怒(怒 -IKARI-/いかり)とは、SNK(旧SNK)が1986年2月に発売したアーケード用アクションシューティングゲームである。海外版タイトルは『IKARI WARRIORS』。
続編である『怒号層圏』『怒III』についても記述する。
概要
特殊部隊に所属するラルフ大佐とクラーク少尉が数多の死線を潜り抜けるトップビューのアクションシューティングゲーム。80年代後半のSNKを代表する大ヒット作であり、後に『THE KING OF FIGHTERS(KOF)』シリーズや『メタルスラッグ』シリーズで活躍するラルフとクラークの原典である。
8方向レバーにダイヤルを組み合わせることで自キャラの向きを進行方向とは独立して操作できる「ループレバー」を採用したゲームの第2弾であり、主人公のラルフは第1弾『T・A・N・K』からの続投となっている。専用コンパネは改良されて操作性が向上している。
当初は映画『ランボー』のゲーム化作品として企画されており、実際に映画の配給会社と交渉してライセンスも取得できそうだったが、海外の展示会に出品した際に予想以上に好評だったためオリジナル作品として発売された経緯がある。
登場人物
- ラルフ・ジョーンズ
- 主人公。かつて一台の戦車でX国の軍隊を壊滅させたスーパーソルジャー。戦功により20代後半の若さで大佐に昇進している設定だが、イラストによってはベテランらしい貫録のある風貌になっている。
- クラーク・スティル
- 2Pキャラ。部隊の新入りで戦闘経験は少ないが優秀な兵士。初登場時は墜落を装って潜入するはずだった飛行機が本当に墜落して2人以外の隊員が死傷したため、ラルフにスパイでは無いかと疑われていた。ゲーム内でその辺の謎解きはされず、続編以降は階級を超えた良き相棒となっている。
システム
攻撃はマシンガンと手榴弾の2ボタン。弾数制限が存在し、両方が弾切れになると攻撃手段が無くなってしまう。パワーアップアイテムを取得すると手榴弾や戦車砲の爆風が強化されて広範囲の敵をまとめて吹き飛ばせるようになるが、敵の攻撃による爆風も同様に凶悪な攻撃範囲を持つ。
マップに配置された戦車の上で手榴弾ボタンを押すことで戦車に乗降できる。乗る前に敵味方の爆風が当たると爆散してしまうので注意。戦車は敵のマシンガンを無効化でき、接触するだけで兵士を轢き殺せるが、地雷や手榴弾などの爆風を受けるか燃料が切れると煙を噴いた後に爆発するため、すぐに降りて退避しないと爆発に巻き込まれる。
2Pプレイ時には味方の攻撃に当たってもミスになり、「俺が生き残るためなら相棒でも倒す!」というキャッチコピーも存在した。
同じくSNKから発売された『ゲバラ』に本作のシステムが流用されている。
怒号層圏
1986年10月に発売。海外版タイトルは『IKARI WARRIORS II: VICTORY ROAD』。
休暇中のラルフとクラークが突如異次元空間に引きずり込まれ、魔物を相手にドンパチを繰り広げる異世界転移アクションシューティングゲーム。
当時まだ珍しかった(広告では世界初と謳われた)音声合成を使用しており、「よーし、行くぞ!」「手強いぞ!」「もう一度チャンスをくれー!」と主人公がよく喋る。コンパネは『怒』の流用で、筐体とのセット販売の他にソフトだけの交換にも対応していた。
武器の弾数制限は撤廃され、戦車に代わって鎧が強化アイテムになった。勿論敵弾に当たっても脱げるだけで爆発したりはしない。前作のような敵基地や戦車の誘爆は無くなったが、ボスの撃破や地形を切り開くために手榴弾が重要なのは変わらない。
通常武器としてマシンガンの他にバズーカと剣、ブーメランが追加。バズーカは射程は短いが太い爆風を繰り出し敵を薙ぎ払う。剣はボタンで振るのではなく常に構えており、ボタンを押すと何故かマシンガンの弾が撃てる。自キャラを回転させて振り回せば、敵を薙ぎ払ったり敵弾を打ち返せる。2Pプレイ時に2人とも剣を構えていると剣が光ることがあり、剣を重ね合わせることで雷の魔法が発動し、画面内のザコ敵を一掃できる。ブーメランは他の武器と比べて利点が少なく罠気味。
怒III
1989年1月に発売。海外版タイトルは『IKARI III: THE RESCUE』。
政権交代に反対する勢力に誘拐された次期大統領の子供を救出するため、ラルフとクラークが敵基地へと突入する。『KOF』のラルフのプロフィールにある「昔、大統領から貰った勲章」は本作の事件で貰ったものでは無いかと考察されている。
シューティングだった前2作から一転し、パンチとキック、ジャンプを駆使して殴り合う格闘アクションへと変貌を遂げた。当時流行していたベルトスクロールアクションの影響が伺える。敵が落とした銃器を奪って使える他、敵が投げた手榴弾やマップ上に配置された爆発物を投げて使うことは出来るが、通常攻撃の手榴弾は無くなった。
キャラクターが大きくグラフィックに迫力はあるが、SNKの格闘アクションの例に漏れず理不尽なまでに難易度が高い。ゲーム性の変化もあってか前2作ほどのヒットには至らなかった。
ファミコン版
発売当時に3作ともファミリーコンピュータに移植されている。『怒』と『怒号層圏』はマイクロニクスの開発と言われ、評価は高くない。
怒
1986年11月にケイ・アミューズメントリースから発売。
操作が十字キーなので自キャラの向きは進行方向に依存し、戦車の砲塔のみBボタンを押しながら十字キーで向きを変えられる(降車はAB同時押し)。戦車に加えてヘリコプターにも搭乗可能でステージはアーケード版より長くなっている。
アーケード版の雰囲気を可能な限り再現しようとしているが、自キャラの動きがアーケード版に輪をかけて遅く、画面のチラつきも激しい。操作性の悪さと相まって難易度も理不尽に高くなっており、クソゲーと評されることが多い。
怒II DOGOSOKEN
1988年4月にケイ・アミューズメントリースから発売。
アーケード版の残機制からヒットポイント制に変更されたが、攻撃を受けた際の無敵時間が無いため連続ヒットであっと言う間に死ぬことがある。相変わらずキャラの動きは遅いものの、グラフィックの質は前作より向上している。アイテムを複数持つことができ、メニューを開いて武器を切り替えたりアイテムを使用できる。アーケード版で強力だったバズーカや剣が弱体化した一方、ブーメランは強化されている。
ロムカセットなのにロードに時間がかかったり、BGMやボイスの音質が良くない(ボイスの劣化で生まれた空耳ネタがMAD素材として画箱で流行したらしい)などの問題点もあり、前作よりはマシという評価に留まる。
怒III
1990年3月にケイ・アミューズメントリースから発売。
アーケード版と比べると人間キャラがとても小さく、雰囲気の再現については前2作よりも投げ捨てている。しかし背景のグラフィックは良くBGMも良アレンジであり、自キャラの動きも軽快で操作性は良い。ファミコン移植の格闘アクションとしては及第点の出来となっている。
その他の移植版
海外ではAtariなどのゲーム機やパソコンにも移植されているが、所謂無茶移植も多い。国内では『怒』がSNKのゲームで唯一MSX2に移植されており、難易度は下がっているがファミコン版と比べれば完成度は高い。
後年にはPSPソフト『SNK ARCADE CLASSICS 0』やPS4/Steam/NSWソフト『SNK 40th Anniversary Collection』などのコレクションソフトに収録されている他、PS4/NSW向けに「アーケードアーカイブス」で配信されている。ループレバーのダイヤル操作についてはLRボタンやツインスティックで代用されている。
関連動画
怒
移植版
怒号層圏
怒III
関連商品
関連リンク
- アーケードアーカイブス配信ページ
- 怒 -IKARI-
- 怒号層圏
- 怒III
- 怒 -IKARI-
関連項目
- 0
- 0pt