クリプトン・フューチャー・メディアとは、「音」に関する事業を展開する株式会社。
概要
1995年7月に設立。本社は北海道札幌市に所在。バーチャルシンガー「初音ミク」を始めとする「ピアプロキャラクターズ」の権利元(開発・発売元)としても知られる。
当初の業態はサンプリング音源CDやソフト音源の輸入販売のみだったが、音声合成ソフト事業に手を拡げ、初音ミクがキャラクターとして大ヒットしてからは一気に拡大。キャラクターIP事業、イベント運営、ライブ等の制作、デジタルコンテンツの開発・運営、クラウドファンディング、チャリティー、ローカルプロジェクト、内製の音声合成エンジンの開発などにもリソースを注いでいる。
海外でも東アジア・北米を中心に初音ミク関連のグッズやコンサートなどで成功を収め、プロデューサーとして携わる「プロジェクトセカイ」の大ヒットによりさらなる拡大が見込まれている。
2024年に運用スタートした「北海道リート」のスポンサーでもあり、その資産運用を担う中心的な幹事会社の一社である。
生成AIの音楽活用を模索するべく「Youtube」と協業することも発表された。
変遷
2004年11月5日にヤマハ開発の音声合成エンジン「VOCALOID」を採用した音声合成ソフト「MEIKO」を制作発売。当時1000本売れればヒットとされたバーチャル・インストゥルメント市場において初年度約3000本を売り上げ、大ヒットを記録した。
その後2006年2月17日に男声バージョンのVOCALOID「KAITO」を発売するも、売り上げは約500本にとどまった。なお、後述の初音ミク人気に伴い「MEIKO」「KAITO」も再評価され、特に「KAITO」に関してはニコニコ市場を通じて当初の倍以上の売れ行きが記録された。
2007年8月31日、VOCALOID2エンジンを搭載した「キャラクター・ボーカル・シリーズ」の第一弾として「初音ミク」を発売。音声ライブラリデータへの声優の起用、いわゆる「萌え」を採り入れたキャラクター重視のパッケージデザインなどから注目を集め、発売2週間で3000本以上を売り上げる異例のヒットを記録。インターネットを中心にその名が一気に知られることとなった。
この時期からすでにセガやグッドスマイルカンパニーに代表される各企業から初音ミク絡みで大量にアプローチがあったようで、キャラクタービジネスのノウハウがなかったクリプトン社は、他社に教わりながらノウハウを蓄積していったという。そうした経験も役立ち、やがてプロジェクトやライブコンサートなどのイベント制作・運営も行うようになる。
2007年12月3日、初音ミクの人気に合わせて自社製品専用コミュニティサイト「piapro(ピアプロ)」を開設。CGM(消費者生成メディア)を推進する、ユーザー同士の交流の場として提供・運営している。
2007年12月27日、「キャラクター・ボーカル・シリーズ」第2弾「鏡音リン・レン」を発売。2009年1月30日には第3弾「巡音ルカ」も発売されている。
豊富なジャンルのソフト音源輸入販売だけでなく、効果音、BGM、サンプリングなどサウンド素材を専門に配信しているSONICWIREを運営しており、音声合成ソフト以外の利用者も少なくない。
スマートフォンが一般的に普及してくるのに合わせ、2014年ごろからは初音ミクを中心としたモバイルコンテンツ事業にも力を入れている。
2017年からは他社IPのライブコンサートも手掛けるようになる。
2020年より、内製の音声合成エンジンを採用した初のソフト「初音ミク NT」をリリース。現在では、他社エンジンとのパラレル(マルチ)展開を行っていくことが発表されている。
2022年にはCGMチームの関本と代表取締の伊藤が「雷音株式会社」を設立。こちらはライブ制作に特化していることが窺える。
2024年には上述した北海道リートやYoutubeとの提携、AIを採用した音声合成ソフトのリリースも発表された。
キャラクター
ピアプロキャラクターズ
クリプトン社が展開している音声合成ソフトウェア、及びそのパッケージキャラクター(バーチャルシンガー)。音声合成という枠に留まらず、初音ミクを中心として様々な分野に展開している。
製品については各キャラクターの記事を参照。
また、各キャラクターのバリエーションも展開している(以下は主なバリエーション)。
その他のキャラクター
サービス
イベント
自社IPの他、近年では「あんさんぶるスターズ」や「ホロライブ」「Ado」「キズナアイ」「ミライアカリ」「ヒプノシスマイク」などのライブの制作にも携わる。
2022年、クリプトンの伊藤(社長)と関本(P)が立ち上げた「雷音株式会社」が設立され、そちらでライブ制作を請け負うことになっている。
◆主催◆
- SNOW MIKU
- 初音ミク「マジカルミライ」
- HATSUNE MIKU EXPO
- HATSUNE MIKU Digital Stars
- プロジェクトセカイ COLORFUL LIVE
- 初音ミク JAPAN TOUR 2023 〜THUNDERBOLT〜
- ピアプロキャラクターズの周年記念イベント
...ほか
ゲーム・モバイルコンテンツ
- 初音ミク関連のゲーム(発売元またはライセンサーとして)
- 初音ミクモバイル
- ポケット効果音
(モバイル向けの効果音配信サービス)
- SONOCA
(スマホ向け配信用音楽カード)
- Domingo
(北海道の情報発信アプリ)
- 初音ミク公式ナビ「ミクナビ」
(ピアプロキャラクターズ関連に特化した情報アプリ)
プラットフォーム・サービス
- EC
(音声ソフト、音声素材のパッケージ製品販売サービス)
- SONICWIRE
(音声ソフト、音声素材のダウンロード製品販売サービス)
- KARENT(バーチャルシンガー関連の音楽レーベル)
- piapro(CGM型サイト)
- Piapro Studio(VOCALOID用ボーカルエディタ)
- Kiite(産総研との共同開発技術および事業)
- MUTANT
(サウンド素材管理ソフト)
- ROUTER.FM
(独立系ミュージシャン向け音楽配信サービス)
- R3
(3DCGコントロール技術)
- gigle
(音楽ライブ情報サイト)
- 雪ミク スカイタウン(ショップ&ミュージアム)
- ミライスト CAFE x SWEETS x BAR(シメパフェ文化のルーツ。現在は閉店)
◆協力・ライセンサー◆
その他の事業内容
- 北海道リート投資法人 / 北海道アセットマネジメント(スポンサー/幹事会社)
- 株式会社ACT NOW(主要株主)
- まぜてよ★生ボイス(2013年終了)
- 録音した音声などをアップロードしてブログなどに張り付けて再生できる「VOON
」(2014年終了)
- ミクと歌おう♪
備考
- 2007年12月、初音ミクを使用したユーザー作品のドワンゴ・ミュージック・パブリッシングによるJASRAC登録・着うた配信が判明し、これに関して同社と意見が対立。両者のブログで意見の応酬がおこなわれるなど、楽曲作者・ユーザーを含め混乱が生じたが、最終的に、協議の上前向きに解決することで合意した。
- ニコニコ動画の動画を削除したことがある(経緯は白いクスリ
、公式ブログ
を参照)。削除者が表示される前だったため検索では見つからないがデッドボールPの曲を数曲削除している事も明らかにしている(詳細はデッドボールPを参照)。
- 全国の量販店のPOSデータを集計するサービス「BCNランキング」で、販売数1位のベンダーを表彰する「BCN AWARD」(サウンド関連ソフト部門)を2008年から2023年まで毎年受賞していた。[1]
関連チャンネル
関連項目
- ピアプロキャラクターズ
- クリプトン最大の誤算
- リトルベリーズ:キャラクター管理で参加
- SEGA:初音ミクシーンの形成で特に重要な役割を果たした
- グッドスマイルカンパニー:同上
- Youtube:主要投稿サイトの一つ。生成AIの音楽活用でも提携。
- bilibili:元mikufans(ミクのファンサイト)。中国のミク公式展開にも携わる。
- 動画を削除した権利者一覧
外部リンク
脚注
子記事
兄弟記事
- なし
- 9
- 0pt