福山競馬場とは、広島県福山市千代田町一丁目1番1号に所在した競馬場である。主催は福山市競馬事務局。
概要
1949年9月開場。当初は福山市のほか、広島県、広島市、呉市も主催していたが、1968年より福山市のみの開催となり、現在に至る。兵庫県の園田競馬・姫路競馬とともに長年アングロアラブ専門の競馬場として知られ、全国の競馬場の中で、最後までアラ系レースを残していたが、2009年の重賞競走「開設60周年記念アラブ特別レジェンド賞」をもって終了。その一足先に2005年よりサラブレッドを導入している。なお、その後もアラブ馬はサラブレッドと混合でレースに出走していた(開催終了時点でも1頭だけアラブ馬(レッツゴーカップ)が在籍。最終開催前日まで出走した)。
競馬場はダートコース1周1000mで直線は200m。フルゲート10頭。かつては「弁当箱」とあだ名されるほどカーブがきつく、スピードの出るサラブレッドではコーナーワークが困難とされていたため、サラブレッド導入時にコースを改修せざるを得なかったほど。小回り競馬場特有の先行逃げ切りが決まりやすい競馬場のひとつである。賭式は2012年秋のIPAT発売開始にあわせて、枠番連勝複式の再開と、ワイドが導入されJRAと同一となった。
入場料は100円(コインゲート式、なお最後の1か月は無料になった)。特別観覧席はゴール付近の「わくわくルーム」(500円)と4コーナー付近の「ウイニングルーム クレスト」(1500円)の2種。場内の飲食は焼きそばやホルモン焼きそば、尾道ラーメンなどが有名。予想紙は「福山特報」「福山キンキ」(兵庫県競馬の「競馬キンキ」とは無関係)「福山エース」(東海地区の「エース」の姉妹紙)の3紙。競馬では珍しく、馬券の発券は日本トーターのものを採用しており(競馬で同社の券売システムを採用しているのはほかに高知競馬場と金沢競馬場)、馬券の様式が他の競馬場とは大きく異なっていた。また、いわゆる「フォーメーション」馬券が買えない、「流し」馬券が3連勝式では二頭軸にしかできない、さらには、場所によってはワイドが買えないマークカードしか置いていない(導入が遅かったためと思われる)などの初見殺しな点が最後まで見られた。さらに、自動券売機は数が少なく、代わりに有人窓口が多数稼動していた。
実況アナウンサーは中島啓(佐賀競馬場実況の中島英峰の兄)と西田茂弘(西田シゲ)の2人体制。
2009年からは「快闘乱馬」のキャッチフレーズで高知競馬場との連携を強化。相互場外発売の強化や人馬ともどもの交流競走の開催なども多く、日程表やパンフレットも両場合わせたものが製作されていた。また、昼間は福山のレースを観戦し、それが終わったあとは、続いて高知のナイターレースの中継を場内の大型ビジョンに流し、入場無料となった「わくわくルーム」で観戦できる「リレー発売」の形式がよく取られていた。
2002年の益田競馬場廃止後は、中国地方唯一の競馬場となっていたが、景気低迷などの影響による売り上げ減少は福山競馬場も同様であり、1998年度以降、市への収益繰り入れは行えず、施設の老朽化も進む。最終的には約19億円の赤字を抱えた状況に陥り、2010年度以降は「単年度黒字が出なければ廃止」の方針が決定。2011年度は皮肉にも震災の影響により発売額が増加して回避されたものの、2012年度は赤字の情勢が不可避となった上、今後の劇的な経営改善も望めないとされ、2013年3月24日をもって競馬開催を終了した。本場開催終了後は、他場場外発売のみを3月末まで行った後、福山市営の競馬事業は廃止となる。
なお、廃止時点の所属騎手15名のうち10名は他場に移籍して現役を続行する(高知3(ただし1名は日本での所属地を高知として韓国で騎乗)、大井2、北海道・川崎・名古屋・笠松・佐賀各1)。
競走馬
ローゼンホーマ…1985年~1988年に所属したアラブ馬。全国交流の「全日本アラブ大賞典」優勝など41戦34勝。連対を外したのは1度のみ。収得賞金1億円突破は福山競馬所属馬初の快挙だった。1990~2007年施行のアラブ馬限定重賞競走「ローゼンホーマ記念」にその名を残した。
モナクカバキチ…2001年福山デビューのアラブ馬。福山、佐賀、金沢、荒尾、名古屋を渡り歩き、福山復帰後の2012年7月14日第1競走での勝利で地方競馬通算55勝の日本記録(記録が整備された1962年以降の記録で)を達成。廃止が取りざたされる中での数少ない現役アラブ13歳馬の記録達成は全国報道もされた。通算216戦55勝。同年引退。
カイロス…2012年福山デビューのサラブレッド。福山デビューの最終世代ながら、快速を飛ばして連戦連勝を重ね、一躍注目を集めた。福山競馬場での成績は重賞5勝、JRA認定競走勝ちも含め、最終的に14戦13勝2着1回で連対パーフェクトの記録を残し(園田に一度遠征したがその時は着外)、最後の福山ダービーも制覇した。ダービー終了後大井競馬場へ移籍。
ビーボタンダッシュ…2007年JRAデビューの競走馬。馬主はダビスタでお馴染みの薗部博之氏。JRAでは1勝のみに終わり、2011年にホッカイドウ競馬へ移籍したが、ここでも1勝しか挙げられず2012年末に福山へ移籍した。移籍初戦に勝利するとその後も堅実に走り、2013年3月24日のファイナルグランプリに優勝、福山競馬場最後の優勝馬となった。福山廃止後はホッカイドウ・高知と渡り歩き、2014年いっぱいまで現役を続けた。通算82戦5勝。
主な騎手
三村展久(みむら・のぶひさ)…2011年~2012年に2年連続で福山リーディングジョッキー。2013年3月24日のファイナルグランプリに優勝、福山競馬場最後の勝利騎手となった。2013年度からは大井競馬場へ移籍する。
楢崎功祐(ならざき・こうすけ)…2009~2010年に2年連続で福山リーディングジョッキー。2013年度からは大井競馬場へ移籍する。
岡田祥嗣(おかだ・よしつぐ)…2000~2004年に5年連続福山リーディングジョッキー。2013年度のJRA新規騎手試験に9度目の挑戦で合格。2013年3月からJRA騎手となる。
岡崎準(おかざき・じゅん)…1977年益田競馬所属でデビューし、1996年福山へ移籍。福山所属騎手としては史上初の地方通算3000勝を達成。福山競馬廃止をもって騎手を引退。
佐原秀泰(さはら・ひでや)…1997年高知競馬所属でデビューし、2001年に福山へ移籍。カイロスの主戦騎手でもある。2013年度からは川崎競馬場へいったん移籍するも、同年8月にデビューの地である高知競馬場へ復帰。
下村瑠衣(しもむら・るい)…2011年ホッカイドウ競馬所属でデビューの、地方競馬でも数少なくなった女性騎手のひとり。2012年秋から福山で期間限定騎乗を行い、その後残り2か月ながら2013年2月に正式に移籍した。2013年度からは高知競馬場へ移籍する。
関連動画
おもいでの競走馬
福山サスペンス劇場
関連項目
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