩具展開のみ)まで)のサイバトロンにも、カーロボット以降のサイバトロンにも属さない独自の組織であるとされていた(KTフィギュアコレクション・トランスフォーマーフィギュアのうち、(場違いにラインナップされていた)入浴中のアイちゃんのフィギュアに入っていた紹介カードに「初代コンボイたちとは別の時空のお話」と明記されている)が、最近では「未来のサイバトロンの一部隊」とされており、未来からワープしてきたG1世代のサイバトロンの一部隊という設定になっている。つまり、アメリカでコンボイ達がデストロンと戦っている間、2000年の日本では未来のサイバトロンと未来のデストロンの一味であるデストロンガーが戦っていたという事になる。
「マイクロン伝説」「スーパーリンク」に登場するサイバトロンは同一の組織であり、デストロンとは幾度となく衝突しつつも、G1の時空からワープしてきたユニクロンを倒すために手を組むこともあり、「スーパーリンク」の最後にて、ユニクロンを消滅させることに成功した。
「ギャラクシーフォース」では世界観が一新され、ギャラクシーコンボイ率いるサイバトロン軍は、セイバートロン星に迫り来るグランドブラックホールを消滅させ、宇宙を救うために、銀河系を股に掛けてプラネットフォースとチップスクエアの争奪戦を繰り広げる。最終的にグランドブラックホールを消滅させた後、この世界のデストロンのリーダー、マスターガルバトロンとの勝負をつけ、いわゆる「ユニクロン三部作」の最終作、そして現時点でのトランスフォーマーのTVシリーズの最終作にふさわしいラストを飾った。
初代トランスフォーマーの総司令官「コンボイ」は、そのビークルモードの形状がコンボイトレーラーであったことから付けられた名称である。英語においては、optimum(最適の、最前の、最高の、等の意味)+prime(最高位の、等の意味)を組み合わせた「OptimusPrime」が名称となっており、主人公でありながら日本とアメリカで名称が違う。
しかし、ビーストウォーズのコンボイ達(ゴリラ、ライオン、マンモス等に変形)や、ファイヤーコンボイ、ギャラクシーコンボイ(両方とも消防車に変形)などは、変形(変身)する対象がコンボイトレーラーではないのにも関わらず「コンボイ」を名乗っている。これは、すでに初代「コンボイ」の名前がサイバトロンの中で偉大な司令官の代名詞として使われており、ローマ帝国の「カエサル」の様に、個人名が司令官を表す称号としての役割を果たすようになったからである。
また、G1シリーズの和製シリーズである「ヘッドマスターズ」「マスターフォース」「V(ビクトリー)」「Z(ゾーン)」の各作品において、総司令官は販促上の理由(日本では同じキャラクターが長く売れず、定期的に新キャラクターを設定する必要があった)から「コンボイ」の名前を名乗っていない。
フォートレスマキシマスはfortress(要塞)とmaximum(最大級の)を組み合わせた造語であり、彼の身体的特徴を端的に表している。ジンライについては、ゴッドマスターとして合体する日系アメリカ人1世の青年の名前をそのまま名乗っており、おそらく語源は「迅雷」と思われる。スターセイバーはSaber(剣)を振るう様から、ダイアトラスは「大」+Atlas(ギリシャ神話に登場する天を支える巨人)からとっていると考えられる。
急上昇ワード改
最終更新:2024/04/28(日) 04:00
最終更新:2024/04/28(日) 04:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。