村上克司とは、日本の工業デザイナーである。ポピー・バンダイ社員当時は主に特撮・ロボットアニメのメカデザインを手がけた。
概要
玩具会社ポピー(後のバンダイ ボーイズトイ事業部)の社員として、超合金シリーズやマシンロボシリーズなどの立ち上げや、各玩具の設計、玩具の元となる特撮・アニメのヒーローやロボットのデザインを行う。しかし、作品の制作スタッフとしてクレジットされる事はない。
特撮・アニメ関連の初期の仕事として、石ノ森章太郎がデザインしたライジンゴーのリタッチなどが挙げられる。
戦隊ヒーローのゴーグル付きヘルメット、東映版スパイダーマンのレオパルドンから始まる特撮ヒーロー用巨大ロボット、メタルヒーローシリーズのコンバットスーツ(のちに平成仮面ライダーシリーズにまで継承される)、玩具で映像と同様の合体変形をこなすメカニック(当然、合体変形バンクにも違和感が少ない)など、多くのデザインを生み出し、のちに与えた影響は計り知れない。
具体的に彼がデザインしたヒーロー・ロボットの例を挙げる。無論、この他にも多数のデザインがある
- 戦隊ヒーロー(デンジマンからカーレンジャーまで)
- 戦隊ロボ(バトルフィーバーJのバトルフィーバーロボからマスクマンのギャラクシーロボまで)
- メタルヒーロー(ほぼ全て)
- 大鉄人17(石ノ森章太郎のデザインに変形機構を追加)
- レオパルドン
- ライディーン(アニメ用クリンナップは安彦良和)
- コン・バトラーV
- ボルテスV
- ダルタニアス
- ゴーディアン
- ゴールドライタン(ほか、ライタン軍団全て)
- 太陽の使者 鉄人28号(鉄人28号のリメイク)
他にも、特撮やアニメに頼らないオリジナルの玩具に以下のようなものがある。
これら、最盛期における数多くの働きは疑う余地はない一方、彼に対するマイナス評価となる事例も少なくない。
まず、最盛期のデザインでの失敗に、玩具としては傑作だったもののアニメで動かしづらいデザインとなったゴッドマーズ、マクロスのコンセプトを取り入れたが空振りしてしまった宇宙刑事シャリバンの超次元戦斗母艦グランドバースなどがある。
また、アニメロボット系超合金の末期には、15体合体が売りなのに15体合体できないダイラガーXV(DX機甲合体版は15体合体可能)、三体合体六変化が売りなのに全形態の見た目がほぼ同じのアルベガス、ワイヤーフレームを表現しきれずにパンタグラフの折り畳みロボになってしまったレザリオンなど、大型化・ギミック・強度・コストの限界に達したことが伺えるデザインが登場している。この後、アニメロボット系の超合金は、ギミックを単純化したビスマルクなどが登場するものの、ダンクーガを最後に姿を消す事になる。
他にもガッチャマンIIやウルトラマン80などのシリーズものにおいて、メカニックのデザインラインを途中からガラリと変えてしまった事にも、各シリーズのファンからの批判を呼んでしまっている(ガッチャマンIIのニューゴッドフェニックスに勝手に目とクチバシを書き加えた話は、実に有名である)。
さらにバンダイ在籍時晩年の強権ぶりも凄まじいものがあった。例えば、Ζガンダムに登場したサイコガンダムは、元々はΖガンダムのデザイン案で(村上克司がデザインし、バンダイ案として提出された)、初代ガンダムを巨大にし、更に大鉄人17と同様の変形機構を盛り込んだデザインであった。あの四角い飛行モードはΖガンダムのウェーブライダーに相当するものだったのである(確かに飛行形態としてはともかく、大気圏突入形態らしくはある)。一説によると、Vガンダムにおいて、バイク戦艦をアニメに出さなければ(富野監督を)クビにする、と強権発動させたのも村上克司であったという。
これらのこうだと決めたら譲らない強引な姿勢や、玩具会社主導の番組企画における地位の高さから村上天皇とあだ名がつけられていた。
このため彼の総合的な評価は、功罪入り混じりむずかしくなっているのが現状かもしれない。しかし、確かに言える事が一つある。それは、彼が生み出した不滅のヒーローたちは、今もなお、子供とかつて子供だった大人を魅了している、ということである。
関連動画
関連商品
関連項目
- 3
- 0pt