ウクライナ人道支援募金とは (ウクライナジンドウシエンボキンとは) [単語記事]

ウクライナ人道支援募金とは、ウクライナに対する人道的な支援を目的とした寄付のために実施される募金活動。呼称については団体によって様々だが、当記事ではドワンゴによって実施されている募金の名称及びタグに倣った名称を記事名とした。特に、ロシアによってなされた軍事侵攻によって生じているウクライナでの人道的危機に対し、広く行われているものである。

概要

まず人道支援という単語は、主要な国際機関によって以下のように定義されている。

緊急事態またはその直後における、人命救助、苦痛の軽減、人間の尊厳の維持及び保護のための支援

ナイチンゲールによるクリミア戦争での人道支援やイタリア統一戦争を機に、赤十字の前身となる「ジュネーブ負傷兵救護委員会」において定義された、人道支援の原則を底に、災害、また特定の武力衝突等によって人々の人道的安全が脅かされる際には、敵味方問わずにそうした人々の安全を支持しその支援を目指す外部の国家や団体などによる緊急の人道支援がなされ、そしてそのための募金が行われてきた。例えば近年でも、シリア、アフガニスタン・パキスタン、南スーダンなどへの人道支援の例が存在している。

ウクライナに対しては、2014年の紛争、また2022年 2月にロシアがウクライナに対し軍事侵攻を開始、国民の自由が大きく損なわれる事態に直面したことで、大きく生活に窮する人々を支援する働きかけのため、支援や募金を行う動きが世界的に起こった。多くは外部の団体・集団によって興され、その使途はその団体による物資の調達や、団体の人員による現地支援などが多い（詳しくは各団体の支援概要を参照のこと）。あくまでも特定の国家に与するのでなく、一般市民の人道的な危機に対する支援が主である。

ドワンゴのウクライナ人道支援募金動画(2022)

ひとえに募金といえども、公益や非営利の法人、一般企業、行政、政党など非常に多くの団体が寄付を募っている。ニコニコを運営する株式会社ドワンゴもニコニコ動画の特設動画を通じて募集を始めている。募金に際しては、各団体の性質や信用、支援分野などから自分なりに支援したい方面を検討し、信頼できるところに対して行うのがよい。

また、募金の呼びかけを騙る詐欺（募金詐欺）も存在する。団体に活動実態が無かったり、実際には支援を行わないのに募金活動を呼びかけていることがある。まずは団体のことを調べ、活動の背景をしっかりと確認しよう。

2023年までに日本で募金を受け付けている団体・法人

募金を受け付けている団体は、行政やマスコミ等の各種メディアにおいて紹介されており、適宜確認したい。また、Yahoo!ネット募金のサイトなども役立てることができる。ここでは一部の支援を目的に活動する団体が直接支援を募っている。

ところで、以下には参考として順不同で代表的な団体の例を一覧として挙げる。団体・機関名が寄付ページへのリンクとなっている。

掲載基準として、銀行など「遠隔での送金」を募っている団体に限り、募金箱のみの募集は省く事とした。募金箱については、お住まいの地域の行政や施設などのお知らせを参照のこと。

掲載しているものに関しても、編者によって収集された情報であるため必ずしも以下のものが全てではない。当然ながら最新の情勢と異なる場合があるため、あくまでも参考資料とし、常に多角的に情報を確認、公式の情報をファクトチェックされたい。

最終更新：2023年 2月15日

ウクライナ関連

ウクライナ赤十字社

命を尊重し、国際的に負傷者救護を行う集団「赤十字」のウクライナ支社
ウクライナでの人道危機対応や、他国での避難民受け入れや救援活動の支援が募金の使途となる。
送金手段はクレジットカード。

国連下部機関

国際連合の国際平和等の理念に基づき様々な支援活動をおこなっている、国連の下部組織である。

日本ユニセフ協会	子どもの緊急援助を主目的に活動している国連の機関ユニセフ(国際児童緊急基金)の日本公式窓口である公益財団法人本募金でもウクライナの子どもたちの命を守る事を目的とし、寄付金は保健衛生、教育や保護等の為に還元される。送金手段はクレジットカード、ネットバンク、Amazon Pay、キャリア決済、コンビニ、郵便。Yahoo!ネット募金でも受け付けている。
国連UNHCR協会	難民支援を目的とする国連の機関UNHCR(難民高等弁務官事務所)の日本公式窓口として設立された認定 NPO法人本募金はウクライナの難民の保護・援助活動を目的とし、ウクライナ及びヨーロッパ地域での救援・救護活動のために充当される。送金手段はクレジットカード、コンビニ、ネットバンク、郵便局・ゆうちょ銀行。Yahoo!ネット募金でも受け付けている。
国連WFP協会	災害などによる食糧難にあえぐ人々への食料支援を目的とし設立された国連の機関世界WFP(食糧計画)の日本公式窓口である認定 NPO法人現金支給と食糧支援を通じてウクライナで紛争の影響を受けている315万人の支援対象者へ支援を行う。送金手段はクレジットカード、コンビニ決済。Yahoo!ネット募金でも受け付けている。

NGO・NPO、公益法人等

多様な特定の目的・理念により公益性の高い活動を行う民間の団体。「認定 NPO法人」や「公益法人」などの認定を受けた法人では寄付金の税額控除があり、一定の還付を受けることができる。

日本赤十字社	命を尊重し、国際的に負傷者救護を行う集団「赤十字」の日本支社ウクライナでの人道危機対応や、他国での避難民受け入れや救援活動の支援が募金の使途となる。送金手段は銀行振込、郵便振替、クレジットカード、コンビニ支払など。募集期間は2022年 3月2日〜2024年 3月31日を予定 (2023年 2月確認時点)
国境なき医師団	紛争や災害、貧困など医療の届かない現場に医療援助を行う国際組織で、日本ではNPO法人として支部がある寄付金は紛争下の現地の人々や周辺へ避難した人々への医療支援を行うための、資材の確保などに用いられる。期間は2022年 3月9日〜未定であったが、2022年 3月15日に受付を終了した。但し、日本法人でない国境なき医師団では2023年 2月15日現在も受付を継続している（クレジットカードが利用可能）。
AAR Japan [難民を助ける会]	紛争や災害などで困難に直面する人々の支援を目的とする日本の国際NGOで、認定 NPO法人募った資金によって支援物資などを調達、現地にネットワークを持つカトリック教会などと協力して、難民へ輸送などの支援を行う。送金手段はクレジットカード、コンビニ、銀行振込、郵便振替。
ピースウィンズ・ジャパン	海外人道・災害支援、保護犬や地域再生等の事業を行っている認定 NPO法人隣国ポーランド・モルドバに人員を派遣し、ウクライナ内の提携団体などと連携しながら人道支援を行う。送金方法はウクライナ支援への募金はクレジットのみ。全活動への定期寄付の場合はクレジットに加えて郵便振替や銀行振込の送金登録も可能。Yahoo!ネット募金でも受け付けている。
ジャパン・プラットフォーム	NGOや日本政府などが協力し設立された、人道支援を行う加盟NGOへの支援を目的とするNGO 加盟するNGOに対して支援を行い、それら団体によって現地の初動調査や様々なケア・支援を目指す。送金方法はクレジットカード、PayPal、銀行振込、郵便振替。また、Yahoo!募金やクラウドファンディングなども。
ADRA Japan	発展途上国や被災地の開発・人道支援などを行う国際NGOの認定 NPO法人。ウクライナ国内にも拠点を複数有するウクライナ国内の拠点や周辺国において、各種物資、現金などの支給によって支援を行う。送金方法はクレジットカード、PayPal、銀行振込、郵便振替。Yahoo!ネット募金も受け付けている。
チャイルド・ファンド・ジャパン	アジアを中心に、貧困などの中に暮らす子どもの権利を守り支援することを目的とした国際団体チャイルド・ファンド・アライアンスに加盟する認定 NPO法人。ウクライナの支援はドイツの加盟団体を通じて行っていた緊急支援として、子どもたちやその家族に対する、物資やケア等の支援を実施する。送金方法はクレジットカード、銀行振込、郵便振替、コンビニ。
グッドネーバーズ・ジャパン	災害や紛争などで苦しむ世界中の人々、特に子どもの人道援助を目的とする国際NGOの認定 NPO法人隣国ルーマニアに人員を派遣して調査、現地でのパートナーと共に物資支援やその他保護活動等を行う。送金方法はクレジットカード、郵便振替、銀行振込、Yahoo!ネット募金。
ワールド・ビジョン・ジャパン	キリスト教の精神を基とし、発展途上の地域への援助や災害・紛争に苦しむ子どもたちの支援などを行う国際NGOの認定 NPO法人避難民となった人々に対して衛生キットや教材などの提供、及び心的ケアを行う。送金方法はクレジットカード、ゆうちょ銀行振込。
IVY	「世界中の誰もが人間らしく生きることができる社会」を目指し、多くの発展途上国や紛争地において教育や野菜栽培等の支援を、また国内においても国際理解教育や外国人支援などを行う山形県の認定 NPO法人隣国スロバキアに拠点を置く同法人の提携NGO・Step-Inを通じ、保健・医療、情報、物資等の支援を行う。送金方法はPayPal、クラウドファンディング、郵便振替、銀行振込。
テラ・ルネッサンス	「すべての生命が安心して生活できる社会の実現」を目的とし、海外において地雷、小型武器、子ども兵といった課題に直面する人々のの支援活動を、また国内において平和教育・啓発を行う京都府所在の認定 NPO法人ウクライナ・コンゴ2国を対象とする。ウクライナ側は隣国ハンガリーへ人員を派遣して難民等の状況の調査を行い、また、長く紛争の続くコンゴ民主共和国も含め、食料や住居、医療・教育機会等の支援を行う。送金方法はクレジットカード、銀行振込、郵便振込。
日本武道総合格闘技連盟	武道を通じて日本伝統文化や競技の振興、社会不適応者自立支援事業などの青少年健全育成、チャリティ活動などを行っている認定 NPO法人禅道会ウクライナ支部を通じ、食糧、医療、衣服などの支援を行う。送金方法は銀行振込。
全日本仏教会	日本の多くの仏教宗派・仏教会・仏教団体の加盟する連合組織としての公益財団法人 WFB（世界仏教徒連盟）の要請を受けて募金を実施する。情勢を鑑みながら支援検討会議において然るべき国際機関を決定し、寄付を行う。送金方法は銀行振込。ただし、書類への必要事項の記入の必要あり。 2023年 2月13日までに19,277,472円の寄付金を集め、取扱を終了した。「災害救援基金」の受付は継続するとしている。
プラン・インターナショナル・ジャパン	子どもの権利を推進、貧困や差別の撲滅を目指し、特に女性支援やジェンダーに配慮した総合的な支援を行っている国際NGOの認定 NPO法人ポーランド、ルーマニア、モルドバに調査団を派遣し、現場において子どもや若者、女の子や女性を保護するための環境の整備やケアなどを行う。送金方法はクレジットカード、コンビニ、郵便振替、銀行振込。Yahoo!ネット募金でも受け付けている。募集期間は2022年 3月3日～8月31日。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン	子どもたちの貧困、病気、紛争、虐待など様々な課題を根本的に解決するために活動している、子ども支援を専門とする国際NGOの公益社団法人ウクライナとその周辺国において、衛生、子どもの保護や教育機会確保、精神的ケア、住居や食料以外の様々な物資支援、食料・生計支援の五つの軸を中心とした支援を行った。送金方法はクレジットカード、ゆうちょ銀行。Yahoo!ネット募金でも受け付けた。 2022年 3月末までに緊急支援を実施。およそ45億円規模の支援を行った。
ケア・インターナショナルジャパン	貧困のない、誰もが尊厳を持ち暮らせる世界を目指し、多様性と包摂性を尊重、ジェンダー平等と女性と女子のエンパワメントを目標に国際的に開発支援等を行う国際NGOの公益財団法人シリアやアフガニスタンなど世界各国の紛争地域でおこなってきた緊急支援のノウハウをもとに、ウクライナ国内および周辺国で物資や精神的ケアなどを行う。送金方法はクレジットカード、郵便振替。Yahoo!ネット募金でも受け付けている。
ピースボート災害支援センター	船旅を通じて様々な国際交流を行ってきた国際団体ピースボートが、2011年3月11日の東日本大震災を契機に災害支援のために設立した非営利の一般社団法人隣国ルーマニアで活動する支援パートナー団体PATRIR(ルーマニア平和研究所)から、国境付近で物資や情報等の提供支援を行う。また、ウクライナ国内に対する支援の構築も進める。また、日本の再生医療技術を提供する「再生医療リハビリテーションプロジェクト」としての支援も行い、その寄付も募っている。送金方法はクレジットカード、郵便振替、銀行振込。また、Yahoo!ネット募金、ソフトバンク「つながる募金」からも受け付ける。

企業、一般法人

企業などに関しては、前述したNPO等の法人に対して支援を送るものがほとんどである。しかし、支払いの方法に融通が利いたり、各社のポイントやプラットフォームを利用できる場合があるなどの利点がある。

楽天	日本最大の通販サイト「楽天市場」をはじめとするインターネット関連のビジネスを展開する企業。物流や金融など幅広く手掛けている。楽天クラッチ募金を通じて募金を行う。集まった寄付金はウクライナ大使館、日本ユニセフ協会、国連UNHCR協会をはじめとする、人道支援を目的とした複数の団体へ振り分けて寄付される予定。送金方法は楽天ポイント(自社ポイント)、クレジットカード、楽天銀行での振込。募集期間は2022年 2月28日～2022年 6月30日。当初は3月31日までだったところを3ヶ月延長して支援を行った。
セブン&アイ	コンビニのセブンイレブン、スーパーマーケットのイトーヨーカドーをはじめ、百貨店や金融事業などを傘下に持つ大規模な流通持株会社。寄付金は国連UNHCR協会を通じて国連UNHCR(難民高等弁務官事務所)へと寄付される。送金方法はセブンマイル、nanaco ポイント・セブンカードポイント、セブン銀行の専用口座、ATM、またグループ各店の店頭の募金箱から。募集期間は2022年 3月9日〜2022年 4月30日で、終了済。
ドワンゴ	日本最大の動画サイト「ニコニコ動画」をはじめとするインターネット事業を手掛ける、KADOKAWAのグループ企業集まった寄付金の使途は、生活支援・救済のために使われる寄付先を選定するとしているが、2022年 3月17日現在では未定となっている。送金方法はニコニコポイントを用いて、対象動画へギフトを送ることである（ニコニコポイントの購入・入手方法は該当記事にて）。募集期間は2022年 3月4日～2022年 5月31日で、終了済。
メルカリ	日本におけるフリーマーケットサービス最大手で、決済サービス「メルペイ」なども手掛ける。「メルカリ寄付」というプラットフォームを通じて寄付を希望する団体の募金支援も行っている寄付金は日本ユニセフ協会およびセーブ・ザ・チルドレンの緊急支援へ寄付される。売上金などからチャージされる「メルペイ」残高を通じて送金を行う。終了済。
NTTドコモ	日本における携帯電話等の通信事業最大手寄付金は日本赤十字社およびジャパン・プラットフォームへ寄付される。送金はdポイント・ドコモビジネスポイント・d払いによって行う。募集期間は2022年 3月8日〜2022年 3月31日で、終了済。
KDDI	日本における携帯電話事業大手寄付金は社員内からの寄付金とともに日本ユニセフ協会へ寄付される。送金はKDDIの社会貢献のための寄付プラットフォーム「キボウのカケハシ」において、au かんたん決済、じぶん銀行決済、ponta ポイントのいずれかを用いる。募集期間は2022年 3月4日〜2022年 3月31日で、終了済。
ソフトバンク	日本における携帯電話事業大手。募金プラットフォームを設けており、様々な国際団体の支援にも協力寄付金は日本赤十字社へ寄付される。送金方法はソフトバンクの携帯契約者であればネット・電話受付によるキャリア決済を利用できる。非契約者にはクレジットカードでの支払いのプラットフォームが用意されている。募集期間は2022年 3月4日〜2022年 3月31日で、終了済。
ECナビ	株式会社 DIGITAL IOの運営するポイントサイト寄付金は国連UNHCR協会へ寄付される。 ECナビポイントを使用して送金を行う。募集期間は2022年 3月7日〜2022年 3月31日で、終了済。

政党

冒頭にも述べたが、この一覧では遠隔での送金窓口を開いている団体に限定して掲載しており、またこの一覧が全てではない。支持している政党が募金を行っているかなどについては、各政党のメディアでの発信を確認されたい。

自由民主党	寄付金は全額が日本赤十字社へ寄付されるとしていた。送金方法は銀行振込。募集期間は2022年 3月13日～2022年 4月30日で、終了済。総額3327万9039円が日本赤十字社に届けられた。
日本共産党	寄付金は国連UNHCR協会および国連ユニセフ協会へ寄付されるとしていた。 2022年 11月までに、総額1億9392万1719円の寄付が集まっており、国連関連4機関及び赤十字社に寄付されている。送金方法は郵便振替。募集期間は不定で、2023年 2月現在締め切られていない。