ヒーロー(とある魔術の禁書目録)とは、『とある魔術の禁書目録』に登場する用語・性質・カテゴリーである。
禁書では主に上条当麻、一方通行、浜面仕上の3人に対して使われる(3人のヒーロー)。
概要
新約7巻の説明によると、ヒーローとは「圧倒的不利な状況さえもたった一手でひっくり返す特異性を持つ存在」。 乱暴に言ってしまえばメタ的な「主人公補正」の事である。フレメアを軸とした人的資源計画の偽装(ダミー)として学園都市ではヒーローに関する実験が行われていた。
新約7巻以前にも度々ヒーローについては言及されている。ベルシ(木原加群)いわく、上条当麻は人を片っ端から救いあげる性質を持っているらしく、作者にはあとがきで「安全地帯」とも言われている。インデックス事件で記憶を失う前の上条は、自身を主人公気取りの偽善使い(フォックスワード)と自虐している。
3人のヒーロー
一口にヒーローと言っても、様々な分類がある
…誰に教えられなくても、自身の内から湧く感情に従って真っ直ぐに進もうとする者
…過去に大きな過ちを犯し、その罪に苦悩しながらも正しい道を歩もうとする者
…誰にも選ばれず、資質らしいものを何一つ持っていなくても、たった一人の大切な者のためにヒーローになれる者そのいずれもが、何度叩きのめされても自分の足で立ち上がるような者達だ
旧約19巻における「エイワス」の発言だが、これは上条当麻、一方通行(アクセラレータ)、浜面仕上の三人の主人公を指している。
ロシア・第三次世界大戦編(20~22巻)においてこの三人は「ヒーロー」という立場に置かれ、上条当麻は霊装に囚われたインデックスを、一方通行はエイワス現出の高負荷に苦しむ打ち止めを、そして浜面仕上は『体晶』の副作用の影響下にある滝壺理后を、時に交差し、様々な人の協力を得て、各々の立場から救ったのである。
上条以外も後にベルシが語る「片っ端から救いあげるヒーローとしての性質」を持っており、一方通行は番外個体(ミサカワースト)、浜面は麦野沈利を敵という立場から説得し、味方につけた。やはりというか上条も戦闘後に「右方のフィアンマ」を救っている。選択次第で、少なくとも麦野と番外個体には死を迎える悲惨な結末もあった事だろう。
かくして彼等は名実ともに主人公(ヒーロー)となったわけだが、新約に入って以降、少なくとも現時点までは上条以外は主人公として目立った活躍が少ない。浜面関連だと新約6巻の最後で滝壺の経過という伏線が張られていたりと、まだ試練がありそうなものだがこれが回収されるのかは定かではない(※2014年時点)。
ヒーローの役割
もちろん、彼等にだって救えない者は存在する。「北欧の魔神の少女」が何度も世界を滅ぼした為、結局みんな守れてなどいなかったのだ。
新約9巻では、彼等が守れなかった者・救えなかった者達(アリサ、妹達、フレンダ等)は、異なる『位相』が挟んである世界において幸福な日々を暮らしていた。
しかしこれは北欧の魔神の少女が創造した「誰もが幸せな世界」に過ぎず、その世界も「身勝手な願いで放棄したヒーロー」の戦いに巻き込まれ、完全に消滅してしまう。
ヒーローと言っても所詮は一方の立場から見た存在に過ぎず、度重なる事件や第三次世界大戦を経て英雄化されてきた一面も、暴力で有無を言わさず解決してきたと受け取れる。そこには世界を救った英雄などではない、世界に戦争の火種を振り撒いた大罪人として恨まれる「可能性」もあったのだろう。
新約9巻で破壊された世界が、上条というヒーローに対するアンチテーゼとなっていた。
上条当麻のヒーロー性
上条当麻はいわゆる「ヒーロー」である。これは揶揄でも皮肉でもない「性質」であった。
言葉にすれば陳腐な表現だが、作中では明確にカテゴリー分けされており、先述通り敵であっても味方であっても片っ端から救い上げる性質を持つ存在をヒーローという。
新約4巻、新約7巻などでカテゴリーとしてのヒーローを題材にしたエピソードが執筆されている。御坂妹、右方のフィアンマ、そして直近の巻では魔神オティヌス。過去彼が救ってきた者達も、多くは彼の性質によるものが大きかった。
しかし、当然ながら上条ですら救えない者もいた。間に合わなかった、もしくは不在だったのだ。例えば旧15巻では科学サイドの暗部にて多くの者達が悲惨な末路を遂げたが、あれはまさに「上条の不在は地獄のような惨状を生む」と、まざまざ見せつけられた事例でもある。
オティヌス、オッレルス、ベルシなどはその性質に気付き、まるで上条の手の届く範囲は全てが安全地帯であるかのように評している。
新約12巻ではサンジェルマンはこのヒーロー性とやらを無理矢理、変化させようとしたのだが…。
→サンジェルマン(とある魔術の禁書目録)
まぁいくら偽善使い等と卑下しようとも、彼は根っからのヒーローだったのだ。恐るべしヒーロー補正…。
その他のヒーロー
彼等以外にもヒーロー性を持つ者が存在する。『とある魔術の禁書目録』とは様々な視点から描かれたヒーローたちの物語であり、上記の三人以外にヒーローが数多く描かれているのである。
- 「後方のアックア(ウィリアム=オルウェル)」
イギリス編(17~18巻)、ロシア編(20~22巻)等。
アックアとして、騎士ウィリアムとして、ロシア編で全てをなげうった彼の行動が世界を救う一因となった。 - 「ベルシ(木原加群)」
バゲージシティ編(新約4巻)。木原病理の陰謀から子供を守った木原一族。魔術師ベルシでもある。
後を考えると能力や科学に愛された木原の性質はともかく、その善性は木原一族としては真に異端で、自身にヒーローだという自覚もない。しかし、彼も間違いなくヒーローに該当する者であった。
木原病理との戦闘において相討ちとなり、宿願であった復讐を果たし死亡した。作中での言葉を借りればそういうタイプのヒーローであったらしい。
彼の物語にヒロインが存在するなら守った「雲川鞠亜」とサポートした「マリアン=スリンゲナイヤー」の二人だろう。
鞠亜とマリアンは、彼女達の名前からしてベルシ(加群)を通して対比させたものと思われる。 - 「イギリス国民」
イギリスのクーデター編(18巻)。おおよそ9000万人ものヒーロー。 連合の意義(ユニオンジャック)によってカーテナの力を分配して国民総ヒーローとなった。上条とインデックスも唖然としていた。中々のぶっ飛び展開である。 - 「ヒーロー(学園都市)」
フレメアの実験で発生した7000人もの一般人の偽ヒーロー。 ヒーローという名の暴徒。数も質もイギリス国民総ヒーロー化と比べると劣る。 - 「御坂美琴」
ヒロインにして影の主人公(ヒーロー)でもある学園都市勢の超能力者(レベル5)。 主人公を務める「とある科学の超電磁砲」にて事件を解決していく。 時に敵に回ったり、本編主人公の一人にヒーローの役割を奪われる事も。
禁書目録本編でもヒロインでありながら若干ヒーローっぽく描写されがち。 - 「加納神華」
上条公認のヒーローであり、新約12巻の主人公ポジション。
友人のフレンダを失った事の喪失感、復讐心を精神的な成長で乗り越えた。因みに男の娘である。
関連動画
3人のヒーロー
上条当麻
一方通行&浜面仕上
蛇足
同時に、主人公(ヒーロー)になれなかった者達も存在する。
中でも旧約2巻のボスであるアウレオルス=イザードはその代表格といえる。
上条はインデックスを「一年毎の記憶の消去」から救う事に成功したが、アウレオルスもかつて同じようにインデックスを救う事を試みていた(まぁ結局アウレオルスは救えなかったのだが)。
ステイル=マグヌスと神裂火織もインデックスを救えなかった者達である。しかし特典SSなんかでは普通に主役を務めていたりする。主役がヒーローというのなら彼等もヒーローなのだろう。多分…。
関連項目
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