軽自動車とは、日本の軽自動車規格で設計・製造されている小型自動車である。軽車両(人力車など)じゃないし、まして軽い自動車でもないよ!
現在では日本の乗用車の主流となる存在にまで発展を遂げており、「大衆車」としての意味も持ち合わせている。
概要
小型乗用車(5ナンバー車)や小型商用車(4ナンバー車)より小さい規格が定められている自動車で、車体サイズはヨーロッパで販売されているAセグメントクラスのコンパクトカーに相当する。貨物車(軽トラック・軽バン)もある。元々はいわゆる「サイクルカー」「超小型モビリティ」と言われる地域の手軽な移動の足として想定され、一般の自動車に比べて税金が安くなるほか、かつては実技試験免除の「軽限定免許」があり、車検も車庫証明も不要であるなど、所有のためのハードルがとことんまで下げられていた。こうした普及促進のための規格はあちこちの国に存在したが、日本においては数度にわたる規格拡大の末、独自の製品カテゴリとして確立された。反面、現在は要普通免許、車検有、車庫証明も都市では必要になるなど、多くのメリットが失われた。より安全で快適な規格になったとはいえるが…
現在、後述の規格が定められており、ほとんどのモデルでは規格一杯の仕様に揃えられている。規格の制約で車体サイズが抑えられていることにより取り回しがとても楽で、日本の狭隘な道路や駐車場でも運転がしやすい。世界的にコンパクトカーの肥大化が進み、5ナンバー枠の車幅1.7mを超える車種が増える中、日本の地方においては、かつての大衆車であった小型自動車を押しのけて軽自動車が乗用車の過半数を占めるまでになった。実際、現行規格の車幅は初代カローラ(1,485mm)に近いサイズである。また、他国の大衆車と比較してスライドドアを採用した車種が目立つというのも特異であるが、これも狭い駐車場での乗り降りのしやすさが強く求められるという日本特有の事情によるものである。
ハッチバック、ミニバン、オープンカー、SUV、トラック(軽トラック)...等々多彩なボディタイプがあるが、制限された車体寸法で車内空間を最大限確保すべく、全高1,550mm以上の背の高いトールワゴン型軽自動車が主流である。このようなモデルは一般的なコンパクトカーに比べ出力が不足気味で、高速走行時の燃費が劣る。しかしこれは、平均走行距離が短く、平均速度も低いという日本特有の道路環境では、大きなディスアドバンテージとはならない。小排気量のエンジンによるアンダーパワーも気にされることは少なく、1990年代にはよく見られたターボエンジン搭載車はむしろ減少している。
なお、軽自動車だからといってガソリン車に軽油を入れると、後でとっても大変なことになるので気をつけられたし。車好きからすれば笑い話のような間違いだが、実際に間違えて大変なことになる事例は少なくない。TBSでさえ間違える(TBS 「軽自動車は軽油なのでお得」 と間違った報道)
規格
1949年に策定された当初は2サイクル車100cc、4サイクル車150ccの規格であったが、実際にはこの規格で作成された軽自動車は存在せず、本格的な普及を迎えたのは2サイクル・4サイクルとも360ccに統一された1954年以降である。
現在(1998年以降)の日本の軽自動車の規格は以下のものである。
上記の制限を一つでも越えてしまうと所謂白ナンバー、つまり小型自動車(高さが2.0mを超える場合は普通自動車)として登録することになる。なお、軽自動車が黄色ナンバーなのは、かつては高速道路での最高速度規制が異なっていたり、利用料金も区別されていたため、警察官や料金係の人が見分けやすいようにするためだった。しかし、2021年現在ではこれらは統一されているため、イベントを記念した白色のナンバーも期間限定ながら出てくるようになっている。
軽自動車乗り=貧乏?
自動車の複数台持ちが当たり前となって久しい地方では「普通車は大人数乗車や遠出やステータス用」「軽自動車は近場のアシ車」として使い分けられている。レクサスやアルファードやランドクルーザーを持っている人が、普段は取り回しやすい軽自動車を重宝している...といったことも普通である。
しかし、自動車を1台しか持てない人の多い大都市部では、黄色ナンバー乗り=貧乏人という昔ながらのイメージも未だに残ることは否定できない。乗る側のユーザーもコンプレックスを感じていたことは、ラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックを記念した特別な白色ナンバーが国交省で期間限定で申し込みできるようになると、大好評となったことからも証明されている。
軽自動車は各種届出や税金の優遇、小径ホイールによるタイヤの安さ、そしてエンジンが小さく車両自体が軽いため燃費が良いなど、一見して貧乏人好みのする要素満載に見える。車両価格も多少安く、ダイハツ・ミライースの最廉価グレードは2桁万円台で購入できる。だが現在の軽の売れ筋は、100万円台後半〜200万円強の上位車種(ホンダ・N-BOXの中上位グレードなど)であり、売れ筋の価格帯はコンパクトカーとほぼ変わらない。よって今日の軽自動車は、価格や維持費の安さもさることながら、純粋にクオリティの高さが評価されて選ばれている面が強いと考えられる。
ケータハムの「セブン170」は、名目上は軽であってもクラウンクラスの価格帯である[1]。またダイムラー(スマート)の「smart fortwo」は規格拡大に伴い軽自動車ではなくなっている。
主なメーカー・車名
()内はボディーの形状。カスタム車(エアロ仕様車)は省略。
黒背景黄文字は貨物車仕様(4ナンバー)あり、もしくはあった。
スズキ
- スズキ・アルト (ハッチバック)
- スズキ・アルトラパン (ハッチバック)
- スズキ・アルトエコ (ハッチバック)
- スズキ・エブリイ (1BOX)
- スズキ・MRワゴン (トールワゴン)
- スズキ・カプチーノ (オープンカー)
- スズキ・キャラ (クーペ) - マツダ・オートザムAZ-1のOEM車。
- スズキ・キャリイ (トラック)
- スズキ・Kei (ハッチバック)
- スズキ・ジムニー (SUV)
- スズキ・スペーシア (トールワゴン)
- スズキ・ハスラー (SUV)
- スズキ・パレット (トールワゴン)
- スズキ・ワゴンR (トールワゴン)
ダイハツ
- ダイハツ・アトレー (1BOX)
- ダイハツ・ウェイク (トールワゴン)
- ダイハツ・キャスト (トールワゴン/SUV)
- ダイハツ・コペン (オープンカー)
- ダイハツ・ソニカ (ハッチバック)
- ダイハツ・タント (トールワゴン)
- ダイハツ・テリオスキッド (SUV)
- ダイハツ・ハイゼット カーゴ (1BOX)
- ダイハツ・ハイゼット キャディー (トールワゴン)
- ダイハツ・ハイゼット トラック (トラック)
- ダイハツ・ミゼットⅡ (トラック)
- ダイハツ・ミラ (ハッチバック)
- ダイハツ・ミラジーノ (ハッチバック)
- ダイハツ・ミラココア (ハッチバック)
- ダイハツ・ミライース (ハッチバック)
- ダイハツ・ムーヴ (トールワゴン)
- ダイハツ・ムーヴラテ (トールワゴン)
- ダイハツ・ムーヴコンテ (トールワゴン)
- ダイハツ・ムーヴキャンバス (トールワゴン)
ホンダ
- ホンダ・アクティ (トラック/1BOX)
- ホンダ・S660 (オープンカー)
- ホンダ・N-BOX (トールワゴン)
- ホンダ・N-WGN (トールワゴン)
- ホンダ・N-ONE (トールワゴン) - LOWDOWNモデルはセミトールワゴンに分類される。
- ホンダ・That's (トールワゴン)
- ホンダ・ストリート (1BOX)
- ホンダ・ゼスト (トールワゴン)
- ホンダ・Z (SUV)
- ホンダ・トゥデイ (ハッチバック)
- ホンダ・バモス (1BOX)
- ホンダ・ビート (オープンカー)
- ホンダ・ライフ (トールワゴン)
スバル
- スバル・R1 / スバル・R2 (ハッチバック)
- スバル・ヴィヴィオ (ハッチバック)
- スバル・サンバー トラック (トラック) - 7代目からはダイハツ・ハイゼットトラックのOEM車。
- スバル・サンバー バン (1BOX) - 7代目からはダイハツ・ハイゼットカーゴのOEM車。
- スバル・360 (セダン)
- スバル・シフォン (トールワゴン) - ダイハツ・タントのOEM車。
- スバル・ステラ (トールワゴン) - 2代目からはダイハツ・ムーヴのOEM車。
- スバル・プレオ (セミトールワゴン→ハッチバック) - 2代目からはダイハツ・ミラのOEM車。
- スバル・プレオプラス (ハッチバック) - ダイハツ・ミライースのOEM車。
- スバル・ルクラ (トールワゴン) - ダイハツ・タントエクゼのOEM車。
- スバル・レックス (ハッチバック)
マツダ
- マツダ・オートザムAZ-1 (クーペ) - 日本唯一のガルウィングドアを採用した軽自動車。
- マツダ・AZ-オフロード (SUV) - スズキ・ジムニーのOEM車。
- マツダ・AZ-ワゴン (トールワゴン) - スズキ・ワゴンR(〜4代目)のOEM車。
- マツダ・キャロル (ハッチバック) - 4代目からはスズキ・アルトのOEM車。3代目までは自社生産していた。
- マツダ・スピアーノ (ハッチバック) - スズキ・アルトラパンのOEM車。
- マツダ・スクラム (トラック) - スズキ・キャリイのOEM車。
- マツダ・スクラムワゴン (1BOX) - スズキ・エブリイ / スズキ・エブリイワゴンのOEM車。
- マツダ・フレア (トールワゴン) - スズキ・ワゴンR(5代目〜)のOEM車。
- マツダ・フレアクロスオーバー (SUV) - スズキ・ハスラーのOEM車。
- マツダ・フレアワゴン (トールワゴン) - スズキ・パレットのOEM車。2代目からはスズキ・スペーシアのOEM車。
- マツダ・ラピュタ (ハッチバック) - スズキ・KeiのOEM車。
日産
- 日産・オッティ (セミトールワゴン) - 三菱・eKワゴン(〜2代目)のOEM車。
- 日産・キックス (SUV) - 三菱・パジェロミニのOEM車。
- 日産・NV100クリッパー (トラック/1BOX) - 三菱・ミニキャブのOEM車。2代目からはスズキ・キャリイ/スズキ・エブリイのOEM車。
- 日産・NV100クリッパー リオ (1BOX) - 三菱・タウンボックスのOEM車。2代目からはスズキ・エブリイワゴンのOEM車。
- 日産・デイズ (トールワゴン) - 三菱・eKワゴン(3代目〜)の姉妹車。
- 日産・デイズルークス (トールワゴン) - 三菱・eKスペースの姉妹車。
- 日産・ピノ (ハッチバック) - スズキ・アルトのOEM車。
- 日産・モコ (トールワゴン) - スズキ・MRワゴンのOEM車。
- 日産・ルークス (トールワゴン) - スズキ・パレットのOEM車。
三菱
- 三菱・i (トールワゴン)
- 三菱・eKスペース (トールワゴン) - 日産・デイズルークスの姉妹車。
- 三菱・eKワゴン (セミトールワゴン→トールワゴン) - 3代目からは日産・デイズの姉妹車。
- 三菱・タウンボックス (1BOX) - 2代目からはスズキ・エブリイワゴンのOEM車。
- 三菱・トッポ (トールワゴン)
- 三菱・パジェロミニ (SUV)
- 三菱・ミニカ (ハッチバック)
- 三菱・ミニキャブ (1BOX) - 7代目からはスズキ・エブリイのOEM車。
- 三菱・ミニキャブ トラック (トラック) - 7代目からはスズキ・キャリイのOEM車。
トヨタ
- トヨタ・ピクシスエポック (ハッチバック) - ダイハツ・ミライースのOEM車。
- トヨタ・ピクシススペース (トールワゴン) - ダイハツ・ムーヴコンテのOEM車。
- トヨタ・ピクシスジョイ (トールワゴン/SUV) - ダイハツ・キャストのOEM車。
- トヨタ・ピクシストラック (トラック) - ダイハツ・ハイゼットトラックのOEM車。
- トヨタ・ピクシスバン (1BOX) - ダイハツ・ハイゼットカーゴのOEM車。
- トヨタ・ピクシスメガ (トールワゴン) - ダイハツ・ウェイクのOEM車。
smart(ダイムラー)
ケータハム
関連動画
みんな大好きTopGear
あきらかにやりすぎです、ほんとうに(ry ハイトワゴンCM集
関連項目
脚注
子記事
兄弟記事
- なし
- 8
- 0pt