レンネル島沖海戦単語

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レンネル島沖海戦とは、大東亜戦争中の1943年1月29日に生起した日本軍vsアメリカ軍戦闘である。連合軍側の呼称はレンネル戦。

概要

ソロモン諸島南部に位置するレンネル合いで行われた戦で、ガダルカナル島に向けて北上するロバート・C・ギッフェン少将率いる艦隊を大日本帝國海軍の第701、第705、第751航空隊が攻撃。日本側は攻撃に投じた陸攻10機を喪失し、アメリカ側は重巡洋艦シカゴ撃沈と駆逐艦ラ・バレット大破の損を負った。

ギッフェン少将は対日戦が初めてだったため悪手を打った事、VT信管を過信していた事が重なってシカゴを撃沈され、艦隊は北上を中断。これによりガダルカナル島から有艦隊がいなくなり、続くガダルカナル島撤退作戦が予想以上の成功を収める近因となった。日本戦略勝利と呼べる。

背景

1942年8月から行われていたガダルカナル島を巡る戦いは、アメリカ軍勝利で終わろうとしていた。多くの輸送戦闘艦を失い、の維持が困難と悟った海軍は撤退を考え始めたが、同には未だ約2万の日本軍守備隊が取り残されており、彼らの救出が急務だった。12月31日昭和天皇から撤退作戦の裁可が下り、1943年1月4日大本営から命として下された。

撤退作戦アメリカ軍に気取られては支障が生じるため、陸海軍は総を挙げて反攻を開始し、あたかも攻勢が行われるかのように錯覚させた。陽動のための1個大隊がガ派遣され、ラバウルを中心とした航空隊は盛んに攻撃を行い、ショートランドには多くの船舶を集結させた。この陽動に引っかかったアメリカ軍日本軍の攻勢の始まりだと誤認。一時攻勢を中止してヘンダーソン飛行場の防備を固めるとともに、守備隊の息の根を止めるべく増援を送り込む事に決めた。ガダルカナル島へ送る増援団を餌に日本艦隊を釣り上げようと考えたウィリアムハルゼー提督は護衛任務がてら大規模な機動部隊を配した。

1943年1月27日、正規空母2隻、護衛空母2隻、戦艦3隻、巡洋艦12隻、駆逐艦25隻からなるアメリカ艦隊がエフェテを出撃。艦隊の前衛としてロバート・C・ギッフェン少将率いる第18任務部隊が展開。戦の内訳は輸送4隻、重巡洋艦イチタ(旗艦)、シカゴ、ルイビル、護衛空母シェナンド、スワニー、軽巡洋艦モントピリアクリーブランドコロンビア駆逐艦8隻だった。第18任務部隊の後方400kmを空母エンタープライズを中心とした機動部隊が、その更に後方240kmに戦艦と正規空母の混成部隊が追随する。官のギッフェン少将欧州戦線から転属してきたばかりで、今回が初の対日戦だった。人種差別しい時代だった事もあり彼は日本航空隊の実を甘く見ていた上、重巡洋艦シカゴに新兵器VT信管」が搭載されていた点も油断に繋がったと思われる。

撤退作戦が眼前に迫った1月29日午前7時35分、バラレから出撃した日本偵察機がサンクリスバルで接近する艦隊(護衛空母2隻、重巡3隻、軽巡3隻、駆逐艦8隻)を発見。これを迎撃すべく、ラバウルバラレ、ブカ、ショートランドから陸攻隊を発進させた。攻撃時に丁度夕暮れ時になるよう、時間調節をした上での出撃だった。第18任務部隊の上には触接機が飛び回り、位置情報を発信。同時に潜水艦8隻が現場域に急行し、シカゴの進路上で待ちせた。

第18任務部隊19時頃に所定の域で駆逐艦4隻と合流する予定だったが、速18ノットの鈍足な護衛空母が予定に狂いを生じさせていた。ギッフェン少将は合流時間を遵守すべく、足の遅い護衛空母2隻に2隻の駆逐艦を付けて切り離し、速を24ノットに上げた。諜報機関から日本潜水艦が潜んでいるとの警告を受けた第18任務部隊は対潜警に移行、巡洋艦を二手に分けて左右に配置する。ウイチタ、シカゴ、ルイビルが右側に、モントピリアクリーブランドコロンビアが左側に単縦で配置され、その前方3.2kmに駆逐艦6隻が半円を描くように展開。護衛空母が離脱した上、潜水艦への警に注意を引きつけられた第18任務部隊は対が疎かになっていた。日までは護衛空母から発進した直掩機が守ってくれていたが、日後は母艦へ帰投してしまった。の帳が降り始めた頃、第18任務部隊の各艦艇はレーダー西方97kmを飛ぶ敵味方不明機を探知する。しかし、あろう事かギッフェン少将はこの報告に対して何ら示を下さなかった。レーダーに映った機の正体は、日本の陸攻隊であった。

17時10分、第705航空隊の一式陸攻アメリカ艦隊の航跡を視認。戦いの火蓋は切って落とされた。

戦闘

1月29日の戦闘

1月29日17時19分、第705航空隊が第18任務部隊の上に到着。有利な撃を行えるよう、東の暗い夜空を背に接近。第18任務部隊はまだ明るい西のによって姿が浮き上がり、認識を容易なものにした。輸送4隻の右側に重巡3隻、左側に軽巡3隻、前を駆逐艦6隻が固めている。指揮官機が突撃を意味するト連送をし、重巡に対して撃を行った。しかし熾対空砲火を受け、命中弾を与えられないままウイチタの対空砲火で1機が撃墜された。ちなみに30マイル離れた所に伊25潜が潜んでおり、航空攻撃の様子を撃している。

第705航空隊が引き揚げるのを見たギッフェン少将ジグザグ運動をやめ、一直線にガダルカナル島へ向かうよう示を出した。だが日本軍の攻撃はまだ終わっておらず、第18任務部隊の針路と速を割り出す的で照明弾を投下。暗くなりかけていた域を真昼のように明るく照らし出す。17時38分、次に到着した第701航空隊が撃を開始。反応が遅れた第18任務部隊対空砲火を撃つのが遅れ、その間に陸攻が薄、隊列を組みながら突撃する。が、その遅れを取り戻すかのように艦隊から熾対空砲火が浴びせかけられた。それはまさに火山噴火だった。たちまち1機の一式陸攻(檜蘘治少佐指揮官機)が被弾し、く火の塊となって高度を失う。しかし檜少佐機は最期の意地を見せてシカゴへ突入し、航空燃料の引火によって炎上させる。暗闇の中で燃え上がったシカゴは格好の標的となり、魚雷2本が立て続けに命中した。ルイビルとウイチタにもそれぞれ1本が命中したが、不発に終わっている。撃を終えた陸攻隊は、対空砲火を避けながら撤退。日本側は陸攻2機と不時着で3機を失った。

18時8分、ギッフェン少将対空砲火の停止を命じた。撃の的にされたシカゴ機関室満と11度傾斜の重傷を負い、大破航行不能の状態だった。ガダルカナル島への移動を断念した第18任務部隊反転南下し、手負いのシカゴはルイビル航。他の艦艇が寄り添うように護衛する。死の淵に立たされているシカゴを救うべくタグボートのナバホが派遣され、第18任務部隊の後方で待機していた空母エンタープライズサラトガから直掩機が発進した。一方の日本軍シカゴを仕留めるべく17、伊25伊26伊176に攻撃を命じたが、スコールに阻まれて失敗した

1月30日の戦闘

1月30日、4隻の潜水艦シカゴが通過するであろう域に先回りして再度待ちせた。

午前6時、ナバホが到着して航任務をルイビルから引き継ぐ。その僅か20分後、日本偵察機に発見される。上で警していた直掩機によって追い払われたが、正確に位置を通報されていた。午前10時15分、第751航空隊の一式陸攻11機がブカを出撃し、シカゴを仕留めるべくガ方面に向かう。ソロモン諸島に潜しているオーストラリア軍の沿監視員が第751航空隊の存在を発見、14時頃の到着と通報した事でアメリカ軍に戦慄が走る。上層部はシカゴの護衛に駆逐艦6隻を残し、他の巡洋艦にはエファテに退却するよう命じた。13時40分、第18任務部隊の上援護を行っていたエンタープライズ戦闘機10機が偵察に現れた一式陸攻を追跡して撃墜する。

13時55分、第751航空隊はエフェテへ退却中の第18任務部隊を捕捉。14時6分に攻撃を開始した。しかし速6機の敵戦闘機に迎撃され、執拗な妨を受ける。妨を振り切った機がシカゴの方に向かうも、その後方から4機の戦闘機が追いすがり、シカゴ護衛艦艇からの対空砲火に挟まれて7機が撃墜されてしまった。生き残った4機の一式陸攻薄を続け、ついに撃に成功。14時40分頃、1本の魚雷駆逐艦ラ・バレットの前部機関室で炸裂し、大破するとともに22名の乗員が戦死。シカゴには4本の魚雷が直撃、62名の乗員が戦死した。艦長ラルフ・O・デイビズ大佐は艦の放棄を命じ、被から20分後に艦尾から沈没していった。

エンタープライズの魔手から逃れた4機の陸攻も損傷がしく、1機がニュージョージアに不時着。帰還した3機も修理不能の損傷を負っていた。事実上の壊滅である。

結果

シカゴの撃沈は、アメリカ軍に大きな衝撃を与えた。VT信管を搭載し、エンタープライズの直掩機10機が護衛についていながら撃沈された事にショックを受けたチェスター・ニミッツ大将はこれを部外秘とし、長らく表される事はかった。レンネル島沖海戦の敗北によりアメリカ艦隊はガへ進出できなくなり、これが撤退作戦の成因となった。もし本戦が生起しなかった、あるいは不成功に終わっていた場合、ケ号作戦被害は予想通り甚大なものになっていたと思われる。またレンネル島沖海戦を含む日本側の積極的な攻撃は、アメリカ軍に撤退の意図を隠すのに一役買った。アメリカ軍が撤退に気付いたのは、日本軍がガから退却した後だった。

実際の戦果はシカゴ撃沈とラ・バレット大破であったが、第26航空戦隊は「戦艦2隻・巡洋艦2隻撃沈、戦艦1隻・巡洋艦1隻中破」と報告。ただでさえ誇なのに、大本営発表新聞には「戦艦2隻・巡洋艦3隻撃沈、戦艦1隻・巡洋艦1隻中破」と更に増しされている。

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