フーベルタ・フォン・ボニン(Huberta von Bonin)とは、「ワールドウィッチーズ」シリーズの登場人物である。
プロフィール
モデル
ドイツ空軍のエース・パイロット、フーベルタス・フォン・ボニン。
コンドル軍団に所属してスペイン内戦に参加したのち、第二次世界大戦では東西の両戦線で活躍する。この間、JG54やJG52で飛行隊長を務め、1943年にはJG54司令に就任するが同年12月に戦死。撃墜数77。
容姿・人物
首元までの薄い灰色の髪と同色の瞳を持ち、168cmの長身には軍服の上から濃灰色のジャケットを羽織っている。実用本位で戦闘に関わらない部分には気を使わないたちであり、ジャケットはしわだらけでオイルの染みがついている。ただし、貴族の出ゆえその気になればドレスでも着こなせるのだとか。
ウィッチとしての能力は確かで、努力と鍛錬を欠かさず第一線に立ち続けながらも、部下であれ軍曹であれ、空では実力と撃墜数で勝る人間が指揮官であると公言する実力主義者。士官として指揮能力にも優れ、若年ながら老成した雰囲気で部下からよく慕われている。
趣味といえるものはチェス程度だが、さほど強くはない。勝敗を競うよりも、むしろ対戦相手の人物像や性格を計る手段として楽しんでいるらしい。
経歴
ベルリン郊外のポツダムが生地。昔からウィッチを輩出してきた貴族の出身という生まれながらのウィッチで、幼い頃から当然のようにウィッチとしての訓練と士官の心得を叩き込まれて育った。魔法力の発現後、志願してベルリンの士官学校に入り、優秀な成績で卒業し少尉となる。
1936年のヒスパニア戦役勃発時には、少尉ながらすでにベテラン扱いを受けており、第88戦闘飛行隊に所属して出征。第3中隊長アドルフィーネ・ガランド中尉、ついでヴェーラ・メルダース中尉のもとで実戦に赴く。この戦いの中で、メルダース中尉が発案した一撃離脱・ロッテ戦術による新戦法を早期に理解し、4機の撃墜を記録した。
この戦役で中尉に昇進し、新設のヒスパニア十字章のうち第二位、黄金剣付き十字章を受章。帰国後、大尉に昇進して第26戦闘航空団(JG26)第5中隊所属ののち、第52戦闘航空団(JG52)第4中隊で中隊長を務める。こうした頻繁な異動はヒスパニア戦役での経験を新人教育に活かすべく行われていたもので、彼女もJG52でエーリカ・ハルトマンやハンナ・ユスティーナ・マルセイユを始めとする新人ウィッチの教育に尽力した。以後、少佐を経て中佐昇進まで同部隊に所属。
中佐昇進とあわせて第54戦闘航空団(JG54)に移ると、第1飛行隊隊長を経て航空団司令に着任する。同部隊はオストマルクの陥落とともに東方オラーシャ方面に撤退した部隊で、撤退後はサマーラを拠点として要衝ツァリーツィンの防衛に参加していた。さらに1941年6月のツァリーツィン救援・防衛線押し上げを目した「タイフーン」作戦実施にあわせ、JG54が中核となる反攻部隊の司令を務めることとなる。
タイフーン作戦は結局冬に戦線が膠着したことで中途終了となったが、撤退・再編された航空ウィッチ部隊から主力を転用し、チェリャビンスクに第503統合戦闘航空団<タイフーンウィッチーズ>(503JFW)が成立。彼女はその司令に推されたものの、すでに20歳を過ぎていたため辞退し、ツァリーツィン防衛時の戦友であるオラーシャ空軍のブロニスラヴァ・フェオクチストヴナ・サフォーノフ中佐に委ねた。しかしそのサフォーノフから強く要請され、異例の503JFW副司令の地位を引き受けている。
503JFW副司令としては部隊運営、人材育成、渉外・折衝といった地上勤務を中心にサフォーノフ司令を補佐しており、1943年12月にはスオムスのヘルシンキまで赴いて501JFW<ストライクウィッチーズ>司令ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐、502JFW<ブレイブウィッチーズ>司令グンドュラ・ラル少佐というJFW司令3名での会議に出席するなど、各方面で活躍している。1946年春頃にも現任。
交友関係
彼女が所属した第88戦闘飛行隊、第52戦闘航空団(JG52)、第54戦闘航空団(JG54)は、いずれも名だたるウィッチを多く輩出した名部隊であった。こうした華やかな経歴ゆえ、彼女には多数かつ多方面のカールスラントウィッチと関わりがある。
ヒスパニア戦役で所属した第88戦闘飛行隊第3中隊では、アドルフィーネ・ガランド(のちの空軍ウィッチ隊総監兼第44戦闘団司令)とヴェーラ・メルダース(のちの第51戦闘航空団司令)という名指揮官を直属の上官とし、部隊運営と指揮の素養を身につけた。この他、後に502JFWに所属するエディータ・ロスマンも第3中隊当時の同僚で、JG52でも新人の教育係として重用している。
JG52時代には、ロスマンのほかグンドュラ・ラル、ゲルトルート・バルクホルン、ヴァルトルート・クルピンスキーといった(癖の強い)優れたウィッチたちと同じ部隊であった。新人少尉時代のエーリカ・ハルトマン、ハンナ・ユスティーナ・マルセイユの直属の上官でもあり、エーリカの長機にロスマンを、ハンナの長機にハンネ・ダンマースをつけて教育係とした。ちなみに、ラル隊長はやはりこの頃から相当の図々しさだったらしく、後に「JG52の頃からこの女の図太さには驚かされた」とこぼしている。
JG54では、後に503JFW戦闘隊長を務めるヴァルトラウト・ノヴォトニーとオティーリエ・キッテルのコンビを部下にしていた。ガリーナ・D・コストイリョーフはオラーシャウィッチではあるが、撤退戦でJG54に合流し、原隊の消滅を受けて自主的にJG54の一員となりタイフーン作戦に参加、そのまま503JFWメンバーとなっている。
その503JFW司令を務めるブロニスラヴァ・フェオクチストヴナ・サフォーノフ中佐とは、ツァリーツィン防衛戦で深い親交を結んだ仲。サフォーノフの人間性を高く評価しており、撃墜数では自身が上回るにも関わらず、ひかえめで寡黙な彼女の部下として積極的に補佐している。この他、生真面目で服装にうるさいタイプのアレクサンドラ・シェルバネスクからは天敵視されているらしい。
登場
2010年のドラマCD『秘め録CD』下巻にて、エーリカの新人時代の回想に出演したのが初出。数多のワールドウィッチーズの中でもきわめて珍しい、立ち絵の発表より先に声がついた名有りウィッチだった。立ち絵は2012年になって島田フミカネ先生のTwitterにて公開されている。
以後は『ストライクウィッチーズ2』DVD/BD特典「全記録弐」第三集でのタイフーンウィッチーズ紹介にて503JFW参加の経緯が紹介された程度で長くメディア露出がなかったが、2017年6月のノベル『ブレイブウィッチーズPrequel』第2巻特典オリジナルドラマCDにて久々に再登場を果たした。ボニン(甲斐田裕子)とミーナ(田中理恵)、ラル(佐藤利奈)との合同会議におけるあまりにも豪華な丁々発止のやりとりは必聴。コミック『ワールドウィッチーズ 魔女たちの航跡雲』3巻(2018年)にも回想シーンなどわずかながら登場している。
ボニン「グンドュラ、統合戦闘航空団にはそれぞれ事情があるんだ。一方的に自分の要求を押し付けるものじゃない」
ミーナ「ありがとう、フーベルタ。あなたを崇拝してもいいかしら」
ボニン「ユーティライネンは502ではなく503に来たいはずだ。我々は諸手を挙げて歓迎する」
ミーナ「訂正するわね。グンドュラに似てきたわよ」
ボニン「やめろ。戦争が始まってからいちばん傷つく言葉だ」
ラル「私がハルトマンをもらうから、そっちはバルクホルンをもっていけ」
ボニン「生まれてはじめてグンドュラのことが好きになった」
ミーナ「私、どうして機関銃を持って来なかったのかしら……」
その後は、2021年の『ワールドウィッチーズ 秘め歌コレクション オラーシャ北西部篇』にて、503JFWのシェルバネスク、川口文代両名とともにCDドラマに登場している(通信越しの声のみ)。翌2022年には『ルミナスウィッチーズ』第12話でメンバー勢揃いでアニメ初登場した。
関連動画
関連項目
- ストライクウィッチーズ
- ワールドウィッチーズ 魔女たちの航跡雲 Contrail of Witches
- ストライクウィッチーズの関連項目一覧
- 帝政カールスラント
- 第503統合戦闘航空団<タイフーンウィッチーズ>
- Bf109(ストライカーユニット)
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