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ナショナル・ホット・ロッド・アソシエーション（NHRA、National Hot Rod Association、全米ホットロッド協会）とは、アメリカ合衆国のモータースポーツ統括団体である。
概要
アメリカにおけるドラッグレース（1/4マイル＝約402.33mを2台のマシンで走行してタイムを競う）統括団体の一つ。1951年、ウォリー・パークスを中心に創設。カリフォルニア州グレンドラに本部を置き、アメリカ国内とカナダの北米を中心にレースシリーズを開催する。また、世界最大の会員数を誇る自動車クラブという一面も持っている。
NHRAドラッグ・レーシング・シリーズ
勝ち抜きトーナメント方式によって争われる最高峰ドラッグレースシリーズである。現在のシリーズ名は、2013年シーズンからNHRA Mello Yello Drag Racing Seriesとしている。
当シリーズはプロフェッショナルクラスとスポーツマンクラスによって行われる。プロクラスとは、トップフューエルクラス、ファニーカークラス、プロストッククラス、プロストックモーターサイクル（プロストックバイク）クラス等の上位クラスの事。又、スポーツマンクラスはガソリン又はアルコール燃料を使用したマシンで競う下位クラスであり、アルコールドラッグスタークラス、アルコールファニーカークラス、スーパーストッククラス、ストッククラス、スーパーガスクラス等様々ある。
1997年5月、NHRAウィンストン・ドラッグ・レーシング（1997年シーズン当時のシリーズ名）モパー・パーツ・ナショナルズ戦ファニーカークラスにて岡崎健滋（ムーンアイズ所属）が日本人として初優勝、年間6位入賞を成し遂げた。
NHRA規格
トップフューエルクラス＆ファニーカークラス
トップフューエルとファニーカーは両クラス共にNHRAの最高峰クラスである。細長いシャシーを持ち、細小さい前輪と後輪には図太いドラッグスリックタイヤ（ドラスリ）を履いている。ボディ形状やエンジン配置、駆動方式等が異なるが性能はほぼ同等である。
V型8気筒OHVスーパーチャージドエンジン(8,194cc)を搭載し、ナイトロメタン（ニトロメタン、CH3NO2）90％とメタノール（CH3OH）10％の混合燃料（規制前はナイトロメタン100%）を使用し、最大出力8,000hp以上を発生。燃費は10m/ℓ未満となる。ラジエーターは搭載しておらず、燃料の気化熱でエンジンを冷却する。ドラッグレースは些細なコンディション変化に影響されやすく単に馬力があれば勝てるものではない（安易なパワーアップはエンジンブローやホイールスピン、その他のトラブルの危険性が高まる）ため、チームの戦略などにより出力5,000～6,000hp程度にまで抑えられることもある。走行時には大変な負荷がかかるため、1回の走行毎にエンジンはオーバーホールが必須である。トーナメント制なので、次回の走行までに素早く作業する必要がある。また強烈なトルクがかかるため、トランスミッションは搭載していない(ダイレクト・ドライブ・システム)。クラッチは乾式多板で、走行時の負荷でプレートが痛むので基本的にこのようなパーツも1走行毎に交換する。
1/4マイルでのレースのタイムは、ファニーカーで4.6秒、トップフューエルで4.4秒程度で走ることが可能。ゴール地点での最高速度はトップフューエルとファニーカー共に530km/h以上になることもある。延々と加速を続ければ最高速は800km/hに達すると言われることもあるが、色々と問題があるのでこれはあくまで理論上の話。
この加速を例えると、後ろから300km/hの一定速度で走ってきた車が真横に来たときに静止状態からスタートしても、400m先では追い抜いてしまうことになる。
速すぎるが故に重大事故が起こった経緯があるため、2009年からトップフューエルクラス＆ファニーカークラスは
レース距離が短縮され、1,000フィート(304.8m)の距離でレースが行われている。
この距離の場合、トップフューエルでのタイムは3.7秒台、ゴール地点での速度は525km/h以上で走ることが可能。
0-160km/h加速タイムは約0.6秒、加速時にはドライバーに対し最大5.7Gの負荷が掛かる。ダウンフォースはゴール付近で5,000kgに達し、このうち両サイドから上向きに突き出た排気管からのガスだけでも500kg近く発生する。ゴール直後にパラシュートを開いて減速する。グリップを得るためにタイヤの空気圧はかなり低く設定されており、直径はスタート前は36インチ(約91.4cm)であるが、スピードが上がるにつれて遠心力が働き、最終的に44インチ(約111.7cm)にまで大きくなる。
その加速とスピードも然ることながら、エンジンが発生させる強烈な爆音も観客を魅了する重要な要素である。迫力満点なので、初見だと驚きを通り越して爆笑してしまう人もいる。人によってはマシンから100mほど離れていても耳を塞がないと耐えられないほどウルサイので、観戦には耳栓があったほうが安心できる。
これらの数値を見るだけでも、短い距離での加速性能に特化したこれらのマシンは、一般の改造車や他のモータスポーツマシンとは比べ物にならないモンスターであることが分かるだろう。また、両サイドマフラーから発する爆炎が翼のようにも見えるため、ニコ動では「光の翼」（V2ガンダムより）とのコメが書かれている。
ドラッグスターと呼ばれるオープンホイールカーを使用。直進安定性を高めるためにフォーミュラカーのホイールベースを2倍に延ばした様な極端に細長い形状であり、全長は約9m。エンジン配置及び駆動方式はミッドシップエンジン・リアドライブ方式（MR）。巨大なリアウイングが特徴的で、ドラッグレース用のマシンというとこれを思い浮かべる人が多いだろう。NHRAでは最も早いタイムでコースを駆け抜ける車である。トップフューエルドラッグスターとも呼ばれる。
ファニーカーと呼ばれるフルカウルボディマシンを使用。トップフューエルよりもホイールベースは短く、全長は約6m。カウルの外観はデフォルメだが実在車種が判別できるペイントを施しており、NHRAでは最も人気のあるクラスになっている。エンジン配置及び駆動方式はフロントエンジン・リアドライブ方式（FR）。エンジンがシャシーのほぼ中間に位置するため、厳密にはフロントミッドシップレイアウトである。トップフューエルと比べて直進安定性が悪くテクニックの差が顕著に現れる。しかもカウルで覆われていてエンジンがフロントにあるので爆発したりすると怖い目に遭う（爆発自体で怪我をすることは稀である）。フルカウルボディはドラッグスターよりも空力特性が高いため、ドラッグスターと同等の最高速を出せる利点がある。ドライバーの勇気が試される漢の乗り物であるが、ドラッグレース界のスーパースター、ジョン・フォースの娘、アシュリー・フォース等の女性ドライバーもいる。アルコールファニーカーと区別するため、ナイトロファニーカーまたはトップフューエルファニーカーとも呼ぶ。
※誤解されることが多いが、元々の意味は「ドラッグスター」や「ファニーカー」は車体の形状(規格)のことで、「トップフューエル」とは燃料にナイトロメタンを使用するクラスのことである。
プロストッククラス
市販車ベースのストックカー型改造車を使用。ファニーカーよりも市販車に近い外観を有し、フロントに大型のスーパーチャージャー用ラムエアダクトを持つ。V型8気筒OHVスーパーチャージドエンジンを搭載し、最大出力は1300hp以上。エンジン配置及び駆動方式はフロントエンジン・リアドライブ方式（フロントミッド）。タイムは6.4秒以内、ゴール地点での最高速340km/h以上で走ることが可能。
ドラッグレース用にモディファイした市販車ベースのオートバイを使用。ベース車両はカワサキやスズキが主流であったが、21世紀になりハーレーでの参戦も増えている。 市販車よりも極端に長いフレームを持ち、一体成型カウルで包まれている。前輪は小径で極細く、後輪には図太いドラッグスリックタイヤを履く。車体後部に大型のウイリーバーを装着し、ベース車両を模したダミーライト等のペイントが施されている。
最大出力は350hp以上で、タイムは6.7秒以内、ゴール地点での最高速320km/h以上で走ることが可能。
アルコールドラッグスタークラス＆アルコールファニーカークラス
両クラス共にスポーツマンクラス最高峰である。頭に「トップアルコール」とつけて呼ぶことが多い。 それぞれトップフューエルやナイトロファニーカーと似た外観で、エンジン配置、駆動方式もそれぞれプロクラスのドラッグスター・ファニーカーと同じである。V型8気筒OHVスーパーチャージドエンジンを搭載し、メタノールを主成分としたアルコールを燃料に使用。最大出力は3,500hp以上。トランスミッションを搭載しており、エアシフターにより変速を行う。
トップフューエルよりも若干シンプルな外見が特徴で、タイムは5.1秒、ゴール地点での最高速450km/h以上で走ることが可能。
ナイトロファニーカーに良く似ている外観をもつ。タイムは5.4秒、ゴール地点での最高速420km/h以上で走ることが可能。
関連動画
現代の脅威「ドラッグレース」
ドラッグレースの歴史と、マシンの進化についてわかりやすく解説されている。
1996年総集編
その他の関連動画
関連項目
関連リンク
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