![]() |
この記事は、角度のある部屋で読まないでください。 石膏やセメントを利用し、角度を埋めた上でお楽しみください。 |
ティンダロスの猟犬(Hound of Tindalos)とは、クトゥルフ神話作品に登場する架空の怪物である。
概要
初出はフランク・ベルナップ・ロングの小説「ティンダロスの猟犬」(1929年)。
生命創世以前、「時間」が生まれるよりも遥かな太古の時空にあって、異常な角度を持つ「尖った空間」に住む、不浄の存在。
「猟犬」と言っても、犬に似ている訳ではない筈だけど近年では犬のようにも見えるという設定が多い。永遠に飢えて満足を知らず、極めて執念深い事から「猟犬」の異名を持っている。
シュブ=ニグラスとマイノグーラの間に生まれたとされる。
「尖った空間」は過去・現在・未来が内包された「歪曲した空間」すなわち我々人類が存在する時空間とは異なる。不浄なる「尖った空間」にある者は、清浄なる「歪曲した空間」にある者を憎悪している。
ティンダロスの猟犬は、何らかの手段で時間旅行をして「尖った空間」に触れた存在を感知するや、それを捕らえるまで膨大な時間と距離を越えて追いかけてくる。
ティンダロスの猟犬が「歪曲した空間」に現れる場合、120度以下の鋭角が必要となる。部屋の角、割れた破片など、どれほど小さくとも条件に合致すれば、そこから青黒い煙が噴き出し、固まり、青い膿汁にまみれた原形質の実体が構成される。
逃れ得る方法は「鋭角をなくす事」。部屋の四隅を石膏などで埋め、曲線で構成された空間に引きこもる事で侵入は不可能となるが、それすら障害にはならない。
ティンダロスの猟犬は「ドール」と呼ばれるミミズのような異種族と同盟関係にあり、ドールは地震を起こして室内にひび割れを生じさせる事が出来る。
後はもうお分かりだろう、犠牲者はどうあっても逃げきれず、猟犬の餌となる。
……んだけど、後世の創作においてはあれやこれやで撃退されていたりする。
ローレンス・J・コンフォートの小説「万物溶解液」では、錬金術師エイノクラを抹殺せんとする結社によってティンダロスの猟犬が放たれる。しかしタイトルにある魔法の薬「万物溶解液」によって実体を溶かされ、あっさり返り討ちに遭ってしまった。
クトゥルフ神話TRPGでも、肉体を何らかの手段で粉砕してしまえば、それ以上は襲ってこられない。レベルを上げて物理で殴ればいいただしルール上、再生する耐久力、装甲、通常の手段では傷一つつけられない身体である為、至難の業である。
なお、宇宙でもホットドッグの材料にしたという話は聞かれない。
TRPGにおける追加設定と関連作品
クトゥルフ神話TRPGのサプリメント『Unseen Masters(見えざる支配者)』所収のシナリオ『The Wild Hunt (ワイルドハント)』においては、「尖った空間」ティンダロスの地とその住人達についての掘り下げが行われた。今のところこれらの設定が小説などに使われたという話は聞かないが、クトゥルフ神話小説作家がTRPGの設定を逆輸入するケースは意外と少なくないため、いつか彼らがゲームオリジナルモンスターの座を脱する日が来るのかもしれない。
このシナリオは、サプリメント発売当時(2001年頃)のニューヨークを舞台とした、ロングの小説の直接の後日談となっている。
- ティンダロスの混血種(Tindalosian Hybrid)
このシナリオにおいて直接対決する敵役。
小説『ティンダロスの猟犬』中のとある人物-ジェイムズ・モートン先生-が、猟犬が残した青い膿汁をよせばいいのに摂取し、変異した成れの果てである。普段はぶかぶかした服で人間のふりをしているが、正体を現すと、水晶と狼を掛け合わせたような姿になる。
モンスター集『マレウス・モンストロルム』における描写用フレーバーテキストは、ロジャー・ゼラズニィのファンタジー小説『変幻の地のディルヴィシュ』(1981年)に登場するサンドロスの犬 (Hounds of Thandalos)からの流用だが、両者の共通点は猟犬のパチモンっぽいという点以外には特にない。 - ミゼーア (Mh'ithrha)
このシナリオにおいて、混血種を使って地球に顕現しようとしている黒幕。
「ティンダロスの王達(後述)の最強個体、『大君主』」「北欧神話のフェンリルの原型」「『外なる神』ではないがそれに匹敵する力を持つ」等など、厨二病にも程がある強烈な設定を持つ。 - ティンダロスの王(Loads of Tindalos)
ティンダロスの猟犬よりも上位の独立種族。
ゲーム中の設定では「尖った空間」にあるティンダロスの王達と、「歪曲した空間」を支配するヨグ=ソトースは敵対関係にある。
小説中でチャマーズが今際の際に唱えようとしていた「アインシュタインの方程式」は、このシナリオではヨグ=ソトースを召喚することで猟犬どもを無力化する呪文のようなものだとされている。勝った方が我々の敵になるだけです。
『マレウス・モンストロルム』のフレーバーテキストは、ロングの小説『Gateway to Forever (永劫への門)』(1984年)から流用されているが、両者の共通点は「こいつらの名前を出す必要って別にないんとちゃうの?」という点以外には特にない。
この小説の主人公、トーマス・グランヴィルは「やつらはやせて、渇いているんだ! ティンダロスの猟犬たちは!」という不思議な声の後に「判然とはしないが狼のような(vaguely wolf-like)」姿を見ている。
グランヴィルさん、その声、作中では自身の内なる声っぽく書かれてますけど、小説『ティンダロスの猟犬』からロング先生がセルフコピペしてきた文章ですよ! まぁ『猟犬』の語り手と意識が交錯したとも暗示されてますが…
関連動画
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
- 7
- 0pt