おぼっちゃまくんとは、小林よしのりの漫画及びアニメ作品である。
概要
80年代から90年代にかけ、「コロコロコミック」にて連載されていた漫画作品。
世界一の大金持ちである御坊財閥の跡取り息子・御坊茶魔(通称おぼっちゃまくん)の金持ちゆえのぶっ飛んだ日常を描いた作品。テレビアニメ化もされている(後述)。
連載当時はおぼっちゃまくんが使う独特な「茶魔語」と呼ばれる言葉が流行し、一時代を築いた。現在でも「そんなバナナ」などの一部の茶魔語は日本語の中に生き続けている。
登場人物
- 御坊茶魔(おぼうちゃま):主人公。御坊家999代当主。一人称は「ぽっくん」、「~ぶぁい」という九州弁のような語尾で話す。頭頂部に一本角を持ち、性格も変態にしてネジが外れている。
- 御嬢沙麻代(おじょうさまよ):ヒロイン。彼女も大金持ちのお嬢様で、茶魔の「いいなけつ(許嫁)」。性格はキツめ。
- 柿野修平(かきのしゅうへい):茶魔の友人で突っ込み役。彼もそこそこ良いところのボンボンのはずだが、茶魔達に比べればパンピーのモブ扱いである。
- 袋小路金満(ふくろこうじかねみつ):ライバル。御坊財閥に匹敵する金持ちで、小学生ながら悪の黒幕的風貌の持ち主。
- 貧保耐三(びんぼたいぞう):茶魔の友人。貧しいため、前半分しかない服を着ている。落ちぶれても元上流家庭。
テレビアニメ
1989年1月よりテレビ朝日系列で土曜19:30 - 20:00の時間帯に放送開始。平成で最初に放送が開始されたアニメである。
テレビ朝日は1987年より同時間帯をアニメ枠としていたが、おぼっちゃまくんの前に放送された『鉄拳チンミ』が半年で打ち切られるなど1年持たない作品が続いた状態で、またおぼっちゃまくん自体内容が下品ということでPTAから目の敵にされ、地域によっては「おぼっちゃまくんを観ないように」という通達が出されたほどである。この特性からスポンサーが付きにくく、CM提供クレジットを省略し番組制作費の負担が不要などCM単価を低く設定せざるをえなかった。このように放送前から最悪ともいえる状況であったが、いざ放送が開始されると視聴率は10%後半から回によっては20%を超えることもあり、コロコロコミックのアニメでは20%後半から30%台で推移していた『ドラえもん』に次ぐヒットとなった。
この予想外の高視聴率に他局がとばっちりを受け、同じ時間帯にアニメを放送していたフジテレビではまず『名門!第三野球部』が太刀打ちできずに夕方ローカル枠へ移動し、同じ小学館の人気作品『らんま1/2』で対抗するもこちらも半年で夕方ローカル枠行き、最後は『ドラゴンクエスト〜勇者アベル伝説〜』を出すもやはり太刀打ちできず夕方ローカル枠行きとなり、とうとうフジテレビがこの時間帯のアニメ枠をやめてしまった(なお、『らんま1/2』について高橋留美子のファンから相当恨まれたらしく、暫くしておぼっちゃまくんとコラボレーションを行なった際にファンから脅迫を受けたと小林よしのりが語っている)。
日本テレビはプロ野球・巨人戦放送のない日(ちなみに4月から9月にかけて約半分が巨人戦の放送)は特番を組んでいたが、視聴率で苦戦してか編成の変更が相次いでいる。時間幅が広いためおぼっちゃまくんの影響云々は語れないが、巨人戦がある日もおぼっちゃまくんは高視聴率を維持していたことから日本テレビからしてもおぼっちゃまくんは脅威であったと思われる。
そしてこの時間で長年高視聴率をたたき出していたTBS系列の『クイズダービー』までも食い始めた。『クイズダービー』は大橋巨泉が番組を降板した後はおぼっちゃまくんに視聴率で負ける回もあり、テコ入れと称して編成をコロコロ変えてしまい、1992年に番組が終了する遠因になっている。ちなみに『クイズダービー』もおぼっちゃまくんを意識してか(裏番組に関わらず)茶魔語の問題を出したことがある。
このように他局の番組を食うほどの人気を博していたが、先述の通りCM単価が低いためさほど収益が得られなかったためテレビ朝日局内の評価は高くなく、またマンネリ化のため次第に視聴率が下がっていき、最後はフジテレビで1993年に放送が開始された『平成教育委員会』に食われる形で放送は終了した。それでもハンデを背負いながらも放送期間は3年にわたり、いかにおぼっちゃまくんが人気であったことがわかると思われる。
その後も再放送が行われたり、DVDが発売されている(但し倫理上再放送や収録がされていない回がある模様)。
余談・その他
- 連載後は茶魔語などを真似する子供が跡を絶たないほど、当時の子供たちからは大ウケした人気作品であった。ただ、作品の内容が下品であるとして、漫画版・アニメ版はPTAから「子供に見せたくない番組」に選ばれ、小学館が主催する小学館漫画賞(1989)では選出された作品でありながら審査員の一人から「こんな作品の何処が面白いのか、全く理解できない」などとボロクソに言われている(作者の小林よしのりも、審査員コメントの後のスピーチで「こんな下品な漫画に賞をくれた審査員の度胸に感謝します」と皮肉で返している)。
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関連項目
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