足利義明単語

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足利義明（あしかが・よしあき　？ ～ 1538）とは、戦国時代の武将である。自称「小弓公方」。

概要

古河公方足利家の一族。初め僧侶だったが、実家の古河足利家が内紛を起こしているのを見て還俗。真里谷氏の支援を得て小弓城を占拠して「小弓公方」を自称し、古河公方の座を奪おうと画策する。
しかし、第一次国府台合戦において北条軍を相手に討死した。

室町幕府最後の将軍・足利義昭と名前がよく似ている上に、読みも同じだが、全くの別人なので注意。

生涯

爆誕！ 小弓公方！！

第2代古河公方・足利政氏の子で、第3代古河公方・足利高基の弟。はじめ鶴岡八幡宮の僧として空然（こうねん）と名乗っていた。

この時代、「永正の乱」と呼ばれる関東全土で連続的に起こったトラブルに古河公方家も巻き込まれ、政氏と高基が家督を巡って対立を始めていた。更に山内上杉家の跡継ぎへの介入でも二人は対立する。こうした状況に刺激されたか、「俺もこんなところで経読んでる場合じゃねぇな」と空然は還俗して足利義明を名乗り、古河公方の座を奪い取ろうと行動を開始する。

特に彼の行動を支援したのが上総の戦国大名・真里谷恕鑑だった。1518年、真里谷氏と義明は下総・小弓城を攻め落としてこれを占拠する。この小弓城は千葉家臣・原氏の居城であり、この時城を失って落ち延びていった人物の中に、後に武田家臣として活躍する原虎胤がいる。

以後、義明は「小弓公方(おゆみくぼう)」を自称して、古河公方家に対して明確に反旗を翻す。しかし義明という人物は武勇に優れていたものの、血気盛んすぎるところがあり、危険な船出であった。ちなみにいつ頃からかは不明だが、三弟の足利基頼も義明に従って行動している。（将軍家も古河公方家も、不要な家督争いを避けるために二男以降は基本的に出家させているので、基頼も還俗した人物ではないかと推測されるが詳細は不明）

勝手に独立したとはいえ相応の権威は有しており、古河公方が後北条氏と手を結んでいた事から、扇谷上杉家は山内上杉家および小弓公方と同盟関係を結んで対抗を図っている。ちなみにこの頃の山内上杉家当主は足利高基の子・上杉憲寛だった。前当主に養子入りしていた憲寛だが、のちに前当主の実子・上杉憲政を担ぐ一派に追放されてしまい、彼もまた小弓公方の元に身を寄せることになる（足利晴直と改名）。

義明散る！ 涙の国府台合戦！！

こうして房総半島における義明の存在感は増していった。後援者であった真里谷恕鑑とは対立するがまもなく恕鑑が病死。更に里見氏や真里谷氏の家督争いに介入するなど、積極的な行動を続けるのである。真里谷氏の家督争いは恕鑑の息子・信隆と信応によるものだったが、義明は信隆を追放する。が、信隆が後北条氏を頼った事で、それまで中立的だった小弓公方と後北条氏は対立関係に陥る。

こうして1538年、江戸湾をはさんだ形での二大勢力と化した後北条氏と小弓公方による第一次国府台合戦が幕を開ける。

ところが義明はすっかり慢心していたのか、「足利家の高貴な血筋に本気で弓引く奴などいないわ！！」などとのたまう始末。里見義堯の提案も全く受け入れられず、これを見た里見義堯は「駄目だこいつ…早く（自分だけは）なんとかしないと」と義明を見限る事を決意する。

すっかり自軍がｇｄｇｄになっている事にも気づかず血気盛んな義明は、大将にも拘わらず陣頭指揮をとって果敢に攻める。が、弟・足利基頼、長男・足利義純が次々と討死。里見軍はやる気なし。この劣勢に義明は

「なっ！ 何をするだァーッ！ ゆるさんッ！」

と、退却や体制を立て直すどころか、ブチ切れて自ら騎馬突撃を敢行する。いやあなた大将でしょ？ 戦略も戦術も特にないこの無謀な突撃の最中、足利義明は敵の矢にあたり、あっけなく討死を遂げた。

一方の里見氏は義明戦死と聞いて一戦もせずにさっさと撤退。その後、小弓公方や真里谷氏の旧領を次々と押さえて完全に漁夫の利を得ることに成功している。

蘇る小弓公方！ 俺達が足利家だ！！

ところが歴史というのは不思議なもので。

戦国時代の終わり頃、古河公方家は村雨の人足利義氏に男子がなく、足利氏姫が当主という事態になっていた。一方、小弓公方家は義明の遺児・足利頼純が里見氏の庇護の下に生き残っており、二人の息子（国朝、頼氏）がいた。

更に頼純の娘が豊臣秀吉の側室となった縁から、名門・足利家を存続させようという動きが起こり、秀吉の命で国朝と氏姫が政略結婚することとなった。国朝はまもなく早世してしまったため、弟の頼氏が改めて氏姫と婚姻を結ぶ。以後、下野・喜連川に領地を与えられたことで喜連川頼氏を名乗った。江戸幕府下でも特別扱いされ、喜連川家は足利氏唯一の大名（？）として存続する事になる。（※正確には5000石なので交代寄合なのだが、10万石レベルの国持大名として扱われた）

小弓公方側も古河公方側も、お互い正統性を譲らなかったものの、一応男系としては義明の子孫という事になる。なお足利氏の確かな末裔としては他に足利義維の子孫・平島公方家が存在する。

補足

「信長の野望」（PC）シリーズにおける足利義明の能力一覧。

天翔記では何故か古河公方家で一緒に仲良くやっている。ただし義理3野望87という危険人物であることには変わりない（蒼天録では義理7）。
創造で久しぶりに復活して、大名として登場。しかし家臣が全くおらず、能力も中途半端、さらに強豪北条氏が間近にいるなど、その難易度は非常に高い。

関連動画

上級プレイで関東統一をめざす「小弓足利の野望」。動画の後半は足利義明の史実に関する解説付き。

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関連項目

• 足利政氏
• 足利高基
• 足利晴氏
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• 喜連川国朝
• 喜連川頼氏
• 真里谷恕鑑
• 真里谷信隆
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