『スーパーロボット大戦Z』とは、バンダイナムコゲームスからバンプレスト名義で発売されたPS2用ソフトである。ジャンルはSRPG。略称はスパロボZ。発売日は2008年9月25日。
2009年3月5日には、ファンディスクである『スーパーロボット大戦Z スペシャルディスク』が発売されている。続編に当たる『第2次スーパーロボット大戦Z』の「破界篇」が2011年4月14日に、「再世篇」が2012年4月5日にそれぞれ発売された。さらにZシリーズ最終章となる『第3次スーパーロボット大戦Z』の「時獄篇」が2014年4月10日に発売、「天獄篇」が2015年4月2日に発売。
概要
スパロボαシリーズの完結後、据え置き型ハードでは久々の2Dの版権登場のスパロボとなった。
今作でスパロボシリーズ初登場となった作品は、『OVERMANキングゲイナー』『宇宙大帝ゴッドシグマ』『創聖のアクエリオン』『交響詩篇エウレカセブン』『超時空世紀オーガス』『宇宙戦士バルディオス』『超重神グラヴィオン』『超重神グラヴィオン ツヴァイ』『THE ビッグオー2nd SEASON』の9つで、スパロボシリーズ史上最多である。
世界観は主にオーガスの「混乱時空世紀」を基にしており、時空振動弾によりそれぞれの世界が混じり合った、実に混沌としたものとなっている。そのためか、『ガンダムX』や『ザブングル』『∀ガンダム』など、スパロボα外伝の荒廃した未来で登場した作品が再登場を果たしているのも特徴。
主人公は、スーパー系がランド・トラビス、リアル系がセツコ・オハラ。お互いのシナリオで数度顔見せするシーンがある。両主人公とも最後まで機体は乗り換えず、機体の改装や武装の強化で乗り切ることになる。序盤と中盤で異なるルートを通る他、後述するシナリオの分岐に関わるポイントの入手しやすさが違っている。
今作以降、複数の世界を並行して進むパラレルワールド的考え方はZシリーズ全てとVXT三部作にも採用され、据え置き版権スパロボの標準規格となっていく。異なる世界観の作品を一堂にまとめるのは設定などの整合性の問題もあり中々難しいのだ。なおパラレル的な考え方を本格的導入した初のスパロボはスパロボAである。
システム
本作の目玉として、『トライバトルシステム』が登場している。第2次α以降の小隊制の流れをくんでいるが、今回は4機ではなく3機編成である。コストは廃止され、自由に小隊を組むことが可能になった。また、状況に応じて3つのフォーメーションを組むことができる。それぞれのフォーメーションの特徴は
- トライフォーメーション
縦一列に並んだ陣形。相手の小隊全体に攻撃できる特殊攻撃「トライチャージ」が使用可能になる、小隊員による小隊攻撃が発生しない、小隊長への援護防御が可能、などの特徴がある。センターフォーメーションに対して有利。 - センターフォーメーション
小隊長の前に小隊員2機が並んだ陣形。小隊攻撃が発生する、小隊長への援護防御が可能、バリアを持つユニットがいた場合全機に適用される、などの特徴がある。ワイドフォーメーションに対して有利。 - ワイドフォーメーション
3機が横に並んだ陣形。敵小隊への個別攻撃が可能、援護防御は不可、全体攻撃やトライチャージによるダメージが大きく軽減される、などの特徴がある。トライフォーメーションに対して有利。
となっている。特に「トライチャージ」は強力な上に弾薬やENの消費が少ないことから、戦闘序盤の雑魚はトライフォーメーションで落とす、トライチャージを使ってくる中ボスクラスにはワイドフォーメーション、ボス相手にはセンターフォーメーションという使い分けが一般的。
他の新システムとしては、改造により上げることができるようになった『照準値』、連続でターゲットにされると命中率が上昇する『連続ターゲット補正』、相手を味方ユニットで包囲することによって与えるダメージに補正がかかる『プレースメント』などがある。
これまでのシリーズより受け継がれている要素としては、熟練度システムが名前を変えた『SRポイント』、『パイロット養成』、α外伝以来久々の登場となった『バザー』などがある。
参戦作品
赤太字はスパロボ初参戦作品(ビッグオー1stは据え置き機種初参戦、逆襲のシャアは機体のみの参戦)
パッケージに記載される機体
- マジンガーZ(マジンガーZ)
- ゴッドシグマ(宇宙大帝ゴッドシグマ)
- バルディオス(宇宙戦士バルディオス)
- ザブングル(戦闘メカザブングル)
- オーガス(超時空世紀オーガス)
- キングゲイナー(OVERMANキングゲイナー)
- ゴッドグラヴィオン(超重神グラヴィオン)
- デスティニーガンダム(機動戦士ガンダムSEED DESTINY)
- ソーラーアクエリオン(創聖のアクエリオン)
- ニルヴァーシュ type ZERO(交響詩篇エウレカセブン)
その他いろいろ
- 戦闘アニメや背景等は従来のαシリーズから一新しており、解像度が倍になっている。美麗なカットインは一見。また、ユニットの高低差が戦闘アニメに反映されており、対空攻撃、対地攻撃、などで全て異なるアニメーションをする。
- 主人公が所属する部隊名は『ZEUTH(ゼウス)』。
- シナリオ後半、ZEUTHのメンバー同士で戦いになるステージがある。「敵に情報操作されたUNの情報に騙される」という展開の為、「味方同士で戦うのは新鮮でおもしろい」という意見と「アレだけのメンバーが揃ってるのに騙されるとかないわ」とで賛否両論。ただしアムロやクワトロ、ジャミル等の大人陣は疑ってはいるが、証拠がないので色々なしがらみで従わざるを得ないように描写されている。
- そもそも多元世界では今までのネットワークシステムがほぼ使用不可能で長距離通信も相克界のせいで制限されているためUNが全世界でTV・新聞・インターネットを兼ねるほぼ唯一の情報源となっていること(ディアナやデュランダルの演説などもUNを通して行われていた)、偽情報は単に文字だけの情報ではなくその情報を裏付けるための映像もUNで公開されていたこと、そのUNの管理を敵組織がしているため情報検閲(実際別チームに送られた電子メールなどは「通信回線の不調」などと誤魔化されて届かないように工作されていた)・情報操作されやすい(別チームだけでなく一般民衆への情報操作も行われていたので最終盤まで民衆の大半はZEUTHをテロリスト集団だと思っていた。)ことなどの面があるため相手を疑うことも仕方ないと捉える面もある。
- また、ゲームをやっていない人・やってもシナリオをあまり読み取れていない人が「匿名掲示板の偽情報で同士討ち」と言っていることもよくあるが現実の匿名掲示板に近いシステムで主人公が探し人の情報を集めるために見ていたり「黒のカリスマ」と名乗る者たちがデタラメ情報などを書き込んでいたのは「UNフリースペース」というUNのごく一部でしかなく同士討ちの原因になったものとはまったく別である。
- また、ZEUTH結成から一時解散までの期間が数週間しかなく相手への理解が完全に出来ていないままチームわけをしてしまったり味方陣営にいる敵キャラが相手メンバーへの悪印象を煽っていたり一部の味方キャラも以前からいまいち信用できなかった相手が別陣営にいたりもする(特にホランドの軍嫌いなど)ので、UNの情報だけに騙されているというわけでもない。またマジンガー系とゲッターチームのダイナミックチームは時空振動弾発動以前から共闘していたのに同士討ち時に相手を信頼していないことについては「あいつらは共闘する映画版でも毎回初め仲悪いからしかたない」というネタ的な解釈をする人もまれに見られる。
- 終盤のシナリオは、それまでに取ってきた行動により2つのルートに分岐する。主に『ガンダムSEED DESTINY(種死)』のザフト関連の行動でポイントが上下し、種死原作を再現したルートとifルートに分岐する。最も異なるのはシン・アスカの扱いで、ifルートの場合は自らデュランダル議長と決別し運命に挑むというシナリオとなっている為、原作でのシンの扱いが不満だったファンからは「もうこれが公式でいいよ」「シンはスパロボZのリアル系男主人公」などと歓迎されている。
- しかし、キラがセツコルート中盤両軍に対し碌に理由を話さないまま戦闘をしかけた事に対して様々なキャラから反発される(ただしキラ本人もその行動について本当に正しいのか悩む描写が何度もあり後に何も話さないままZEUTH軍人組と戦ったことを後悔する描写もある、またランドルートでは逆に自軍のピンチを助けに来て終始味方サイドのままである)、味方ユニットになりランドルートに付いて来た面々からはキラの生存と合わせて歓迎され各作品のリーダー・艦長級のキャラクター同士ではお互いの無説明さなどを反省し和解するもののキラ本人はセツコルートに付いて来た面々と戦ったことから(俗に言うifルートではシンとレイの和解が出来るように手助けをしようとしていたことなどもあるが)基本的に自分で距離を置いており最終話近くまで本格的な和解には至らないシナリオ(ただし最終話開始前には完全に仲間として迎え入れてもらっている、特にランド編ではサッカーのチーム戦に本人の了解を経ないまま参加させられている)であり、更には一部作品のキャラクターの描かれ方が余りにもネタ優先になっている状態、見直しをされていない各ゲームシステムとあいまって、こちらも賛否両論である。なお、2周目以降はポイントに関係なく、好きなルートを選択することができるようになっている。
- 今作のエンディングはSRポイントとは関係なく、終盤のシナリオ中に取った行動により上下する、通称『ENDポイント』により判定される。具体的には原作通りの行動を取っているとポイントが上がりやすい。また、ある参戦作品のいわゆるバッドエンドが再現されている。津波…
- 今作に登場するオリジナルの組織として『カイメラ隊』があるのだが、所属するキャラクターは一癖も二癖もある連中ばかりである。詳細はwikipedia
や『カイメラ隊は病気シリーズ』を参照。
- 様々な世界が混じり合ったという設定であるため、地球上は非常にカオスであるが、月も地球上に負けず劣らずカオスである。グラナダとかフォンブラウンとかゲンガナムとかDOMEとかレクイエムとかスカルムーン基地とか(ry。しまいにはアクエリオンが月面パンチで直接拳を打ち込んだり(アクエリオンとターンXとの初戦闘時に実際に何度も拳を月面に叩き込んでいたことが判明する)、ニルヴァーシュにより月にエウレカとレントンの相々傘が刻まれる(ただの戦闘演出ではなくEDムービーで実際に刻まれている様子が見られる)なんてことも。御大将涙目(ただし別に怒っていたわけではなくむしろ闘争本能でアクエリオンと戦いたがっていた)である。
- スパロボには付きもののバグであるが、今作では、あるキャラクターの戦闘ボイスが低い状態で記録されているという通称『声バグ』が有名。レイやジュリィ、ジブリール、子安キャラの新録分などが被害を受けている。御大将またもや涙目である。あるキャラのセリフは原形をとどめないほどに変わっており、『ブレンパワード』のバロンの声に聞こえることから「なんであんたがバロンなんだ!」などとネタにされている。なお、スペシャルディスクでは修正されている。
- 半年後に発売されたスペシャルディスクには、本編シナリオの後日談や、与えられた条件でシナリオクリアを目指す『チャレンジモード』、好きな戦闘を見る事ができる『バトルビューワー』等が搭載されている。これで5200円って高くね?
- スパロボZは作品の世代交代も進んだ作品である。Zシリーズを通しての長浜ロボ不在の影響もあってか本作以降東映作品の参戦数が激減。版権スパロボでは再世篇を最後に遂に途絶えてしまい、『マジンガーZ/INFINITY』や『楽園追放』が参戦したTで復帰するまで実に7年間もの空白が生じた。
- スパロボ御三家と言われるガンダム・ゲッター・マジンガーについてもそれは例外ではない。これまでは東映版マジンガー及びゲッター、逆襲のシャアを含む宇宙世紀作品の参戦が当たり前となっていたが、その均衡が本作を最後に崩されていく。
- ゲッターでは完全TV版ゲッターの登場した現在最後の作品で、神谷明氏が最後に参加したスパロボである。
- マジンガーでも東映版初代マジンガー(いわゆる石丸版甲児)に変わり真マジンガー(赤羽根版甲児)の参戦が多くなった。なお後に東映版準拠のINFINITYの登場により、Tや30では甲児・竜馬・アムロの3人が揃って年長パイロットとなるというさらなる新路線の開拓が行われている。
- ガンダムにおいても、GBA時代の頃に宇宙世紀ガンダムからSEEDの参戦にとってかわられていくようになり、本作でもDESTINYがメインのシナリオ展開になるなど、これ以後は声ありスパロボでも21世紀ガンダムであるSEED系・00・UCがメインになっていくようになった。特に携帯機では宇宙世紀ガンダム無しになることも珍しくなくなった。
関連動画
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
- スーパーロボット大戦
- スーパーロボット大戦シリーズの一覧
- スーパーロボット大戦シリーズ登場作品の一覧
- スーパーロボット大戦の関連記事一覧
- 第2次スーパーロボット大戦Z
- 第3次スーパーロボット大戦Z
- Crest of“Z’s”(JAM projectによる本作のテーマソング)
- 黒のカリスマ
- カイメラ隊は病気シリーズ
- キラキラコンビ
- もうこれが公式でいいよ
外部リンク
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- 2400pt