ケミカルライトとは、蛍同様、化学反応で発光する照明器具の名称である。通称サイリウム/サイリューム[1]。
ケミカルライト自体は目的に合わせて様々な形状と機能を有しているが、多くの人が想起するのは警備員が持つ赤い棒状の誘導用照明器具、「誘導灯」(通称「にんじん」)に類似した棒状の物であろう。他には夜店などで売られている光る腕輪も身近に見かけるケミカルライトの一つである。
概要
化学反応で光る照明故、電池・電源不要であり、軍用・停電・災害時・アウトドアの照明に向いている。
近年ではパーティの演出、ライヴ応援等の遊興・娯楽目的に使われることが多い。
明るく光る(=反応が爆発的に進行する)タイプは発光持続時間が短く、明るさが控え目な(=反応がゆっくり進行する)タイプは発光持続時間が長い。
使い捨てであるため、再利用はできない。同じような大きさで電池で光るライト(広義でペンライトと呼称)もあり、こちらは電池を換えればライト部分は再利用できる。
使用法
ケミカルライトは使う直前に、ライトの両端を軽く両手で持ち、折り曲げる事で、内部の薬品が混じり合って化学反応を始めることにより、発光を開始する。商品によっては一度折り曲げるだけでは光らず、二度折り曲げる必要がある場合があるので発売元のサイトの説明や、取扱説明書等を良く読もう。
ケミカルライトを使うのに不安のある人は本番のライヴ前に百円ショップ等で廉価な練習用のケミカルライトを購入して、実際に使って一度光らせてみよう。
ケミカルライトの発光持続時間は「実用に耐える明るさで発光する」持続時間を計測した物と「明るさを失って暗くなる状態までの時間」を持続時間として計測した物と、メーカーによって持続時間の解釈の違いが有り、「表示の半分以下の時間で実用に耐えない水準まで暗くなる」製品もある。
購入ガイド
お勧めの購入法は、通信販売である。大型量販店、大型ディスカウントショップ、ホームセンター、玩具店、百円ショップ等の店舗でもケミカルライトは販売しているが、欲しい色の品が欠品していることも多く、案外初心者には敷居が高い商品である。ライヴ会場近辺の店舗での購入はイベント時は品切れになりがちなのでお勧め出来ない。必要な数だけ事前に購入して置き、ライヴ会場迄携行した方が気を遣わなくて楽である。チケット入手と同時に購入をしておこう。
ノーマル(6インチ / 15cm)、ロング(10インチ / 25cm)、スーパーロング(15インチ / 40cm)等サイズの違いがある。長ければいいと言う物ではないので、自分の扱い易いサイズを選ぼう。
ライヴに出演するアーティストのイメージカラーや、楽曲演出に沿ったイメージカラーを調べてそれに近い色のケミカルライトを選んだ方が使う時に気後れせずに済む。
主な種類
- UO(ウルトラオレンジ) 発光持続時間 約5分
- 主な商品名 「超高輝度ウルトラxxxx」(xxxxは発光する色の名称が付く)
オレンジで発光する商品「ウルトラオレンジ」から普及したのでUOの名前が商品ジャンル名に成った。2~5分程度の短時間の間に強力な光を発する。現時点では最強のケミカルライト。今はオレンジ以外の色もある。日本オムニグロー社、米国オムニグロー社製品が一般に流通している。 - 一部商品は構造上、一回折っただけでは発光せず、二回折る事が必要な場合があり注意を要する。[2]非常に明るく輝くので、他の観客の視聴を妨げ、ライヴ演出を台無しにする可能性も有り、或る意味危険な飛び道具的ポジションである。ライヴによっては特定の楽曲でUOの応援を指定・推奨しているものもある。
- 超高輝度タイプ 発光持続時間 約15分
- 主な商品名 「ルミカライト・大閃光」「サイリューム・超高輝度」
明るく光り輝く。ライヴの佳境・応援重点ポイント向け。これを沢山持ち込んで、全てこれで応援する人も。 - 高輝度タイプ 発光持続時間 約1時間
- 主な商品名 「ルミカライト・高輝度」
ライヴでずっと応援したい人向け。一時間に一本と計算し易い。輝度はそれなり。 - レギュラー(標準)タイプ 発光持続時間 約6~8時間
- 主な商品名 「ルミカライト・レギュラー」
光が弱く、ライヴ応援向きではない。災害時・停電時・アウトドア・室内パーティの演出等の長時間使用向け。
コンサートにおける使用上の注意
- ライブ主催者が発表するケミカルライト・ペンライト使用に関するレギュレーションは遵守のこと。特に最近のライブでは、ケミカルライト自体を禁止したり(液漏れ事故防止のため)、UO・大閃光などの超高輝度タイプケミカルライトの使用を禁止したり(演出の妨げとなるため)するケースが増えているので、オフィシャルサイトなどで確認しよう。
- ケミカルライト(ペンライトもだが)での応援に気を取られ過ぎて、アーティストのパフォーマンスが見られなかったり、他の観客の視界を遮っては本末転倒である。何事も程々に。
- ライトはきちんと持って応援を。すっぽ抜けて飛んでいってしまっては目も当てられない(特に上の階から落ちたら下の人に当たって危険)。もちろん投げるのはもってのほか。実際に観客どころか演者に向かって投げられて公演が中断したり、その演者に関して以降のイベントでライト持ち込み禁止を含めた厳しいルールやレギュレーションに変更された事例があります。
- 熱が入りすぎて近くの観客にぶつけたり、折って光らせる際に椅子にたたきつけたりするのは止めましょう。ライトが折れて中の液が漏れ出し、それがかかったら弁償問題となります。上述の投げることも含め、ライト等によって演者やスタッフ、機材等に損害や支障が出た場合、公演の中断・中止につながり、賠償どころの問題では済まされなくなります。
- 使用済みのケミカルライトはそのまま放置しないように。会場に専用のゴミ箱があればそちらに。無ければ家まで持ち帰ってから処分を。
- 最近JR東日本の駅のビジョンで注意事項が流れて話題となっているが、駅のホームで光ったままのライトを振らないこと。乗務員が緊急信号だと勘違いして電車が止まる可能性があります。鞄にしまっておきましょう。
ケミカルライトの長所
- 構造が単純で軽量、誰でも簡単に扱うことができる。
- 電池・電源が不必要。使い捨てなので手入れの必要もない。
- 電源不要なので海辺での野外フェスなどの悪環境でも気にせず使用可能。水中でも何ら問題なく使える(なお日本ではケミカルライトは、もともと夜釣り道具として売り出されていた)。
- 発光時に発熱しないため、火災や爆発の危険性が高い場所でも安全に使用できる。
- 短時間で爆発的な発光反応をするタイプ(UO)の場合、同程度のサイズの電池式ペンライトを大きく凌ぐ強い光を発することができる。
- 1本100~150円程度と安価。
ケミカルライトの短所
- 外装が破損すると薬品が漏れる。薬品の主な成分は過酸化水素などで毒性は低いが、目など粘膜に触れると痛みを生じることも。衣服に付くとドライクリーニングしないと落ちないシミになる。
このことからコンサートの主催者によってはケミカルライト(=サイリウム)使用不可を公式にアナウンスしている主催者もいる。 - 一般市販されているものは色数のバリエーションが少ない(7、8色程度)。ケミカルライトの色は薬液に含まれる蛍光色素の種類によって変わるが、最近のアイドルグループの微妙なメンバーカラーの違いを表現するのは難しく(専用カスタマイズ品を作れさえすれば不可能ではない)、光の三原色のパラメータ操作だけで色の違いを表現できるLEDカラーペンライトにこの点でははっきり劣る。
- 一旦使用開始すると消灯や光量を落とすなどのコントロールは一切できない。コンサート会場に着くまでに不意に圧力が加わって折れてしまった場合でも同じである。
- 完全使い捨て。使い終わると大量のプラスチックごみが発生する。1本あたりの単価は安いが、コンサートに年複数回通っていると大量消費してかえって割高になることも。
関連動画
関連項目
- ペンライト
- バルログ
- キングブレード(キンブレ)/ KING BLADE X10
- FreFlow(フリフラ)
- ライブ
- 歌手
- 声優
- 山火事
- スターダスト
ヲタ芸(?)の名称。サイリウムを上階の観客席から下に落とすことを指すが、単にサイリウムを投げることを指す場合もある。
関連リンク
脚注
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