ニュー・サウンズ・イン・ブラスとは、様々なジャンルの音楽を吹奏楽にアレンジした譜面及びCDのシリーズである。略称はNSB。
概要
1972年から(1976年を除く)毎年4月にリリースされており、本シリーズはミュージックエイトと並んで吹奏楽の定番曲として多くの学校や吹奏楽団体で演奏されている。初期はビートルズなどアメリカのポップスや映画音楽が中心だったが、現在ではジャズ、ラテン、J-POP、フュージョン、歌謡曲、さらにはアニソンやゲーム音楽など多彩にわたる。最近はメドレー形式の曲が多い。古い年代のCD・レコードは廃盤になっているものもあるが、一部の曲は「ニュー・サウンズ・スペシャル」(全2枚)で再録音されたり、オリジナル音源でも「ベスト・ニュー・サウンズ・イン・ブラス100」で聞くことが可能。
演奏は東京佼成ウインドオーケストラ、監修・指揮は1998年を除き日本の吹奏楽界の第一人者である岩井直溥が担当。主なアレンジャーは岩井直溥他、現在は真島俊夫・星出尚志・天野正道など。かつては、久石譲や宮川彬良なども参加していた。
なお、岩井直溥は2014年5月10日に死去。満90歳。「吹奏楽ポップスの父」と呼ばれ、本シリーズにおけるアレンジの他、数々の名曲、名アレンジを遺している。2013年度全日本吹奏楽コンクール課題曲の作曲、「ニュー・サウンズ・イン・ブラス 2014」(2014年4月23日発売)収録時の指揮等、晩年も精力的な活動を行っていた。
主な人気曲
「ニュー・サウンズ・スペシャル」→「SP1」、「ニュー・サウンズ・スペシャル」→「SP2」、「ベスト・ニュー・サウンズ・イン・ブラス100」→「ベスト100」と表記する。
- 追憶のテーマ
- '75、SP1に収録。1973年公開の洋画「The Way We Were」の主題歌。冒頭と終盤のアルトサックスソロが切ないバラードを高らかに歌い上げる。ニュー・サウンズ・スペシャルでは、須川展也が華麗な演奏を披露した。
- アフリカン・シンフォニー
- '77、SP1、ベスト100に収録。「ハッスル」などのディスコ音楽で知られるヴァン・マッコイが作曲。猛獣のうなり声を思わせるホルンの演奏が印象的で、現在では高校野球の応援などでもしばしば使われる、NSBを代表する名曲。
- A列車で行こう
- '79、SP1に収録。デューク・エリントン楽団の代表曲で、ジャズのスタンダード・ナンバーの1つ。トランペットやトロンボーンなどの金管楽器がメインとなった、ビッグバンドでもおなじみの作品。下記のシング・シング・シングも同様だが実は歌詞があり、紅白歌合戦で歌われたこともある。
- シング・シング・シング
- '81、SP1に収録。ベニー・グッドマン楽団の代表曲で、こちらもジャズのスタンダード・ナンバーとして名高い。後半はドラムとクラリネットのソロがメインとなっており、日本でも映画「スウィングガールズ」や東京ディズニーシーの「ビッグバンドビート」などでよく知られている。
- ブラジル
- '81、SP2に収録。原題は「ブラジルの水彩画」。アリ・バローゾ作曲のサンバの名曲で、1942年のディズニー映画「ラテン・アメリカへの旅」の挿入曲に使われ、世界でも有名になった。多くのアーティストによってカバーされ、日本でもお酒のCMで使われたこともある。NSBを代表するラテンの人気曲の一つに数え上げられている。
- ディズニー・メドレー
- '81、SP1に収録。現在でもNSBの定番となっているディズニー音楽を扱った最初の作品。曲目は「ミッキーマウス・マーチ~小さな世界~ハイホー~狼なんかこわくない~いつか王子様が~口笛吹いて働こう~星に願いを」と初期の映画作品が中心。編曲した岩井直溥の作風が色濃く残っており、スウィングアレンジが多い。
- コパカバーナ
- '87、SP1に収録。軽快なリズムがウリのラテンの人気曲の一つで、特に後半はパーカッションのソロ演奏をフューチャーしたアレンジとなっている。テンションの上がる楽しい曲だが、実は歌詞の内容はかなりブラックである。
- 宝島
- '87、SP1に収録。サンバ風の曲調で、歌詞のないポップバンドとして絶大な人気を得たフュージョン・グループ、T-SQUAREの大ヒット曲。1前年に発表された「オーメンズ・オブ・ラブ」と共に吹奏楽で演奏されることによって、さらに知名度を飛躍的に上げた。
- アメリカン・グラフィティ
- '89で初登場したシリーズ、通称アメグラ。アメリカでヒットしたポップス曲のメドレー集で、選曲・編曲は全て岩井直溥が担当。2010年では既に20作作られており、最新作では「スリラー」などのマイケル・ジャクソンメドレーが登場した。
- ジャパニーズ・グラフィティ
- '94で初登場したシリーズ、通称ジャパグラ。第1作ではグループ・サウンズコレクションだったが、その後は歌謡曲、特撮、時代劇、アニソンと毎回題材が異なっている。アメグラに比べて日本で知名度の高い曲が多いため、演奏されるケースが非常に多い。またアメグラと異なり、岩井直溥は一度も編曲していない。
- スパイ大作戦のテーマ
- '95に収録。アメリカの人気スパイアクションドラマ「ミッション・インポッシブル」のメインテーマ曲。ハイテンポな上に、4分の5拍子の不安定なリズムが緊迫感を煽り立てる。CDでは中盤に、女性から謎の電話が掛かってくる。
- 翼をください
- '98に収録。今ではドラマやアニメでも数多く使われている合唱曲の定番。宮川彬良がブラスバンドと合唱が合同演奏できるようにアレンジした本作は、前半は静かなバラード風、後半は一転してアップテンポで大いに盛り上がる。これ以降、NSBでは「バンドと合唱のための~」シリーズが数多く作られている。
- ディスコ・パーティー
- 2003に収録。その名の通り、70~80年代に流行したディスコのヒット曲を集めたメドレー集。小編成向けのため、初心者が多いブラスバンドにもお薦め。
- アニメ・メドレー ~翔べ!ガンダム~
- 2004に収録。機動戦士ガンダムのOP「翔べ!ガンダム」ED「永遠にアムロ」他、アニメ本編で良く耳にするサウンドトラックを挿入した、ガンダムファンにはたまらない一曲。特に「颯爽たるシャア」は、オリジナルと同じく数原晋がトランペットを演奏している。
- スーパーマリオブラザーズ
- 2010に収録。同ゲームの発売25周年を記念して、懐かしのBGMが初めて吹奏楽アレンジとなって演奏が可能となった。ミュージックエイトのように簡単な転調がされているが、途中にスーパーキノコのパワーアップや1upのSEまで、演奏で再現されている。
ピコカキコ
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関連項目
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