フェデリコ・ツァリアーノとは、OVA『機動戦士ガンダムMS IGLOO』第2話「遠吠えは落日に染まった」に登場する地球連邦軍所属の軍人である。階級は中佐。声優は中田譲治。
概要
地球連邦軍に所属する軍人。イタリア系の名前をしている事からイタリア人の可能性がある。
元戦車乗りで、地球に侵攻してきたジオン軍と交戦したが、その時に左目を潰され、右頬にも傷を付けられる。以降、左目には黒い眼帯をしている。この事をフェデリコは恨んでいるようで、ジオンに対し容赦の無い攻撃を加える。彼曰く「傷のお礼」らしい。ジオン兵をガラクタ呼ばわりしている点からも怒りが窺える。戦傷を理由に軍の病院で静養する道もあったが、戦局の悪化と何よりも彼の意志で前線に復帰。強面だが部下から絶大な信頼を勝ち得ており、彼の下で戦えば必ずジオンに勝てるとまで思われていた程。
元々学んでいたのか、今回の作戦のために覚えたのかは不明だが、ジオンの言葉を話せる。しかし訛りが相当酷いようで、ジオン兵から指摘されている。彼らが挑むのは、後方地方におけるゲリラ的な撹乱作戦。
フェデリコ率いるセモベンテ(イタリア語で自走砲を意味する)隊は、北米のアリゾナ砂漠にて警備用にあてがわれていた主力モビルスーツ「陸戦型ザク」6機を鹵獲。鹵獲されたザクは連邦軍内の研究チームに引き渡され、部品によってはネジ1本になるまで解体された。解析の済んだザクは一部のエリート部隊に配備され、データ取りの役割を担った。セモベンテ隊もその部隊の一つであった。連邦軍ではザク3機と61式戦車1輌を1個小隊に定めており、セモベンテ隊は6機のザクと2輌の61式戦車からなる2個小隊の戦力を有していた。ジオン軍に鹵獲された事を悟られないよう、セモベンテ隊の行動範囲や任務内容は極秘とされ、詳細な資料は残っていない。しかし、のちにジオン側の資料にその存在が記録される事になる。
ジオン軍の地球降下が始まって約2ヶ月が経過した、宇宙世紀0079年4月29日。北米アリゾナ砂漠に位置する第128物資集積所に味方を装って接近。油断している歩哨にザクマシンガンを撃ち込み、物資を破壊し尽くした。戦車と協同で作戦行動を行っているのは、モビルスーツと戦車が連携する事で戦技の基礎を開発する目的があったからとされる。劇中では第128物資集積所襲撃しか描かれていないが、他の集積所も破壊しており小さいながらも確実な勝利を重ねていた。この襲撃の際に歩兵用の通信機を入手。これを使ってジオン軍の索敵部隊を巧みにかわし、ゲリラ戦法を仕掛け続けた。小説版では「ジオンと言えど超人ではない。そして思いのほか錬度は低く、敵に何を渡してはいけないのかを知る者は意外と少ない」「今の連邦に必要なのは(連敗によって)失われた自信」と評価している。ジオン兵の事は憎んでいるが、部下に素早くデータを送って連携を図れるザクの機能については高評価を下している。物資集積所を襲撃するだけでなく、捕虜の証言や押収した書類にも注意を向けて情報収集を行っていた。
そんな中、通信機がコムサイの降下スケジュールを教えてくれた。壊滅させた第128物資集積所から東へ約100キロの地点にある第67物資集積所がコムサイの着陸地点だと知ったセモベンテ隊は早速第67物資集積所へと向かった。
劇中では
宇宙世紀0079年5月9日、第67物資集積所では狼藉を働く連邦軍部隊を警戒してザクⅠが配備されていた。フェデリコは友軍のふりをしてそのザクⅠへ近づく。それと同時に、フェデリコは伏せさせておいた部下に降りてくるコムサイを攻撃させた。突然の出来事に動揺するザクⅠ。フェデリコは容赦なく至近距離からザクマシンガンでザクⅠを撃ち貫き、打ち倒す。これを合図に、部下のザクや61式戦車が稜線から次々と飛び出し、物資や兵員を攻撃。数分後にはその殆どを壊滅させた。
しかしその直後、コムサイより投下された試作兵器「ヒルドルブ」と交戦。突然の奇襲で浮き足立つ部下を宥めつつ、フェデリコは冷静に状況を判断。敵が調整不足の試作兵器だと看破する。部下を物怖じさせる情報は敢えて伏せておくなど、指揮官として熟達している一面を覗かせる。対峙するデメジエール・ソンネン少佐も「忌々しいが錬度が高い」「指揮官が優秀」と分析している。一方、フェデリコも相手の力量を見極め、かなりの手練れと推測している。
その後も沈着的確に判断を下し、ヒルドルブを包み込むように攻撃する。反撃も飛んでくるが、「絶対に止まるな!動いていれば大丈夫だ!!」と指示を飛ばし、部下とともに突撃を続ける。しかしヒルドルブは精強で、部下を一人また一人と葬られていく。自身もザクの足を撃ち抜かれ、その場から動けなくなってしまう。そして身動きが取れないまま目の前で部下を皆殺しにされ、フェデリコは逆上。仇を取るべく、全機大破したものと油断したヒルドルブに肉薄し、ザクマシンガンで頭部コクピットをひたすら殴り続ける。ヒルドルブから抵抗を受け、ザクマシンガンの弾倉を吹き飛ばされるも、モノアイのスリットに一発撃ち込んでついにコクピットを破壊。ヒルドルブは機能を停止した。
勝利を確信したフェデリコは、次にコムサイを蹂躙しようとヒルドルブを後にするが、最後の力を振り絞ったソンネン少佐に背後を撃ち抜かれ、上半身が吹き飛び爆散。フェデリコは戦死。小説版ではコムサイ破壊に固執しすぎて、ヒルドルブの砲塔が回っている事に気付かない描写がなされていた。それほどまでに、部下を皆殺しにされた怒りは大きかったのである。
隻眼というハンデを持ちながらモビルスーツを不自由なく動かす技量に加え、「部下一人ひとりが俺のようにMSの指揮官になれる」「未来のMS隊の指揮官」「家族同然の部下」と思い、部下を皆殺しにされた時は怒りのあまり力技でヒルドルブを倒そうとする等、大変部下想いな事からかなり有能な軍人に見える。
IGLOOの連邦軍兵はチンピラ崩れのように無能として描かれる事が多いが、このフェデリコは例外と言えよう。形振り構わぬ欺瞞襲撃戦法の是非はさておき、骨太で勇猛な、敵として亡くすには惜しい軍人であった。「主計科さんは、連邦軍にも弾を分けてくれるかな?」と視聴者に自らの所属を明かして、ザクのパイロットが味方ではない事を説明してくれる優しさも忘れてはならない。
ギレンの野望では
ギレンの野望 アクシズの脅威から参戦。ヒルドルブ1機に部隊を全滅させられたためか、原作に反して能力が低めに設定されている。また、イベントによっては早々に戦死してしまうという不遇の存在。イベントをこなさなければ生存するが、代わりにジオン軍がヒルドルブを量産し始める。ゲームの都合上、原作で行った後方撹乱はレビル将軍(プレイヤー)の指示という事になっている(させない事も可能)。イベントを行わなかった場合に手に入るザクを全廃棄した資源よりもイベントで手に入る資源の方が少ないため原作再現をしたい人以外には意味の無いイベントになってしまっている。
関連項目
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