カーリーとは以下の事柄を表す。
- インド神話の女神。シヴァの妻パールヴァティーの憤怒相とされる。
- カーリー(イソギンチャク) - イソギンチャクの一種。
- カーリーヘア - 全体に軽い感じのカールをほどこした髪型。
- カーリー(ボーカロイドプロデューサー) - VOCALOIDを使用してオリジナルの楽曲を発表している製作者の一人。
- 実在の人名
- 架空の人名・キャラクター名
- カーリー渚 - アニメ「遊戯王5D's」の登場人物。
- カーリー(デジモンテイマーズ) - アニメ「デジモンテイマーズ」の登場人物。
- カーリー(のちにカーリー・ウィトウィッキー)(戦え! 超ロボット生命体トランスフォーマー)-アニメ「トランスフォーマー」シリーズの登場人物。
- カーリー星人 - 「ウルトラマンレオ」に登場する星人。
- カーリーブレイス - フリーゲーム「洞窟物語」に登場する女性型の武装探索ロボット。
- カーリー・ドゥルガー - SF小説「敵は海賊」シリーズの登場人物、匋冥(ヨウメイ)が搭乗する海賊船及びそれに搭載されている機械知性体の名称。インド神話の女神が名前の由来。
- カーリー・シェイ - アメリカのコメディドラマ「アイ・カーリー」の登場人物。
- カーリー - ゲーム「Mouthwashing」に登場する宇宙船の船長。
- 関西クレーマー - 関西弁でクレームを入れる人の総称であり、実在の人物とは一切関係ありません。
この記事ではインド神話の女神カーリー(काली Kālī)について記述する。
概要
破壊と殺戮を好む戦いの女神。
夫であるシヴァは創造の前段階としての「破壊」を司る神だが、カーリーはそういった役割のない、純粋な「敵を滅ぼす神」である。
「黒き母」を意味する「カーリー・マー」の別名がある。
その名は「暗黒」と「時間」を意味する「カーラ」から来ており、最上級の尊称となっている。
仏教においては大黒天女と呼ばれる。
肌の色は青みがかった黒色。3つの目を持ち、口からは牙をむきだして長い舌を垂らしている。
腕は4本あり、刀剣と切り取った生首を持っている。髑髏または生首をつなげた首飾り、腰には切り取った手足を繋いで飾りにするという、大変おそろしげな姿で描写される。
ヒンドゥー教における三主神の一柱・シヴァの神妃(マハーデーヴィー)の別相。
パールヴァティー、ドゥルガーと同様、それぞれが別の側面を移した存在とされている。
紀元400~500年頃に記された聖典(プラーナ)の一節『デーヴィー・マーハートミャ(女神の栄光)』によると、ディーヴァ(神)とアスラ(悪魔)の戦いにて顕現したと伝えられる。
神々の怒りから生まれた戦いの女神・ドゥルガーが、シュムバとニシュムバという兄弟のアスラと対峙した。更に兄弟の配下であるアスラ、チャンダとムンダを見た時、ドゥルガーは激しい怒りによって顔を黒く染め、額の第三の目から光と共にカーリーが出現した。カーリーは即座にチャンダとムンダを殺してその首をドゥルガーに捧げると、シュムバとニシュムバを滅ぼした。
またラクタヴィージャというアスラと戦った時には、カーリーは相手を散々に切りつけたが、その傷口から流れた血が分身となって襲ってきた。そこでカーリーはしたたる血をすべて飲み干し、地に溢れた分身を貪り食い、これ以上血を流させない為にラクタヴィージャを腰巻の切れ端で絞殺して葬り去った。
この勝利を祝い、カーリーは踊り狂った。その舞踏はあまりにも激しく、大地が割れそうになった為、シヴァは自らの体を彼女の足元に横たえ、舞踏が終わるまで衝撃を受け止め続けた。
踊り終わったカーリーは我に返り、夫の体を踏みしめている事に気づくとてへぺろと言わんばかりに舌を出した。この姿が最もよく知られており、しばしば絵や像として表現されている。
その強さから人気が高く、現在でも信奉者は多い。また大地母神・豊穣神としての側面も持っており、カーリーを祀る寺院では子宝を願う女性の参拝がひきもきらない。
インドの都市・コルカタの旧名「カルカッタ」はカーリーに由来しており、インドの中でもカーリー信仰が最も盛んだった。カーリー寺院が存在する場所はカーリーガートと呼ばれる最古の地区で、宗教都市としての趣が強い。
他方、その性質から血腥さとは切っても切れない。
カーリーの寺院では生贄が捧げられており、現在でもコルカタでは毎日山羊が首を刎ねられ血を捧げられ、肉は信者の糧や貧民への施しとされる。かつては人間の男児が生贄にされていたが、植民地時代にイギリスにより禁止された。
19世紀半ばまでデカン高原を中心に、「タギー」または「パンシガル」と呼ばれるカーリー信仰の殺人カルトが存在していたというのは有名な話である。
信者にはカーリーに捧げる供物として、年に一人以上の殺人が義務づけられた。旅人を標的とし、ラクタヴィージャを倒した時の神話になぞらえて黄色いスカーフで絞殺したという。余所者を獲物とする事で露見を防ぎ、奪った財貨で組織を維持しつつ、有力者に賄賂を送り隠蔽をはかった。
イギリス統治下で行われた掃討作戦により壊滅したが、英語では「犯罪者」を意味するサグ(thug)の語源となっており、映画「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」においては「サギー教」の名で使われている。
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