新必殺仕置人とは (シンヒッサツシオキニンとは) [単語記事]

新必殺仕置人とは、朝日放送（現･ABC）制作で1977年 1月21日～1977年11月4日までテレビ朝日系列で放送された時代劇・必殺シリーズ第10弾である。全41話。

オープニングナレーション

のさばる悪をなんとする
天の裁きは待ってはおれぬ
この世の正義もあてにはならぬ
闇に裁いて仕置する
南無阿弥陀仏

ナレーター：芥川隆行

概要

寅の日に開かれる「寅の会」。これは表向きは句会だが、最後の挙句の中に標的の名前を織り交ぜ、詠んだ直後にその命を競りにかけ、最も安く落札したものが標的を仕置するという闇の会合であった。

かつて江戸を追われた鉄は江戸に舞い戻り、この寅の会で仕置人家業を営んでいたが、ある日の寅の会で詠まれた句に耳を疑う。

「八丁の掘りに中村主水かな」

かつての仲間が標的となったことに驚き、鉄は寅の会の掟を破って主水と接触した。主水は牢破りを防いだ手柄で定町廻りに復帰。順風満帆の生活を送っていたが、この鉄との再会により再び裏の世界へと戻ることとなった……

当時視聴率の低迷していた必殺シリーズを立て直すため、人気の高かった「必殺仕置人」の続編として製作された作品。念仏の鉄の再登場や殺し屋組織寅の会など、過去の評価点を踏まえつつ新要素を取り入れたことで、視聴者からの評判は非常に好評であった。今でもシリーズの最高傑作として本作をあげるファンは多く、前期必殺を代表する一作として仕上がっている。

登場人物（仕置人）

中村主水（なかむらもんど）: 演：藤田まこと; 南町奉行所同心。前作（必殺仕業人）では牢屋見廻りであったが、牢破りを防ぐ手柄を立てたことで定町廻りへと復帰した。裏家業からは足を洗っていたものの、鉄との再会から再び裏家業の道を歩むこととなる。; 寅の会に所属する鉄のグループの一員ではあったものの、その存在は寅の会には知らされていない。; 仕置技は標的を刀で豪快に切り捨てる。; 最終話で鉄の最期を見送った後も江戸に残り同心を続ける。そしてのちに商売人を結成することに。
己代松（みよまつ）: 演：中村嘉葎雄; 観音長屋に住み、鋳掛屋を営んで暮らす男。かつて鉄とは殺し合った仲で。人情に厚く、生前の犠牲者と絡むことが多かったため仕置の際に感情が表に出ることが少なくなかった。; 仕置技は手製の竹鉄砲で標的の急所を撃ち抜くというもの。射程距離はわずか二間で、初期では一発撃つと銃身が砕け散り自身も反動で吹き飛ぶなど欠点も多かったが、本業よりも力を入れて日々改良を加えることで克服していった（設定上は最後まで射程距離は二間だったが、明らかにそれ以上飛んでいる描写もある）; 最終話では奉行所に捕えられ、厳しい拷問の末に廃人となってしまった。; なお余談だが、媒体によって「巳代松」と表記されることもある。「己」を「み」と読まないことからこちらが正しいとされる意見があるが、人名においては「み」と読ませる（名乗り読みという）ため、誤りである。公式からの正式な発表はないためどちらが正しいかは不明だが、本記事では本編のクレジットに沿った表記で統一する。
正八（しょうはち）: 演：火野正平; 絵草子屋を営む、お調子者の青年。腕っぷしは弱いが情に厚く、その性格はグループの密偵役としても存分に発揮されていた。彼の絵草子屋の地下がグループの隠れ家になっている。一度だけ自らの手で仕置をしたことがある。; 最終話で鉄と寅が死に、おていと己代松は江戸を去ったが、彼は主水とともに江戸に残り、後に商売人を結成することとなる。; また後作の「翔べ！必殺うらごろし」に登場する正十と同一人物ではないかとも言われているが、前述の殺しをしたことのあるなしの設定が食い違っている。
おてい: 演：中尾ミエ; 女スリ。正八とともにグループの密偵を務めており、殺しは行わないものの囮として標的を油断させる等の活躍をすることもある。; 最終話では己代松と恋仲になっていたことが発覚。廃人となった己代松の最後の仕置を正八と共に成功させると、正八に見送られつつ己代松を連れて江戸を去っていった。
念仏の鉄（ねんぶつのてつ）: 演：山崎努; 仕置人最終回で江戸を去っていたが舞い戻り、観音長屋で骨接ぎ師を営みつつ寅の会に参加している。仕置の技は前作と変わらず素手による骨外し。しかしレントゲンは以前より鮮明になっている。; ピアスやブレスレットを付けたり、仕置の際に標的を真っ二つに折り曲げる等豪快な面を見せつけることもあれば、情に流されたり時には涙を見せるなど穏やかな部分もあるなど前作よりも人間味の増したキャラクターとして描かれている。; 最終話で最大の武器である右腕を焼かれ、仕置人としては終わりと言われたが、その右腕で最後の仕置を敢行。自信も致命傷を受けていたが、その体で女郎屋へ赴き、床入りして絶命した。鉄のキャラクターを象徴するその最期は、ファンの間で屈指の名シーンとして語り継がれている。

登場人物（寅の会）

元締・寅（もとじめ・とら）: 演：藤村富美男（元阪神タイガース）; 江戸の仕置人をまとめ上げた殺し屋組織「寅の会」を束ねる大元締。; 無口であまり台詞も上手くないが、その眼光は鋭く歴戦を潜り抜けてきた凄みを感じさせる。; かつては自らも凄腕の仕置人であった事が示唆されており、第3話および第8話では裏切り者に対し金属バット棍棒「物干竿」を用いて仕置を行った。そのうち第3話では演じる藤村氏の現役野球選手時代の映像がインサートされる演出となっている。; 仕置人たちを鉄の掟で支配する存在ではあるが、念仏の鉄に対してはその才能を高く買っている描写が見られ、掟をうっかり破りそうになった鉄に対し誰もやりたがらない仕置を押し付ける事と引き換えに特例で許すなどの配慮も見られた。; 最終話では死神の自刃を機に組織の解散を宣言するが、その後の勢力抗争に巻き込まれる形で外道仕置人・辰蔵一味に襲撃される。駆けつけた鉄へ自らを依頼人として外道の始末を頼み、そのまま息絶えた。
死神（しにがみ）: 演：河原崎健三; 寅の懐刀で、仕置人達の監視人も務める寡黙な男。; 神出鬼没でどこにでも現れ、掟を破った仕置人を得物の銛を使い淡々と始末していく。; 暗殺マシーンとして念仏の鉄ですら恐怖させる強さを持ち、寅の会の力の象徴として畏怖されていた。; その出自は北方民族のギリヤーク人（ニヴフ）であり、仕置の際に着用する得意な形状のアイマスクは、彼らの使用する遮光器が元であるとされている。; 第40話にて女仕置人であるお徳との愛に目覚め、彼女を殺した相手を私恨で殺害したために奉行所と寅の会両方に追われる身となってしまう。進退窮まった彼は正八の助けでお徳の遺体と対面。そのまま自刃した。; 彼の死によって寅の会はその求心力を失い、崩壊へ向かっていくこととなる。

エンディングナレーション（第13話のみ）

仕置…
法によって処刑することを江戸時代そう呼んだ
しかし、ここにいう仕置人とは
法の網をくぐってはびこる悪を裁く
闇の処刑人のことである
ただし、この存在を証明する記録
 古文書の類は一切残っていない

ナレーター：芥川隆行

主題歌

あかね雲: 作詞：片桐和子
作曲：平尾昌晃
 編曲：竜崎孝路
歌唱：川田ともこ

サブタイトル

話数	サブタイトル	放送日	話数	サブタイトル	放送日
1	問答無用	1977年 1月21日	22	奸計無用	1977年 6月17日
2	情愛無用	1977年 1月28日	23	訴訟無用	1977年 6月24日
3	現金無用	1977年 2月4日	24	誘拐無用	1977年 7月1日
4	暴徒無用	1977年 2月11日	25	濡衣無用	1977年 7月8日
5	王手無用	1977年 2月18日	26	抜穴無用	1977年 7月15日
6	偽善無用	1977年 2月25日	27	約束無用	1977年 7月22日
7	賃借無用	1977年 3月4日	28	妖刀無用	1977年 7月29日
8	裏切無用	1977年 3月11日	29	良縁無用	1977年 8月5日
9	悪縁無用	1977年 3月18日	30	夢想無用	1977年 8月12日
10	女房無用	1977年 3月25日	31	牢獄無用	1977年 8月19日
11	助人無用	1977年 4月1日	32	阿呆無用	1977年 8月26日
12	新設無用	1977年 4月8日	33	幽霊無用	1977年 9月2日
13	休診無用	1977年 4月15日	34	軍配無用	1977年 9月9日
14	男狩無用	1977年 4月22日	35	宣伝無用	1977年 9月16日
15	密告無用	1977年 4月29日	36	自害無用	1977年 9月23日
16	逆怨無用	1977年 5月6日	37	生命無用	1977年 10月7日
17	代役無用	1977年 5月13日	38	迷信無用	1977年 10月14日
18	同情無用	1977年 5月20日	39	流行無用	1977年 10月21日
19	元締無用	1977年 5月27日	40	愛情無用	1977年 10月28日
20	善意無用	1977年 6月3日	41	解散無用	1977年 11月4日
21	質草無用	1977年 6月10日