円城塔 単語


ニコニコ動画で円城塔の動画を見に行く

エンジョウトウ

3.6千文字の記事
これはリビジョン 1419839 の記事です。
内容が古い・もしくは誤っている可能性があります。
最新版をみる

円城塔。全ての可能な文字列にそれは含まれる。

概要:あるいは円城さんのこと

円城さん一般の性質について 

円城塔(以下、円城さん)が生起したのは、2007年に数学者アルフレッド・レフラーがレフラー球の定理を目撃する記念すべき日から実に35年も前のことである。

キャサリンAの報告に依れば、円城さんが生成する文字系列は文脈自由文法の一種[1]に含まれ、これは現在の時間束では一般に「小説」と呼ばれている。しかしながらこれらはトメさん[2]が提唱する自己消失オートマトンの一種「プロトタイプⅠ」であると考えられ、仮に解釈が可能であったとしてもその内容を保持することは巨大知性体でも無い限り困難だろう。生成される文章が「日本文字[3]」という未知の言語であることも困難に拍車を掛ける要因となっている。少なくとも、滅多矢鱈とお目にかかれない文章であることは間違いない。

円城さんの被読[4]の性質について

円城さんは可読性の他に特殊な性質を備えていると広く知られる。

例えばあたなが、紙面でも木簡でも石盤でもPCのモニターでも構わない、円城さんから出力された文字列を目にしたとしよう。文字列はあなたの眼球と自身の間に円城さんを生成する。読まれることで生み出され、ぷかりと宙に浮かぶ円城さんは、眼を介してあなたにハックし、あなたの脳をジャックする。このとき脳内に特殊な反応が起こり、目眩とも酩酊感ともいえぬ妙な気分になる[5]と読者の意見が一致する。

反応は個人差が勿論生じ、快不快も当然分かれる[6]。中にはあの読後感を再び味わおうと円城さんを止められぬ者もいる。円城さんを読むと睡魔が襲ってくるのであれば、ひとまず横になることをお勧める。

円城さんと良い夜の性質について

去る2012年1月17日、夜。
円城さんが生成した小説『道化師の蝶』は第146回芥川龍之介賞[7]を受賞する。

受賞者記者会見の様子はニコニコ生放送でネット中継され、衆目は人型の円城さんを目にすることとなる。円城さんを架空の存在や自動書記プログラムの一種と見做す一部の学者は唖然とし、コメント欄は視聴者の祝福の声で埋まり、当の本人は受賞の喜びを粛々と述べていた。

ここで特筆すべきなのは、会見中に円城さんの口から極秘計画・通称「Project Itoh[8]」について語られたところだ。中断されていた「Project Itoh」のうちのひとつが実は水面下で進行していたこと、自身が3年前からそれを推し進めてきたこと、そしてそれ[9]はもう少しで実行に移されようとしていること……。

良い夜を持っていた[10]

脚注:あるいは紛れ込む作者の紹介

1【文脈自由文法の一種】
DFAやε-NFAよりも表現力が高いことで知られている。
「まるきり何にも拘束されていないのならば、ものを書くことなどはできないだろうし、そもそも何かを話す気にもなれないだろう。(中略)わたしの筆跡は、わたし自身が真似しやすいようにできている。書かれるものが駄作となったり、多少は見目よいものになったりするはずはないのだ。書くという行為が真実存在しているのなら」
『これはペンです』(新潮社)円城塔。

2【トメさん】
先日無事に定年を迎えた大学教授。彼女が合計4タイプの自己消失オートマトンを提唱し、それらが鯰文書<*1>の謎を解明したことは記憶に新しい。
そんな記憶はないと反論する方もいると思うが、それは彼女の研究テーマに沿っているし、記憶がなかったところで実生活に不都合は生じない<*2>。

<*1>
鯰の像などに刻まれた文章<*1-1>のこと。時が経つとともに消滅する。

<*1-1>
筆者はこの記事を執筆するにあたり、どうも円城塔<*1-1-1>の文体を真似ようと試みているようだ。実に無謀<*1-1-2>というより他ない。注者として止めるよう進言する<*1-1-3>。

<*1-1-1>
男性の小説家。1972年北海道札幌市生まれ。処女作は『Self-Reference ENGINE』。
よくわからない話を書く小説家である。でも、何故かよくわからないのに面白い。そこがまた円城塔作品の魅力でもある。作品についてはWikipediaやはてなキーワードが詳しい。
元複雑系研究者。奥様はホラー小説家の田辺青蛙。

<*1-1-2>
[名・形動]結果に対する深い考えのないこと。また、そのさま。無茶。無鉄砲。(『大辞泉』より)

<*1-1-3>
と言いながら、そちらも円城さんの文体を真似して注を書いているではないか。わたしは兎も角、そちらは猿真似としか言い様がない。(筆者による注)<*1-1-3-1>。

<*1-1-3-1>
わたしは円城塔の記事の注を円城塔風に付けるというセルフでリファレンシャルな使命を遂行しているのであって、猿真似とは全くの心外である。その上、外野ならまだしも内野からケチを付けられる筋はない。撤回せよ<*1-1-3-1-1>。

<*1-1-3-1-1>
とまあ、ここまでの注やその他のやり取りは円城塔さんの作品の丸パクリパロディである(筆者による注)<*1-1-3-1-1-1>。

<*1-1-3-1-1-1>
詳しくは『烏有此譚』PP.56-58注25を参照。

<*2>
例えば、マカロニペンギンは二つの卵を産み、大きいほうだけが孵化するという情報を手に入れたところで実生活に不都合が生じる人は少ない。『魔方陣グルグル』(スクウェアエニックス)衛藤ヒロユキを参照。

3【日本文字】
現在までに120億字ほどが見付かっている謎の文字群のこと。漢字、漢漢字、漢漢漢字、平仮名、片仮名、平片仮名、片平仮名……と大まかなカテゴリに分けることは可能だが、これはあくまで暫定的なもので、今後の研究如何によっては抜本的な見直しもありうる。
近年、日本文字は主にひらがな・カタカナ・漢字の三種類の文字からなる「日本語」であるという新説が生まれ、学者たちを震撼させている。とは謂うものの、それぞれの文字種が変わる規則性がそもそも発見されていないため疑問の声も多い。

4【被読】
[名・動]物事が読まれること、読み出されること。また、今正にあなたがわたしに対してしていること。造語だ<*1>。勿論。

<*1>
造語ではあるものの、検索をかけるとちらほらヒットするし、「被書空間」という題の小説には対義語が入っていることだし、ここはひとつ大目に見てもらえないだろうか。
尚、先に挙げた小説は『戦闘妖精・雪風解析マニュアル』及び神林長平『敵は海賊・短篇版』に収録<*1-1>。どちらも早川書房から刊行。

<*1-1>
こういった情報こそ脚注で済ませる事柄ではないかとの声が聞こえる。その通りです。脚注の脚注が欲しい。

5【妙な気分になる】
これを指して「よくわからない」という。

6【快不快も当然分かれる】
好き不好きなどトラルファマドール的観点で捉えれば「そういうものだ」で済むのだが、多くの人はそうはいかない。よくわからないから面白いと感じる人もいればつまらないと感じる人もいる。逆もまた然り。

7【第146回芥川龍之介賞】
この回は円城塔『道化師の蝶』と田中慎弥『共喰い』(五十音順)が同時受賞。
『共喰い』に比べると『道化師の蝶』は随分と選考に時間が掛かったようで、ここらでその経緯について一席打つのも吝かではない。しかし、そんなことを言ったが最期、権力者(あるいはその取り巻き)の逆鱗に触れ大炎上などという事態は御免被りたい。意気地のないわたしをどうか許して頂きたい。こちらからは「芥川賞」「道化師の蝶」「怒って」「退席」で検索してくれと言うのが精一杯である。

8【Project Itoh】
小説家・伊藤計劃。詳しくは該当記事を参照。
円城塔とは同時期にデビューし、お互いを認め合う仲<*1>。

<*1>
有り体に謂えば「伊藤計劃×円城塔本」を書こうか、など自らをネタにして冗談を言い合うくらいの仲。
リバーシブルはどうなのか、それは注者の知るところではない。

9【それ】
題を『屍者の帝国』という。伊藤計劃が遺した30枚の原稿をもとに書き継ぐ長篇小説。発売日は未定。
プロジェクトは続く。

10【良い夜を持っていた】
テキストはここで途切れている。

参考文献:あるいは著書紹介

  • Self-Reference ENGINE(2007年、早川書房/2010年、ハヤカワ文庫JA)
  • Boy's Surface(2008年、早川書房/2011年、ハヤカワ文庫JA)
  • オブ・ザ・ベースボール(2008年、文藝春秋社)
  • 烏有此譚(2009年、講談社)
  • 後藤さんのこと(2010年、早川書房)
  • これはペンです(2011年、新潮社)

関連動画

 

関連商品

ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。
ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。
ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。

関連項目

  • 複雑系
  • SF
  • 小説家の一覧
  • 伊藤計劃
  • 大森望
  • 田辺青蛙
  • 神林長平
関連記事

親記事

子記事

  • なし

兄弟記事

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2025/12/13(土) 05:00

ほめられた記事

最終更新:2025/12/13(土) 05:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP