自分が悪だと気づいていない最もドス黒い悪とは、その人物の言葉や行動が「悪」と断じられるようなものだが、当人はそれを「悪」だと気づいていない「最悪」を表した言葉である。
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あなた…『覚悟して来てる人』…ですよね。 この記事は、ジョジョの奇妙な冒険・第6部「ストーンオーシャン」についてのネタバレを擁してます。 |
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ほんわかレス推奨です! 本記事は『ジョジョの奇妙な冒険』の名言を扱っています。 |
概要
漫画「ジョジョの奇妙な冒険」Part6ストーンオーシャンに登場する、ウェザー・リポートがエンリコ・プッチに対して言い放った台詞。
作中最大の悪役であるDIOが「天国へ行く方法」と称した究極のスタンド能力に行き着く方法を求めたエンリコ・プッチ神父は、主人公・空条徐倫の父・承太郎の記憶を奪ってその方法を知り、それを知るまでや成就までの過程で数多くの人間を犠牲にしてきた。
徐倫の味方でプッチ神父の実の弟だったウェザー・リポートは、プッチから奪われていた記憶をとり戻した事で、過去に全ての人間を憎んだ怒りを呼び覚まし無差別に人間をカタツムリ化させる「ヘビー・ウェザー」を発現させてしまう。その怒りの根源はプッチにあり、その目的や失った仲間の為にプッチと決着をつけ、そして自分では止められない「ヘビー・ウェザー」を止めさせるために、仲間のナルシソ・アナスイにプッチを倒した後自分を殺してほしいと頼む。
そして、とうとうウェザーの相打ち覚悟の闘いでプッチの体を掴みとどめを刺せる状態まで行きついた。追い詰められたプッチは、自分自身を勇気づける「素数」を数える行為をしながらウェザーへの説得を試みた。
よ…よすんだウェザー
グリーン・ドルフィン刑務所で……
おまえを始末するつもりならいつだってできたのだ
だが…いつかおまえを救えると思ったから…
「記憶」だけを奪っておいたのだ弟であるおまえのためであり…
「天国」への能力を手に入れるために
そうしていたのだ「天国」へは誰かはいつか到達しなくてはならない
やめろウェザー自分とわたしを殺そうとするのはやめるんだ
プッチの言う事もあながち嘘ではない。「ヘビー・ウェザー」を止めるために記憶を奪うだけに留めておいて、徐倫に味方するようになった後でも手を下さなかったのは、生き別れた双子の兄弟ゆえの情があっただろうと解釈できる。
だが、目的である天国を目前にしたプッチはこの時点で邪魔者であるウェザーの命を狙い、「おまえの人生はどうやったって救われないものなのだ」とまで言い放っている。自分の目的は何においても正当化されると思っているからこそ、誰が聞いても都合のいい命乞いでしかない事をプッチ自身はそうだと思っていないのだ。それに対しウェザーは毅然とプッチを「最大の悪」と断ずる。
おまえは………
自分が『悪』だと気づいていない…
もっともドス黒い『悪』だ…
これまでの『ジョジョ』シリーズのラスボスは、自分の行いを『悪』だと理解しておきながら、それでも自分の『悪』の道を選んだ事に前向きに生きている。それに対し本作のラスボスであるプッチ神父は、神の意志に従い人類を運命から克服できるようにする事が自分の使命と信じており、その為の犠牲も神の意志であると思っている。本来人を正しく導く役目を持つはずの神父故に、このようなキャラクター造形となっている。
ここまでに明かされたプッチ神父の過去を読めば、そうせざるを得なくなったプッチに同情したり翻弄してくる運命に悲しんだ読者もいるだろう。しかし、作中でエンポリオ・アルニーニョが語った通り、『ジョジョ』の中では自分の目的のために他者を犠牲にする事は『悪』であると論じている。
ただひとつ言えることは……
神父が全ての人々の幸せも人生も犠牲にして行動しているという事だ
それは間違いなく「悪」だ……絶対に倒さなくてはならないものなのだ……
明日「死ぬ」と分かっていても「覚悟」があるから幸福なんだ!(クリックで表示)
物語終盤でプッチ神父が「天国へ行く方法」によって手にしたスタンド能力「メイド・イン・ヘブン」は、無限に時を加速させ、その加速によって宇宙の一巡、宇宙の終焉と新しい宇宙(パラレルワールド)の誕生を迎える。
そして『新しい宇宙』にたどり着いた人類は、一瞬のうちに起きた未来の運命を体験した事になり、常に数秒後に起こる未来の運命を予め知ることが出来、その運命は絶対に不可避なものである。
プッチ神父の求める天国とは、たとえ悪い出来事の未来を知ってもそれを予め「覚悟」する事が出来、その「覚悟」が「絶望」を吹き飛ばすことが出来るから「幸福」であるというもの。それも独りではなく全員が未来を「覚悟」出来るから人類は救われるというのがプッチ神父の主張である。
だがしかし、この主張は今までの『ジョジョ』で描かれてきた「正義の心」で未来を切り開く事を根底から否定している。もしかしたら「運命を切り開く」事すら運命の中に組み込まれているのかもしれないが、受け入れるだけしかない運命は果たして幸福と言えるだろうか?
本作のラストバトルでは、受け継いだ「正義の心」を持ったエンポリオと、最後まで自分の意志は正しいものだと信じてやまない「悪」のプッチ神父による一騎打ちによって決着がつけられる。
インターネット上では、同じく『ジョジョ』の台詞で悪を断じた有名な台詞である『吐き気を催す邪悪』と同様、そう言われるのに相応しい外道なキャラクターや人物等に蔑称として使われるネットスラングのひとつとされている。
ただし、「吐き気を催す邪悪」の記事でも注意されているように、安易にこの台詞を持ち出して批判・非難の為に使用するのはトラブルを招きかねないので注意しよう。
トリビア
- PS3用ゲーム「ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル」では、この記事の台詞の発言者であるウェザー・リポートが参戦キャラクターではない為、代わりに空条徐倫がエンリコ・プッチとの対戦で勝利した際の特殊掛け合いに使用されている(プレイヤーカードに使用できる「名言」ではCV.大川透で収録されている)。ウェザーが参戦しているリマスター版「ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトルR」及び「ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン」では最終バージョンのエンリコ・プッチ(新月の時を待つプッチ)との対戦時にこの台詞が使用される。
関連動画
関連静画
関連コミュニティ
関連項目
- ジョジョの奇妙な冒険
- ストーンオーシャン
- ウェザー・リポート
- エンリコ・プッチ
- サンダー・マックイイーン(プッチ神父から真の邪悪と評された人物。プッチがこう言えるのは自分はそういった人間ではないと思っているから)
- 天国へ行く方法
- どこへ行かれるのですか?
- 覚悟は「幸福」だぞ
- 地獄への道は善意で舗装されている
- ジョジョの奇妙な冒険 関連項目一覧
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