RPGツクール4とは、2000年にプレイステーションで発表された最後のPS版ツクールシリーズである。
また、このシリーズから販売元がエンターブレイン表記へと移る。開発はアジェンダ。
本筋のシリーズでは初めて空想科学から開発が変わったシリーズである。
概要
属性の追加、シリーズ初のサイドビュー戦闘実装(FF式)、召喚ムービー、天候演出の追加……。
などなど、意欲的な要素が取り込まれた新しいRPGツクールであった。
が、これだけ新要素が増え、より内容にひと味違う深みを加えることが出来る痒いところに手が届くツクール。
……のはずだが、ツクラーからの評価は恐ろしく低く、主にクソゲー扱いされている。
理由を簡単にいえば「バグが多い」「ダンジョン自由につくれねぇ」「詰めが甘い」の三点である。
ただし、それだけでクソと切り捨てるには惜しい部分も多く存在する、惜しいツクールでもある。
これは酷いツクール4
- 自分でダンジョンをつくろうとすると、下地だけで容量を1万以上食う。
まともに作ろうとするとどう頑張っても最終的に無茶になる。
- デバッグをしたとは思えないバグの多さ。(ただしこれは後にRPGツクールDSが記録を塗り替えた)
- 効果音の質が3よりもショボい。
- 場所移動するとたまに設定したはずのBGMが止まる。
- 場所移動イベントコマンドが使いにくい、分身作成が出来ないのでこれを使うときは限定された場に限られる。
- アイテムを使い切ると「○○は壊れてしまった」という表記が強制的に起こる。
例えば薬草を使ったとしてそれが使用限界を超えると「薬草は壊れてしまった」と表記されてしまう。 - HP回復を戦闘中にすると必ずハートマークが連なったエフェクトが出てくる。(恥ずかしい)
- 戦闘不能状態には、バトル後復活する(HP1)と復活しないという二つの設定がある。
前者にすると戦闘終了後でもゲームオーバーにならない。つまり必然的に復活しない設定にする必要がある。
- エンカウントが乱数なしの歩数固定。一応ランダム歩数が設定出来るが差はかなり微妙。
よってプレイヤーは大体いつ敵が登場するか予見出来てしまう。 - ステータス画面で必殺技の欄が見られず、もちろん使用も出来ない。
- システム項目の名前を変更出来るが、装備部位など一部の名前が中途半端に変更不可。
また、一部は変更しても微妙に反映されない。 - 同属性をくらうと回復してしまうという仕様が固定化されている。
- 何故か剣と杖が共通化されていて、杖攻撃でも斬撃音がする。
本当にツクール4はただのクソゲーなのか?
このようにとても評価の低いツクール4であるが、内容自体は3の続編だけあっていろいろパワーアップされている。
バグと容量の問題さえなければ3よりも出来ることの幅は大変広い。
第一に属性の出現は大きく、3のジャンケンみたいな3すくみタイプよりも幅が広くなった。
個数制限こそあれど、十分に数が備わっており、名前を一応変えられるため自由度も高い。
くわえて、3は設定された属性にはデフォルトで得意・不得意が設定されている。
が、4は敵・味方全てに属性を付けられるうえ、複数の属性設定も出来るようになった。
ただし同属性がかち合うと前述のように回復してしまうため、基本的に弱点での利用がオススメであろうか。
キャラチップは前作に負けず劣らず種類がかなり豊富である。
中にはケットシー・二本足のモグラ(工事現場のオッサンみたいな格好をしている)などもあり、タイプも様々。
しかもこれらをサイドビュー戦闘に参加させることも出来るので、面白いパーティー構成に設定することも可能。
つまり、赤ちゃんがモンスターへ攻撃している場面など、シュールな光景も作ることが出来るのだ。
キャラの顔グラも後の洋ゲーチックなものと比べればまぁまぁの出来であり、悪くはない。
さらに、今までのツクールで待望視されていたアイテムの解説文入力が始めて実装。
また主人公に限って、メッセージに名前を表示させることも可能になった。ただし主人公だけなのが難点でもある。
アイテムの効果自体もかなり広がり、特にアクセサリーは付けられる機能が大きく拡張されている。
また、本作は初のサイドビュー戦闘ながらシステムの完成度はそれなりに高く、かなりテンポも良い。
FFのようにアクティブ・ウェイト変更は不可能だが、サクサクとバトルが進んでいく。
3はロードがない代わりにもっさりした印象なだけに、ここだけはツクールシリーズ随一だという声も。
魔法エフェクトに、デフォルト素材として初の3DCGムービーを導入した。
デフォルトなので映像の編集は不可だが、色変化で種類の演出をすることは十分出来る。
従来の戦闘アニメは10までフレームを増加することが可能で、編集出来る演出も増えた。
他にも召喚獣システム(上記の3DCG限定の魔法)、複合魔法など、スキルの種類もシリーズの中でもかなり豊か。
さらに必殺技は前作のようにHP消費固定ではなく、APという第三のゲージとの選択性が導入された。
ただし、上述の駄目なポイントが足を引っ張っていることで、長編を作るのはまず無理といっていい。
が、これらの制限を理解したうえで、それを逆手にとった作品を作ればとんでもない名作を作ることも可能である。
特にさっきも述べたように戦闘シーンの完成度はかなり高い。
後に発表されたRPGツクール2003やRPGツクール(PS2)などのデフォルトサイドビュー戦闘ツクールはある。
だが、それらは未だに4の戦闘システムを超えていないと言っても、過言ではないだろう。
ツクール4の見所!
つまりそれを箇条書きすると大体こんな感じである。
- 変数導入によるフラグ管理能力の増強。
- 魔法効果が豊富になる。
- 属性をツクール3より細かく設定可能。
- 戦闘における自作エフェクトを細かく製作可能。さらに魔法アニメは美麗ムービーも収録。
- 自作アニメも機能が増加。フレーム数が増えただけでなく、パーツ色の変更機能、表示時間の設定機能などが追加。
- 召喚・複合魔法など、技のバリエーションが広い。
- 必殺技専用の消費ゲージ『AP』、職業専用経験値『CCP』が登場。当然どちらも不要なら使わなくても一応いける。
- 職業システムがさらに強化され、アビリティなどを細かく設定可能。職業レベルもあり、転職システムも搭載されている。
- 「自作すると容量食いまくっちゃうんだ!ゴメンね!」ということでデフォルトマップが結構充実。
- 初採用にしてサイドビューバトルのクオリティがなかなか高い。
- バトルでは歩行キャラクターとして設定されているキャラなら全員プレイヤーキャラとして使用が可能。
中には赤ちゃん、二本足のねずみ、四本足の犬などもおり、それらもちゃんとサイドビューバトルで戦わせられる。 - アイテムに自分で解説が入れられるようになった。
- アクセサリーの設定可能効果が大幅増加。毒・麻痺のみを防止など前作にはない細かい設定も可能に。
- アイテムを買う時の装備可能者・上昇低下画面が復活。ただし2よりも機能は総合的に見ると低い。
- キャラグラが結構良質で可愛げがある。顔グラや名前(主人公キャラのみ)も表示出来るようになった。
- チープな音源ではあるが、BGMの曲調自体は相変わらず良質で、戦闘2は神曲として有名。
- 3とは違い個別に一刀・二刀流、さらに利き手が設定出来る。攻撃回数もキャラ・アビリティ・武器などでイジれる。
なので、やろうと思えば驚愕の20回攻撃とかチートっぽいことも出来る。
つまりツクール4はバグやデバッグ不足など一部の不具合や痒いところに手の届かないポイントが惜しいという、まぁ実際ツクール的に問題がある部分こそあれど、やれば出来る子なのである!
というよりポテンシャル自体は決して低くないので、場合によっては前作にして完成形と言われるツクール3よりも出来ることは多かったりする。
しかし基本的には容量不足でやってられないことだけがとにかく悔やまれる。
関連動画
また、ツクール4の惜しさを語りつつも良さを語ってくれているルーツ氏の実況動画!
関連商品
関連項目
- エンターブレイン
- RPGツクール
- RPGツクール SUPER DANTE
- RPGツクール2
- RPGツクール3
- RPGツクール5
- RPGツクール(PS2)
- RPGツクールDS
- ジバクくん
- ツクールシリーズ
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