タイムパラドクスゴーストライターとは (タイムパラドクスゴーストライターとは) [単語記事]

タイムパラドクスゴーストライターとは、『週刊少年ジャンプ』2020年24号から同年39号まで連載していたSF 漫画であったが、単行本帯ではサスペンス漫画と紹介されていた。
2巻目には描き下ろし番外編として後日談が収録されている。
略称は『タイパラ』(作者公式)『TPGW』(海外用)『タイパト』『タイパク』『タパゴラ』など。
原作：市真ケンジ作画：伊達垣大

あらすじ

基本情報
タイムパラドクスゴーストライター
原作	市真ケンジ
作画	伊達垣大
出版社	集英社
掲載	週刊少年ジャンプ
掲載期間	2020年24号 - 39号
巻数	全2巻
漫画・アニメテンプレート

漫画家志望の青年・佐々木哲平は週刊少年ジャンプ編集部に何度もネームを見せるもボツ続きの日々を送っていた。
またもボツを食らい疲れ果てたある日、落雷の影響で電子レンジから10年後の未来の週刊少年ジャンプが送られてくる。そこに載っていた新連載漫画「ホワイトナイト」に感銘を受ける。だが直後、未来のジャンプは忽然と消えてしまう。
あまりに現実離れした出来事から未来のジャンプは自分のアイデアが夢として出てきた物であると思い、それを元に描いた「ホワイトナイト」のネームが編集部から大絶賛を受け、念願の読み切り掲載が決まる。
が、未来のジャンプは現実の物である事がわかり、哲平は盗作をしてしまった事に気付くが…。

ネットでの反響

連載開始直後から既視感のある展開や自分に甘く、自己保身と自己肯定ばかりする（ようにしか見えない）主人公、思いついたかのような前後のつながりが無い唐突な描写などが特に指摘されており、連載が進むたびに問題点が膨らみ続けていた。

このためかネットの各所において批判意見が非常に多く出ており、コラ画像がほぼ毎日量産され続け挙句、ジャンプの定期購読を止めたり集英社に問い合わせをする読者も出るなど、コミックス化もされていない段階でかつ無名の作家が描いた作品としては（無論悪い意味で）異例ともいえる扱いを受けている。

一方で、良くも悪くも全く予想の付かないストーリー展開や次回への引きの上手さを評価する声もなくはない。それが作品を面白くしてるかは別として

登場人物

佐々木哲平(ささきてっぺい)
主人公。週刊少年ジャンプでの連載を目指す漫画家志望の24歳（近々25歳）。
20歳の頃に応募した作品が新人賞を受賞するも未だにデビュー（読み切り掲載）できず、担当編集からも見放され気味。
筆を折ろうか悩んでいた晩に落雷と共に電子レンジ転送されてきた10年後のジャンプを夢（＝自分の無意識が生んだもの）だと思いこんで「ホワイトナイト」の内容そのままのネームを描き上げ、自分の作品として編集部に見せて大絶賛、読み切りがアンケート 1位を獲得・そのまま連載決定する。消えたと思った未来ジャンプは隙間に落ちていただけでその後も未来ジャンプが送られていたことで盗作に気づくが、「既に自分の作品として世に出してしまった以上、名作である「ホワイトナイト」を闇に葬らないためには自分が描き続けるしか無い」という理由でその後も盗作を続け順調に成功を重ね一躍人気ジャンプ作家となってしまう。
盗作に本人なりに罪悪感を感じている様子も見せるが、未来のものだということを免罪符にしようとしたり、盗作を代筆やゴーストライターと誤魔化したり、自己正当化や自己保身が多く見られる。
漫画家としては自分の作風どころか自分の伝えたいモノや書きたいものもなく、「沢山の人が楽しめればそれで」と非常に抽象的で曖昧。それを面白さでねじ伏せるような実力もないため、担当の菊瀬からは作風をトリッキーにして一部であろうと読者が釣れるようにすることも提案されるが、「僕が描きたいのはみんなが楽しめる漫画」として譲らず、半ば呆れられている。
漫画を目指すきっかけは小学校の時に描いた既存作品の丸パクリ漫画が友人を喜ばせたからであり、中学では好きな漫画の寄せ集め漫画を書き、高校の時の持ち込みや専門学校講師や担当編集の菊瀬からは揃ってオリジナリティのなさや没個性を指摘され、受賞作はいかにも凡庸なワンピース風のカットが描写されるなど、作家としてオリジナリティに難を抱え、なおかつそれを克服できない描写が多い。
それもあってか、第7話で遂に未来から送られてきたジャンプ無しでは、漫画の続きを描くのは無理と言ってしまう。だが、未来のある出来事を知った事と転送主からのメッセージを受けた事で少し前に終わったヲヲヲ漫画よろしく親指を噛むルーチンをしつつ『ホワイトナイト』の続きを描き上げる。
師匠は『ビタミンマン』の作者である七篠権兵衛。
11話でフューチャーくんの忠告を破った為、アイノが予言通りの結果になってしまい、フューチャーくんに八つ当たりを始めるが、突如冷蔵庫の中から出現したワープホールの中に消えてしまう。
そして、12話で謎の空間の中で黒幕と対面し、黒幕から哲平は藍野伊月の夢を破壊する為に黒幕が選んだ悪役だと告げられる。
藍野伊月(あいのいつき)
ヒロイン。高知県出身の高校2年(17歳)の女子（不登校）。片目隠れと髪留めが特徴。
部屋には大量のジャンプが並んだ本棚と構想が描かれた紙が散乱している。
未来の「ホワイトナイト」の作者である「アイノイツキ」と同じ名前であり（恐らく）本来の作者。
10年前の時点で既に「ホワイトナイト」の構想はできており、佐々木版「ホワイトナイト」が載ったジャンプの読み切りを読んで哲平の前に現れ、自分の作品を盗作したのではないかと問い質す。
その後、自身と同じ考え=同類であるがゆえに「ホワイトナイト」を生み出したと自己解釈し、「ホワイトナイト」以上の作品を作り上げて見せると宣言。哲平の前から雑魚キャラのように姿を消した後、高校を中退しアシスタントとして再び現れる。
第7話にて（未来で）命を落としてしまい「ホワイトナイト」が絶筆になるという事実が明らかになる。
その後は予言通り順調に実績を得て、新作『ANIMA』の連載を開始するが、アシスタント無しで描き続けた結果、無理がたたってか倒れてしまう。そして11話にて過労で急死してしまったが、本来のフューチャーくんの予言より大幅に死期が早まってしまったので、主人公の身勝手な介入と忠告を無視した結果のおかげで死期が本来より早まったと批判の声もある。
気に入っているのか不登校→中退にも関わらず、常に制服姿。あと万乗パンツ
9話終盤では唐突に制服姿を止めたが、番外編にて赤石から「学校行ってない奴が着てたらコスプレだろ」と指摘された事が切欠の様子。
菊瀬(きくせ)
疲れた顔付きのジャンプ編集部員。担当して４年以上になる哲平に才能の欠如を感じており、うんざり顔の対応をする。３日連続で持ち込み、締め切りが過ぎている上に編集会議直前という状況で原稿を読むことを一方的に要求し、遂にはビルの警備員を振り切る犯罪まがいのことをしながら駆け込んできて縋り付く哲平には思わず「才能がないんだよ」と罵倒してしまう。
罵倒の為に編集長から「ホワイトナイト」の担当から外されてしまう上に周りの編集部員からは陰口を叩かれるなど不遇な目に遭うが、漫画に対する批評は具体的なもので、泣いている哲平には同情顔を見せ、自身に非があった時は素直に謝るなど、悪人ではない。これまで見てきた哲平自身の作品とホワイトナイトとの落差に驚き、本当に哲平が描いたのが疑ったが、（この時点では盗作の自覚がない）哲平の揺るぎない言葉で本人の作品と騙されてしまった模様。
1、2話のみの登場だが、この作品で一番マトモな人物という事もあってか読者人気が妙に高い。
モデルは居ないらしく実在しない苗字を与えられている。
しかし、指摘の生々しさから一部の読者の間では、作者の漫画に対して的確にダメ出しをしてきた、作者が関わった事のある実在の編集者がモデルでは無いかと噂されている。
2巻の特別編でまさかの再登場を果たすが・・・。
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 https://twitter.com/ichima_kenji/status/1273401695112843264
編集長
ジャンプ編集長。編集キャリア20年。「ホワイトナイト」読み切りネームを一読し、盗作と見抜けず(「本物」がまだ存在していないので当然だが)本誌掲載を決定する。哲平の受賞作を好きだったと言い、「誰に才能があって誰に才能がないのか俺には未だにわからない」と述べて菊瀬を哲平の担当編集から外した。
宗岡（むねおか）
爽やかな雰囲気のジャンプ編集部員で哲平の新担当。ホワイトナイトを過剰なまでに大絶賛する。
盗作であると気付いて「ホワイトナイト」の連載を渋る哲平に対して「連載するべきだ」「今の君は怖気づいているだけにしか見えない」と熱弁を奮って無自覚に盗作を後押しする。尤も彼は盗作である事を全く知らないため一概に責められないのだが。
哲平に伊月含めたアシスタントたちを紹介したのも彼。
その後は伊月の担当も始めるが、彼女を心配するあまり必要以上に干渉したために外されてしまった様子。
アシスタントたち
熱血キャラでデビュー前の赤石元気(19)、おっとりとしたプロアシスタントの山根次郎(35)、物静かな読切デビュー済の五十嵐肇(23)。
全員が「ホワイトナイト」に感銘を受けており、五十嵐に至ってはスランプから脱する切欠になった程。
フューチャーくん
哲平が友人である岡野くんから貰ったロボットの玩具。第1話にて電子レンジと冷蔵庫と共に落雷を浴びた事で10年後の週刊少年ジャンプを転送するタイムマシンへと変貌する。
第6話ではそれまで送っていたジャンプが突如転送されなくなり、続く7話にてアイノイツキの訃報が載ったジャンプを転送。「フューチャーサンダー！」と叫んだあと、「イツキちゃんを救って」という転送主からのメッセージを哲平へと託す。12話にて未来ジャンプを主人公の所に送りつけて盗作するきっかけを与えた全ての黒幕であったと判明する。
ジャンプじいさん（仮名）
幼少期の伊月とよく交流をしていたにこやかな笑顔が特徴のお爺さん。
何故か創刊号から現在までの週刊少年ジャンプを公園で売っていた。
ある日、公園から突如姿を消し、伊月は彼が持っていたジャンプを全て自宅に持っていき参考資料にする事で漫画作りに励む事となる。どうやって全部運んだ
単行本2巻特別編にて、フューチャーくんも含めて全てを監視していたこの作品世界のデウス・エクス・マキナに該当する存在だと判明した。
七篠権兵衛
哲平の師匠である10年以上もの連載キャリアを持つ漫画家。曰く「道で絡んできたチンピラを背負い投げするような人」。
本人は本編では全く登場せず、哲平の口から存在が語られるのみであったが2巻収録の描き下ろし番外編において登場。ワイルドな雰囲気を持った美人の女性だという事が発覚した。ぶっちゃけ「ぼくらのQ」の星龍院茉莉花ほぼまんまである
2巻表紙にもしれっと登場しており、本編では出ていなかった事もあり連載を読んでいた一部の読者たちを混乱驚愕させた。

用語

週刊少年ジャンプ
この漫画が載ってる雑誌。作中に登場する連載作品は全て架空のものとなっている。
ホワイトナイト
2030年から週刊少年ジャンプにて連載を開始した「アイノイツキ」が作者である冒険ファンタジー漫画。
連載当初から完成度の高さと絶大な人気を誇り45話の段階で既にアニメ化が決定している程。
哲平はタイムマシンで送り込まれたこの作品を「夢に出てきた自身のアイデア」だと思い込んだ事で無自覚に盗作、本来の歴史より10年早い2020年の現代から連載する事となる。
ビタミンマン
七篠権兵衛が作者である世界中の食料を巡る戦いを描いたオラオラとボーボボを足して2で割ったような内容のギャグバトル漫画。
哲平の師匠でもあるが、作風が『ホワイトナイト』から大きく離れている事でアシスタント一同は驚愕していた。