クルーズ(船旅)とは、目的地にまっすぐ向かうのではなく、地域をゆっくり巡りながら旅をすることの船版解説である。東京湾や芦ノ湖、隅田川などの数時間のも立派なクルーズであるが、ここでは宿泊を伴うものを中心に語るものとする。
日本では豪華客船と称され、お金持ち向けのレジャーだとされがちなクルーズであるが、温泉旅館といっても1万円未満でバイキングから、一泊につき諭吉の5枚や6枚が飛びそうなところまで様々であるように、クルーズといっても会社によって大衆的なものから、高額なものまで様々なので「豪華客船」の一言でくくれるようなものではない。
………評判に比べて安い高いは個々の判断に任せるが、少なくても豪華客船=クルーズの幻想はぶち壊しておく必要がある。なぜなら、豪華客船のつもりで、豪華客船とは自身が思っていない会社のクルーズに参加したら生まれるのは失望だからである。
クルーズが大衆化したのも1987年竣工のソブリン・オブ・ザ・シーズ(現ソブリン)の成功によって大型化すれば儲けが大きいことが判明したからで以後、客船は大型化していき現在では22万トンというオアシス・オブ・ザ・シーズという化け物まで現われている。
客室以外の基本的な設備は、メインのレストランとビュッフェ形式のレストラン、大きな劇場に野外プール、スパ、フィットネスとスパ設備、ダンスホールとバー、ショップにカジノといったホテルにレジャー設備が融合したような内容になっており、会社の個性によって色々な設備がつくこともある。
クルーズの最大のメリットは寝ている間に移動してくれるという点である。
観光地間の移動は、荷物をまとめる→宿をチェックアウトする→駅に移動する→交通機関に乗る→最寄りの駅で降りる→宿まで移動する→チェックインするというプロセスがかかり、数をこなせばこなすほど身体に負担がかかってくる。
クルーズの場合は宿自体が移動しているので、これらのプロセスが省略されているので負担がかかることなく楽に旅することができる。歳とったというな。
また、食べ物も料金に含まれているというのも大きい。リゾート地のホテルでは昼食・夕食代は別途というのが一般的なのだが、これが落とし穴になることもある。頑張って一流のホテルに宿泊した場合、レストランの値段も一流の値段な上に他で食べられる場所もないので、わびしい想いをするか想像以上の出費を迫られることになる。
クルーズ船は旅費に食費も含まれるのでサブレストランに行くという贅沢をしなけれぱ普通に食事について悩むこともない。食事自体も値段相応といったところで、特に貧相なものを出されることもない。
クルーズのデメリットは、たとえ個人であってもパックツアーに参加しているのと同然になってしまうという点である。結局は他人の作ったスケジュールに縛られることになってしまう。
寄港地観光もだいたい半日、多くて1日半(ザンクト・ペテルブルグなど)といったところなので、ヴェネツィアなどの都市では1日ではとても足りない。
1番重要なのはネット代が高いことかもしれない。Wifiホテルなら1日でいくらなのだが、クルーズでは1時間でいくらという料金設定になってしまう。問題なのはWifiが使えないからといって、FOMAやLTEを使うという訳にはいかないことである。海の上だから。
船上でのネットは衛星を使って行うので従って、陸上よりも高くなるのは当然なのかも知れない。ネット依存症にかかっている人には向かないかも知れない。
後は基本的に船酔いの可能性があることである。個人差があるので一様にはいえないのだけど、酔い止めの薬は持っていけば安心だろう。
クルーズ会社は大まかに、マス(大衆)、プレミアム、ラグジュアリーに分けることができる。しかし、酒飲み放題、チップ代不用など目に見えてわかる要素があるラグジュアリーはともかく、マスとプレミアムの区別がつきづらくなっているのが現状である。マス=わいわい騒ぐ、プレミアム=落ち着いているといった違いはあるものの値段的には区別がつきづらくなっている。
重要なのは会社の格ではなく、旅行者の方向性に合う会社を選ぶこと。
子供連れがキュナードに乗ったところで気まずくなるのが目に見えているのと同じように、ぼっちがディズニークルーズに乗ったら……どうなのだろう。
・カーニバル・クルーズ
業界最大手のカーニバルクルーズの中核。
Y字型をして、赤青に塗り分けられたファンネル(煙突)が特徴。
1972年と創業は浅いが、1980年代のメガシップ時代において、7万ドンクラスのファンタジー級を大量運用することによって、クルーズ界の覇権を手に入れた。名前の通りにお祭り騒ぎが日常の気楽で楽しい船旅を送れる至ってカジュアルな船会社である。
船の特徴を見ればRCIとは違って、同じ仕様の船を集中運用するところに特徴がある。RCIと差を分けたのもそこかも知れない。また、10万トンと13万トンを集中的に投入しているのも特徴の一つである。
主なクルーズエリアはカリブ海。RCIとは違い、日本展開は子会社のプリンセスとコスタに任せていて、本体自体は日本進出をしてはいない。
・ホーランド・アメリカ・ライン(HAL)
旧名をネザーランド・スチームカンパニーといい、キュナードと並んで古い歴史を持つオランダ系の船会社であったが、長い年月を経て本社をシアトルに移し、カーニバルの傘下となって現在に至っている。
白一色の船が多い中、船体を白と濃紺に塗り分けているというクラシカルなカラーリングが象徴するかのように、安価で古き良き船旅を味わえるクルーズ会社。良くも悪くも地味なのが特徴である。
活動エリアはカーニバルのアラスカ・ヨーロッパ部門担当。10日以上の長期間のクルーズがメインなので、普通ならスィート以上の装備であるバスタブがアウトサイドから付く他、プールにはスライディングルーフがついているので寒い場所でも水泳が楽しめる。また、機動性重視なので10万トンサイズの船は配船されていない。
・コスタ・クルーズ
コスタ・コンコルディアの事故で悪い意味で有名になってしまった会社。イタリア系の船会社がカーニバルの傘下に入ったもので、船内の雰囲気もイタリアンなノリである。カーニバルグループのヨーロッパ部門担当、MSCの凌ぎを削っている。
傘下に入ったのがそれほど昔ではないため、買収以前のコンテナ船改造の2万トンクラスや5万、7万トンクラス、カーニバルやHALから流入した大型船など雑多を極めたラインナップであったが、現在では10万トン、8万クラスに収斂している。
・プリンセス・クルーズ
世界的な海運会社の一つであるP&Oのクルーズ部門で、カーニバルやRCIと並んで御三家の立場にあったが、クルーズ部門だけがすったもんだの末にカーニバルに買収されることに。このため、船隊のラインナップもグランド・プリンセスを基本とした独自の物になっている。ちなみに、三菱長崎が建造したからダイヤモンド・プリンセスとサファイア・プリンセス。分かりやすい。
RCIと並んで、日本で営業している会社でもある。
・ロイヤルカリビアン・インターナショナル(RCI)
カーニバルクルーズのライバル会社。ファンネルの前にラウンジを設けたデザインが特徴。
15万トンのボイジャー・オブ・ザ・シーズを皮切りに巨船を次々とラインナップし、22万のオアシス級は圧倒的な迫力があるが、グループ規模ではカーニバルに凌駕されている。船隊の特徴としては、カーニバルとは違って細かい仕様違いの船を細かく出す傾向にあるので(例えると、カーニバルがエセックス級を大量量産するなら、RCIは蒼龍級を2隻作った後に、雲龍級を2隻リリースするような感じ)差がついた要因はそこにあるのかもしれない。
ボイジャーからは船というよりも、街を意識したような船内構成するのが特徴で、オアシスに至ってはアーコロジーと化している。ロッククライミングウォールが標準装備となっているが、ウォータースライダーを搭載しようとしないのが謎。
活動エリアはカリブ海やヨーロッパ。最近ではアジアや日本地域でも活動するようになった。ボイジャー級が飽和してきたような気がするのでトンデモない。
・セレブリティ・クルーズ
元々はギリシアのチャンドリスグループの傘下にあり、高品質なサービスを行うことで好評を博していたが経営難によりRCIに買収された。RCIのプレミアム部門担当でHALのライバル。HALが船内に骨董品を飾り付けているのであれば、こちらは現代美術で固めているなどモダンでスタイリッシュな印象がある。
ちなみに、クルーブのミシュランガイドというべきベルリッツ・クルーズガイドの大型船部門ではキュナードとセレブリティの船でTOP10を独占している。それ以上の評価を持つ船は豪華客船であり、キュナードも採点基準が複雑なので、つまり、普通に乗れるクルーズの中ではもっとも評価が高いブランドということになる。
・それ以外
・ピースボート
詳しいことは…wikipedia参照。世界一周単位の長期航海を主に運航している。
まず踏まえておきたいのはピースボート自体が船を所持しているのではなく、他社から船をチャーター運航しているという事である。このため、使用している船が状態によって変更になる。過去にはチャーターした船がたびたび整備不良を起こして深刻なトラブルになったこともあるのだけど、現在は大丈夫なのだろうか。
最大の問題は価格。
いくら、ピースボートが安めだとはいえ、設立理念から世界一周がデフォなので、4人相部屋の1人設定で120万という高額なものとなってしまう。それだけのお金があれば、期間は短くても一般にいう豪華客船に乗れてしまうので、シルバーシーやシーボーンといった会社と比較すると、どうしても費用対効果が劣ってしまう。
・スター・クルーズ
シンガポールをベースにしているがマレーシアのゲンティングループが営業している船会社。新興勢力ではあるが、NCLを傘下におさめるなど業界第3位の地位を占めている。……カーニバルのプリンセス買収が大きいんだけど。
サービスの特徴としてドレスコードが気楽なこと。食い物は基本無料なクルーズ業界において、有料のサブレストランを設けることによって食の多彩さと収益の幅を広げるビジネスモデルを造り上げたことがあげられる。基本はトシンガポールをベースとした3泊から5泊のクルーズで、安近短であることから日本人も参加し易い。ちなみに90年代に日本で営業したこともあるが短期間で撤退した。
本来はアジアを中心に10万トン級をベースとした大艦隊を展開する予定だったのだがNCL買収によって、予定の船をNCLに回してしまい、代わりに小型のお下がりを貰い受ける形になり、当初の予定からすればいささか寂しい陣容になってしまっている。
・ノルウェージャン・クルーズライン
元々はカーニバルやRCIと肩を並べるクルーズ御三家の一角であったが、1987年以降のメガシップブームにおいて、7万トンのノルウェーを傭船してメガシップの力を体感したにも関わらず、3、4万トン級で船隊を組むという下策に走ってしまい、その結果、業績は悪化。御三家の立場はおろか収益も後発のスタークルーズに抜かれてしまい、その傘下に収まることになってしまった。
スタークルーズの経営思想が入ったことによって、カラフルなカラーリングを施した船が示す通りにアバンギャルドな方向に走ってしまった。従来の枠組みに捕われないという意味では、この会社が一番フリーダムだといえる。
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最終更新:2025/03/24(月) 14:00
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