ひたちなか海浜鉄道とは、ひたちなか海浜鉄道湊線(通称:湊線)を運営する第三セクターの鉄道会社である。この記事では、運営する湊線についても併せて記述する。
概要
JR常磐線の勝田駅(茨城県ひたちなか市)と阿字ヶ浦駅(同市)の全長14.3キロメートルを結ぶ単線のローカル鉄道。ユーザーは、海水浴客や地元の学生・高齢者が中心である。過去には常磐線との直通運転をしていた時代もあった。
全国の地方路線(私鉄・第三セクター問わず)の経営悪化が進んでいるのと同様、湊線も例外ではなく、2005年には運営母体(当時)の茨城交通株式会社が営業継続困難との判断を下し、2008年に廃止をすることを関係各所に通告をする事態になった。
これに対し、市当局や地元自治会・商店会・学校関係者らが営業継続に難色を示す茨城交通と協議を続けた結果、本体から鉄道部門を切り離し、新たに設立する第三セクター方式の鉄道会社が営業を引き継ぐことが決定した。
2008年4月、市が51%,茨城交通が49%を出資する第三セクター「ひたちなか海浜鉄道株式会社」に営業が移管され、新社長(公募で選ばれたのは,富山県の万葉線株式会社出身の鉄道マン)の下で再スタートを切っている。[1]
ちなみに、本社のある那珂湊駅は黒猫の「おさむ」でも知られている。そういえば、遠く離れたkey半島・和歌山県の貴志駅(和歌山電鐵)や、福島県の芦ノ牧温泉駅(会津鉄道)でも猫がいるし、駅猫が最近のトレンド?ついでだから紹介すると、茨城県唯一の「秘境駅」が存在する。これほんと。
2018年5月の時点で、茨城県内で営業を続けているJR以外の鉄道会社・路線は、当社・当路線と関東鉄道(常総線・竜ヶ崎線)、鹿島臨海鉄道(大洗鹿島線)、首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス:TX)の4社5路線となっている。(日立電鉄、鹿島鉄道、筑波鉄道は既に廃止)
有志による応援団など
- おらが湊鐵道応援団
- Facebookやツイッターを通じて日々の沿線写真や各種情報を発信している。
- ガルパン応援団ひたちなか
- 勝田〜那珂湊〜大洗を電車+バスで結ぶ「世界一楽しい片道きっぷ」を企画している。(ひたちなか市生まれの子たちがいるご縁?)
那珂湊駅の朝市
毎月の第一日曜日(9:00~11:00ごろ)には朝市を開催している。朝採れた野菜や一夜干しなどが並んでいる。
復興応援切符
熊本地震で被害を受けた南阿蘇鉄道への復興応援活動として、2016年4月29日からひたちなか海浜鉄道、由利高原鉄道、若桜鉄道、いすみ鉄道、南阿蘇鉄道の五社による復興応援切符が販売される。金額は1000円で印刷販売コストを差し引いた700円ほどが南阿蘇鉄道に支援金額としてわたることとなる。
鉄道神社
長年活躍したキハ222形の気動車を「ご神体」に見立てた鉄道神社を那珂湊地区に作る計画が持ち上がっている。場所は湊駅近くの空き地。車両の移送や屋根などの設置などに一千万から二千万円を見込みインターネット上で出資を募るクラウドファンディングでの工面を想定している。
姉妹鉄道
平成25年12月15日(日)に銚子電気鉄道と姉妹鉄道提携をすることが正式にアナウンスされた。
湊鉄道から数えて開業100年のひたちなか海浜鉄道と、銚子遊覧鉄道から数えて100年の銚子電気鉄道による古参私鉄の姉妹がここに誕生することとなった。
高田の鉄橋駅
中根-那珂湊間への新駅要望は以前からあった。同区間は3.4キロと湊線でもっとも駅間が長く、那珂湊地区西側の柳が丘地区から那珂湊駅まででも2キロメートル近く離れていた。新駅の設置に必要な金額は約3000万円程度。新駅の乗降人数見込み1日40人程度。
そこで国と地方公共団体が3分の1ずつ補助を行う制度である幹線鉄道等活性化事業費補助制度(コミュニティー・レール化)を活用、国と茨城県が1000万円ずつ補助、残り分を経営の厳しいひたちなか海浜鉄道にかわり、可能な限りひたちなか市が負担という流れとなったのである。
「その年の春に他界した妻の遺品の中から、貯金、つまりへそくりが出てきまして。手元にあれば、無駄遣いしてしまいますから、『市民の役にたててほしい』と、市長さんに申し出たのです」
路線延伸
ひたちなか市により、終点の阿字ヶ浦駅から国営ひたち海浜公園方面への延伸が検討され、複数案の中から国営ひたち海浜公園西口まで園外を橋梁で延伸するルートとなった。当初は阿字ヶ浦駅の北600m、ひたち海浜公園中央口前、ひたち海浜公園西口前の3駅が設置予定とされていたが、安全面から橋梁→高架に計画変更したことで事業費が増大したため、中央口前については設置を見送って2駅となった(中央口前については延伸後の状況を見て駅設置を再検討する)。西口前が重視されたのは近くに大型ショッピングモール「ニューポートひたちなか」があるためである。
延伸に合わせて、阿字ヶ浦駅に行き違い設備を設ける予定である。
当初は2018年度に事業申請を予定していたが、国土交通省との調整に時間がかかり、2020年8月になってようやく申請され、2021年1月15日に事業認可された。開業予定は2024年春。
延伸後、ネモフィラの開花時期を始めとした多客期に快速を走らせる構想があり、勝田~ひたち海浜公園西口前間を金上、那珂湊、阿字ヶ浦のみ停車するとしている。当初は「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」の開催時も運行する計画だったが、肝心のイベントが2022年に会場を千葉市に変更してしまっている。
路線図
駅名 | ■のりかえ ○周辺施設 □一口メモ |
勝田駅 | ■JR東日本 常磐線 ○勝田車両センター(車両基地) |
工機前駅 | ○工機ホールディングス株式会社 |
金上駅 | ○陸上自衛隊勝田駐屯地 |
中根駅 | ○虎塚古墳史跡公園 ○十五郎穴横穴群 □秘境駅 |
高田の鉄橋駅 | □市民からの寄付金で新設 |
那珂湊駅 | ○ひたちなか海浜鉄道本社 ○那珂湊漁港 ○那珂湊おさかな市場 □黒猫「おさむ」 |
殿山駅 | |
平磯駅 | ○平磯海水浴場 |
美乃浜学園駅 | |
磯崎駅 | |
阿字ヶ浦駅 | ○阿字ヶ浦海水浴場 ○国営ひたち海浜公園 |
この路線が使用された映画・CMなど
関連動画
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関連項目
関連リンク
脚注
- *なお、茨城交通は、同年11月に民事再生法の適用を水戸地裁に申請して事実上の倒産。こちらは、裁判所の管理の下で営業を継続し、2009年7月からスポンサーの指導で新設した新会社(現・茨城交通株式会社)が営業を引き継いでいる。
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